この世の中において、自分に関する決定ほど難しいことはないそうだ。
多くの人々は、他人に対しては、意思決定の方法や考え方を助言するくせに、いざ自分のこととなると容易に決定することは出来ない。
そんな好例はこれだ。
◆自分に対する重大な決定は簡単ではない
米国の名門コロンビア大学教授のハワード・ライファは、意思決定分析の草分け的研究者だ。
その意思決定方法や戦略を大学で講義するだけでなく、企業や個人に対しても広く指導をしていた。
一般的に望ましい意思決定の型として、①決定事項の明確化、②情報収集、③選択肢の明確化、④根拠の評価、⑤選択肢の中から選択、
⑥最終的に行動、が知られている。
そんな彼がある日、ハーバード大学から教授として招聘を受けた。
コロンビア大学からハーバード大学に移れば、彼の名声はさらに上がることだろう。
だがコロンビア大学は、給与を3倍にするから移籍を思いとどまるように働きかけてきた。
この二つの申し出に悩んだ彼は、コロンビア大の学部長を務める友人に進路を相談したそうだ。
友人のアドバイスは、当然と思われるものだった。
「今まさに君の研究分野である意思決定方法を用いるべきじゃないのか。」
対して本人は、「わかってないな、これは重大な決定なんだぜ。」と返した。
→そういうことなんでしょうね。他人へのアドバイスは簡単なもののようです。
それがいざ自分のこととなるとね、難しいものです。