Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

自主ゼミ開講<淳の場合>(2)

2013-05-31 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
赤山が席を立った。

バタバタと逃げるように。



残ったメンバーも休憩時間に入り、柳はタバコを吸ってくると席を外した。



「なぁ、赤山のヤツ悪くないだろ?うるさくもないし。気も使えるし、いい子だぜ?」



「そうなのか?」




柳は後輩と共に教室を出て行った。


つまらない世間話をしながら。








「ぷっ」

















ゼミは終わり、皆一様に支度をして教室を出る。

淳がドアから出た時、その後輩はワックスの加減で滑りやすい床に足を取られた。




転ばぬように、強く肩を掴む。






「大丈夫?」





「今度からは気をつけろよ」




















それは心配という殻を被った警告

嘲笑という罪を犯した彼女への報復

受けた傷は必ず傷つけ返すという

彼の核(コア)









青田淳の、水面下の攻撃が始まった。



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新歓飲みが物語の始まりだとしたら、雪と淳の関係の始まりはこの自主ゼミ開講ではないでしょうか。

雪は先輩の可笑しい想像をして、思わず笑ってしまったわけですが、

淳は自分を嘲笑っていると思ってしまった。

互いの誤解がこれからの人間関係を大きく動かしていくわけですが、

雪はともかく先輩がね‥。



続く学生生活の中で、雪にだんだんと災難が降り掛かっていきます。

自主ゼミ開講<淳の場合>(1)

2013-05-30 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
淳と同学年の佐藤広隆が、英会話の自主ゼミをやるというので柳から頼まれて参加した。

留学経験もある淳には特にゼミに参加する必要もないのだが、他でもない柳の頼みなので断れなかったのだ。



気がついたら、ゼミは騒がしくなっていた。

「淳、参加してくれてサンキューな!」



柳が横でヘラヘラと笑う。

そろそろ勉強も頑張らなくちゃな~と口だけは達者な横山翔とその友人、

何も言わないあの‥赤山後輩。

そして比較的好成績を保っている佐藤。

しかし佐藤は、入学してからずっと淳に対して、喧嘩腰か不快感を表すかのどちらかだった。



危害を加えてくるわけではないが、気持ちのよいものではない。

自然と溜息も出る。






教室では横山が空気も読めず騒ぎ立てている。

電話をしてきた拍子に、事務室の助手たちがロッカー整理をしていたのでそのことを横山に伝えた。

彼は一目散に教室を後にすると、ノイズはいくらかマシになった。



柳と談笑していると、目の端にあの後輩が映った。






彼女は不機嫌だった。






睨んでいたかと思えば、




意見も出さずにヘラヘラとするだけで、



乾いた愛想笑いばかりを浮かべた。


嫌なタイプだ。関わりたくはない。







退屈な時間。



しかし何かと引っかかった。











突き刺さる視線が、ピリピリと障る。


淳は彼女を見ないようにした。





柳の質問に答え、



彼から賛辞を受ける。





佐藤は思い通りに行かない現状に苛ついて、

やる気もなく寝る奴も居る。







退屈が蔓延する。

どこへ行ったって

何をしてたって

つまらなくって仕方がないのに

上手く繕った自分の姿を

人々は簡単に信用して

人間関係は思い通りに進む

これまでだってそうして来た

これからだって‥








「ぷっ」















開け放した耳から聞こえてきた、




小さなノイズ。




あちらの方から、


















退屈を引き裂く、小さな嘲笑。







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自主ゼミ開講<淳の場合>(2)へ続きます。






自主ゼミ開講<雪の場合>(3)

2013-05-28 15:58:11 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
「私‥ちょっとお手洗い行って来ます」



雪は逃げるように席を立った。

雪の居なくなった教室では、男衆も五分間の休憩に入った。





冷や汗が止まらない。







先ほどの視線が蘇る。







見られた。







ガタガタと手が震える。







気付かれた?バカにしてるのを?


‥いや全部だ。最初から最後まで



全部











雪は鏡に映った自分に、ニッと笑いかけた。



こんな風に、一人で笑ってたから見てただけでしょ。

元々良くは思われてなかったんだし、絶対そうだ。


雪は思い直し、トイレを後にする。


すると、


カツカツカツ


足音が近づいて来た。






影がこちらに向かって歩んでくる。






まさか‥







「ぎゃっ!」



佐藤先輩が飛び上がって驚いた。

「お前なんでそんなとこに突っ立ってるんだよ!」と、よほどびっくりしたのか、ブルブルと震えている。

雪は勘ぐり過ぎた‥と安堵のため息を漏らした。



それを見て、佐藤先輩が舌打ちをする。

「お前、青田じゃなくてガッカリしてんだろ。」



はい?と口にする雪に構うこと無く、佐藤先輩は雪をなじった。

「トボケるなよ。どうせ横山から聞いて入って来たんだろ。ペラペラしゃべりやがって‥」

佐藤先輩はそう言うなり、せいぜい頑張ってくれよと踵を返した。

雪はあの人あんなだったっけ?と目を丸くする。



きっとストレスが溜まっているのだろう。


不穏な空気は、皆の歯車を少しずつ狂わせていた。




教室に戻りつつも、ざわついた胸の中は静まることがなかった。

嫌な予感がする‥。何もなければいいけど‥






ようやく自主ゼミが終わり、みな一斉に帰り支度を始める。



ホストである佐藤先輩に構うことなく、ビリヤードへ行こうかと柳先輩と横山の友人は談笑したりした。

雪はそそくさと出口に向かった。

青田先輩はまだ荷物の整理をしていて、雪は彼を追い越して教室を出た。



トボトボと歩いていると、

またもや床に足を取られた。




わぁっ?!







「大丈夫?」





「ここ、ちゃんとワックスかかってないんだよ」

















「今度からは気をつけろよ」






「な?」












グッと、肩に置かれた手に力がこもった。





よっと、と青田先輩は雪の体を起こして、滑らないように立たせてやった。


「それじゃあね」




ニッコリと笑う彼の後ろで、

「おお~赤山ちゃんやったじゃーん!」と、柳先輩が雪の役得をからかった。


















足元から波のように、寒気が立ち上ってくる。


怪しい雲行きが漂い、








ザワザワと蝕まれるように、全身に鳥肌が立った。










その時改めて省みたのだ。



私の迂闊な過ちを。









雪の肩に、手の圧迫感が残っていた。






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<雪の場合>は、これで終わりです。

結構いろんな人が出て来ましたね。

人々のランクの差とか、変な嫉妬や誤解とか、誰しもが経験したことがあるような

気まずさと憂鬱が詰まっていました。

しかしなんといっても最後の青田先輩ですよね‥。

あの”警告”を言うために雪の後から教室を出たんだとしたら、超怖いっすね!


次回は青田先輩の自主ゼミ開講<淳の場合>です。



自主ゼミ開講<雪の場合>(2)

2013-05-28 09:26:55 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
佐藤先輩の自主ゼミが始まった。

しかし‥



雪は場違いのような気がしてならなかった。男ばかりの上に、不穏な空気が漂っている。

雪はチラチラとゼミのメンバーを見ながらも、最も気になることはやはり青田先輩がここに居ることだった。

なんでここに居るんだろ‥和美のゼミに行くんじゃなかったのか?



すると横山が、つまらなさそうに一人不平を鳴らす。

「あーあ、男ばっかでムサイっすね~!平井んとこは淳先輩が来るからって、

女の子ばっかり集まってたっすよ」




すると青田先輩はそれは初耳だよ、と言った。

たとえ誘われたとしても、柳からこのゼミに一緒に来て助けてくれと言われてるから断ってただろうけどね、とも。



横山はそれを聞いて大声で笑った。

「平井ザマァ!クソウケる!」



その馬鹿騒ぎに、佐藤先輩が「静かに、」と注意する。

しかしなおも騒ぎ続ける横山に、佐藤先輩は「横山!」と声を張った。

だが、その横で青田先輩が静かに言った。

「翔、そろそろ集中しよう」



横山は佐藤先輩の方は見ず、青田先輩に対して「はい!すんません!」と返事をした。


ようやくゼミが進行し出す。

佐藤先輩が今後の予定について話始めた。



空講の時間を使って週に二回集まろうという意見に、

柳先輩が週末は遊びたいし、二回は多いんじゃないかと不平を口にする。

それに対して佐藤先輩は遊びたいのならなぜここに来たのかと言葉を返し、

柳先輩がそれにカチンと来た。



言い争いが始まりそうな時、青田先輩がやんわりと仲裁に入る。

「週末に遊ぶだけならいいけど、自分のTOEICの点数も考えろよ。

就活も考えないといけないしな。お前が助けてくれって言うから俺も来たんだ。がんばれよ」




柳先輩は「痛いところを‥」とたじろぎながらも、その場は治まった。

佐藤先輩が面白くないといった顔をしたが、話は続く。

「じゃあ、集まる度に単語を100ずつテストすることにしよう。週に二回集まるから、一週間に200だな」

その提案に横山が思い切り反論した。

「ええ~?!なんでそんなテストばっかり!負担多すぎッスよ!」



佐藤先輩は苛立ち、場の空気は険悪になっていく。

しかしまたもや青田先輩がにこやかに声を掛けた。



「それでも、佐藤の言うことを聞くべきだよ。単語は覚えれば覚えるほど良いからね」

ニッコリ笑う青田先輩に、横山もしぶしぶ了承した。



雪はこの場の雰囲気に、気まずい思いを抱えていた。

佐藤先輩、ムカついてるだろうな‥。皆親しくないせいか、意見が全くまとまらない。

横山は出しゃばりすぎで、テストの件だってみんな巻き込まれたじゃん‥。

青田先輩もあきらめたのと同じだし‥。
 

そこまで考えて、青田先輩はもともとこのゼミのメンバーではなく、柳先輩に頼まれて来ただけだっけ‥と気づいた。

つまり、単語のテストも彼には何の関係もない‥。


青田先輩の携帯電話が鳴り、ちょっと電話してくると席を立った。



テーブルでは横山と柳先輩が週末の合コンについての話で盛り上がっている。

頭を抱える佐藤先輩を尻目に、

横山は雪に話しかけ、聡美に彼氏はいるのかとか、俺あいつタイプなんだとか、

延々とまくしたてている。

そしてついに、

「横山!なんの話だよ!お前何しにここに来てんだ?!」



佐藤先輩がキレた。

さすがの横山もびっくりしたのか黙りこみ、ゼミの雰囲気は最悪だった。



そこに青田先輩が帰ってきた。

「翔、さっき事務の助手さんたちが今すぐロッカーの中身開けないと全部捨てるって言ってたぞ」



やっべぇ~!と横山は荷物をまとめ、「お先失礼しまーっす」と去っていった。



教室は幾らか静かになり、佐藤先輩の舌打ちと、青田先輩と柳先輩が談笑する声だけが響いた。


雪はこの気まずさに耐えていた。



そして、微妙なランクの差を感じていた。


本人の意志で募集をかけたものの、思い通りにならない佐藤先輩。



誰かを頼り、自分の能力を発揮し安定を感じている柳先輩。



楽な方に流されたり、あからさまに強い人間にだけ従う横山、その友人。



そして‥

謙虚なフリをして、何くわぬ顔でトップに立つ青田先輩。



自主ゼミという小さなコミュニティでも、顕著に表れる序列関係。

悶々としていると、佐藤先輩が「赤山、お前も意見出してくれよ」と言った。



「いやー私は、先輩の言うことならなんでも‥」と頭を掻くと、

「誰に聞いても一緒か」と佐藤先輩がため息を吐いた。

佐藤先輩のことを言ったのだが、この状況では誤解されてもおかしくない。

柳先輩が、

「そういや~赤山ちゃん大当たりじゃ~ん!淳独り占めだな!」とチャラけてきた。



「淳に近づけるチャンスだぞ~!でもオレらのことも除け者にしないでくれな~」

ははは、と雪は白目にならんばかりだったが、



青田先輩が「冗談はそこまでにしてどの範囲でやっていくか決めよう」と言ったので、

開放された。



雪が彼を見ていても、彼は一度も雪と目を合わせない。


雪は苛ついてきていた。



自分がいつ彼に無視されるようなことをしただろうか。

不信はじわじわと懐疑になり、

いつからか彼を観察するようになった。



そこで分かったこと。

あの先輩が、陰ながら人を分けているということだ。




適当にあしらってかまってあげる子もいれば、

人から嫌われていても年上だったり目上の立場の人間であれば付き合っていたり。



けれど見るからに違う子や、めんどくさい子、しつこい子は100%避ける。

しかし基本的には誰もが下手に回ってくるから、彼の主導で関係性は保たれている。


雪の場合は、何が気に入らないかは分からないが、あからさまな無視だ。

それもあって、知らぬ間についつい目が留まり、観察してしまうのだ…。




雪はチラチラと彼を盗み見た。


誰しもが、人によって態度を変えたり多少の下心を持って行動している。

けれどこの先輩に関しては、それが顕著に腹黒く見える。



自分の気にしすぎかもしれないけれど、なんだかもうわけが分からなすぎて笑えてくるのだ。



自分の中の彼のイメージは、もう普通の先輩ではない。

高飛車な王子様?



「俺様が遊んでやろう」(イメージ)

それとも潔癖症のお坊ちゃま?



「使い古しなんて使えないよ」(イメージだってば)


想像しただけでも笑ってしまう。

相当ウケる‥ともう一度盗み見た時だった。
















今日、初めて彼と目が合った。







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自主ゼミ開講<雪の場合>(3)へと続きます。

長くなった‥。



自主ゼミ開講<雪の場合>(1)

2013-05-27 17:02:33 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
ある日親友の聡美が、英会話の自主ゼミを一緒にやらないかと誘ってきた。

平井和美がゼミの募集をしているのを、掲示板で見かけたというのだ。



「会話の練習する時、たまに青田先輩も手伝ってくれるって」

雪は相槌を打ちながら、その先輩が苦手っていうのもなんだしな‥と思い、言葉を濁す。


しかし度重なる聡美の暴力的な熱烈な誘いで、遂に雪も了承する。




授業が終わると、聡美が和美の姿を見つけ、声をかけようと近寄った。

するとキノコ頭の新入生とその友人が、プンスカと

「なにあの先輩!」と怒って去る所だった。



和美は友人とクスクス笑っていた。


聡美が自主ゼミを一緒にやりたいと言うと、

「もう定員オーバーなのよ、それでさっきの子たちも断ったの」



と難色を示した。それでも聡美が食い下がっていると、いきなり横山翔が割り込んできた。

「聡美ちゃん元気だった~?なにしてんの?」と馴れ馴れしく肩を抱く。



和美が持っている自主ゼミの紙を見て、

「和美のゼミねぇ‥俺んとこにくればいいのに~」と、意味ありげに笑う。



何度も追い払い、ようやく横山が去ると、

聡美が「あいつこのごろずっとああでさ」と溜息を吐き、

和美が「前あたしにもそうだったわよ。しつこいから気をつけなさいよ」と呆れた。

横山効果か(?)「なんにせよ、ゼミ入るんでしょ。名前書いとくわ」と和美は言ってくれたが、

雪は「私やっぱりいいや、ごめん~」と申し出を辞退した。



聡美は不服そうだったが、正直気の合わない子と、しかも青田先輩も来るゼミに入るなんて耐えられない。

雪は一人教室を後にした。

すると廊下の掲示板に、一枚のメモを見つける。



佐藤先輩の自主ゼミ募集の紙だった。

顔が思い出せないが、静かで頭の良い佐藤先輩のゼミなら、勉強に集中できそうだ。

いいかもしれない、と佐藤先輩に連絡することに決めた。



自主ゼミ開講の日がやってきたが、雪は時間に遅れそうだった。



411教室までダッシュしてドアの前まで辿り着くと、まだ誰も来ていないようで、「セーフ!」と息をつく。

すると、



ドタッ!

床がツルツルしていて、思わず転んでしまった。

後ろに居た横山が、盛大に笑った。

「プハハハハ!赤山クソウケる!ずっこけてやんの!」



どうやら横山もここのゼミらしい。どうせなら聡美と来るとかしろよ~と憎まれ口をたたかれながら、

共に教室に入った。

「先輩、早かったっすね!」



そこには、



「お、翔」



「前の授業が早めに終わったんだ」

居るはずの無い男がそこに居た。

隣の柳先輩が、雪が先ほどコケたことについて笑っているが、リアクション出来なかった。




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自主ゼミ開講<雪の場合>(2)へ続きます。