ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『鞄を持った女』を観て

2019年09月22日 | 1960年代映画(外国)
少し前、クラウディア・カルディナーレの作品を観たので、今回も彼女の『鞄を持った女』(ヴァレリオ・ズルリーニ監督、1961年)を観てみた。

イタリアのパルマ。
偽名を使っているマルチェッロが、売れない歌手のアイーダを乗せ車を走らせる。
マルチェッロはパルマ近くで、アイーダを捨てる。
アイーダは鞄ひとつを持って、ある豪邸でマルチェッロのことを尋ねるが、応対に出た弟のロレンツォは、マルチェッロに言い含まれていて「知らない」と言う。

困惑するアイーダをロレンツォは、ホテルに送っていく。
翌日、アイーダから電話を受けたロレンツォは、ホテルにいる彼女を訪ね、そして、いつしか心持ちアイーダに惹かれていった・・・

女性、世間に対して何も知らない青年が、年上の女性に恋い焦がれる。
その想いは、一歩下がって控え目で、大人のやりとりの世界を見る。
そして、後で分かってくるが、アイーダの方は子持ちで、一週間に一度、施設に会いに行く境遇にある。
そのため、困窮していて仕事がほしいのをいいことに、男たちがそれをエサに近寄ろうとする。
片や、豪邸に住むロレンツォは、金銭面は叔母が管理しているとしても、その方面では何不自由ない。

ジャック・ペランとクラウディア・カルディナーレ。
デビュー間もないジャック・ペランは16歳の設定。
この二人が醸し出す雰囲気に、我知らず自然とのめり込まれてしまう。
その感覚は、自分の若い頃の想いと重なり合って、ロレンツォの心情が切なく、つい感情移入してしまう。

もっとも、作品の作りとしては、一連の流れの中で後半、トーンが変わったりして統一性が乱されたりする。
そう言うことがあったりしても、このような雰囲気の作品は、無条件に大好きでいいなあと思う。

それはそうと、“鞄を持った女のブルース”の曲は、若い頃からファウスト・パペッティ楽団で聞き慣れ、イメージを膨らませてきたが、シーンでは歌の曲だったのに驚いた。
ニッコ・フィデンコの"愛への願い(Just that same old line)"(YouTubeより)


また、曲そのものは知っていても、曲名がわからなかったり、ミーナの“星影のナポリ”も聞こえてきて、映像以外の楽しみも倍加した。
La ragazza con la valigia - buonanotte.mpg (YouTubeより)


Claudia Cardinale e Jacques Perrin sulle note di "Impazzivo per te" (YouTubeより)


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