上沼田神楽には、古くから伝わる文献というものが存在しない。
正式には、あったんだけど、焼失してしまったらしい。
その後、昭和50年代に記された「神楽伝説」という書き物が拠り所となっている。
一方、道具については、保存状態が悪いながらも何点かが現存している。
↓残っている面の一部
丸い形になっている面は、かなり年代物と思われる。(時期不詳)
左下の面は天狗のように高い鼻になっている。何の演目で使われていたんだろうか・・・?
右下の面は、口の部分がふやけている。舞う時に息がかかり、そのまま乾かさずにしまったんだろう。
この他にも、衣裳や蛇頭が残っている。
昭和52年に上沼田神楽が復活した際、約20年の中断のため、道具がなかったらしい。
古い衣裳や手縫いの衣裳、幕を持ち歩き、一生懸命に活動した結果、現在の道具を揃えたとか。
今でこそ不自由なく活動でき、神楽殿も建ててもらっているけど、苦労の時代があってこそだろう。
上沼田神楽の財産であり、歴史性を証明する道具。
保存方法を考えないと・・・・。
このブログでも再々書いている、「天の岩戸」の復活。
とりあえず今年は、できるだけ他演目から衣装や道具を流用して対応しようとしているけど、どうしても足りない道具はある。
その中でも、面が無い。
流用で対応できるモノはするとしても、下の役の面が無いという結論に達した。
タヂカラオ
コヤネ
フトダマ
イシコリドメノミコト
といった、主役級のものから、他の神楽では出ないような神様まで。
買いに行こう!
ということで、同じ錦町内の 神楽バカ 神楽に詳しい友人の紹介もいただきながら、島根県大田市温泉津町の小林工房さんを訪ねた。
朝9時、ピュアライン錦を出発し、途中浜田の上田蛇胴製作所を訪問。
昼食を挟み、午後1時過ぎに工房に到着。
状況はあらかた説明してもらっていたようで、ざっくりとした前振りながら、テキパキと参考画像の提示、イメージのデッサンなどをしてくださる小林泰三さん。
自分と同じ33歳というからビックリ。ビックリ。
それぞれがもつ面のイメージや、(清+直)×樹 がもつ子ども神楽の時のイメージ、参考画像などを踏まえて検討すること約2時間。タヂカラオとイシコリのおおまかなスケッチができあがった。
コヤネとフトダマは、古い面や子ども神楽の面が残っているので、それを基に復元する方向で依頼。
非常に効率的な進め方で、イメージを固めていない我々(いきあたりバッタリ軍団)でも何とか形になりそうな感じです。
更に、11月の山代神楽共演大会での公演に向け、厳しいスケジュールながら頑張っていただけるという話。
その後、金城町の桑の木にも寄って帰った結果、錦町に着いたのは午後8時。走行距離350kmという行程だった。
道具の構想、段取りは整いつつある。
いよいよ来週からは、舞の中身を詰めていくことになる(と思う)。
お楽しみに!
小林工房
http://www.kobayashi-kobo.jp/
↓工房での打合せの様子。正面が小林さん。他の3人は、ウチ自慢の重量級です。