「三人の旅行は楽しかった?」 「はい楽しかったですよ。と~っても」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d6/f4b739572d0a276f41273c64ba32592d.jpg)
本屋にて雪と淳は会話中だ。
話題は味趣連で行った日帰り旅行の件。淳は皮肉を込めて上記のセリフを言ったのだった。
「はぁ~‥他の男と旅行に行っておいて堂々と‥」
「前から約束してたんですよ!てか昨日行って帰ってきて疲れてるんですけど
」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/1a/9cc968196e71cc5905f2d54b65ab4a3f.jpg)
帰って来て早々淳からグチグチ言われ、雪はウンザリといった体である。
「てか太一は男じゃないですから!」と雪がこぼすと、「は~そうですか」と淳は呆れたように息を吐いた。
「とにかく私は”先輩拗ねた時積立金”したいですよ。たいそうなお金持ちになれそうです
」
「え?俺がいつ拗ねたって?え?
」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/ef/d68d9de916b1ac8abea45caf4e698ad1.jpg)
雪が考案した”先輩拗ねた時積立金”とは、どうやら彼が拗ねた時に溜まる貯金のようなものらしい^^
(そのお金で彼女は本を買うそうだ。)
ちょっとしたことで拗ねる彼と付き合い慣れてきた彼女故の、気安いジョーク。
「てか前から言ってあったじゃないですか。何で今になって‥何も無いですってば」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/bd/cf8cb1f456b8bd307a7bff14416cff61.jpg)
呆れながらもそう伝える彼女に、淳は目を閉じてフン、と拗ねる。
また雪の貯金が貯まったようだ。雪ちゃん、君がこの本屋中の本を買える日も近い。
「あ、そうだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/94/c9dbea175d55c96eb3776d299f22a6de.jpg)
ふと淳はあることを思い出し、カバンの中からある物を取り出した。
それは白い封筒だった。
「雪ちゃんのお金」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/8d/dcf632884ffa9901d0ded0daf28ca8f2.jpg)
雪は驚きのあまり目を見開いた。
「あの時はバタバタしていて渡せなかったけど、」と言いながら淳は封筒を雪に差し出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/f2/4621be1135d49d4004bc1d22946a66df.jpg)
雪は信じられない思いで、封筒を受け取った。父親からもらった、大事な大事なお小遣い。
もう二度と手元には戻ってこないと思っていた‥。
「先輩、本当にありがとうございます‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/6c/0d77a4256f8dad0f722f5a07b4d81a7c.jpg)
彼女から礼を言われ、淳は満足そうにニッコリと微笑んだ。
元々の封筒は汚れていたから捨てたと続け、
「今度からは通帳に入れておくといいよ」とアドバイスする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/37/138c1abd1c284fdbe568b04f9b0e5e5c.jpg)
雪は封筒を見つめながら、どういう経緯でこれが戻ってきたのかを改めて考えた。
脳裏に浮かんでくるのは、男の手を踏みつけていた彼の足‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/62/533183e1085c0bfdd12899eac586c950.jpg)
雪の胸中は複雑な思いが渦巻いていた。
犯人を捕まえ、お金を取り返してくれたことに感謝する反面、
聡美の言うように彼に対して恐ろしいという思いもある‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/60/be7724d4bd701fb6b44c8661986efca4.jpg)
雪は自分がどう言わなければならないか、を考えた。
彼女として、一人の人間として、彼のした行動に対しての自分の意見を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/bf/4a610fc3fbfa68d431f82cb7333a2d42.jpg)
雪は本を見ている先輩に近づくと、その服の裾を引っ張りながら声を掛けた。
「せ、先輩‥ウハハ‥あの、先輩‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/3f/d480391b1117c15b991b228541713463.jpg)
わざとらしい笑みを浮かべる雪に、淳は思わずジト目である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/8f/5f2925478aeb23efcb49bf79436d437b.jpg)
雪は笑みを浮かべながら、彼の反応を見るようにして言葉を続けた。
「だ、だけど~先輩ちょっとやり過ぎちゃったっていうか~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/0d/68f711c38d0518e9fe6ac3ce82c7a019.jpg)
雪は普段とは口調も違ってしまっているが、出来るだけ角が立たない言い方で続けた。
両手で淳の手を握りながら、自分の気持ちを口にする。
「ぼ、暴力は良くな‥」「良くないよね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/42/2264f6f715018e5c45004e88ad9b2ab5.jpg)
雪の言葉を先回りして口にする淳。
二人の時間が止まる‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/df/0dba41edf9ffaab38e469c44b4914a3f.jpg)
見上げると淳は、怒るでも拗ねるでもない、
なんともニッコリとした笑顔を浮かべていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/96/128eb171f786585362f312db3cb1492c.jpg)
「分かってたんかい!
」と雪のツッコミ炸裂&気まずさボルテージMAXである。
そのまま背を向けようとする雪に、淳は行かないで行かないでと言ってウリウリした。萌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/db/f2485ad630bdca034f6ea9d92ce927ae.jpg)
そして淳は本来の彼が持つ小狡い笑みを浮かべると、彼女の肩に腕を回しながら口を開く。
「俺も分かってるよ。事実ちょっと後悔半ば。色々な面で‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/4f/929cb15cc4c3dcda2e7f2005b9df74df.jpg)
彼は自分の気持ちを口にした後、意味有りげな視線を彼女に流した。
それに射られる雪はタジタジだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/d9/7afb25ab46990fdaa0278229a4e98605.jpg)
「も、もちろん!犯人を捕まえたことはとっても素晴らしいことですが‥」
「でもあれはやり過ぎだよね?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/b4/220cebcbcb46a62dcf53ea99a94a48a4.jpg)
淳はそう言って彼女の肩から腕を外すと、呟くようにこう口にした。
「他に方法はいくらでもある‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/95/5e15efa0c451eafbd3667825262edacc.jpg)
頭脳明晰、そして社会的地位の高い彼が口にする”他の方法”‥。
雪はあんぐりと口を開けた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/ee/449f92f38e45e28f58c01ae170ea0b3d.jpg)
それきり何事も無かったかのように本を眺める彼。
雪はそれ以上何も言えずに俯いた。(恐ろしくてそれ以上は聞けない‥)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/23/a4d78cff9fd34b0c569babeea4bb5363.jpg)
空気を変えるように、雪は「そうだ!」と一言発した。
「資格が取れたのも先輩のおかげです。ありがとうございました」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/42/7a3381edc46a08fb1db2631bd95b42a0.jpg)
「え?いや俺は何もしてないよ」
「それでも‥塾だけじゃなく、勉強も一緒にしてくれたじゃないですか」
雪はもう一度、ありがとうございましたと彼に感謝を伝えた。
どういたしまして、と彼が笑顔でそれに応える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/15/804f718ebbed5bb9f9d0f15485f65388.jpg)
雪は彼を見上げたまま、もう一言彼に言葉を掛けた。
「‥二学期もよろしくお願いします」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/68/423ec80f2983878ecf587ee2cf9ce230.jpg)
「うん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/af/1127d4b9575ef87fa6efe16f0a7817fa.jpg)
いつの間にか見慣れた、彼の笑顔。
雪はそんな彼の顔を見ながら、ある思いが心の中に浮かぶのを感じた。
先輩と学生生活を送るのも、もう次が最後の学期だ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/71/647d930cddb113fb77e3b940016f692e.jpg)
彼は次の学期を最後に、大学を卒業する。
その先はどうなっていくのだろう、二人は、どうなっていくのだろう‥?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/93/cf941ec981ab80fa97a3ba0b3779ae3c.jpg)
未来は、予測することが出来ない。
本屋を見回してみると、色々な人が居る。
皆様々な事情を抱えて、沢山の縁に導かれ、出会い、別れ、それぞれの人生を歩んでいく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a6/649dc1acf6c9299e1c662fcfe98928b2.jpg)
雪は思う。
これから先どんなことが起こるのか、誰と出会うのか、知ることは出来ない。と。
雪は周りを見回していた視線を、目の前の彼に戻した。
彼は雪の目の前に立ち、こちらを見つめて微笑んでいた。
けれど、
互いが一緒に居るということだけで、
もっと素敵な未来が待っているというそんな期待をしてみたって、良いのではないだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/2f/28ee80072a6b9dbee7be97bf71e3b1b8.jpg)
未来を予測することは出来ないけれど、もっと素敵な明日が来て欲しいと願ったり、
この人とずっと一緒にいたいと祈ることは出来る。
運命という大きな歯車に組み込まれた、小さな私達。
けれどそんな一人一人が持つささやかな願いで、この広い世界は回っている。
二学期もよろしく、そんな前向きなメッセージを抱いて、二人は次のステージへと向かって行く‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/71/186f16f19d17b3f703d3a64dab732fc3.jpg)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<二学期もよろしく>でした!
遂に二部も終わりを迎えました~~~!皆様、ここまで着いてきて下さってありがとうございましたT T
記事にして、二部は全154話でした‥長かったですね。一部の三倍‥。
さて明日からは三部に入ります!
相変わらず誤訳等あると思いますが、生温かい目で見守って下さるとありがたいです![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_naki.gif)
「三部もよろしくお願いします」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/68/423ec80f2983878ecf587ee2cf9ce230.jpg)
と雪ちゃんに言ってもらっちゃたりして‥^^
さ、次回は<新学期>です。
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本屋にて雪と淳は会話中だ。
話題は味趣連で行った日帰り旅行の件。淳は皮肉を込めて上記のセリフを言ったのだった。
「はぁ~‥他の男と旅行に行っておいて堂々と‥」
「前から約束してたんですよ!てか昨日行って帰ってきて疲れてるんですけど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/1a/9cc968196e71cc5905f2d54b65ab4a3f.jpg)
帰って来て早々淳からグチグチ言われ、雪はウンザリといった体である。
「てか太一は男じゃないですから!」と雪がこぼすと、「は~そうですか」と淳は呆れたように息を吐いた。
「とにかく私は”先輩拗ねた時積立金”したいですよ。たいそうなお金持ちになれそうです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
「え?俺がいつ拗ねたって?え?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
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雪が考案した”先輩拗ねた時積立金”とは、どうやら彼が拗ねた時に溜まる貯金のようなものらしい^^
(そのお金で彼女は本を買うそうだ。)
ちょっとしたことで拗ねる彼と付き合い慣れてきた彼女故の、気安いジョーク。
「てか前から言ってあったじゃないですか。何で今になって‥何も無いですってば」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/bd/cf8cb1f456b8bd307a7bff14416cff61.jpg)
呆れながらもそう伝える彼女に、淳は目を閉じてフン、と拗ねる。
また雪の貯金が貯まったようだ。雪ちゃん、君がこの本屋中の本を買える日も近い。
「あ、そうだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/94/c9dbea175d55c96eb3776d299f22a6de.jpg)
ふと淳はあることを思い出し、カバンの中からある物を取り出した。
それは白い封筒だった。
「雪ちゃんのお金」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/8d/dcf632884ffa9901d0ded0daf28ca8f2.jpg)
雪は驚きのあまり目を見開いた。
「あの時はバタバタしていて渡せなかったけど、」と言いながら淳は封筒を雪に差し出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/f2/4621be1135d49d4004bc1d22946a66df.jpg)
雪は信じられない思いで、封筒を受け取った。父親からもらった、大事な大事なお小遣い。
もう二度と手元には戻ってこないと思っていた‥。
「先輩、本当にありがとうございます‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/6c/0d77a4256f8dad0f722f5a07b4d81a7c.jpg)
彼女から礼を言われ、淳は満足そうにニッコリと微笑んだ。
元々の封筒は汚れていたから捨てたと続け、
「今度からは通帳に入れておくといいよ」とアドバイスする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/37/138c1abd1c284fdbe568b04f9b0e5e5c.jpg)
雪は封筒を見つめながら、どういう経緯でこれが戻ってきたのかを改めて考えた。
脳裏に浮かんでくるのは、男の手を踏みつけていた彼の足‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/62/533183e1085c0bfdd12899eac586c950.jpg)
雪の胸中は複雑な思いが渦巻いていた。
犯人を捕まえ、お金を取り返してくれたことに感謝する反面、
聡美の言うように彼に対して恐ろしいという思いもある‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/60/be7724d4bd701fb6b44c8661986efca4.jpg)
雪は自分がどう言わなければならないか、を考えた。
彼女として、一人の人間として、彼のした行動に対しての自分の意見を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/bf/4a610fc3fbfa68d431f82cb7333a2d42.jpg)
雪は本を見ている先輩に近づくと、その服の裾を引っ張りながら声を掛けた。
「せ、先輩‥ウハハ‥あの、先輩‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/3f/d480391b1117c15b991b228541713463.jpg)
わざとらしい笑みを浮かべる雪に、淳は思わずジト目である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/8f/5f2925478aeb23efcb49bf79436d437b.jpg)
雪は笑みを浮かべながら、彼の反応を見るようにして言葉を続けた。
「だ、だけど~先輩ちょっとやり過ぎちゃったっていうか~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/0d/68f711c38d0518e9fe6ac3ce82c7a019.jpg)
雪は普段とは口調も違ってしまっているが、出来るだけ角が立たない言い方で続けた。
両手で淳の手を握りながら、自分の気持ちを口にする。
「ぼ、暴力は良くな‥」「良くないよね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/42/2264f6f715018e5c45004e88ad9b2ab5.jpg)
雪の言葉を先回りして口にする淳。
二人の時間が止まる‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/df/0dba41edf9ffaab38e469c44b4914a3f.jpg)
見上げると淳は、怒るでも拗ねるでもない、
なんともニッコリとした笑顔を浮かべていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/96/128eb171f786585362f312db3cb1492c.jpg)
「分かってたんかい!
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そのまま背を向けようとする雪に、淳は行かないで行かないでと言ってウリウリした。萌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/db/f2485ad630bdca034f6ea9d92ce927ae.jpg)
そして淳は本来の彼が持つ小狡い笑みを浮かべると、彼女の肩に腕を回しながら口を開く。
「俺も分かってるよ。事実ちょっと後悔半ば。色々な面で‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/4f/929cb15cc4c3dcda2e7f2005b9df74df.jpg)
彼は自分の気持ちを口にした後、意味有りげな視線を彼女に流した。
それに射られる雪はタジタジだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/ae/4367a88ac8897852ec6dfc6aa7f4c2cf.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/d9/7afb25ab46990fdaa0278229a4e98605.jpg)
「も、もちろん!犯人を捕まえたことはとっても素晴らしいことですが‥」
「でもあれはやり過ぎだよね?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/b4/220cebcbcb46a62dcf53ea99a94a48a4.jpg)
淳はそう言って彼女の肩から腕を外すと、呟くようにこう口にした。
「他に方法はいくらでもある‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/95/5e15efa0c451eafbd3667825262edacc.jpg)
頭脳明晰、そして社会的地位の高い彼が口にする”他の方法”‥。
雪はあんぐりと口を開けた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/ee/449f92f38e45e28f58c01ae170ea0b3d.jpg)
それきり何事も無かったかのように本を眺める彼。
雪はそれ以上何も言えずに俯いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/23/a4d78cff9fd34b0c569babeea4bb5363.jpg)
空気を変えるように、雪は「そうだ!」と一言発した。
「資格が取れたのも先輩のおかげです。ありがとうございました」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/42/7a3381edc46a08fb1db2631bd95b42a0.jpg)
「え?いや俺は何もしてないよ」
「それでも‥塾だけじゃなく、勉強も一緒にしてくれたじゃないですか」
雪はもう一度、ありがとうございましたと彼に感謝を伝えた。
どういたしまして、と彼が笑顔でそれに応える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/e2/cdd37a9be2969b78460549e13021eaf9.jpg)
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雪は彼を見上げたまま、もう一言彼に言葉を掛けた。
「‥二学期もよろしくお願いします」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/68/423ec80f2983878ecf587ee2cf9ce230.jpg)
「うん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/af/1127d4b9575ef87fa6efe16f0a7817fa.jpg)
いつの間にか見慣れた、彼の笑顔。
雪はそんな彼の顔を見ながら、ある思いが心の中に浮かぶのを感じた。
先輩と学生生活を送るのも、もう次が最後の学期だ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/71/647d930cddb113fb77e3b940016f692e.jpg)
彼は次の学期を最後に、大学を卒業する。
その先はどうなっていくのだろう、二人は、どうなっていくのだろう‥?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/93/cf941ec981ab80fa97a3ba0b3779ae3c.jpg)
未来は、予測することが出来ない。
本屋を見回してみると、色々な人が居る。
皆様々な事情を抱えて、沢山の縁に導かれ、出会い、別れ、それぞれの人生を歩んでいく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a6/649dc1acf6c9299e1c662fcfe98928b2.jpg)
雪は思う。
これから先どんなことが起こるのか、誰と出会うのか、知ることは出来ない。と。
雪は周りを見回していた視線を、目の前の彼に戻した。
彼は雪の目の前に立ち、こちらを見つめて微笑んでいた。
けれど、
互いが一緒に居るということだけで、
もっと素敵な未来が待っているというそんな期待をしてみたって、良いのではないだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/2f/28ee80072a6b9dbee7be97bf71e3b1b8.jpg)
未来を予測することは出来ないけれど、もっと素敵な明日が来て欲しいと願ったり、
この人とずっと一緒にいたいと祈ることは出来る。
運命という大きな歯車に組み込まれた、小さな私達。
けれどそんな一人一人が持つささやかな願いで、この広い世界は回っている。
二学期もよろしく、そんな前向きなメッセージを抱いて、二人は次のステージへと向かって行く‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/71/186f16f19d17b3f703d3a64dab732fc3.jpg)
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<二学期もよろしく>でした!
遂に二部も終わりを迎えました~~~!皆様、ここまで着いてきて下さってありがとうございましたT T
記事にして、二部は全154話でした‥長かったですね。一部の三倍‥。
さて明日からは三部に入ります!
相変わらず誤訳等あると思いますが、生温かい目で見守って下さるとありがたいです
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「三部もよろしくお願いします」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/68/423ec80f2983878ecf587ee2cf9ce230.jpg)
と雪ちゃんに言ってもらっちゃたりして‥^^
さ、次回は<新学期>です。
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