『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想270  夏の雷音

2019-10-19 23:15:27 | 小説(日本)

 

読書感想270  夏の雷音

著者      堂場瞬一

生年      1963

出身地     茨城県

出版年     2015

出版社     (株)小学館

☆☆感想☆☆

これはヴィンテージもののギターをめぐる殺人事件であり、舞台は神田神保町界隈である。主人公は代々神保町に住んでいる法学部の准教授、吾妻幹。勤め先も近くの大学。楽器店を経営する高校の後輩、安田が訪ねてくる。安田はオークションで落札したばかりの120万ドル(1億2千万円)のギターが盗まれたと訴える。吾妻がおろおろしている安田の代わりに警察に連絡する。現れたのは大学の先輩でそりの合わない強面刑事、敦賀。そして翌々日に今度は安田が殺される。そこで吾妻は安田に頼まれたギターの行方をたどることで犯人を捜そうとする。神田神保町界隈で古本屋や楽器店を経営する地縁のある人々や吾妻の学校時代や大学での人脈に助けられながら、ギターのオタクたちにたどりつく。著者のビンテージギターについての蘊蓄もおもしろく、「埋れた牙」の吉祥寺と同じように、舞台になっている神田神保町が生き生きと浮かび上がってくる。実名だろうと思うレストランの名前が出てくる。そして名物料理が実においしそうに紹介されている。著者の本を読むのは3冊目だが、すべておいしそうな料理とお店の名前が挙げられている。冒頭から食べる場面だ。

  -神保町のソウルフードは、「キッチン南海」のカツカレーである。薄く揚がったカツは、千切りキャベツとライスに立てかけられるように置かれる。―

中国料理では「揚子江菜館」、コーヒー店では「ギャラリー珈琲店・

古瀬戸」などの名前も挙げられ、飲み食いの場面が多い。神田神保町

で食べ歩きがしたくなる本でもある。古本屋や楽器店も実名が出

てくるので臨場感があふれている。


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