ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

世にはびこる者は?

2009-02-23 15:56:17 | 独り言
文藝春秋3月号に、塩野七生さんが「海賊について」というエッセイを書いている。中世期の欧州で横行した海賊行為は、単に食べていけないから海賊になったという見方だけでは説明できないという。いかに食べていけない状態にあっても、人間は次の二種に分かれるという。

第一は、人間には歯を食いしばっても今のところは耐えて、食べていける道を少しづつ築き上げていく生き方。当然、この生きる道を世の中の大部分の人が選んで、生活していることは論を待たない。

問題は第二の生き方である。他人の物を奪うという手っ取り早い方法を、食べていく道にする生き方だという。この生き方には当然にリスクがある。従って直接手を下す者は少数である。しかしそのおかげで食べていける人、その行為をする為の船や武器を用意する人、そして盗品を買取り、転売する人がいる、さらに人質の処遇に関与する人たちがいる、だから海賊が横行した。

現在、問題になっているソマリア沖やマラッカ海峡の海賊問題も、初期段階の内に海賊をやってもトクなことはないと悟らせる必要がある。食べていけない貧しい人たちの行為だからと同情してはいけない。無法が肩で風をきる世界になっては誰よりも被害をこうむるのは、まっとうな生活をしている一般の人たちなのだ。まだ駆逐艦で対応できる段階なのである。海軍が本格的に対応しなければならなくなる、中世期の再来だけは困るのだと、塩野さんは力説する。

今の世の中には、この第二の生き方を生業とする人種が多すぎるのである。そう言へば、年間300億円もの被害が出る「オレオレ詐欺」に類する事件も、その詐欺の手口を考える者、カモに電話する者、振込みを誘導する者、その振り込む口座を用意する者、さらに引き出し役と分業化されている。そしてその背後にはその行為に直接手を染めずに、巨額の金銭を手にしている誰かが存在する。どうも巨大な犯罪組織が存在する気配さへあるようである。

お互いに、そんな悪が、はびこる世の中を見たくはないのだが。




コメント (4)
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