雪と聡美が構内の廊下を歩いていると、不意に健太先輩とすれ違った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/43/1a4f1358579652f6f3c0d32dfb0710aa.jpg)
いつもの彼とは違い、幾分ぼんやりとしているようだ。
雪は振り返って彼を呼び止めた。
「先輩!この前は‥てか私のメール見てくれましたか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/75/b7270cddcdbfbadcd6e2f766449b93ae.jpg)
健太先輩はこの間、恵と彼との面会現場に雪が隠れていたことに対して、もう気にしていないと言った。
続けて、恵には俺より青田のほうが似合ってると言って、頭を掻いた。
「恵ちゃんも青田のこと気になってるみたいだし‥お前も青田と仲良くなった甲斐があったな~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/ae/820fe67fe0906daf36cf6fc1470bf369.jpg)
否定する雪だが、健太先輩は授業があるからとそのまま行ってしまった。
どうしてこうなるんだろう‥。
最善策をと考えてきたのに、結局悪い方へ事態は流れてしまっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/c3/ac0873526c0882465c198b0b73dd3d93.jpg)
頭を抱え苦悩する雪に、「健太先輩怒ってないだけマシだよ」と聡美は一生懸命フォローした‥。
雪は学校が終わると、急いで地下鉄乗り場まで走った。
実はこの間実家に帰った際、教科書を忘れてきてしまったのだ。
明日も学校があるので、また下宿に帰ってくるつもりの雪は、急いで改札へ向かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/8e/6a823f12886265d38ddfd11f80a64d14.jpg)
母親にどの教科書が要るかを電話していると、今日の夜ご飯は焼肉だというので、
晩御飯も食べて下宿に帰ることに決めた。
鼻歌混じりに、雑踏の中を行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/93/684b570fe81a0830bc4c854da8163840.jpg)
雪の後ろから、ある人物が付けてきていた。
雪は不穏な視線を感じると、パッと後ろを振り返った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/16/024f1f9857de14a4cd937fec7bb7bd37.jpg)
特に怪しい人影は見えない。
そのまま雪は改札へと向かったが、さすが彼女の感覚は鋭い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/05/dd6ea1ae6d34cf14e0cbdddc3c41571d.jpg)
柱の影から、河村亮がその後姿をじっと見ていた。
雪は冷や汗が頬を伝うのを感じていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/17/681f75e04fc0a659a752860313727c03.jpg)
その感覚に、去年横山からストーキングを受けた過去が蘇る。
その後プラットホームへ向かう道すがらも、雪は何度も後ろを振り返った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/1b/149392d13d55f53922c8b7b9c0411278.jpg)
忌まわしい横山の記憶を思い出してしまったことにも、嫌な気持ちになってしまう。
亮は雪の後を付けながら、そんな自分を焦れったく感じていた。
「あー‥オレとしたことが何やってんだ‥気になるなら直接聞いてみればいいじゃんかよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/da/2e9331be645d3229f3d5b9ad2305c6ab.jpg)
亮は意を決すると、早足で彼女の後を追いかける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/39/7e99fa1aed1f36aeb6cec8d6c5afa8da.jpg)
雪はぼんやりと電車を待ちながら、音楽でも聞こうとMCプレイヤーを取り出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/84/7e7324d8c0ef676c158adb5024b350d7.jpg)
しかし手が滑り、ガシャンと音を立ててそれは地面に落ちてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/43/99f109f1fc1a58225b3afbc1796a3c63.jpg)
慌てて拾おうとしゃがむと、彼女より先に誰かがそれを拾い上げた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/03/ba1c0b4104fd418e90c348066191cbe8.jpg)
雪がお礼を言おうと顔を上げると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/46/5c611c01bf95be3787e43e3fa5089d79.jpg)
その男は、真っ直ぐに雪のことを見つめていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/9a/1389371acf3ecd5beb51cfe4cc29b29a.jpg)
彼は外国人のような、ハーフのような、独特の雰囲気があった。
雪はその端正さに顔を赤らめながら、たどたどしくお礼を言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/d2/428cd553b172e69c130a8f760b7b14da.jpg)
すると男は、雪に「おい」と声を掛け、ストレートにこう聞いた。
「お前、青田淳とどういう関係?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/6d/4b13f3e34a216f8a83081f5a72eaa53d.jpg)
雪は一瞬固まったが、最近この質問を受けるのは実は三度目‥。(直美さん達、遠藤さん、そしてこの初対面の男‥)
頭を抱えて悶絶する雪に、亮は不信な目を向けた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/4d/9425f150d1bb91af2be3d9c3142e98b1.jpg)
もう一度どういう関係か亮が聞くと、雪はパッと顔を上げて言った。
「そういうあなたはどちら様ですか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/dc/e502f50006b7d83e4a40e9be1396d46d.jpg)
亮は少し黙った後、目を合わせずに俺は淳の友達だと言った。
早く質問に答えろと急かす彼に、雪は苛つきを覚える。
「何の関係でもありません!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/56/2cac67e57dd1a401a42833ff5c0ae300.jpg)
その取り付く島もない答えに、亮は溜息を吐いた。
そして雪のことを、ジロジロと観察し始める。
「まぁ‥そうだよな。ルックス、背丈、ファッションからしても‥ナイもんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/e8/0e970bca37743e67d46b9a056a9c0435.jpg)
続けて「淳の奴がこんな低レベルの女を傍に置くはずがない」と言った亮に、さすがに雪もカチンと来た。
「あの!さっきから黙って聞いてりゃあぬけぬけと‥!何なんですか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/c1/cc87733d7bd8f767f834350a584d7cd0.jpg)
亮は天を仰ぎながら、納得出来ないながらも感じていた疑問が口を吐いて出た。
「んー‥、でもあいつのニヤニヤしたあの眼差し‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/17/310d8c3d8204a84beef6e9a8cc84151f.jpg)
「絶対何かあるはずなんだよな‥」
「??」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/2b/fd3ce7c41b2089679679c9432b945ba9.jpg)
プラットホームに風が吹き込み、電車の到着を告げるアナウンスがこだまする。
まだ青田先輩との関係を聞いてくる男を、無視して雪は電車に乗り込もうとした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/e5/452a81d23691c4b629b3f9409098f124.jpg)
すると男は「待てよ」と、雪の腕を掴んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/ad/2dc24a6f6d3e5dc030b8a0336579c556.jpg)
雪の脳裏に、横山から受けたストーキングの記憶が鮮烈に蘇る。
その恐怖にも似た衝動を受けて、雪は咄嗟に叫んでいた。
「ぎゃあっ?!何すんのよ!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/96/536c9a0e2cf5501c4dd6438a8e34c5c3.jpg)
亮は、いきなりのその剣幕に驚きを隠せず、その目を見開いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/04/0383f35ba3ee38fcf667b8f629f3a8a4.jpg)
そんな彼の目の前で扉は閉まり、淳と何かしらの関係を持った彼女を乗せて、地下鉄は発車したのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/bc/8d70bdc2a61826093c53c1a10a63a099.jpg)
雪は男から見えない席へ座ると、電車が彼を過ぎ去るまで身じろぎせずその身を凍らせた。
突然腕を掴まれたとはいえ、自分でも驚くくらいの大声を出したことが、なんだか恥ずかしい。
けれどあの男は一体何者なんだろう‥。
本当に青田先輩の友達なのか?なんだか変な人みたいだけど‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/5e/fab04ef2af0a69ba3af8abd7ed6a2fdb.jpg)
雪は電車に揺られながら、彼の残像が瞼の裏に映るのを感じていた。
轟音を上げて過ぎ去る地下鉄を見送りながら、亮は一人プラットホームに佇んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/94/5cfa522d1f8fa4716b2f8df997cab236.jpg)
しかし次の瞬間彼は被っていたキャップを地面に叩きつけると、苛立ちのあまり地団駄を踏む。
「なんだぁあのキ◯ガイ女?!淳とクレイジー同士お似合いじゃねーかよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/b3/8009e40b88048bf2de89f8c5fe704971.jpg)
すると携帯が鳴った。♪卑怯と罵るな~♪との着信とともに表示された名前は、
彼の元職場の同僚だ。
「おい!もう電話してくんなって言っただろ?!オレはもうお前達とは縁を切ったんだよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f1/03236af5649eec66aca3c3d56a5e7583.jpg)
同僚は亮の言葉を遮って、社長が怒り狂っているということを彼に伝えた。
亮が社長から金を借りた巻き上げたまま姿を消したということで、社長は机をひっくり返す大騒ぎを起こし、
元職場は軽いパニックに陥っているらしいのだ。
亮は、俺が上京したことは社長に伝えるなと同僚に命令すると、もう切るぞと言って電源を切った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/71/d14b79d0731b6abc708193a5934c10f7.jpg)
気がかりな同僚の言葉に、亮は小さな胸騒ぎを感じ、黙り込む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/87/09f53005c68f2087af0d2d94048af32a.jpg)
「Hi~! Where are you from?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/bf/8cf0e3868174af9ccf606369da286c83.jpg)
突然亮は、彼を外国人だと勘違いしたバックパッカーに声を掛けられた。
しかし亮は英語が分からないため絡まれていると思い、大騒ぎし始める。
「何ほざいてやがんだ?!失せろコノヤロー!オレはヤンキーじゃねぇぞ!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/03/08cc3d6de5116c2378b8e332c64399a8.jpg)
地下鉄の構内に、その大声はしばし響いていたのだった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ファーストコンタクト>でした!
亮の着メロはこれらしいです↓
CAN - Spring days of my life, Music Camp 20020202
亮と雪の初対面でしたね。高校時代は淳とのことを散々聞かれてウンザリだった亮が、今度は雪にしつこく聞くという‥。
今回は日本語版未掲載分もあり、漫画の流れを少し変えて記事を書きました。ご了承下さいませ。。
次回は<彼の周囲>です。
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いつもの彼とは違い、幾分ぼんやりとしているようだ。
雪は振り返って彼を呼び止めた。
「先輩!この前は‥てか私のメール見てくれましたか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/75/b7270cddcdbfbadcd6e2f766449b93ae.jpg)
健太先輩はこの間、恵と彼との面会現場に雪が隠れていたことに対して、もう気にしていないと言った。
続けて、恵には俺より青田のほうが似合ってると言って、頭を掻いた。
「恵ちゃんも青田のこと気になってるみたいだし‥お前も青田と仲良くなった甲斐があったな~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/ae/820fe67fe0906daf36cf6fc1470bf369.jpg)
否定する雪だが、健太先輩は授業があるからとそのまま行ってしまった。
どうしてこうなるんだろう‥。
最善策をと考えてきたのに、結局悪い方へ事態は流れてしまっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/c3/ac0873526c0882465c198b0b73dd3d93.jpg)
頭を抱え苦悩する雪に、「健太先輩怒ってないだけマシだよ」と聡美は一生懸命フォローした‥。
雪は学校が終わると、急いで地下鉄乗り場まで走った。
実はこの間実家に帰った際、教科書を忘れてきてしまったのだ。
明日も学校があるので、また下宿に帰ってくるつもりの雪は、急いで改札へ向かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/8e/6a823f12886265d38ddfd11f80a64d14.jpg)
母親にどの教科書が要るかを電話していると、今日の夜ご飯は焼肉だというので、
晩御飯も食べて下宿に帰ることに決めた。
鼻歌混じりに、雑踏の中を行く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/93/684b570fe81a0830bc4c854da8163840.jpg)
雪の後ろから、ある人物が付けてきていた。
雪は不穏な視線を感じると、パッと後ろを振り返った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/16/024f1f9857de14a4cd937fec7bb7bd37.jpg)
特に怪しい人影は見えない。
そのまま雪は改札へと向かったが、さすが彼女の感覚は鋭い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/05/dd6ea1ae6d34cf14e0cbdddc3c41571d.jpg)
柱の影から、河村亮がその後姿をじっと見ていた。
雪は冷や汗が頬を伝うのを感じていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/17/681f75e04fc0a659a752860313727c03.jpg)
その感覚に、去年横山からストーキングを受けた過去が蘇る。
その後プラットホームへ向かう道すがらも、雪は何度も後ろを振り返った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/1b/149392d13d55f53922c8b7b9c0411278.jpg)
忌まわしい横山の記憶を思い出してしまったことにも、嫌な気持ちになってしまう。
亮は雪の後を付けながら、そんな自分を焦れったく感じていた。
「あー‥オレとしたことが何やってんだ‥気になるなら直接聞いてみればいいじゃんかよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/da/2e9331be645d3229f3d5b9ad2305c6ab.jpg)
亮は意を決すると、早足で彼女の後を追いかける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/39/7e99fa1aed1f36aeb6cec8d6c5afa8da.jpg)
雪はぼんやりと電車を待ちながら、音楽でも聞こうとMCプレイヤーを取り出した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/84/7e7324d8c0ef676c158adb5024b350d7.jpg)
しかし手が滑り、ガシャンと音を立ててそれは地面に落ちてしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/43/99f109f1fc1a58225b3afbc1796a3c63.jpg)
慌てて拾おうとしゃがむと、彼女より先に誰かがそれを拾い上げた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/03/ba1c0b4104fd418e90c348066191cbe8.jpg)
雪がお礼を言おうと顔を上げると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/46/5c611c01bf95be3787e43e3fa5089d79.jpg)
その男は、真っ直ぐに雪のことを見つめていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/9a/1389371acf3ecd5beb51cfe4cc29b29a.jpg)
彼は外国人のような、ハーフのような、独特の雰囲気があった。
雪はその端正さに顔を赤らめながら、たどたどしくお礼を言う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/d2/428cd553b172e69c130a8f760b7b14da.jpg)
すると男は、雪に「おい」と声を掛け、ストレートにこう聞いた。
「お前、青田淳とどういう関係?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/6d/4b13f3e34a216f8a83081f5a72eaa53d.jpg)
雪は一瞬固まったが、最近この質問を受けるのは実は三度目‥。(直美さん達、遠藤さん、そしてこの初対面の男‥)
頭を抱えて悶絶する雪に、亮は不信な目を向けた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/4d/9425f150d1bb91af2be3d9c3142e98b1.jpg)
もう一度どういう関係か亮が聞くと、雪はパッと顔を上げて言った。
「そういうあなたはどちら様ですか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/dc/e502f50006b7d83e4a40e9be1396d46d.jpg)
亮は少し黙った後、目を合わせずに俺は淳の友達だと言った。
早く質問に答えろと急かす彼に、雪は苛つきを覚える。
「何の関係でもありません!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/56/2cac67e57dd1a401a42833ff5c0ae300.jpg)
その取り付く島もない答えに、亮は溜息を吐いた。
そして雪のことを、ジロジロと観察し始める。
「まぁ‥そうだよな。ルックス、背丈、ファッションからしても‥ナイもんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/e8/0e970bca37743e67d46b9a056a9c0435.jpg)
続けて「淳の奴がこんな低レベルの女を傍に置くはずがない」と言った亮に、さすがに雪もカチンと来た。
「あの!さっきから黙って聞いてりゃあぬけぬけと‥!何なんですか?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/c1/cc87733d7bd8f767f834350a584d7cd0.jpg)
亮は天を仰ぎながら、納得出来ないながらも感じていた疑問が口を吐いて出た。
「んー‥、でもあいつのニヤニヤしたあの眼差し‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/17/310d8c3d8204a84beef6e9a8cc84151f.jpg)
「絶対何かあるはずなんだよな‥」
「??」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/2b/fd3ce7c41b2089679679c9432b945ba9.jpg)
プラットホームに風が吹き込み、電車の到着を告げるアナウンスがこだまする。
まだ青田先輩との関係を聞いてくる男を、無視して雪は電車に乗り込もうとした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/e5/452a81d23691c4b629b3f9409098f124.jpg)
すると男は「待てよ」と、雪の腕を掴んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/ad/2dc24a6f6d3e5dc030b8a0336579c556.jpg)
雪の脳裏に、横山から受けたストーキングの記憶が鮮烈に蘇る。
その恐怖にも似た衝動を受けて、雪は咄嗟に叫んでいた。
「ぎゃあっ?!何すんのよ!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/96/536c9a0e2cf5501c4dd6438a8e34c5c3.jpg)
亮は、いきなりのその剣幕に驚きを隠せず、その目を見開いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/04/0383f35ba3ee38fcf667b8f629f3a8a4.jpg)
そんな彼の目の前で扉は閉まり、淳と何かしらの関係を持った彼女を乗せて、地下鉄は発車したのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/bc/8d70bdc2a61826093c53c1a10a63a099.jpg)
雪は男から見えない席へ座ると、電車が彼を過ぎ去るまで身じろぎせずその身を凍らせた。
突然腕を掴まれたとはいえ、自分でも驚くくらいの大声を出したことが、なんだか恥ずかしい。
けれどあの男は一体何者なんだろう‥。
本当に青田先輩の友達なのか?なんだか変な人みたいだけど‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/5e/fab04ef2af0a69ba3af8abd7ed6a2fdb.jpg)
雪は電車に揺られながら、彼の残像が瞼の裏に映るのを感じていた。
轟音を上げて過ぎ去る地下鉄を見送りながら、亮は一人プラットホームに佇んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/94/5cfa522d1f8fa4716b2f8df997cab236.jpg)
しかし次の瞬間彼は被っていたキャップを地面に叩きつけると、苛立ちのあまり地団駄を踏む。
「なんだぁあのキ◯ガイ女?!淳とクレイジー同士お似合いじゃねーかよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/b3/8009e40b88048bf2de89f8c5fe704971.jpg)
すると携帯が鳴った。♪卑怯と罵るな~♪との着信とともに表示された名前は、
彼の元職場の同僚だ。
「おい!もう電話してくんなって言っただろ?!オレはもうお前達とは縁を切ったんだよ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f1/03236af5649eec66aca3c3d56a5e7583.jpg)
同僚は亮の言葉を遮って、社長が怒り狂っているということを彼に伝えた。
亮が社長から金を借りた
元職場は軽いパニックに陥っているらしいのだ。
亮は、俺が上京したことは社長に伝えるなと同僚に命令すると、もう切るぞと言って電源を切った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/71/d14b79d0731b6abc708193a5934c10f7.jpg)
気がかりな同僚の言葉に、亮は小さな胸騒ぎを感じ、黙り込む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/87/09f53005c68f2087af0d2d94048af32a.jpg)
「Hi~! Where are you from?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/bf/8cf0e3868174af9ccf606369da286c83.jpg)
突然亮は、彼を外国人だと勘違いしたバックパッカーに声を掛けられた。
しかし亮は英語が分からないため絡まれていると思い、大騒ぎし始める。
「何ほざいてやがんだ?!失せろコノヤロー!オレはヤンキーじゃねぇぞ!!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/03/08cc3d6de5116c2378b8e332c64399a8.jpg)
地下鉄の構内に、その大声はしばし響いていたのだった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ファーストコンタクト>でした!
亮の着メロはこれらしいです↓
CAN - Spring days of my life, Music Camp 20020202
亮と雪の初対面でしたね。高校時代は淳とのことを散々聞かれてウンザリだった亮が、今度は雪にしつこく聞くという‥。
今回は日本語版未掲載分もあり、漫画の流れを少し変えて記事を書きました。ご了承下さいませ。。
次回は<彼の周囲>です。
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