『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想172  冬の伽藍

2015-04-11 13:24:06 | 小説(日本)

読書感想172  冬の伽藍

著者      小池真理子

生年      1952年

出身地     東京都

出版年     1999年

出版社     (株)講談社

 

感想

 冬の軽井沢に降り立った悠子は、別荘地の一角にある診療所に向かった。薬剤師として働くために来た悠子を待つのは、医師の兵藤義彦。3年前に夫を交通事故で亡くした27歳の悠子と、孤独で人を寄せ付けない義彦の出会いだった。

 あの、と悠子は、兵藤医師の背に向かって声をかけた。「・・・・今日から仕事をさせていただいてもかまわないですか」

 振り返った青年医師の顔に、ガラス越しに射し込んでくる午後の柔らかな光があたって弾けた。

 悠子はその、美しい彫像を無感動に眺めながら軽く微笑んでみせた。「早く仕事に慣れたいんです」

 兵藤は気だるそうに瞬きをし、そうしてくれれば、こっちも助かりますよ、とそっけない口調で言った。

恋の始まりを予感させる場面だ。二人の恋の行く手に大きく影を落とす人物が義彦の義父、兵藤英二郎。東京の兵藤クリニック院長で稀代の女好き。そしてその情婦聡美。診療所のお手伝いの春江。そして義彦の亡妻、美冬、悠子の友達で診療所の前任の薬剤師、摂子。

軽井沢の冬の物淋しい雰囲気がこのラブストーリーにぴったり合っている。

にほんブログ村 写真ブログ 東京風景写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログへ
にほんブログ村