「よぉ!」
突然現れた柳瀬健太を前にして、雪、柳、佐藤の三者は目を丸くした。
健太はいつもの調子で彼らに話し掛け始める。
「おお〜皆勉学に勤しんでるな〜?卒験に期末に〜」
「うーわ!信じらんねぇ!」
しかし当然の如く健太は煙たがられた。
柳はガクガクと震えながら大きなバッテンマークを手で作り、全力で健太を拒否る。
「面の皮10cmくらいあるんじゃねーか?!まさかの笑顔で登場とか‥!
赤山ちゃんに謝ったんかいな!」「ったくコイツ‥」
健太は柳に向かって舌打ちをした後、堂々とした態度でこう口にした。
「だから謝りに来たんじゃねーか!」
「おい、赤山よ!」「?」
見上げる雪に向かって、健太は素早い動きで身を寄せる。
「糸井からすげー情報を入手したんだが‥。そんな過去問よりも遥かに良いモンだ。
その過去問、全部見て勉強する時間なんてあんのか?時は金なり、情報は蜜なりだぞ?」
「それ、教えてやっから仲直りしようぜ?お互い誤解も積もってるようだしな!」
「おーっとそれ以上近付くべからず!」
柳はそう言って雪に近付く健太を遠ざけようとするが、健太は怯まない。
あくまで”糸井から手に入れた情報”を使って、雪と和解するつもりらしい。
「赤山と糸井の仲も、俺が取り持ってやれば最高だろ?な?」
甘い言葉で雪を誘う健太。
しかし雪は表情を変えぬまま、さらりと現実を言ってのける。
「私、卒業試験来年ですけど」
そうであった。まだ赤山雪は三年生だった‥。
その事実を忘れていた健太だったが、今度は四年生である柳と佐藤の方を向いて口を開く。
「お前らは知りたいだろ?!な?!」
「教えてやるから、ノートPCの値段ちょっと負けて‥」
どさくさに紛れて値切ろうとする健太。
だが柳も佐藤もそんな話に惑わされる程馬鹿じゃない。
「帰って下さい。ほれ」「あっち行け」
そう言ってぐいぐいと自分を押し出す二人に、健太は大きな声で怒鳴り始めた。
「お前らなぁ、後悔すんぞ?!俺はお前らとは違って、
欲しいって人間にはタダで情報やってるからな?!ったくこれだから小狡いヤツらは!救いようがないぜ!」
「はいはい〜それこっちのセリフ〜」
ドスドス!
大きな足音を立てながら、健太は怒って去って行った。
その巨体が遠ざかって行くのを、三者は呆れた顔で見つめている。
ふいに柳が佐藤に向かって口を開いた。
「つーか糸井発のすごい情報ってなんだろな?
佐藤、ぶっちゃけお前ちょっと気になんない?」
柳からのその問いに、佐藤は即答する。
「要らないよ」
「え、マジ?」「気にならないと言ったら嘘になるけど、
あの人から教えてもらおうとは思わない。どんな問題が出ようが、勉強さえしてたら大丈夫だ。
それに試験まであと何日も無いってのに、そんな情報持っててもね」
「努力は裏切らない」
それは佐藤広隆、その男の美学だった。
甘言に惑わされず自身が積み上げたものだけを信じる、その信念は美しい。
「くぅーっ!ちょっと頑固オヤジっぽいけど、なんてカッコイイのーっ!ドキドキ!」
すっかり柳も彼の虜である。
そして三者はテキストを広げながら、再び勉強に勤しんだのであった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<面の皮10cm>でした。
健太‥全然謝ってねーだじゃん!
本当せこい男ですよ‥それに引き換え佐藤先輩のカッコいいこと!柳も惚れるわ!
しかし健太、顔がデカイ‥
先輩との差が顕著ですな‥
次回は<引っ掛かり>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
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突然現れた柳瀬健太を前にして、雪、柳、佐藤の三者は目を丸くした。
健太はいつもの調子で彼らに話し掛け始める。
「おお〜皆勉学に勤しんでるな〜?卒験に期末に〜」
「うーわ!信じらんねぇ!」
しかし当然の如く健太は煙たがられた。
柳はガクガクと震えながら大きなバッテンマークを手で作り、全力で健太を拒否る。
「面の皮10cmくらいあるんじゃねーか?!まさかの笑顔で登場とか‥!
赤山ちゃんに謝ったんかいな!」「ったくコイツ‥」
健太は柳に向かって舌打ちをした後、堂々とした態度でこう口にした。
「だから謝りに来たんじゃねーか!」
「おい、赤山よ!」「?」
見上げる雪に向かって、健太は素早い動きで身を寄せる。
「糸井からすげー情報を入手したんだが‥。そんな過去問よりも遥かに良いモンだ。
その過去問、全部見て勉強する時間なんてあんのか?時は金なり、情報は蜜なりだぞ?」
「それ、教えてやっから仲直りしようぜ?お互い誤解も積もってるようだしな!」
「おーっとそれ以上近付くべからず!」
柳はそう言って雪に近付く健太を遠ざけようとするが、健太は怯まない。
あくまで”糸井から手に入れた情報”を使って、雪と和解するつもりらしい。
「赤山と糸井の仲も、俺が取り持ってやれば最高だろ?な?」
甘い言葉で雪を誘う健太。
しかし雪は表情を変えぬまま、さらりと現実を言ってのける。
「私、卒業試験来年ですけど」
そうであった。まだ赤山雪は三年生だった‥。
その事実を忘れていた健太だったが、今度は四年生である柳と佐藤の方を向いて口を開く。
「お前らは知りたいだろ?!な?!」
「教えてやるから、ノートPCの値段ちょっと負けて‥」
どさくさに紛れて値切ろうとする健太。
だが柳も佐藤もそんな話に惑わされる程馬鹿じゃない。
「帰って下さい。ほれ」「あっち行け」
そう言ってぐいぐいと自分を押し出す二人に、健太は大きな声で怒鳴り始めた。
「お前らなぁ、後悔すんぞ?!俺はお前らとは違って、
欲しいって人間にはタダで情報やってるからな?!ったくこれだから小狡いヤツらは!救いようがないぜ!」
「はいはい〜それこっちのセリフ〜」
ドスドス!
大きな足音を立てながら、健太は怒って去って行った。
その巨体が遠ざかって行くのを、三者は呆れた顔で見つめている。
ふいに柳が佐藤に向かって口を開いた。
「つーか糸井発のすごい情報ってなんだろな?
佐藤、ぶっちゃけお前ちょっと気になんない?」
柳からのその問いに、佐藤は即答する。
「要らないよ」
「え、マジ?」「気にならないと言ったら嘘になるけど、
あの人から教えてもらおうとは思わない。どんな問題が出ようが、勉強さえしてたら大丈夫だ。
それに試験まであと何日も無いってのに、そんな情報持っててもね」
「努力は裏切らない」
それは佐藤広隆、その男の美学だった。
甘言に惑わされず自身が積み上げたものだけを信じる、その信念は美しい。
「くぅーっ!ちょっと頑固オヤジっぽいけど、なんてカッコイイのーっ!ドキドキ!」
すっかり柳も彼の虜である。
そして三者はテキストを広げながら、再び勉強に勤しんだのであった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<面の皮10cm>でした。
健太‥全然謝ってねーだじゃん!
本当せこい男ですよ‥それに引き換え佐藤先輩のカッコいいこと!柳も惚れるわ!
しかし健太、顔がデカイ‥
先輩との差が顕著ですな‥
次回は<引っ掛かり>です。
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