中国調査船がEEZ内に=海保に測量中止要求-奄美沖・外務省が抗議
海上保安庁は4日、奄美大島の北西約320キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で3日午後、中国の国家海洋局の海洋調査船「海監51」(1690トン)が同庁の測量船「昭洋」(3000トン)に接近し、約3時間45分にわたり追跡してきたと発表した。海監51は「中国の規則が適用される海域」と主張して昭洋に測量の中止を要求。日本の外務省はEEZ内の正当な調査として、中国政府に厳重抗議した。
同庁によると、中国船の日本のEEZ内への侵入は年に数回あるが、自国の権益を主張し測量中止を求めたのは初めて。
接近があったのは、中国との地理的中間線まで約40キロの東シナ海。海監51は、3日午後2時ごろから昭洋に徐々に接近。午後3時半ごろ、無線で「何をしているのか。この海域は中国の規則が適用されるので調査を中止しろ」と昭洋に告げた。
昭洋は「日本の大陸棚であり国際的に正当な調査を実施している」と応答したが、海監51は昭洋を追尾。最接近時は1キロ弱の距離になった。昭洋は調査の継続に支障があると判断し、奄美大島方面に引き返した。海監51は午後5時45分ごろ、レーダー上から消えた。
昭洋の乗組員29人にけがはなかった。昭洋は4月21日に東京を出港し、同月24日~5月8日まで東シナ海のEEZ内で地殻構造の調査をする予定だった。4日午前8時ごろ、接近現場から約100キロ奄美大島寄りの海域で調査を再開した。(2010/05/04-16:46) (時事ドットコム)
(一部抜粋)
アジア外交重視を掲げる鳩山政権が、中国・韓国からの「圧力」に苦慮している。中国海軍は日本周辺海域の訓練を実施して存在感を誇示。韓国は日韓が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の実効支配を強めている。日本外交の基軸である日米関係が米軍普天間飛行場移設問題の影響で揺らぎ、「中韓から足元を見られている」(外務省筋)側面があるようだ。
中国海軍の10隻の艦隊は4月、沖縄本島と宮古島の間を南下、日本最南端の沖ノ鳥島の西方海域まで進出する訓練を行った。訓練中、8日と21日に海上自衛隊の艦船に中国のヘリが異常接近する行為が発生、日本側関係者を慌てさせた。
最初の接近飛行に日本側が抗議したのは4日後。12日の日中首脳会談でも鳩山由紀夫首相はこの問題を提起しなかった。2回目の近接飛行の際に政府は即日抗議したが、中国側は「日本の警戒監視活動に対する必要な防衛措置」と正当化。程永華駐日大使は「日本の艦艇が付きまとっていた」と日本の対応を逆に批判した。 (2010/05/04-16:34) (時事ドットコム)
訪沖した鳩山首相は「(衆院選当時は)海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった」と述べたそうだ。何の考えなしに掲げてしまった理想と現実との間で鳩山政権が迷走している間に、同時に、沖縄や奄美周辺海では中国海軍や調査船の動きが活発化している。移設問題迷走が結局、このような事態を招き寄せているともいえる。日米同盟が揺らぐようなことがあれば、即、こういうことは予想されたことだと思うが、鳩山首相と鳩山政権にはそんな認識さえなかったようだ。