遂に、雪達の勉強会が始まった。
メンバーは雪を筆頭に、海や柳、そして彼らと親しい学生達だ。

すると柳が、空席を見ながらこう言った。
「ん?何だよ、佐藤のヤツまだかよ?」

佐藤広隆がまだ来ていないのだ。
けれど雪や海はそれを気にすることなく、勉強に没頭している。
「そのうち来るでしょ 珍しいけど」

佐藤が遅刻するのは珍しいことだった。
けれどそれには、どうしても外せない約束があったからで‥。
ドン!

緊張の面持ちの佐藤の目の前に、サングラスを掛けたままふんぞり返る彼女が居た。
ドドン!

佐藤広隆と河村静香は、大学のカフェにてテーブルを挟んで沈黙している。
「‥‥‥」

これまでに続けられた要領を得ない佐藤の会話を、静香はかいつまんでまとめてみた。
「つまり、あたしと仲直りしたい、ってこと?」

佐藤は眼鏡のつるを指で構いながら、タジタジと頷く。
「う‥うん。俺はね‥」

すると静香は口角を微かに上げながら、とある取引を持ち掛けた。
「それじゃアレ辞めてよ」

「したら仲直りしてあげるから」「え?何を辞めろって?大学?」

佐藤は眉を潜めながらその続きを待ったが、静香は顎に手を置きながら頭を捻っている。
「ほらアレよ、あの財務なんとか‥」「財務学会?」
「そう、ソレ!」

「辞めなさいよ」

そう言って静香はニコッと笑った。
佐藤は顔中に汗をかきながら、その無茶な要求に思わず顔が引き攣る。
「え?や‥それは‥」

「あー‥ダメ、ダメ!」

しかし改めて考えた佐藤は、その要求をキッパリと突っぱねた。
「ていうか俺はそんな悪いことしてないのに、どうして熱心に取り組んでる
財務学会を辞めなきゃいけないんだ?しかもアレは就職にも直結して‥」

静香は何も言わない。
そんな彼女に恐れを感じ、佐藤はなんとか譲歩を試みる。
「ご‥ごめん‥じゃあ、他のことは?!他のことなら俺‥」
「嫌なの?」

じっと佐藤の目を見る静香。瞬きもせずに、更に目を見開く。
「嫌なんだ?」

そして静香はすっくと席を立った。
「それじゃ話は終わりね」「えっ?」

「バイバーイ」

口をあんぐりと開ける佐藤を残し、静香は去って行く。
その背中が見えなくなるのを、佐藤は無言のままただ見送っていた。

口に出した和解、差し出された無茶な要求、去って行く彼女ー‥。
「え‥?」

その怒涛の展開に、佐藤の頭はついていかなかった。
佐藤はポカンと口を開けたまま、ただその場で沈黙する‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<無茶な要求>でした。
短めの記事で失礼しました!
いや~あっという間に2015年も終わりですね。
今年もご愛読いただき、本当にありがとうございました
皆様、良いお年を

次回は<鎌>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は化けてしまうor文章が途中で切れてしまうので、
極力使われないようお願いします!
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メンバーは雪を筆頭に、海や柳、そして彼らと親しい学生達だ。

すると柳が、空席を見ながらこう言った。
「ん?何だよ、佐藤のヤツまだかよ?」

佐藤広隆がまだ来ていないのだ。
けれど雪や海はそれを気にすることなく、勉強に没頭している。
「そのうち来るでしょ 珍しいけど」

佐藤が遅刻するのは珍しいことだった。
けれどそれには、どうしても外せない約束があったからで‥。
ドン!

緊張の面持ちの佐藤の目の前に、サングラスを掛けたままふんぞり返る彼女が居た。
ドドン!

佐藤広隆と河村静香は、大学のカフェにてテーブルを挟んで沈黙している。
「‥‥‥」

これまでに続けられた要領を得ない佐藤の会話を、静香はかいつまんでまとめてみた。
「つまり、あたしと仲直りしたい、ってこと?」

佐藤は眼鏡のつるを指で構いながら、タジタジと頷く。
「う‥うん。俺はね‥」

すると静香は口角を微かに上げながら、とある取引を持ち掛けた。
「それじゃアレ辞めてよ」

「したら仲直りしてあげるから」「え?何を辞めろって?大学?」

佐藤は眉を潜めながらその続きを待ったが、静香は顎に手を置きながら頭を捻っている。
「ほらアレよ、あの財務なんとか‥」「財務学会?」
「そう、ソレ!」

「辞めなさいよ」

そう言って静香はニコッと笑った。
佐藤は顔中に汗をかきながら、その無茶な要求に思わず顔が引き攣る。
「え?や‥それは‥」

「あー‥ダメ、ダメ!」

しかし改めて考えた佐藤は、その要求をキッパリと突っぱねた。
「ていうか俺はそんな悪いことしてないのに、どうして熱心に取り組んでる
財務学会を辞めなきゃいけないんだ?しかもアレは就職にも直結して‥」

静香は何も言わない。
そんな彼女に恐れを感じ、佐藤はなんとか譲歩を試みる。
「ご‥ごめん‥じゃあ、他のことは?!他のことなら俺‥」
「嫌なの?」

じっと佐藤の目を見る静香。瞬きもせずに、更に目を見開く。
「嫌なんだ?」

そして静香はすっくと席を立った。
「それじゃ話は終わりね」「えっ?」

「バイバーイ」

口をあんぐりと開ける佐藤を残し、静香は去って行く。
その背中が見えなくなるのを、佐藤は無言のままただ見送っていた。

口に出した和解、差し出された無茶な要求、去って行く彼女ー‥。
「え‥?」

その怒涛の展開に、佐藤の頭はついていかなかった。
佐藤はポカンと口を開けたまま、ただその場で沈黙する‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<無茶な要求>でした。
短めの記事で失礼しました!
いや~あっという間に2015年も終わりですね。
今年もご愛読いただき、本当にありがとうございました

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