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「正義の戦争ない」痛感 宇宙ではみんな団結  宇宙まで軍事利用しようとしている安倍政権を間接的に批判?

2015-12-31 04:54:46 | 言いたいことは何だ

 毎日新聞社とTBSテレビの共同プロジェクト「千の証言」は、最後の特集で「次代への継承」を考える。戦後世代は証言から何を学ぶべきか。科学者の視点から「地球の未来」を考える宇宙飛行士で日本科学未来館館長の毛利衛さん(67)に聞いた。


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 家族から聞いた戦争の話は断片的です。昔話で、母は父の召集に備え軍刀を用意した、というような。でも父は農耕馬を診る獣医師で召集されなかった。

 <生まれ育った北海道余市町で幼少期、占領軍の米兵を見た>

 家の隣がウイスキーの工場で、米兵たちが四輪駆動車やトラックでやってくる。幼心に「かっこいい」と思いました。兄はチョコレートをもらっていました。

 テレビっ子で、第二次世界大戦のドキュメンタリーをよく見ていました。英国首相チャーチルの大戦の回顧録で、ノルマンディー上陸作戦など連合軍が勝ち進む映像が流れていた。「アンネの日記」も読みました。

 <学生時代に米国人教師と親しくなり、ベトナム戦争を同時代として実感する>

 彼はベトナム戦争の徴兵を逃れて来日し、そこにベトナム帰還兵たちが訪ねてくる。帰還兵の多くは興奮状態で、日本で落ち着きを取り戻し、米国へ帰って行く。戦争は現実なんだと思いました。

 さらに、米国が使う化学兵器についてだんだん明らかになり、昔テレビで見た「正義の戦争をした米英」という考えに疑問が出てきた。オーストラリアで大学院生として暮らした時、中東からの移民と語り合う機会もあり、戦争に正義はない、勝者が歴史を作るのだと痛感しました。

 <最初のスペースシャトル搭乗は湾岸戦争の直後だった>

 NASA(米航空宇宙局)はテロを警戒し、セキュリティーを一層強化していました。宇宙開発はそもそも冷戦時代の米ソを中心とする軍拡競争の延長線上にある。でも冷戦が終わり、ロシアも加わった「国際宇宙ステーション(ISS)」が生まれた。ISSは一つのミスが即、死につながる極限状態であり、国籍や宗教、文化を超えて力を合わせる。互いを思いやり、限られた食料や空気、水を分け合う。地上で難しいことが宇宙で実現しました。

 <宇宙飛行士を経験し、日本の独特の存在感が分かった>

 日本のメーカーの技術力は宇宙開発の最先端で高い信頼を得ています。でも、メーカーはあえてそれを主張せず、一歩引く。70年間平和だったからこそ育まれた高い技術力と豊かな文化です。国のエゴや宗教のエゴ、いろんなエゴがぶつかる世界で、相手を思いやる日本の知恵はますます大切になるでしょう。

 <日本科学未来館で、科学で地球の未来に貢献する可能性を若者たちと考えるイベントや展示に力を注ぐ>

 人は何のために学ぶのか。その目的をまず納得することです。社会生活をより豊かに送るため、人類全体が生き延びるために学ぶのだと私は考えます。広島や長崎、欧州の博物館を訪ね、科学技術による殺りくを知りました。科学は人を幸せにもするし、傷つけもする。メディアや文学など、どんなものにも両面がある。絶対の正義はなく、自分の価値観が絶対でもない。そういう認識を深めるために、歴史を知り、事実を知ることが大切だと思うのです。【聞き手・山田奈緒】

 もうり・まもる 1948年生まれ。理学博士。85年、日本人初の宇宙飛行士に選抜される。92年と2000年、NASAスペースシャトル「エンデバー号」に搭乗。03年、潜水艇「しんかい6500」搭乗。03年と07年に南極訪問。宇宙、海洋、極地から地球環境を伝える。 【毎日新聞】



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