ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派映画作家、クリス・マルケル監督の『ラ・ジュテ』(1962年)を観てみた。
この作品が以前から気になっていた理由は、クリス・マルケルが製作した『ベトナムから遠く離れて』(1967年)を上映当時観ていたことに加え、
あの『12モンキーズ』(テリー・ギリアム監督、1995年)がこれを原案にしているということに興味があったからである。
作品は、30分弱の短編でSF仕立ての内容となっている。
それを、モノクロの静止画像で繋いでいき、その画面にナレーションが無駄なく静かに被さっていく。
これがラストまで続く中、一瞬だけの動画が目を引く。
このような作品には、よかったとか良くないとかの評価はあまり意味がないのではないか。
受け手がどのくらいのイマジネーションを感じるかによって、評価がそれぞれ分かれるかも知れないと思ったりする。
いずれにしても、このような作品が存在することは貴重である、と感じる。
この内容を忘れないためにも、以下に筋を記しておきたい。
少年の時に見た光景に取りつかれている男の話。
その男が少年期に見たのは、オルリ空港での出来事。
時は、第3次世界大戦勃発の数年前。
ある日曜日、家族で空港を見物した。
少年は、そこで見た送迎台の光景とひとりの女性の顔をそれ以後忘れない。
ずっと後になって気づく。
それは、戦争前の平和な時代の彼女の顔。
しかし、これは現実なのか、それとも戦争から逃避する幻想なのか。
程なくしてパリは崩壊。
そして、勝利者を名乗る者は他者を捕虜にした。
生存者は放射能のせいで地下で暮らす。
勝利者が地下を支配し、捕虜を実験台とした。
失敗が繰り返される中、例の少年だった捕虜が選ばれる。
人類の滅亡を防ぐために、勝利者は時間を操作しようとする。
時間に穴をあけ被験者を送り込めば、薬やエネルギーを持ち帰れるはず。
実験は、時間の穴で過去と未来を繋ぎ、現在を救うのが目的である。
彼が選ばれた理由は、想像力が強く、過去に執着していたから。
現在のすべては剥奪され、彼は平和な時代の過去に行く・・・
16日目、無人の送迎台。
30日目、二人は再会する。
彼は時間の感覚を失っていても、彼女について見覚えがある。
彼は彼女に話しかける。
二人にとって、過去も未来もなく現在だけがある。
二人は公園でデイトするが、残念なことに彼は気を失う。
別の時間。
散歩する二人。
そこにあるのは無言の信頼。
だが、彼は現実の世界に、突然戻される。
50日目、剥製のある博物館で二人は出会う。
このようにして操作する側は、被験者を思い通りの時間に送り込むことの確証をする。
そして彼女の方も、突然現れ、消える彼を自然現象として受け入れるようになった。
過去への旅は成功し、次は未来である。
未来は過去より難しい。
何度かの実験の後、彼は未来へ到達した。
地球は変貌し、再建されたパリ。
彼は全産業を復活させるエネルギーを持ち帰る。
その後、彼は少年期の映像を与えられ、快適に暮らす。
だが役目はもう終わっていて、後は抹殺されるだけだ。
彼は未来人からメッセージを受ける。
「仲間にする」と。
が、彼は平和な未来よりも少年期に戻りたい。
彼女の待つ過去へ。
オルリ空港。
大戦前の暑い日曜日。
彼は幼い頃を思い出す。
彼は送迎台で彼女を見つける。
しかし、走り、駆けつける彼には追跡者がいて、ここからの脱出は不可能である。
少年の頃に見た映像は、自分の死の瞬間だった。
この作品が以前から気になっていた理由は、クリス・マルケルが製作した『ベトナムから遠く離れて』(1967年)を上映当時観ていたことに加え、
あの『12モンキーズ』(テリー・ギリアム監督、1995年)がこれを原案にしているということに興味があったからである。
作品は、30分弱の短編でSF仕立ての内容となっている。
それを、モノクロの静止画像で繋いでいき、その画面にナレーションが無駄なく静かに被さっていく。
これがラストまで続く中、一瞬だけの動画が目を引く。
このような作品には、よかったとか良くないとかの評価はあまり意味がないのではないか。
受け手がどのくらいのイマジネーションを感じるかによって、評価がそれぞれ分かれるかも知れないと思ったりする。
いずれにしても、このような作品が存在することは貴重である、と感じる。
この内容を忘れないためにも、以下に筋を記しておきたい。
少年の時に見た光景に取りつかれている男の話。
その男が少年期に見たのは、オルリ空港での出来事。
時は、第3次世界大戦勃発の数年前。
ある日曜日、家族で空港を見物した。
少年は、そこで見た送迎台の光景とひとりの女性の顔をそれ以後忘れない。
ずっと後になって気づく。
それは、戦争前の平和な時代の彼女の顔。
しかし、これは現実なのか、それとも戦争から逃避する幻想なのか。
程なくしてパリは崩壊。
そして、勝利者を名乗る者は他者を捕虜にした。
生存者は放射能のせいで地下で暮らす。
勝利者が地下を支配し、捕虜を実験台とした。
失敗が繰り返される中、例の少年だった捕虜が選ばれる。
人類の滅亡を防ぐために、勝利者は時間を操作しようとする。
時間に穴をあけ被験者を送り込めば、薬やエネルギーを持ち帰れるはず。
実験は、時間の穴で過去と未来を繋ぎ、現在を救うのが目的である。
彼が選ばれた理由は、想像力が強く、過去に執着していたから。
現在のすべては剥奪され、彼は平和な時代の過去に行く・・・
16日目、無人の送迎台。
30日目、二人は再会する。
彼は時間の感覚を失っていても、彼女について見覚えがある。
彼は彼女に話しかける。
二人にとって、過去も未来もなく現在だけがある。
二人は公園でデイトするが、残念なことに彼は気を失う。
別の時間。
散歩する二人。
そこにあるのは無言の信頼。
だが、彼は現実の世界に、突然戻される。
50日目、剥製のある博物館で二人は出会う。
このようにして操作する側は、被験者を思い通りの時間に送り込むことの確証をする。
そして彼女の方も、突然現れ、消える彼を自然現象として受け入れるようになった。
過去への旅は成功し、次は未来である。
未来は過去より難しい。
何度かの実験の後、彼は未来へ到達した。
地球は変貌し、再建されたパリ。
彼は全産業を復活させるエネルギーを持ち帰る。
その後、彼は少年期の映像を与えられ、快適に暮らす。
だが役目はもう終わっていて、後は抹殺されるだけだ。
彼は未来人からメッセージを受ける。
「仲間にする」と。
が、彼は平和な未来よりも少年期に戻りたい。
彼女の待つ過去へ。
オルリ空港。
大戦前の暑い日曜日。
彼は幼い頃を思い出す。
彼は送迎台で彼女を見つける。
しかし、走り、駆けつける彼には追跡者がいて、ここからの脱出は不可能である。
少年の頃に見た映像は、自分の死の瞬間だった。