本の紹介は良いとして、エエ歳してこんなんばっかりしか読んでないと思われると、ちと辛いものがあるのでございますが・・・・(^^; まま、さておき・・・本日は東郷隆氏の"定吉七(セブン)は丁稚の番号"であります。 大阪商工会議所所属の殺人丁稚 定吉七番が"全ての関西人の食卓に納豆を!"をスローガンに関西経済界破壊をもくろむ関東の悪の組織NATTO相手に繰り広げる、わらいあり笑いあり嗤いありのスパイ小説であります。 いえね、表紙を見ると、つい買い気が削がれそうになりますが、この小説実に良く出来ておりまして、冒頭に収録されております"ドクター不好(プーハオ)"をイアン・フレミング著 井上一夫訳の"ドクター・ノー"と読み比べてみますと言うと、言葉が大阪弁に代わって配役は日本人(Mは千成屋宗右衛門、Qは鱧切り久作・・・って、そんな名前のヤツは今時おらんやろ!)になってはいるものの、ものの見事に文体までソックリ!で、今手許に本がありませんので人様のサイトからの引用でありますが冒頭の部分・・・
イアン・フレミング版・・・6時きっかり、夕日はブルーマウンテン連山の彼方に最後の黄色い夕映えを残して沈んだ。紫色の影が波のようにリッチモンド通りを覆い、通りに面した家々の庭でこおろぎや雨蛙が泣き声をたてはじめる。
東郷隆版・・・・・五時二十八分、夕日は逗子マリーナの彼方へ最後の夕映えを残していやいやながら沈んでいった。鎌倉シネマの緞帳にも似た紫色の影が静かに横須賀線を覆い、買い物に行きそびれた主婦たちを相手に鮮魚商が最期の売り声を張り上げはじめる。
・・・ね!可笑しいでしょ?この調子で武器(ペストルではおまへん、出刃包丁だす)選びのシーンやら何やら徹底的に茶化しまくっておるのであります。ただ惜しむらくはこの"ドクター不好"以外はここまで徹底的にはパロってないのでありますが、まあ少なくとも雰囲気だけは007シリーズにクリソツでございまして、大人しく黙って静かには読ませてくれないのでありますよ。 で、一作目が当たりましたので本家と同様シリーズ化されまして"ロッポンギから愛をこめて"、"角(カド)のロワイヤル"、"ゴールドういろう"、"太閤殿下の定吉七番"とたて続けに発表されたのでありますが、当初計画されておりました"黄金算盤を持つ男"は結局刊行されず終い・・・是非どんな話の展開になるのか読んでみたいものでございますな~。
さてこのシリーズ、文庫版の初版が昭和60年4月25日で第四冊目の"太閤殿下の定吉七番"の初版が昭和63年10月10日でございますが、平成6年の1月から6月にかけて表紙のデザインを一新して再販されましたので探せば古書店に一冊や二冊は在庫が眠ってるハズ・・・・これまた機会がございましたら御一読を!!
(さ~て、明日は何を紹介・・・・ってまだ続けるんかい!爆)
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