ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『夜』を観て

2022年04月07日 | 1960年代映画(外国)
『夜』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1961年)を観た。

ある日の午後、作家のジョヴァンニと妻リディアは、病床の友人トマーゾを見舞った。
トマーゾの病気は回復の見込みがない。
トマーゾはジョヴァンニの親友であるが、リディアにとっても親しい間柄だった。
以前トマーゾはリディアを愛したが、彼女はすでにジョヴァンニを愛し結婚していた。

彼女は作家夫人として何不自由のない毎日を送っていたが、その生活に得体の知れぬ不安が徐々に広がっていった。
結婚前二人を結びつけたはずの愛を見失ったと感じたとき、彼女の心にポッカリと一つの空洞があいた・・・
(映画.comより)

末期症状のトマーゾを見舞った二人は、ジョヴァンニのサイン会場に行く。
同行したリディアは夫と分かれ、ひとりミラノの街を歩き、これと言った目的もないのにタクシーで郊外のうら寂れた家並みを歩く。

その夜、リディアの希望で二人はナイトクラブに行き、その後、富豪ゲラルディニのパーティーへ行く。
会場でジョヴァンニは、ゲラルディニの娘ヴァレンティーナに魅了される。
一方リディアは、トマーゾの病院へ電話し彼の死を知る。
自分を理解をしてくれていたトマーゾを失ったリディアは、ジョヴァンニとヴァレンティーナが抱き合ってキスを交わす姿を垣間見ても嫉妬も感じなかった。
そして自分も、パーティで知り合った男と土砂降りの中、ドライブに出かける。

夜が明け、互いに別々の相手と夜を過ごした二人だったが、屋敷の広大な庭の一角でリディアは、トマーゾが死んだこと、もうジョヴァンニを愛していないことを告げる。
それを聞いたジョヴァンニは、かつて二人の間にあった愛を取り戻そうとするかのようにリディアを抱きしめる。

結末は、二人に一縷の望みがありそうにみえるが、夫婦の絆が失われている以上、やはり二人の間に断絶が横たわっていると思わずにはいられない。
主演は、マルチェロ・マストロヤンニとジャンヌ・モローの夫婦役。それに富豪の娘としてモニカ・ヴィッティが絡む。
セリフが少なく、映像で見せるこの作品は、アントニオーニの「愛の不毛・三部作」の中で、核心を一番明確について分かりやすいのではないか、そんな風に思わずにいられなかった。

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