『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想267  クリフトン年代記

2019-09-16 00:44:56 | 小説(海外)

読書感想267  クリフトン年代記

著者      ジェフリー・アーチャー

生年      1940

出身地     イギリス、ロンドン

出版年     2011年~2016

邦訳出版社   (株)新潮社

☆感想☆☆

何年にもわたって書き続けられてきた年代記である。イギリスの港町ブリストルで生まれた貧しい少年が、作家として成功し、初恋の女性とも結ばれ、波乱万丈ながらも豊かで名誉ある人生を終えるまでを描いている。少年の名前はハリー・クリフトン。ハリーをめぐる重要人物はハリーの友人のジャイルズ・バリントン、そしてその妹のエマ・バリントン。二人はブリストルの造船会社の創業者一族。始まりは第1次世界大戦直後に生まれたハリーにはすでに父親がいなかったことだ。戦死したと聞かされていたが、ハリーは父親の死が本当に戦死なのか疑いを抱いていた。ハリーの母親のメイジー、ジャイルズの父親ヒューゴー・バリントンも何か秘密を隠している。

全部で7部に分かれている。

1部「時のみぞ知る」

2部「死もまた我等なり」

3部「裁きの鐘」

4部「追い風に帆を上げよ」

5部「剣より強し」

6部「機は熟せり」

7部「永遠に残るは」

極貧層からボーイソプラノの声をかわれて進学校の聖歌隊のメンバーとして入学が許可されたり、第2次世界大戦がはじまったアメリカで手違いから刑務所にぶち込まれたりする12部あたりが面白かった。いつのまにか、恵まれたエリートの一員になってしまい、冒険も冒険ではなくなってくるし、ハリー以外の人たちの活躍に重心が移っていってしまう。企業経営や株の買い占め、また選挙や議会活動についてもエマとジャイルズの活躍として詳しく描かれている。進学校時代でも戦地でも悪玉はあくまでも悪玉で、常に善玉、ハリーやバリントンの2人が勝利するような展開になっている。いつもいつも出版する本がベストセラーになるのも調子のよい展開だし、主人公たちに失敗の2字が起こらないのがあまりにご都合主義だ。それでもそれぞれがどうなったのか知りたくて一気に読んでしまった。 


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