少女漫画の中でも、これはものすごい究極のメロドラマです。10年くらいの間に三回ほど読んだのですが、いつも涙ボロボロなのですよ。
この漫画と関係ないのですが、シャンソンで、ミレイユ・マチュー「砂の城 Les chateau de sable 」という歌がありまして、砂の城は夏と共に~とかいう感じの歌詞でした。懐かしい。この漫画を最初に手に取ったきっかけは、たぶんこのシャンソン「砂の城」がどこかで頭の中に残っていたからだと思います。
砂の城 (1) (集英社文庫―コミック版) 価格:¥ 630(税込) 発売日:1995-12 |
≪あらすじ・プロローグ≫
舞台はフランス。お金持ちの家に女の子が誕生し、ナタリーと名づけられる。同じ日に、家の前に捨てられていた男の子がフランシス。二人は兄妹のように育ち、愛し合うようになり、ナタリーの両親にも認められる仲になりそうだった時に、ナタリーの両親が事故で急死。ナタリーの後見人の叔母は、身分違いということでフランシスとの仲を認めず、追い詰められた二人は崖から身投げ・・身投げですか~
奇跡的にナタリーは助かるが、フランシスは行方不明。ナタリーは何度も自殺未遂・・
フランシスは記憶を失い、助けてくれた娘ジョルゼと結婚しマルコという男の子をもうけていた。よく似た人がいるとの噂を耳にしたナタリーが、かすかな望みをもって彼に会いに行く。雨の中、フランシスはナタリーを思い出し、やっとのことで再会を果たした二人!と、思ったら、・・・・駆け寄る二人の間にバスが・・・!!・・フランシスは瀕死の重傷。・・・このあたりから、すっかり「砂の城」ワールドにはまってしまいましたね。
病院のベットで、フランシスは「家族がいる、ナタリーの元に戻れない」と告げ、そのまま亡くなってしまう。彼の妻ジョルゼも、彼の後を追って海で死亡。残されたナタリーは絶望の中で、身寄りのなくなったフランシスの(4歳の)遺児マルコを引き取ることにする。マルコをフランシスと呼び、育てながら、フランシス(マルコ)の中に妻ジョルゼの面影を見て、ナタリーは苦しむ。
と、ここまでは、ほんの前置き。ここから、成長したフランシス(マルコ)とナタリーの愛のドラマがはじまります。
作者一条ゆかりさんは、「砂の城」のあとがきで、メロドラマに必要なもの、それは徹底的な障害。で、第一障害は身分の差、第ニ障害を年の差(16歳差)にしたと、書いておられました。
ナタリーの性格は、
「お金持ちのお嬢様特有の育ちの良さとわがままさ、何度やっても懲りない甘さ、向上心は有るけど、土壇場勝負になったらどうしても開き直れない弱さ、この弱さとしつこさが彼女の性格のキーポイント」なのだそうです。
一条さんには無い性格だそうで、こういうタイプは苦手で描いててイライラして腹が立ってきて、なかなか苦労されたそうです。それで、ナタリーを囲む友人や男性陣は好みの人物にしたのだそうです。なるほど、そういえばこの漫画のナタリーを囲む人々は、それぞれかっこよくてさっぱりしたいい人ばかり、あまり嫌な性格の人いなかったですね。フランシスとの恋路を邪魔するミルフィーヌ以外は。
ナタリーのこの優柔不断な性格が、このドラマを主に引っ張ったとも言えますね。究極のメロドラマです。(TVの昼メロにはほとんどはまったことがないのですが、・・でも、「ビクトリア」ははまったわ・・) バレエ漫画の「SWAN」にもはまりましたしね。そういえば、あの漫画にもこういう要素があった気がしますわ。