『ジャック・ドゥミの少年期』(アニエス・ヴァルダ監督、1991年)を観た。
1939年、フランス西部の港町ナント。
ここで生まれ育ったジャコ(ジャックの愛称)は8歳。兄弟には弟のイヴォンがいる。
父は自動車修理工場を営み、母は髪結いをしていて、他に祖母もいる。
家の中では母の歌声が流れ、家族は幸せに満ち、よく映画も観に行ったりする。
ジャコは、「白雪姫」や「シンデレラ」に影響されて操り人形を作り、それを人形劇にして夢中になる。
しかし、バレエを習っている向かいの家の少女レーヌは、一緒に曲芸ショーで世界巡業をしようと、踊れないジャコに言ったりする。
第二次大戦が迫ってきて、ジャコの父にも徴用令がくる。
街にはドイツ兵の姿が現れるようになり、ジャコとイヴォンも田舎へ疎開させられる・・・
世の中がきな臭くなり、それでも基本的には少年ジャコの生活にはあまり影響がない。
だが、人の死をまともに目にして、ジャックはそれ以後、暴力を憎むようになる。
ジャックの少年期は、人形劇や映画を観て育ち、それが嵩じて、疎開先で小型の手動映写機とフィルムを借りて、家庭映写会をしたりする。
その内それでは、段々物足りなくなり、中古品店でたまたま見つけた素人向けの映画用カメラが気に入り、自分の大事な物と交換し手に入れる。
ジャックはそのカメラを使い、友達たちを役者として監督まがいのことをする。
しかし、現像したフィルムには何も写っておらず、失敗してしまう。
技術が必要だと感じたジャックは映画学校に行きたがるが、父親は強く反対する。
ジャックは、今度はアニメ作品を作ろうとし、段ボールで人形をこしらえ、一コマ一コマ撮影していく。
その作業は大変で、新しいカメラも欲しくなり、母親にねだってみると買ってもらうことができた。
片や、父の意向で通っている職業学校は大嫌いで、思いはいつも映画にある。
ある日、先生が家に来て「映画熱の度が過ぎているので、熱をさました方がいい」と母親に言う。
それでもジャックは、屋根裏の部屋でコツコツと映画作りの作業に熱中する。
何としても映画の道を立ち切れないジャックは、映画館の支配人に、この短編アニメの作品を見てもらう。
偶然、自分の作品上映のために来た著名な監督クリスチャン=ジャックも、空き時間にジャックの作品を見、誉める。
そして、映画を続けるように、と勇気づける。
そう言われた父親は、やっと折れて、ジャックをパリに行かせることに同意する。
ジャックは、晴れて「写真映画技術学校」へ入学することになった。
このような“ジャック・ドゥミの少・青年期”に基づく作品を、妻のアニエス・ヴァルダが監督する。
その映像は、大雑把に言えば、ジャックの過去がモノクロ、幼い頃を思い出しながら書くドゥミの現在や実作品の挿入部分はカラーとなっている。
<ジャコを演じた子役たちとジャック・ドゥミ、後ろにアニエス・ヴァルダ>

この作品で印象深いのは、過去の実際のエピソードとか場所が、ジャック・ドゥミの作品に色濃く反映されていることを示唆し、そのシーンを映し出している箇所である。
映画の中の当時59歳のジャック・ドゥミは、この後で亡くなることを思うと、その表情の弱々しさが納得される。
それと対比するように、この少年期からの映画に対する想いは輝きに満ちていて、将来に向かっての希望があふれている。
<ジャック・ドゥミと、妻のアニエス・ヴァルダ>

この作品を観ると、ジャック・ドゥミに一層の興味が沸き立ち、他の作品ももっと観たくなってくる。
ただ残念なことは、妻アニエス・ヴァルダも今年90歳で亡くなってしまった。
だが、ヌーヴェルヴァーグの中で重要な位置を占めている二人の名は、いつまでも失われることはない。
1939年、フランス西部の港町ナント。
ここで生まれ育ったジャコ(ジャックの愛称)は8歳。兄弟には弟のイヴォンがいる。
父は自動車修理工場を営み、母は髪結いをしていて、他に祖母もいる。
家の中では母の歌声が流れ、家族は幸せに満ち、よく映画も観に行ったりする。
ジャコは、「白雪姫」や「シンデレラ」に影響されて操り人形を作り、それを人形劇にして夢中になる。
しかし、バレエを習っている向かいの家の少女レーヌは、一緒に曲芸ショーで世界巡業をしようと、踊れないジャコに言ったりする。
第二次大戦が迫ってきて、ジャコの父にも徴用令がくる。
街にはドイツ兵の姿が現れるようになり、ジャコとイヴォンも田舎へ疎開させられる・・・
世の中がきな臭くなり、それでも基本的には少年ジャコの生活にはあまり影響がない。
だが、人の死をまともに目にして、ジャックはそれ以後、暴力を憎むようになる。
ジャックの少年期は、人形劇や映画を観て育ち、それが嵩じて、疎開先で小型の手動映写機とフィルムを借りて、家庭映写会をしたりする。
その内それでは、段々物足りなくなり、中古品店でたまたま見つけた素人向けの映画用カメラが気に入り、自分の大事な物と交換し手に入れる。
ジャックはそのカメラを使い、友達たちを役者として監督まがいのことをする。
しかし、現像したフィルムには何も写っておらず、失敗してしまう。
技術が必要だと感じたジャックは映画学校に行きたがるが、父親は強く反対する。
ジャックは、今度はアニメ作品を作ろうとし、段ボールで人形をこしらえ、一コマ一コマ撮影していく。
その作業は大変で、新しいカメラも欲しくなり、母親にねだってみると買ってもらうことができた。
片や、父の意向で通っている職業学校は大嫌いで、思いはいつも映画にある。
ある日、先生が家に来て「映画熱の度が過ぎているので、熱をさました方がいい」と母親に言う。
それでもジャックは、屋根裏の部屋でコツコツと映画作りの作業に熱中する。
何としても映画の道を立ち切れないジャックは、映画館の支配人に、この短編アニメの作品を見てもらう。
偶然、自分の作品上映のために来た著名な監督クリスチャン=ジャックも、空き時間にジャックの作品を見、誉める。
そして、映画を続けるように、と勇気づける。
そう言われた父親は、やっと折れて、ジャックをパリに行かせることに同意する。
ジャックは、晴れて「写真映画技術学校」へ入学することになった。
このような“ジャック・ドゥミの少・青年期”に基づく作品を、妻のアニエス・ヴァルダが監督する。
その映像は、大雑把に言えば、ジャックの過去がモノクロ、幼い頃を思い出しながら書くドゥミの現在や実作品の挿入部分はカラーとなっている。
<ジャコを演じた子役たちとジャック・ドゥミ、後ろにアニエス・ヴァルダ>

この作品で印象深いのは、過去の実際のエピソードとか場所が、ジャック・ドゥミの作品に色濃く反映されていることを示唆し、そのシーンを映し出している箇所である。
映画の中の当時59歳のジャック・ドゥミは、この後で亡くなることを思うと、その表情の弱々しさが納得される。
それと対比するように、この少年期からの映画に対する想いは輝きに満ちていて、将来に向かっての希望があふれている。
<ジャック・ドゥミと、妻のアニエス・ヴァルダ>

この作品を観ると、ジャック・ドゥミに一層の興味が沸き立ち、他の作品ももっと観たくなってくる。
ただ残念なことは、妻アニエス・ヴァルダも今年90歳で亡くなってしまった。
だが、ヌーヴェルヴァーグの中で重要な位置を占めている二人の名は、いつまでも失われることはない。