詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

詩歌採集 437 糸田ともよ

2017-12-18 18:04:21 | 詩歌採集
     


         あれは遠い夏
        
        どちらかが取り残される
        天の
        地の

        風の毛羽立ち
        つまさきの砂


                  (糸田ともよ『葉脈手帳』)      

       
       ※創刊号より終刊号まで「蓮」の同人だった糸田ともよさんが、豆本の詩集を出されました。
       香妃(KAHI)さんという方の写真とのコラボレーションです。
       詳細は糸田ともよさんのブログ「夜光席」まで。




詩歌採集 436 正岡子規

2017-12-18 11:08:01 | 詩歌採集
     

       (photo: Yukio.I 「バフ色際立つノスリ」)

*バフ色は1934年に標準色名として定められました。
私の生業では熔接後の研磨仕上げのことを「バフ研磨」と言ったりします。



       病気の境涯に処しては、病気を楽しむということにならなければ
       生きて居ても何の面白味もない

                              
                                           (正岡子規 『病床六尺』)



詩歌採集 435 中原中也

2017-12-18 11:05:30 | 詩歌採集
     

       (photo: Suishou.M)


       なんにも書かなかったら/みんな書いたことになった
       覚悟を定めてみれば/此の世は平明なものだった
       夕陽に向って/野原に立っていた
       まぶしくなると/また歩み出した
       何をくよくよ/川端やなぎ、だ
       土手の柳を/見て暮らせ、よだ


                                       (中原中也 「なんにも書かなかったら」)