Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

誰のせいで

2014-05-16 01:00:00 | 雪3年3部(グルワ発表~ずっと一緒に)
目の前がグラグラと揺れていた。息が出来なかった。海の中に居るみたいだった。



清水香織は手元の資料に目を落としながら、今の状況を前にしてただ狼狽していた。

薄い膜を隔てたような感覚で、周りの声が耳に入って来る。

「赤山のレポートだって?」 「清水のじゃなくて?」



ブルブルと手が震えていた。彼等の言っていることが、香織には理解出来なかった。

否、理解することから彼女は逃げていたのだ。

手元にあるこの優秀なレポートは、自分が手がけたものだと香織は信じていた。


彼女の信じる、盲目的な思い込み。それは彼女が自分自身に掛ける暗示のようなものだ。

美しく優秀で、オシャレで人気者な、自分は誰よりも特別な存在であるという暗示。

香織の脳裏に、何度も思い描いた理想の自分が浮かぶ。



その暗示が解ける時が来るなど、今の彼女には思い至ることが出来ない。

何故ならば魔法にかけられた人間は、現実世界が信じられなくなるからである。




「な‥何言ってるの?!言いがかりは止めて下さい!これは私が書いた物です‥!」



香織は声を裏返しながらそう主張した。

しかし目の前にある雪の顔を目にした途端、ギクリとして口を噤む。

 

それきり香織は俯いて歯噛みした。

そんな香織を見ている雪の脳裏に、爆発している自分の姿が妄想となって浮かぶ。

うぉぉおんどりゃああ!私のだって言っとんだろうがぁぁ!!



そう言って机をぶん投げて大暴れしたい程雪は憤っていたのだが、すんでのところで理性が彼女を押し止めた。

雪が震えながらも耐えていると、教授が口を開いた。

「止めましょう」

 

その瞬間、教室はしんと静まり返った。学生達は口を噤み、教授が采配を振るのを待つ。

「本当にそのまま転載されているかどうかの確認は、授業中である今は出来ませんので、

授業終了後に関係している学生達は教授室に来て下さい」




教授からの指示に聡美と雪は返事をしたが、香織は俯いたまま何も言わなかった。

そして教授は佐藤達のグループの方へと向き直ると、残念そうにこう口にする。

「ふぅむ‥今日のあなた方のグループ発表はリーダーシップ分析も上等でしたし、

各リーダー達のリーダーシップ類型をグラフにして整理したのも良かった。皆発表も上手でしたし‥」




けれど、と教授は強い口調で言った。香織の方をチラと窺う。

「最後の発表者の発表内容が先ほどの話通りなら、該当学生に点数はありません」



香織はビクッと身を強張らせ、顔面蒼白した。

そして教授は学生達の方へ向き直り、尚も話を続ける。

「当校の学生達が自分達の課題を販売し、小遣い稼ぎをしていることは良く知っています。

それが良いと思うか悪いと思うかという私の個人的意見は置いといて、

自身の課題を自身が販売することを敢えて指摘するつもりはありません」




雪は俯きながら、少し身を固くした。

販売サイトにレポートを売るということは、大学側からしたら決して推奨される事ではないからである。



以前からそれについては度々議論がなされてきた問題だったので、雪はある程度叩かれることは覚悟して販売を行っていた‥。

そのまま雪が口を噤んでいると、教授は再び清水香織のことへと論点を戻す。

「重要なのは、それを購入した人がどのように利用するかということでしょう‥」



香織の足は震えていた。血の気が下がり、目の前が揺れている。

そして教授は、香織の方へと向き直って最後に口を開いた。

「清水‥香織さん? 今話していることがもしも事実ならば、

あなたは一体‥何を期待してこのようなことをしたのですか?」











香織の脳裏に、思い描いていた理想の未来が過った。

赤山雪より優れた発表をする自分、皆に囲まれて輝いている自分‥。



ガラガラと、音を立てて虚像は崩れていく。

自らに暗示をかけ手に入れたその魔法は、哀しい程あっけなく解けてしまった。


手元にある優秀な出来のレポート。

それはコピーとペイストを繰り返すと簡単に出来上がるが、逆に言えばすぐに消えてしまうのだ。

人差し指の先が、一度デリートキーに触れるだけで。





目の前が真っ暗になって、深く冷たい海の底へと沈んでいく。

絶望の表情で俯いた香織を、雪はその場からじっと見つめていた。



しん、と教室は静まり返っていた。誰一人として話す者は居ない。

皆清水香織の方へ視線を送りながら、その問題の決着を見届ける。



そして時計の針は授業終了時刻を差した。

教授は次の授業での指示を簡単に出し、そのまま挨拶を済ませて教室を出て行った。


教室の中が学生達だけになると、佐藤広隆は激しい剣幕で香織に詰め寄った。

「おい、どういうことだ?!どうしてこんなことになったんだ?!」



香織はヒッと息を飲み、ガクガクと激しく震え始めた。隣では直美が「個人評価で良かった」と呟いて胸を撫で下ろしている。

首を横に振りながら何度も「違うんです」と口にする香織だが、佐藤は容赦しなかった。



人指し指で彼女を指しながら、声を上げて追及する。

「お前、この授業が個人評価だとしても今の問題が俺等に影響しないと思うか?!

どこに他人のレポートを丸々写すバカがいるんだよ!一人じゃ何も出来ないのか?!」




香織の目に涙が浮かんだ。震える声で何度も否定する。

これは私が自分で探し、正当にその対価を払って手に入れた物だと。



しかし佐藤は受け入れない。他人の課題を転載して大きい顔をするなとピシャリと言う。

「で、でも!皆あのサイトを参考にするでしょう?!」



そこまで言ったところで、香織はとあることに思い至った。

香織がレポートを見つけたあのサイトは、とある人物から教えてもらったサイトであるということに。

「せ、先輩!」



香織は彼の方へと向き直った。同じグループであるに関わらず、終始沈黙を貫いていた彼。

香織は彼に向かって大声を上げる。

「せ、先輩が‥!先輩が私にこうさせたんじゃないですか!そうですよね?!」



青田淳はキョトンとした顔で、香織のことを見下ろしていた。

何も言わない彼に向かって、香織は尚も追及を続ける。

「先輩が私に教えたサイトじゃないですか!」



香織は青田淳のカーディガンを掴みながら、必死にその責任の在処を彼に見出そうとする。

「良い点が貰えるといいなって‥!先輩がそう言ったんじゃないですか!

私にそう言ったじゃないですか!自分もよく参考にするから、あのサイトに行ってみろって!」




そうでしょう?!と言って香織は彼を揺さぶった。藁にもすがる思いで。


そして見上げた彼の顔からは、いつもの笑顔が消えていた。

彼は、まるで自分とは無関係の場所から俯瞰するような、そんな眼差しで香織を見ていた。



淳は視線を落とし、閉口するように息を吐いてから話を始めた。

「‥清水。俺は、君があまりに資料の整理が出来ないから、

あのサイトで他の人達のまとめ方を参考にしてごらんって言ったんだよ。

パワーポイントもあってとても参考になるからね」




そして淳の瞳は、見下しの意を含んだ眼差しで彼女を見た。

ピッと引いた先の向こう側に、足を踏み入れてしまった彼女を見放す。

「少なくとも常識ある人間ならば‥他人の物を助詞一つ変えずに提出なんてしないじゃないか。

そんなことまで、俺は言わなければならなかった?」




侮蔑を孕んだ冷たい視線。

その冷ややかな態度の前に、香織は茫然自失する。



一体誰のせいでこうなったのか?

まるで見えない糸に引かれるかのように陥った今の状況に、香織は呆然とする。




騒然とする教室の中で、雪はことの成り行きを静観していた。

口をあんぐりと開ける香織の前で、笑顔の仮面を外した淳が彼女を見据える‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<誰のせいで>でした。

ここで小さなミス発覚‥。

佐藤達の班はグループEのハズですが‥。

「次、グループE」


なぜか今回グループCに‥。

「今日のグループCの発表は‥」


グループEのレポートが「Cのカリスマ的リーダーシップ」というテーマだったので、こんがらがったんでしょうね。

ということで細かいクラブでした。


そして今回一番ゲンナリしたコマがこちら↓



直美さん‥。香織を庇ったりはしないのな。「個人点数で良かった」って胸を撫で下ろすなんて‥orz

先学期のあの言葉が蘇りますね。

「だけど大学に通っている以上、Dを貰うこともあると思うの」



そう言って個人のレポートはやって来ていたこの人‥。とことん自分が良ければ良い、という考えですね‥。

残念すぎる‥


次回は<美しき策略>です。


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奪われたくない

2014-05-15 01:00:00 | 雪3年3部(グルワ発表~ずっと一緒に)
変核的リーダーシップ”



画面に映し出された文章に、そんな誤字が目についた。

変革的を変核的と誤って書いたことを、雪は思い出していた。

それは確かに、去年雪が提出したレポートで彼女が犯したミスだったのだ。



血相を変えた聡美が、雪の方を振り返って口を開く。

「ゆ、雪!あれ‥!あれこの前のー‥!」



聡美が言い出さなくても、雪には分かっていた。

自分が書いたレポート内容が、今ここに丸々映し出されているということが。


「カリスマ的リーダーシップについて、良く調べてありますね。

以前は彼女に関する発表も沢山ありましたが、CEOを退いた以降はあまりされていませんでしたから」




教授の評価は上々だった。その反応に班長の佐藤は胸を撫で下ろし、香織は頭を掻いて照れ笑いする。

そしてグループEは発表を終え、質疑応答へと移った。

「それでは質問の方を‥あ、はい‥伊吹さん



佐藤が質疑応答の開始を口にするやいなや、聡美は手を上げ立ち上がった。

聡美は香織を真っ直ぐに見据えると、彼女の方を指差して話し出す。

「質問があります。たった今最後の発表をした方が、そのCのカリスマ的リーダーシップに関して論じ、

そして最終的にそれに対する自身の考えを仰いました。そうですね?」




香織はたじろぎながら、たどたどしく肯定を口にする。

そして聡美は彼女に対して疑いの眼を向け、ゆっくりとこう口にした。

「それ本当にご自身で考えられました?」



え? と香織は声に出してから絶句した。

言葉を紡げずにいる香織に向かって、尚も聡美は追及を続ける。

「あたしは一昨年、”組織管理”の夜間授業を受けたことがありました。

そして当時あたし達のグループが発表した内容と、今あなたが発表した内容がまっったく一緒なんですけど!」




これは一体どういうことですか? と聡美が続けると、香織は身を強張らせて視線を泳がせた。

すると班長の佐藤は溜息を一つ吐き、話にならないとばかりに首を横に振りながら口を開く。

「あのねぇ、リーダーシップ分析ったってどうせ似たり寄ったりでしょ?

Cがカリスマ的リーダーシップを持ったって結論は、結局皆同じだろうし‥」




佐藤がそう口にすると、香織はすぐさまそれに乗っかる。

「そ、そうよ!何でいきなりこんなこと言うのか知らないけど、

ま、まさか私的な感情で言ってるんじゃないでしょうね?!

根拠もなしにそんなこと言われても、ふ‥不愉快なだけですから!」




香織の意見を受けて、聡美が「何ですって?!」と声を荒げる。

騒然としていく教室の中で、雪は一人黙り込んだまま俯いていた。



心の中に、大波が押し寄せている。雪は高く築いた塀の前に立ち、冷静に確認していた。

今の状況、自分の気持ち、これからどうなりたいか。

雪はゆっくりと顔を上げた。


聡美も一緒にやった課題だから、当然腹が立ったろう。けれどこれ以上話を進めると、問題が大きくなる。

わざわざ教授室へ出向いて釈明の為の資料を出すのも面倒だし、同期達からの視線も更に厳しいものになるかもしれない。




今までの雪ならば、ここで思いを飲み込んでいたはずだ。

怒っても怒らなくても後悔するならば、事を荒立てない為に我慢しようと。




だけど‥



雪はグッと、拳を握り締めた。

静かに、そしてゆっくりと、彼女は覚悟を決めていく。



頭の中に、浮かんでくる光景があった。

それは疲れがピークに達したあの日、夢で見た光景だった。



愛すべき人々に囲まれ笑う、自分では無いあの子。

そんな光景を遠くから見ながら、だんだんと消えて行く自分。



自分の潜在意識が見せたその光景は、とても重要なものを無くすことの危惧を表していた。

それは今まで築いてきたもの全てを、取り上げられてしまうことへの恐怖。



ゆっくりと、雪の決意は固まった。

高い塀を更に高く築くより、そこを自ら開門する覚悟を決める。

譲れないものがあった。何よりも大事なものがあった。雪は心の中で叫ぶ。


これ以上、自分自身を奪われたくない




彼女には癖があった。

それは差し伸べられた手が去る時、必死に追い縋るという哀しい癖が。

雪にとってそれらを奪われるということは、彼女の潜在意識に於いて最も恐ろしいことだった。

彼女は無意識なりに、そんなシグナルを感じ取って覚悟を決めたのだ。




「内容から誤字まで、全部同じです」



そして雪は立ち上がり、遂にハッキリと真実を告げた。たじろぐ香織を見据えながら、淡々と言葉を続ける。

「そのパワーポイントの背景画面は、一昨年私がフォトショップで作成したものです。

そしてそれを、レポート販売サイトに載せました」




雪の口から語られた真実に、香織の顔は青くなった。

ビクッと身を強張らせながら、目を見開く。雪の言う通り、香織はそれをレポート販売サイトで買ったのだった。



雪の告白を受けて、聡美が援護射撃する。

「そうです!それはあたし達の課題であり、赤山さんがそこに売ってアップした資料です!」



ざわっ、と教室中が揺れた。

直美と佐藤が、香織の方を見て驚愕の表情を浮かべる。



しかし一番驚いていたのは、清水香織その人だった。

まるで狐につままれたかのような展開に、香織は呆然としていた。

「‥え?」



周りを見回すと、教室中の学生達がどよめいている。

真実は一体何なのか、皆もよく分からないのだ。



雪はその空気を読み、言い逃れの出来ない決定的な証拠を口にする。

「”変革的”リーダーシップを”変核的”リーダーシップと誤って書いてしまったことを、

去年の発表時に気が付きました。修正して販売することをすっかり忘れていて‥」


 

今日見るとそのままになっていますね、と雪が口にして、そこに居た全員がその誤字を確認した。

固まる香織に対し、雪は更に追及を続ける。

「もちろん購入してもらう為にアップした資料です。

けれどあくまでも参考にしてもらう為の物であって、そのまま丸写しする目的でアップした資料ではないと考えます」




正論を口にする雪の横で、聡美が香織のやっていることの卑怯さを口に出す。

「誤字も修正せずにフォントと名前だけ変えて、

そのまま掻き集めてコピペしたってわけね」




フン、と聡美が息を吐き捨てる。

香織は整理出来ない頭を抱えながら、手元の資料に視線を落とし込んだ。

ダラダラと、冷や汗が尋常でない程流れて行く。



あれは全て赤山が作った物だと、清水香織の物ではないのだと、真実が香織の耳にこだまする。

目の前がグラグラと揺れる。息が出来ない。まるで海の中に居るみたいだった。




香織は知らなかった。そのレポートの作成者が雪だということを。

そして購入したレポートを、そのまま載せてはいけないということを‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<奪われたくない>でした。

必死で固めた砂の像が、ボロボロと崩れ落ちて行く‥。

そんな光景が浮かぶようです。香織、ピンチですね。

しかし何故コピペしちゃったのか‥。そんなところに彼女の常識の無さが垣間見えます。


そして雪ちゃんの潜在意識が色濃く表れた、彼女の決意でした。

自身を奪われていく恐怖というものを、雪ちゃんは他の誰よりも恐ろしく感じると思います。

差し伸べられた手が去る時、それに追いすがってしまう癖もそこから来ているんではないでしょうか。


次回は<誰のせいで>です。


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罠への誘導

2014-05-14 01:00:00 | 雪3年3部(グルワ発表~ずっと一緒に)
グループワーク課題の発表時刻が、もう間近に迫っていた。

先ほど柳瀬健太と赤山雪の元に居た青田淳も、自分の班のメンバーが居る席へと移動する。

「どうした?皆発表の準備しなくちゃ」



淳がそう皆を促すと、香織と直美は慌てて手元の資料を整理し始めた。

そんな中佐藤は、幾分気まずそうに柳瀬健太の方を窺い口を開く。

「ま、まぁ、課題して来てないんだから、あのくらいされても安いもんだろ」



佐藤は健太が除名されたことを知ってから、少し気になっていたのだった。

尚も健太を罵倒する言葉を口にする佐藤に、
(それを口にすることで彼は、自分が健太の課題を手伝わなかったことの後ろめたさを解消する)

淳が「今は自分たちの課題に集中しよう」と柔らかく注意する。



そう言って机に手を付いた淳は、偶然香織の携帯画面に触れた。

スマートフォン画面の明かりが灯り、そこに彼女の待ち受け画面が表示される。



ふとそこに目を留めた淳は、思わず目を見開いた。

そこに写っていたのは、雪の弟の赤山蓮だったからだ。



しかし携帯画面はすぐに暗くなり、それ以上見ることは出来なかった。

淳はじっと香織を見ながら、なぜそこに蓮の写真があるのかを思案する‥。







そんな淳の視線に気がついた香織は、一人白目を剥いてビクビクした。

な‥何だろ?また私何かやらかしたのかな‥??



淳はそんな香織を見て笑顔を浮かべ、そして話しかけた。


用意してきた言葉で、彼の仕掛けた罠にかかった彼女に。


「清水、本当に良く調査をしてくれたね。俺等はリーダーシップにありふれた事例を使ったけど、

清水がQ社を調べたのは予想外だったよ。あそこは女性のCEOで有名だったのに、完全に忘れていた」




香織は淳から褒められ、嬉しそうに声を出して頷いた。

資料を探す内、Q社のそれは少し古い事例だが今回のプレゼンにうってつけだった、と香織は誇らしげに口にする。

「頑張ったね」と労う淳を前に、香織は少し照れながら頭を掻いた。

「はい‥先輩が参考にと教えてくれたサイトのお陰で、探すことが出来ました」



本当にありがとうございました、と謝辞を述べる香織に向かって、淳は笑顔を浮かべた。

「そう? それは良かった」



ネズミは知らぬ間に、罠に足を嵌め込んでいた。

彼女がそれに気がつくのは、恐らく後少し先のこと‥。





雪は班のメンバーと会話する青田淳の姿を、その場からじっと眺めていた。

先輩久しぶりに見るな‥



課題やアルバイトに追われる雪と、インターンでほとんど大学に来ていない先輩と。

電話やメールでのやり取りはあったものの、実際彼を目にするのはとても久しぶりに思えた。



大学に彼が居る。そこで笑顔を浮かべている。

今までは当たり前だった風景が、なぜかとても新鮮に感じられた‥。



そして遂にプレゼン発表が始まった。

グループAから順に始まり、学生達は各々準備してきた内容を発表する。

 

発表の後にある質疑応答も、学生達は積極的に行った。教授はそんな彼等を見て満足そうに微笑む。

そしていよいよ雪達の発表も始まり、雪は準備してきた資料を元に、順調に発表を進めていく。

「‥したがって国内労働者のモチベーション方式とは差別化された方法が必要であり、

この話は企業文化を考慮した代案が必要だと考えます」




流れるような雪のプレゼンに、教授はニッコリと笑って頷いた。雪のグループにその感想を述べる。

「はい、上等でした。丁寧に準備したのが伝わりましたよ」



お疲れ様、と労いの言葉を口にする教授に、皆喜んで謝辞を述べた。

聡美も柳も嬉しそうである。健太だけは彼等を睨みながら膨れていたが‥。



続く質疑応答もつつがなく終わり、雪はホッと胸を撫で下ろした。

きっと良い成績が貰えることだろう‥。







そして次のグループ名が呼ばれた。

「次、グループE」 「はい!」



班長の佐藤が、元気よく返事をする。

彼等は前に出て、発表の為の準備を始めた。教室内が暗くなり、パワーポイントを映す映写機が回る。

グローバル企業CEOの変革的リーダーシップ研究



パッと映し出されたその画面を見て、雪は目を見開いた。

頬杖をついたその姿勢のまま、目は画面に釘付けだ。



隣に座る聡美が、アタフタ動揺して口を開く。

「へっ?!ちょっ、雪!あのパワポのテンプレッ‥!」



雪は聡美が言わんとしていることを理解して頷いた。

二人はヒソヒソと声を潜めて話し合う。

「あれは前に私が発表した時の‥」 「あんたがフォトショで作った背景だよね?」 「うん‥」



二人は驚いた。

何故ならば、画面に映し出されているテンプレートは、去年雪が自作した物そのままだったからだ。


話としてはこうである。

去年雪と聡美は同じ授業を取り、雪はレポートを作成した。

そして履修が終わってから、ネット上にある”レポート販売サイト”にそのレポートを売ったのだ。

このグループの誰かがそれを買ったのだろう、と雪は言った。まさか清水香織が? と二人は口にしてから、

背筋が寒くなるようだった。知ってか知らずかは分からないが、まさかそこまでコピーする訳ないだろう‥?



  

佐藤広隆、青田淳、糸井直美、と発表は順調に進行した。

そして最後に教壇に立ったのは清水香織だった。胸を張りながら、自身のレポートを解説する。

「現代社会においては女性の社会進出も増え、

それに応じて女性のリーダーシップも浮かび上がって来ています」




先学期のオドオドとしたそれとは違い、香織のプレゼンは格段に上達していた。

雪は自分と同じ班だった時の彼女を思い出し、思わず苦い顔をする。



発表は順調に進んでいた。

画面に映し出された資料を元に、清水香織は解説して行く。



雪は彼女のプレゼンを眺めながら、去年自分が作成した内容を思い出していた。

そしてある箇所に差し掛かった時、雪の眼の色が変わったのだ。



信じられない思いで、雪は画面に映し出されたそれを目にしていた。

心の中にある高い塀の前に、大きな波が押し寄せる‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<罠への誘導>でした。

さてプレゼン資料をよく見ると‥。

雪のグループ↓



名前の順は、柳→聡美→雪 ですね。


先輩のグループ↓



名前の順は、佐藤→青田→直美→香織 です。


リーダーなのに自分の名前を一番下に書く雪の謙虚さがうかがえます。

青田を差し置いて俺がリーダーだぞ!という佐藤の自己顕示も‥。

面白いですね^^


次回は<奪われたくない>です。


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相対

2014-05-13 01:00:00 | 雪3年3部(グルワ発表~ずっと一緒に)
「んだとコラァ!!」



遂に柳瀬健太はブチ切れた。

恥を忍んで六歳も年下の後輩に自分の事情を打ち明けたのに、まるで聞き入れて貰えなかったからである。

それは先輩の事情ですよ



雪は健太を見据えてハッキリと正論を口にした。

しかし正論というものは、時に人の神経を逆撫でしてしまうことがある。



今にも掴みかからんとする健太を、柳がその腕を取って制止する。

心臓は早鐘を打ち、今にも震えが来そうであったが、雪は決して視線を逸らさなかった。

怖くないわけじゃない。



その毅然とした態度を支えるものは、心に築いた確固たる決意だった。

雪は健太を見据えながら、頭の中で冷静に彼を分析する。

健太先輩は普段豪快に笑ってる時だって、少し機嫌を損ねると急に威嚇するように怒り出す。

皆そういった点を分かっていて、健太先輩が怒る前に適当に合わせたり避けたりするのだ。

やはり私も、正面からぶつかって余計な波風を立てるようなことはしたくなかった。


 

健太先輩が怒りそうになった時に、やはり自分も席を外した場面が脳裏に思い浮かんだ。

圧倒的なパワーで向かって来るこの厄介な人間に、真正面から向き合うのは本当に疲れることだ。

しかし雪が彼と向き合うことを覚悟した理由は、更に疲れるシチュエーションがそこに存在していたからである。

けれど、さざ波が人を揺さぶり続ければ、耐えるのだって限界が来る。



たった一度の派手な衝突よりも、慢性的に小さな攻撃を与えられ続ける事の方が、実際の所ダメージは大きい。

前日の夜、いつまでも繋がらない電話の前で雪は決めたのだ。

防波堤を取り除き築いた高い塀の前で、大波を迎え撃つ覚悟を。


「先輩の個人的な事情に、何故私達全員が巻き添えを食らわされなければいけないんですか?

それに、そういった事情を抱えているのは先輩だけだと思います?」




ハッキリと正論をぶちかます雪に、健太は顔を青くした。

そして雪は尚更強い眼差しで健太を見据え、キッパリと決意を口にする。

「あらかじめ確かに除名の意はお伝えしてありましたし、撤回するつもりもありません」



健太はワナワナと怒りに震えながら、雪に向かって厳しい視線を送る。

「おい、お前マジで血も涙も無いのか?

班長だからって、先輩の名前をバッサリ切っても構わないってのか?あぁ?!」




「その班長に私を任命したのは先輩です」

雪の冷静な返答に、健太の怒りのメーターが振り切れた。健太は声を荒げて、雪に掴みかかろうとする。

「言いたいことはそれだけか?!ありえねぇぞ!マジでヒドすぎんだろ?!」



柳が健太を制止しようとし、聡美が雪を庇おうと手を掛ける。

しかし健太の勢いは強く、あわや惨事かと思われた時だった。


「先輩」




不意に、健太の肩に大きな手が置かれた。

健太はその手の主の方へ振り向く。




そこに居たのは、青田淳だった。

高い位置から、皆を見下ろすようにして立っている。



雪は彼の登場に目を見開いた。

先ほどまでバタついていた空気が一瞬にして変わり、ピンと張り詰めるような緊張が走る。



健太を俯瞰する青田淳は、凍るような眼差しで彼を見ていた。

無言で屈服を促す力が、光を映さないその瞳には宿っている。



それはほんの短い時間だったのだが、淳の眼差しはあれほど昂っていた健太を即効で黙らせる力を持っていた。

見たことの無い青田淳のその視線に、思わず健太はその場で固まる。








そして張り詰めた空気を緩めるように、次の瞬間青田淳はフッと微笑んだ。

それは彼がいつも浮かべている、見慣れた万人向けの笑顔だった。

「もう教授がいらっしゃいますから、お静かに願いますよ」



淳は健太の肩を掴んだまま、柔らかくそう彼に告げた。

四年間常に淳にたしなめられてきた健太は、その笑顔の前で不平を鳴らす。

「おい!お前自分の彼女に肩入れすんのか?!

アイツが今俺の名前を勝手に抜きやがったんだ!」




しかし健太の不平は効力を成さなかった。グループメンバー全員が、雪の味方についたからである。

「違いますよ!除名にはあたしも賛成しましたよ?!」

「まぁ‥俺も賛成したりなんかして‥」



柳は雪が本気で除名を実行するとは思わなかったらしいが、

とにかく”無賃乗車者は除名”ということに関しては、健太を除く全員の総意であるということに落ち着いた。

聡美はともかく柳まで雪側についたことが気に入らず、健太は青筋を立てて憤る。



尚も声を荒げようとした健太であったが、その瞬間教授が教室に入って来たので、言葉を続けることが出来なくなった。

教授はざわついている学生達に着席を促す。

「はい、席に就きましょう。発表の準備は出来てますか?」



ガヤガヤと学生達は三々五々着席する。

健太もやむなく着席し、腕を組んだままムッツリと膨れた。



淳は雪の肩を軽くポンポンと叩くと、笑顔を浮かべて声を掛ける。

「後でね。発表頑張ってな」



雪が言葉を紡げずにいると、彼は雪に向かってニッコリと微笑んだ。

それは先ほど健太に向けた笑顔とは、どこか違った表情に見えた。



そのままニコニコと微笑みながら、淳は「大丈夫大丈夫」と言って自分の席へと歩いて行った。

雪は何も口にすることが出来ないまま、久しぶりに見る彼の背中を見つめていた‥。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<相対>でした。

健太先輩‥ワタシ的には”チートラ内で彼氏にしたくない男”ナンバー1になりそうです‥。

少しへそを曲げただけで威嚇するように怒るだなんて‥。

身長190センチ超え&三十路近い男が、女子後輩に凄むのもいただけません。

いつもはその黒さにビックリの青田淳ですが、ここではブラック全開で行って欲しいと思ってしまいました^^;


さてプレゼン始まりましたね。波乱の幕開けです。


次回は<罠への誘導>です。


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彼女の覚悟

2014-05-12 01:00:00 | 雪3年3部(グルワ発表~ずっと一緒に)
お客様の電話をお繋ぎすることが‥



何度掛けても、健太先輩は電話に出なかった。

時刻はもう真夜中近く。グループワーク発表の前日の夜だった。



雪は自宅にて、発表の最終確認をしているところだった。

健太先輩からの連絡は無い。勿論レポートも送られて来ていなかった。



雪はゆっくりと、覚悟を決めていった。

打ち寄せるさざ波を堰き止める防波堤を、敢えて自分から外していく。


そして雪はプレゼン資料の冒頭部分に、グループメンバーの名前を書き込んだ‥。





翌朝雪は、授業開始の前にプレゼン資料を人数分コピーした。

大あくびをする雪の元に、携帯メールが一通届く。

今日はちょっと遅れそうだから先に行ってて!後でね!



先輩からのメールだった。雪はその文面を見ながら、しょんぼりとした気分になる。

授業の前に、一緒にコーヒーでも一杯と思っていたのだ‥。



これではすぐに教室に向かわなければならない‥。

足が、おもりがぶら下がっているかのように重い。雪は項垂れながら歩いた。

うう‥行きたくない‥。間違いなく今日荒れるもん‥



この先に待ち受けている波乱を思って、雪は憂鬱だった。


そして教室に入るやいなや、健太は予想通りの態度で雪に接した。

「いや~赤山ァ~!どした?スネちゃった?」



むっつりと黙り込んだ雪に対して、健太は軽い調子で冗談を口にする。

そして大げさな身振り手振りを交えての言い訳が始まった。

「連絡つかなくてマジごめんな~!昨日はさぁ~家で問題があってさぁ~。

おっ!これがアレか?俺等の課題か?」




調子良く口が回る健太に対して、雪は低い声で話を切り出そうとする。

しかし健太はバンバンと雪の背中を叩きながら、見え透いたおべっかで雪をおだてた。

「さすが赤山!このスッキリしたスプリング!当然パワポの方もよく出来てんだろうな~?」

 

ワハハと大きな声で笑う健太に、聡美も思わず白目である。

そして雪は静かに物々しく、遂に健太に向かって口を開いた。

「‥健太先輩。今回の課題、先輩は殆ど取り組んでないってこと、ご存知ですか?」



雪から事実を告げられた健太は身をすくめ、しおらしく俯くと素直に頷いた。

「ああそうさ‥その通りだ‥。すまない赤山‥。

だけど本当に仕方が無かったんだ‥」




そして健太は、ねちっこい視線を佐藤の方へと向ける。

「俺は家の方の問題でごたついてるから、佐藤にお願いしておいたんだが‥。

あの野郎、何も寄越さねぇで‥」




健太の背後には怒りのオーラが立ち上るが、佐藤はそれを見て見ぬフリをした。

そして雪は健太が何を言っているのか訳が分からず、正直に自分の意見を口にした。

「はい?佐藤先輩は他の班じゃないですか。

何で佐藤先輩が健太先輩の課題をするんです?」




思わず強い口調になる雪に、健太は小狡い表情で弁解する。

「それはほら‥赤山も知っての通り、俺と佐藤って仲良いからさ‥。

全部任せたってわけじゃないし‥」




そして次の瞬間、健太は高い位置から厳しい視線で雪を睨んだ。

「それに‥この頃俺は失恋の痛みにやられて‥」



何度か首を横に振りながら、健太は雪に向かって刺々しく自分の気持ちを口にする。

「恵ちゃんに彼氏が出来たんなら、もっと早く言ってくれ。俺知らなかったじゃんよ。

赤山がもっと俺のことを考えてくれてたらこんなことには‥」




突然語られた恵の話だが、雪には訳が分からなかった。

そして健太が口にしたその内容よりも、彼が未だに恵にこだわっていることに対して雪は憤った。

「まだ恵につきまとってるんですか?!」



そして思わず大きな声で口にした雪の言葉に、健太はカチンと来た。

さっきの媚びへつらう態度から一転、凄むようにして雪を睨み、低い声で反論する。

「あ?んだと? 赤山、お前口に気をつけろよ。どんなに腹立ったとしても、

”つきまとう”だと? 俺がストーカーするような男に見えるか?そんなゴミと一緒にすんじゃねぇ!」




雪はその迫力に身が震えそうであったが、ズレていく論点をとりあえず修正する。

「だから‥佐藤先輩と私のせいだって言うんですか?」



そんな雪の冷静な問いに、聡美が援護射撃をしてくれた。

「そうですよ!ただ健太先輩が課題をして来てないってだけの話じゃないですか!」



二人の後輩から論点を是正された健太はブツクサ言ったが、再びアメとムチのアメの態度に逆戻りだ。

「ま‥まぁまぁ!もう過ぎたことだしよ、皆もちゃんと課題やって来てるみてーだし!

俺がどうにか良い様に収拾すっからよ!」




結局媚びるような態度で治めようとする健太に、柳もドン引きで彼を眺める。

健太は再び白々しい程雪を褒め称えながら、机の上に置いてあった課題に手を伸ばした。

「うわ~!さっすが赤山!この出来の良さ!毎度スッキリまとめてフォントも凝って‥」



しかしそこまで褒め文句を口にしていた健太も、それ以上言葉を続けることが出来なくなった。

何故ならば、信じられないものが目に入って来たからである。



プレゼン資料冒頭。そこに、柳瀬健太の名前は無かった。

柳楓、伊吹聡美、赤山雪、三名の名前がそこに書かれているだけであった。


「‥先輩の名前は抜かせて頂きました」



顔を青くした健太を見て、雪は彼が除名されたことに気づいたと察知し、そう冷静に言葉を紡いだ。

健太の後ろでは柳が冷や汗を流しながら、マジで除名キタコレ‥と小さく口にする。雪が健太を除名したことは、柳も知らなかったのだ。

顔面蒼白する健太に向かって、雪は彼の方を窺うことなく言葉を続けた。

「この前申し上げたじゃないですか。参加しない人については除名しますと」

 

そう淡々と語る雪を前に、健太の顔がみるみる怒りに歪んで行く。

まさか本当に除名されるとは、夢にも思っていなかったのだ。



バンっと大きな音を立てて、健太は両手で机を叩いた。

「おい赤山!ふざけてんのかっ?!」



健太の怒号が教室内に響くが、雪にとっては想定内の反応だ。尚も健太の方を見ること無く、冷静に言葉を続ける。

「グルワ課題に一つも参加しなかったじゃないですか。無賃乗車者は容認しないと教授が仰っていました」

「俺がわざとしなかったと思うのか?!」



健太は言い返すも、気がつけば教室中の学生が自分達を見ていることに気がついた。

健太は一旦気を落ち着けた後、怒りを抑えて冷静に弁明する。

「‥話したじゃねーか、家の方で問題があるんだって。

大学に家の問題に人間関係に‥もう考える余裕も無かったんだよ。四年になって、父親は退職して、俺は長男で‥。

そんなことまで恥を忍んで言わなきゃいけねーのか?」




赤山はこんなに思いやりの無い人間だったのか、と最後に健太は口にして雪を睨んだ。

すると今まで俯いていた雪は遂に健太に向き直り、口を開いた。

「それは先輩の事情です」



は? と健太が眉を寄せて聞き返す。

雪は健太を真っ直ぐに見据えながら、もう一度キッパリとした口調でその言葉を口にした。

「それは、先輩の事情ですよ」



防波堤を取り除いたその場所に、波を寄せ付けない高い塀を築いた。

雪はじっと健太を見据えながら、決意の塀の前で開戦を受け入れる‥。



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<彼女の覚悟>でした。

雪ちゃんやってやった!彼女の強さが見ていて気持ち良いですね~。

しかしやはり直球すぎて、読者は心配になりますね。早く先輩、助けてあげて~!


次回は<相対>です。


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