喧嘩の翌日、蓮の前に現れた河村亮の顔は、見事に腫れて傷だらけだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e7/18b7bf405229628dece3c47e44e8bd13.jpg)
その顔を見て、蓮はあんぐりと口を開ける。
「ひょえ~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/68/f16cd48923c1615daf4972563dd556fd.jpg)
「亮さんなにその顔!マジパネェ!」
「オレ今日そのまま大学行くわ。この顔じゃバイト出来ねーし」
「なんでねーちゃんがこれ渡せって言ってんのかと思ったら!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/24/b2c8cdc432e7843a119e439e50061f33.jpg)
「受け取って」と言いながら、
蓮はビニール袋に入ったそれを亮に差し出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/58/865a5a4ef288b00361d5714ab9e38fee.jpg)
そこには薬やバンドエイドなど、怪我を治療する為のものが沢山入っていた。
「これ‥ダメージが?」「こっち座んなよ!薬塗ってあげるわ
」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/1b/832db63561bbcbf46fb736336843ef5e.jpg)
そう言う蓮に、亮はげんなりして舌を出す。
「げーっ何言ってんだ鳥肌立つっつの」
「亮さん、ねーちゃんの彼氏さんと喧嘩したんでしょ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/8e/644b88c59dd331b5540d9cc98e22f428.jpg)
蓮の指摘に、亮は思わず言葉に詰まった。恐る恐る聞く。
「‥ダメージがそう言ってた?」
「んーん。でもねーちゃんがこれ渡して来た時点で明らかじゃん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/fb/4bd37b6f260bbd5e4265b3e535bbe271.jpg)
蓮は話を続けた。
「知らないとでも思ったー?晩メシん時も、そっぽ向きながらも火花バチバチだったじゃん。
父さん母さんも、「二人共外見と違って子供っぽい」っつってたし」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/87/26caec7c68573cbf71098bad26ee8da1.jpg)
蓮だけでなく、両親にまで見透かされていたとは‥。
亮は返す言葉もなく、居心地悪そうに舌打ちをして俯いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/81/392e806a3c842b2133a5b82413a13cb6.jpg)
蓮は軽い口調で、思っていたことを更に続ける。
「まー亮さんなら「だよね」って感じだけどー。元々血の気が多いし‥」
「何が「だよね」だよ
」「でも淳さんに関してはちょっとビックリだよ」
「あぁ?あいつだって同じ人間だろーが」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/89/2678d28a5f14909132f6924987708e9a.jpg)
蓮は首を捻りつつ、以前感じたことをこう振り返る。
「いやだってほら‥前下着ドロん時見たじゃん、
淳さんがヤツをギッタギタにしたとこ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/5d/dcd71e398874b97ac7f59e4f8451565f.jpg)
「あんな事するようには見えないのにな~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/af/1499c5d8c726c3d1bae2341972f4fa7e.jpg)
数ヶ月前、夏の終わり。あれは相当ショッキングな出来事だった。
青田淳が引っ張ってきたあの男が、皆の予想を超えた姿で発見されたこと‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/f6/ee41f3b523db16bb28c593e39583b7b8.jpg)
「マジで死ぬんじゃないかってくらい殴ってたじゃん。
実は血も涙もないよーな人なんじゃないかって‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/19/ed3930145bb338e6af9d43055668761d.jpg)
侮れない蓮の勘。彼は赤山家特有の鋭敏さで、あの日の淳に疑問を持った。
そしてそれは今も続いている。
「もしかして義兄さんになるかもしんない人だし、ちょっとな~って」
「ハッ!なーにが義兄さんだよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ac/d4170c93705342a0d5549ce065be52e0.jpg)
亮は蓮のその言葉に反応し、嫌悪感を顕にした。
蓮はそんな亮を見て、その鋭い勘で彼の感情を感じ取る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/5c/52171a017a954f07c475e4153aa6ea48.jpg)
「先にそういうこと言い出したのは亮さんでしょー?
急にどーしたの?何よ、嫌なん?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/f2/e1a6cd367ae7d5cb33237b23bf427811.jpg)
からかうようにそう口にする蓮の方を亮は振り返り、軽く彼を睨んで見せた。
「べっつに。つーかオレにグチグチ言うなっつの。
テメーの姉ちゃんの恋愛事情に口出しすんならすりゃいいし、しねーならほっとけっつの」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/ff/653b3f31ccc74bdd962222b2cabf4610.jpg)
その亮の言葉に、「ふぅん」と含みのある返事をする蓮。
亮はそのまま「行くわ」と言って、蓮に背中を向ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/3c/f255cb4f026d3a23a354e184e1890c53.jpg)
「またねー」と手を振る蓮の声を聞きながら、
亮は昨夜淳から送られて来たメールの文面を思い出していた。
あの社長の番号だ。
どう行動すればいいか分かってるな
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/99/ec9674223e04ac857967ca8907a47c37.jpg)
吉川社長が、宴面屋赤山を探し出すのは時間の問題‥。
それを踏まえた上で、自分がしなければならない行動とは‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/4f/48555040367e5c3694ab547395db5a1e.jpg)
亮は蓮の方を振り返り、こう聞いた。
「おい!最近店に変なやつ来てねーか?」「んー?来てないよー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/c3/4205fe658ab4d4ba81d36be74660f684.jpg)
その返事を聞き、幾分ホッとする亮。
蓮もまた亮にとって、このトラブルに巻き込みたくない人間の一人だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/87/169799cb78db8e0aa3b91697e43416e7.jpg)
亮はキャップを目深に被り直すと、一人大学を目指して歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<蓮の勘>でした。
亮さん、痛々しい‥。でも傷だらけの顔が先輩よりしっくり来てますねー。
そして薬を用意してあげる雪の優しさ!キュンと来ちゃいますね。
次回は<隣の佐藤君>です。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e7/18b7bf405229628dece3c47e44e8bd13.jpg)
その顔を見て、蓮はあんぐりと口を開ける。
「ひょえ~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/68/f16cd48923c1615daf4972563dd556fd.jpg)
「亮さんなにその顔!マジパネェ!」
「オレ今日そのまま大学行くわ。この顔じゃバイト出来ねーし」
「なんでねーちゃんがこれ渡せって言ってんのかと思ったら!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/24/b2c8cdc432e7843a119e439e50061f33.jpg)
「受け取って」と言いながら、
蓮はビニール袋に入ったそれを亮に差し出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/58/865a5a4ef288b00361d5714ab9e38fee.jpg)
そこには薬やバンドエイドなど、怪我を治療する為のものが沢山入っていた。
「これ‥ダメージが?」「こっち座んなよ!薬塗ってあげるわ
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/1b/832db63561bbcbf46fb736336843ef5e.jpg)
そう言う蓮に、亮はげんなりして舌を出す。
「げーっ何言ってんだ鳥肌立つっつの」
「亮さん、ねーちゃんの彼氏さんと喧嘩したんでしょ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/8e/644b88c59dd331b5540d9cc98e22f428.jpg)
蓮の指摘に、亮は思わず言葉に詰まった。恐る恐る聞く。
「‥ダメージがそう言ってた?」
「んーん。でもねーちゃんがこれ渡して来た時点で明らかじゃん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/fb/4bd37b6f260bbd5e4265b3e535bbe271.jpg)
蓮は話を続けた。
「知らないとでも思ったー?晩メシん時も、そっぽ向きながらも火花バチバチだったじゃん。
父さん母さんも、「二人共外見と違って子供っぽい」っつってたし」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/87/26caec7c68573cbf71098bad26ee8da1.jpg)
蓮だけでなく、両親にまで見透かされていたとは‥。
亮は返す言葉もなく、居心地悪そうに舌打ちをして俯いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/81/392e806a3c842b2133a5b82413a13cb6.jpg)
蓮は軽い口調で、思っていたことを更に続ける。
「まー亮さんなら「だよね」って感じだけどー。元々血の気が多いし‥」
「何が「だよね」だよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
「あぁ?あいつだって同じ人間だろーが」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/89/2678d28a5f14909132f6924987708e9a.jpg)
蓮は首を捻りつつ、以前感じたことをこう振り返る。
「いやだってほら‥前下着ドロん時見たじゃん、
淳さんがヤツをギッタギタにしたとこ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/5d/dcd71e398874b97ac7f59e4f8451565f.jpg)
「あんな事するようには見えないのにな~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/af/1499c5d8c726c3d1bae2341972f4fa7e.jpg)
数ヶ月前、夏の終わり。あれは相当ショッキングな出来事だった。
青田淳が引っ張ってきたあの男が、皆の予想を超えた姿で発見されたこと‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/f6/ee41f3b523db16bb28c593e39583b7b8.jpg)
「マジで死ぬんじゃないかってくらい殴ってたじゃん。
実は血も涙もないよーな人なんじゃないかって‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/19/ed3930145bb338e6af9d43055668761d.jpg)
侮れない蓮の勘。彼は赤山家特有の鋭敏さで、あの日の淳に疑問を持った。
そしてそれは今も続いている。
「もしかして義兄さんになるかもしんない人だし、ちょっとな~って」
「ハッ!なーにが義兄さんだよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ac/d4170c93705342a0d5549ce065be52e0.jpg)
亮は蓮のその言葉に反応し、嫌悪感を顕にした。
蓮はそんな亮を見て、その鋭い勘で彼の感情を感じ取る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/5c/52171a017a954f07c475e4153aa6ea48.jpg)
「先にそういうこと言い出したのは亮さんでしょー?
急にどーしたの?何よ、嫌なん?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/f2/e1a6cd367ae7d5cb33237b23bf427811.jpg)
からかうようにそう口にする蓮の方を亮は振り返り、軽く彼を睨んで見せた。
「べっつに。つーかオレにグチグチ言うなっつの。
テメーの姉ちゃんの恋愛事情に口出しすんならすりゃいいし、しねーならほっとけっつの」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/ff/653b3f31ccc74bdd962222b2cabf4610.jpg)
その亮の言葉に、「ふぅん」と含みのある返事をする蓮。
亮はそのまま「行くわ」と言って、蓮に背中を向ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/82/702ae663477dd9693a3a3027a57b8152.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/3c/f255cb4f026d3a23a354e184e1890c53.jpg)
「またねー」と手を振る蓮の声を聞きながら、
亮は昨夜淳から送られて来たメールの文面を思い出していた。
あの社長の番号だ。
どう行動すればいいか分かってるな
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/99/ec9674223e04ac857967ca8907a47c37.jpg)
吉川社長が、宴面屋赤山を探し出すのは時間の問題‥。
それを踏まえた上で、自分がしなければならない行動とは‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/4f/48555040367e5c3694ab547395db5a1e.jpg)
亮は蓮の方を振り返り、こう聞いた。
「おい!最近店に変なやつ来てねーか?」「んー?来てないよー」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/c3/4205fe658ab4d4ba81d36be74660f684.jpg)
その返事を聞き、幾分ホッとする亮。
蓮もまた亮にとって、このトラブルに巻き込みたくない人間の一人だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/87/169799cb78db8e0aa3b91697e43416e7.jpg)
亮はキャップを目深に被り直すと、一人大学を目指して歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<蓮の勘>でした。
亮さん、痛々しい‥。でも傷だらけの顔が先輩よりしっくり来てますねー。
そして薬を用意してあげる雪の優しさ!キュンと来ちゃいますね。
次回は<隣の佐藤君>です。
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