「エンジェル・・・もう・・・いい」
少年の命の火が尽きた事を
告げる兵士の声が
あたしの耳元でささやかれた。
嘘だ。
あたしの口の中の物体はまだ、硬直し、
体温が広がってきている。
嘘だ。
まだ、彼は生きてる。
生きようとしている。
あたしは納得できないまま、
彼の最後の命の残像を
確かめている。
「エンジェル・・・」
少年が呼んだようにあたしを呼んでいた兵士は
あたしの体の変化に気が付いていた。
兵士は
あたしの下着の隙間に
指をいれ、あたしの身体が
泣いているのを確かめた。
あたしの身体が少年を本当にうけとめてやろうとしていたんだと
悟ると
兵士は
「ありがとう」
と、そういったんだ。
身体を結びつける事だけがセックスじゃない。
心が彼を求め
彼を包もうと思う。
そんな慈しみを本当にもってくれたんだと兵士は
少年の最後にあたしがもった思いに
あたしの体の反応に頭を下げたんだ。
そして・・・。
少年の命を包み込んでやれなかった
あたしの身体の無念をなぐさめてやりたかったのだろう。
兵士は
自分の生殖器をズボンの外にさらけ出すと
あたしの下着をずりさげて、
あたしのその場所にあてがっていった。
レイプ?
ううん?
そんなものじゃない。けして、そんなものじゃない。
あたしには、兵士の気持がよく判った。
時に身体でしか、うずめられない悲しみがある。
兵士のものが
緩やかにうごきだしたとき、
あたしは
やっと、
少年の死をうけとめ、
あたしは・・・。
少年の生を口の中から開放した。
あとから、あとから、とめどない涙があふれかえり、
それを慰めるかのような、
宥めるかのような兵士の優しいうごきにあたしはすがっていったんだ。
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