風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

スノーホワイト

2010年04月19日 | 詩集「風の記憶」
Yuki4


あまりにもどこも真っ白な
いちめんの雪の原
道のない道をあなたと二人で歩いた


あめゆじゅとてちてけんじゃ……
あなたは呪文のようにつぶやきながら
わたしがすくった雪のかたまりを口に入れる
ミクロの目をもっていたら
ここはお花畑か星空のようだろうね
と言った


あなたの後ろを歩いていくわたし
ミクロの世界には入っていけなかったが
あなたの大きな靴跡にわたしの靴を沈めながら
おどけた子供のような大股になったとき
お花畑が見えたような気がした


ああ 空が青すぎて落ちてきそう
あなたの恋人でも妹でもないけれど
この時だけはもしかしたら


ここには道だってない
あるのはふたりの靴跡だけ
雪がしっかり残してくれる
そして何もかも消してくれる
まがったてっぽうだまのような……あなたは
ただ黙々と歩いてゆく


道のない道の向こうに
直立不動で立っているおじいさん
笑顔があなたにそっくりで
わたしは頑固な父が立っているのかと思った
ふりむくと
いちめんの白い世界
ふたりの靴跡だけが残っていた


(2004)


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1 コメント

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初めましてm(__)m (空(カラ、から、雀))
2016-05-15 08:07:43
前々から気になっていましたが、やたらと読書登録するのが、嫌いなものですから今になりました。非常識な変わり者ですが、よろしくお願いいたしますm(__)m
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