Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

柳 in the trap

2015-07-04 01:00:00 | 雪3年3部(握った手~幕間)
A大学病院の前で、雪は大きく手を伸ばし深呼吸した。

「わ~」



「退院~!けどすぐ学校~‥」



リフレッシュ‥?な気分での退院である。

まだどこか疲労が抜け切らない娘の顔を見て、母は心配そうに声を掛けた。

「今日も休まなくていいの?」「大丈夫だよ。薬飲んで休んだから、もう全快!」



雪はニッコリと笑って母を安心させ、ズッシリと重い鞄を担いで本音を零す‥。

「それに授業出ないとダメージ大きいし‥財務学会もあるし‥期末も‥」

「ガンバ‥」



背負っているものは沢山ある。

母は手を振って、娘が歩き出すのを見送った。

「行って来ます」「行ってらっしゃい」






「よぉ!赤山ちゃ~ん!」



登校するや否や、ひょっこりと柳楓と遭遇した。

柳は雪の肩をウリウリやりながら、隣に並んで歩き出す。

「入院してたんだって?学校来て大丈夫なん?」「ハイ、ただの胃炎ですから」

「じゃあお粥食べなきゃだ?マズイやつ~」



どこか面白そうに笑う柳。すると続々と同学科の皆が声を掛けてきた。

「おー赤山」「雪オハヨー」「入院してたって?大丈夫ー?」「えっ入院?!」

「何で皆知ってんの?!ヒィィ」



雪が入院したという噂はあっという間に広まったらしい。

雪は白目になりながら、皆に心配されて登校したのであった‥。






さて。



柳楓は辟易していた。

その視線の先には、席が埋め尽くされたPC室の風景がある。



柳は舌を出しながら踵を返した。

「あ”~ウンザリだぜ‥ネカフェ行くかぁ~」



すると視線の先に、一際大きな男が自分を指さすのが見えた。

「ヒッ」



柳瀬健太である。面倒な奴に見つかってしまった‥。

「よぉ!柳ぃ!」「どもども~」



極力健太のことを避けてきた柳であったが、見つかってしまっては仕方が無い。

二人は肩を並べて廊下を歩いた。

「何彷徨ってんだ?」「いや~PC室空いてなくて~」



「じゃあネカフェ行くのか?」「そうしよーかと思って」

「ん?何か急用か?」



健太はそう言うと、カバンからノートPCを取り出した。

「んじゃ、これ貸してやろーか?」



ニッコリと笑う健太。

柳は彼を見て目を丸くする‥。








「いや~~あの人ってばどーしちゃったのやら」



柳はニコニコと笑いながら、健太から借りたノートPCを開いた。

「たまには役に立つじゃねーの~?」



頭の中に先程の会話の一部が思い出される。

「これ佐藤のじゃねーんすか?他人のモン勝手に使うのはちょっと‥」

「何遠慮してんだよ!お前課題するだけだろ?ちょっとカフェで作業してろよ。

俺図書館行って本返してくっからよ。どうせ後で返そうと思って持ってきたんだから。重いしよ」


「んじゃOKっす」



‥という経緯で柳は、健太からノートPCを借りたのだった。

柳はゆったりとした気分で、電源ボタンを押す。



ウィンウィンと起動音が鳴り、画面に白い文字が二行程浮かんだ。

しかしそれは途中でプツンと切れる。



柳は「?」と思いながら、画面を眺め続けた。



しかしどんなに待てども起動せず、しまいにはおかしな音がする。

柳は首を傾げながら、軽くPCの画面をタップした。

「なんだ?起動しねーのか?おい、しっかりしろー」



パッ!



すると画面は一面青くなり、意味不明な文字で埋め尽くされた。

「え??」



柳はわけが分からない。青く固まった画面を前に、柳も固まった。

するとまるでそれを見計らったかのように、柳瀬健太が帰って来た。

「よ~!課題進んでっか~?」



「ありゃ?!」



「ありゃりゃりゃ?!なんじゃこりゃああああ!PCどうなったぁ?!」



「壊れたのかぁ?!?!」



柳 in the trap.

しかし当人はまだそのことを知らない‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<柳 in the trap(1)>でした。

柳ファンとしては、久しぶりの登場で嬉しかったのですが‥

ワナワナ‥

ワナワナ‥!

健太ぁぁぁぁ!!!!




速やかに青田先輩を召喚し、柳を助けてくれるよう頼もうと思います(本気)


次回は<正門の先(1)>です。


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無数の目

2015-07-02 01:00:00 | 雪3年3部(握った手~幕間)


青田家、本宅。

リビングで息子の帰りを待ち侘びていた父に向かって、淳は挨拶を口にした。

「遅れてすみません。呼ばれましたか?」



その傷だらけの顔を見て、父は思わずあんぐりと口を開けた。

しかし淳はその反応は想定内とばかりに、無表情でそれに応える。

 

父は淳の方へ歩み寄ると、大きな声で息子を問い質した。

「お前‥これは一体どういうことだ?!その顔で出勤したのか?!」

 

「お前は一体何をやって‥!」

「知ってるくせに」



ポツリと一言口にした、淳の言葉。父は目を見開いた。

「何だと?」



そして淳は真っ直ぐ父と向き合い、こう言ったのだった。

「全部知ってるくせに、何を聞くっていうんです?」






いつもなら、謝罪の言葉がある筈だった。

けれど今息子は、自分には何の落ち度も無いと言わんばかりに堂々としている。

父は険しい表情で、息子にもう一度その意味を問うた。

「今何と言った?」

「何でも無理に押しつけてたら、いつかは爆発すると思いますけど。父さんにとっては驚きでしたか?

まるで関係無いような顔してる父さんに、俺はむしろ驚いてますけどね」


 

本心で父と相対する淳の瞳に光が灯る。

父は息子の言葉を聞いて、その意味を察した。

「まさか亮か‥?」






淳はその質問を前にして、軽く肩をすくめて見せた。

断定した答えを口にすることなく、飽々した口調でこう返す。

「気になるならそれも調べてみてはいかがですか」

「お前ー‥」



父は幾分動揺していた。

今まで自分の言いつけ通りに動いて来た息子が、急に制御不能に陥ってしまったのだ。

「どうしてこんなことになった?どうしてこんな風に反抗する?

家に呼んでも遅れるかどうかの返事もない、挙句こんなに遅くなって‥何を考えてるんだ?」




怒りを滲ませながら、父は息子を自分の方に呼んだ。

けれど淳は首を横に振る。

「こっちに座れ。ちょっと話をしよう」

「お断りします」



「父さんとこれ以上話をする必要がありますか?全部知ってるじゃないですか。

俺を監視する目はどこにでもあるんだから」


 

そして淳は仮面を被った。

柔らかな口調で彼は、監視者に向かって扉を閉ざす。

「俺が間違ったことをした時に、その都度仰って頂ければ良かったのに」



淳は口元に微笑みを湛えたまま背を向け、それ以上のやり取りを拒絶した。

「疲れたので今日はここに泊まって行きます」



そう言ったきり振り返りもせず、淳は自室へと歩いて行った。

まるで別人のようになってしまった息子。その背中を見つめる父は、驚きを隠せない‥。



張り巡らせた無数の目で、息子のことは把握しているつもりだった。

けれど今一つの不安が胸を覆う。

息子の本当の姿については、何も見えていなかったのではないかー‥。








彼はそこに佇みながら、寝台に横たわった彼女のことを見つめていた。

健やかな寝息が微かに聞こえる。







河村亮はそんな雪の横顔を見つめながら、先ほどの自分の姿を回想した。

「静香の鞄とか売っちゃダメか?

予備の金とかあるはずだろ‥」




仕舞っておいたはずの非常用の現金が見当たらなかった亮は、焦っていた。

ウロウロと歩き回りながら姉の声を待ったが、携帯は非情にも機械音を繰り返すのみだ。

ただ今電話に出ることが出来ません‥



「あー使えねえなぁもう!」



苛立ちながら携帯を耳から離す亮。すると、静香からメールが入って来た。

待ってな。お姉ちゃんはクソ素敵な場所に来てんのよん!

ここでヒットかまして倍返しだ!なんつって




意味不明な文面‥。思わず亮は白目である。

「あんのクソが‥話が通じねぇ‥」



あームカつく!くそったれ!あいつクスリでもやってんじゃねーか?!イミフすぎだろ!








結局何も解決策は見つからない。

亮は暗い気持ちになりながら、目の前の雪を見つめている。



小さく声を出しながら寝返りを打つ雪。

もし彼女に何かあったら‥。それを想像するだけで、胸はズキリと痛み出す。

鼓膜の裏に吉川社長の言葉が蘇った。

ぶっちゃけお前、金稼ぐアテもねぇんだろ?



まるで全て見透かしているかのようだった。亮は苛立ち、頭の中のその声に、心の中でこう答える。

「ああそうだよ!ねえよ!集めた金、全部はたいても足りねーよ!

ソッコー儲けられる仕事っつったら‥」




身体を使ったオシゴト‥。

亮は「ダメだ‥」と言いながら、そのモザイクを追い払う。

残された方法は‥



亮は、ギリッ、とキツく歯を噛んだ。

出来ることなら一番避けたかったその方法を、頭の中に思い浮かべながら‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<無数の目>でした。

虚飾の笑顔を浮かべながらリビングを去る淳の姿が、



淳が高校三年の時、剥がれた壁を目にした後の場面の、父(裏目)の姿に重なります。



「受けた分だけ返す」淳の本領発揮でしょうか‥。


そして亮さん‥ピアノが弾けるホストとか‥結構儲かると思います‥よ‥?


お知らせ‥
*今週の本家は、作者さん胃炎でダウンの為休載だそうです~*


次回は<柳 in the trap>です。


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Yの要求

2015-06-30 01:00:00 | 雪3年3部(握った手~幕間)
「ゲホッ!ゲホッ!」



河村亮はみぞおち辺りを押さえながら、地面に這いつくばるようにして倒れていた。

痛みに悶える亮の姿を吉川社長はニヤリと眺め、元同僚の男はアタフタと慌てながら心配する。

「ゲホッ‥くっそ‥いきなり腹を‥!」「それじゃ言ってから殴りゃいいのか?」



「息しやがれ!息!」



はっ、はっ、と弱々しい喘鳴が、喉の奥で鳴っている。

震えながら地面に手をつく亮に向かって、社長は手を差し伸べた。

「お前が自首して来たから、これでも手加減してやったんだよ。紳士的だろ?な?」



しかし亮はその手を取ることなく、自力で起き上がる。

マジ死ぬっつーの‥

「つーかどうしたその顔は」



みぞおち辺りがひどく痛み、呼吸を整えるのがやっとだった。

「亮、大丈夫?!」と元同僚が声を掛けるが、亮は黙って立ち上がる。

「まぁいいさ」



社長は亮に向かってニヤリと口角を上げ、こう続けた。

「お前とは旧知の仲だ。金の返済期間は十分に与えてやる。

その代わりまた逃げたりしたら、マジで生き埋めにしてやるからな」




許しと脅しを交えながらの社長の言葉に、亮は小さく舌打ちをして頷く。

「分かりましたよ‥」

 

素直な亮の態度を見て、社長はふっと笑った。そして亮の高い鼻を、更に高く持ち上げる。

「こンの恩知らずの外人野郎がぁ!

俺がどんだけお前を可愛がってやったか!」




吉川社長は亮のことを、自分の若い頃を見ているようだと言ってしみじみ語り出した。

亮は痛む鼻を押さえながら、そんな社長の話に適当な相槌を打つ‥。



不意に社長は亮に近づくと、強い力で肩を抱いた。

「それとも、このまま俺ともう一度地方に帰るか?」



その提案に、思わず目を見開く亮。



社長は亮の肩に置いた手を徐々に深く回し、ヘッドロックの様な格好で言葉を続けた。

「今度デカい事業に取り組むことになってな‥お前腕っぷし良いからよ。

一緒に帰るんなら、今回のことはなかったことにしてやるし、金も十分に用意してやるよ」




「どうだ?考えてみるか?」

「あーもう!ったくよぉ!



バッと亮は顔を上げ、社長に向き直った。

「返すっつったっしょ?!逃げねぇよ!返すっつーの!」

「いやマジな話、お前が信じらんねぇからこんなこと言ってんじゃねぇ」



声を荒げる亮に対して、社長は冷静に言葉を返した。その笑みの中に、亮に対する情が見え隠れする。

「本気だからな?よく考えてみろ」「いや行かねーって‥」

 

共に行くつもりはさらさら無い亮。しかし亮が最後まで言い切る前に、社長はズバリこう言った。

「ぶっちゃけお前、金稼ぐアテもねぇんだろ?」

 

ぐっ、と亮は言葉に詰まった。社長は亮の左手を握ると、笑みを浮かべてこう続ける。

「俺はお前のこと買ってんだよ。力ある奴が無駄に才能腐らせてどうするよ?」



ポンポン、と激励に似た仕草を取った後、社長は亮に別れを告げた。

「それじゃあな。連絡しろよ?」 「りょ、亮!じゃあね!」

 

遠ざかって行く二人の背中。

亮はその後姿を見つめながら、暫しそこに立ち止まっていた。心に厚い靄がかかっていくようだ。



あの社長のことだ。半殺しになるとばかり思っていた。

事実、同僚の男も以前こう言っていた。



蛇のような執着心で、金を搾取しに来たのだと思っていた。

けれどー‥

「それとも、このまま俺ともう一度地方に帰るか?」



冷えた汗が、頬を伝っていく。

社長が真に欲しているものは、おそらく金じゃないー‥。



亮は暫くその場から動けなかった。

橙色の夕焼け空を、徐々に濃紺の闇が覆って行く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<Yの要求>でした。

亮さん、遂に社長の元へ向かいましたね。

一応本人はお金を返す方向で解決を試みてますが、いかんせん亮さんが今取り組んでいるのが‥

◯志村教授の元でのピアノレッスン

◯高卒認定試験

と、今すぐお金にならないことばかり‥。

非常用のお金も静香に盗られて無いと分かった今、どうやってお金を返して行くのか‥。
(そもそもいくらくらいの借金があるのやら‥)

暗雲立ち込めてまいりました。。


次回は<無数の目>です。


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三人の行方

2015-06-28 01:00:00 | 雪3年3部(握った手~幕間)
夕闇迫る時刻。

構内を歩く一人の女に、男性陣は皆目を奪われていた。



彼女が歩くたびにヒールの靴音が響き、

靴から伸びた真っ直ぐな足と、細い足首の美しさに目が留まる。



真っ赤なルージュとコンパクトを片手に歩くのは、見目麗しい河村静香である。

今日は一段と気合が入っている。



鼻歌交じりに化粧を施す静香のことを、佐藤は彼女と並んで歩きながら、黙って見つめていた。

周りの男達が皆静香に釘付けなのに、静香は一向に気にしていない。佐藤は変な気分だった。

 

「‥‥‥‥」



しかし隣を歩いているのに、話し掛けないのも逆におかしなことだ。

佐藤は静香の方を向いて口を開く。

「あ‥俺があげた本、どうだった?」「ん?」



「あ~あれ?見応えあったわよ~。てか今日のあたしどう?イケてる?」

「えっ?」



静香はそう言うと、微笑みながら佐藤の方を向いた。

その華やかな美貌の周りに、キラキラと光が舞っているように見える。



佐藤はドギマギしながらも、小さく頷いた。

「う‥うん‥」



「とっても綺麗だよ‥」



静香はククッと笑いながら「トーゼンw」と自信満々だ。

チラ、と目を上げて、佐藤は彼女のことを見つめてみる。



「今日は昼間から浮かれてたけど‥どこか行くの?」

「あぁ、お偉いさん達のJrが集まるパーティーがあんのよ」



静香は嬉々としてそう言うと、前を向いてこう呟いた。

「それにしても最近日照り続きだったのに、こんなオアシスが‥」



色々取り上げられてばかりだった淳からの、久々の甘いご褒美‥。静香はクスリと笑う。

「なんだって?」

「ううん~なんでもな~い!友達がそのパーティーやってんだぁ」



静香は意気揚々とサングラスを掛けると、佐藤に向かってこう言った。

「アンタもそんなとこ行ったことないでしょ?

あたしが行った感想聞かせてあげるからね~?」




ラララ~♪



そして静香は行ってしまった。

佐藤はそんな彼女の後ろ姿を、幾分寂しげな顔で見つめている‥。













ところ変わって、こちらは大学内のPC室。

柳瀬健太は、佐藤から奪ったノートPCでメールを打っているところだった。



柳~!一緒にベンキョーしねーか?

一人じゃ集中できねーだろー?




しかし待てど暮らせど、柳から返事は来なかった。

しんとしたPCを前に、健太のイライラは募って行く。



「チクショー!」



「うぁぁ~~!あーーー集中出来ねぇ~~~」



健太はノートを投げ出し、ぐんと大きく伸びをした。

「気分転換が必要だな!」



そう己への言い訳を口にすると、いつも見ているサイトをクリックする。

「なーに見よっかな~?何か新着ねーかな~。エロいやつで‥。これは観たし‥これも映画館で観たし‥」

  

カチ、カチ、とクリックとスクロールを繰り返していた健太であったが、PCが思うように動かないことに気がついた。

「あーもうなんだよ!なんでどんどん遅くなって行くんだ?!佐藤の野郎め、良いPC買えよなー!金持ちなんだからよぉ!」



強引にマウスをパッドに打ち付け、PC本体を何度も手で叩く健太。

するといきなり、画面がパッと暗転した。



「え?」



パッ



暗転した次の瞬間、見たことのない青色の画面が現れた。

健太は目が点である。



「なんだ?どうなってんだ?!」



押しても叩いても、画面は元に戻らない。

けれどこういう時は慌てずに‥

「困った時は再起動‥と」



健太は電源ボタンを押した。

けれど画面は一向に変わらない。

「え‥」



何を押しても、叩いても捻ってもPCは動かない。

これは佐藤から借りた、おそらく高額のノートPC‥。

「え‥?」



健太の血の気が引いて行く。

画面はその顔色と同じように、青いまま固まっていた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<三人の行方>でした。

今回の萌えポイントは、静香に「とっても綺麗だよ」と言う佐藤先輩‥。



女の子に綺麗だなんて言ったことなさそうな佐藤先輩が!(失礼)

そして健太‥。

借り物のPCでエロい映画観ようとした挙句壊すなんて‥。

もう本当救いようが無い‥(涙)


次回は<Yの要求>です。


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握った手

2015-06-26 01:00:00 | 雪3年3部(握った手~幕間)
「ごめ‥なさ‥」



悔やんでも悔やんでも、赦されることのないあの出来事。

祖母の手を振り払ってしまった罪悪感が、今も尚雪を苦しめている。



夢の中で、雪は手をぎゅっと握りしめた。目の前で祖母が悲しそうな顔をしている‥。

「ごめんなさい‥おばあちゃん‥」



消え入るような声で、懺悔を繰り返す雪。

そしてそんな雪の姿を、彼はじっと見つめていた。



苦しそうな表情で、何度もごめんなさいと、私が間違っていたと、そう告白する雪。

淳は彼女が抱える何かを目の当たりにしている。



暫し淳は、雪の顔を見つめていた。

彼女の手を握り続けていると、次第にその表情は安らいで行く。



すると、雪は薄く瞼を開けた。

「ん‥」



けれど雪が完全に覚醒する前に、淳は彼女の瞼から額に掛けてを手の平で覆う。

「まだ寝てな」



そう言って瞼を閉じさせると、雪は小さな声を出しながら、

再び眠りの中へと潜って行く。

 

完全に眠りに落ちるまで、淳は掌で雪の瞼を押さえていた。

次第に小さな声も聞こえなくなる。



そして再び雪の口から寝息が漏れ始めると、淳はそっと手の平を外した。

健やかな彼女の横顔を、複雑な思いで見つめる淳‥。

 





そっと外した左手。

握った右手は、まだ繋がれたままだ。

けれどその意味が何なのか、淳は図りかねていた。



小さな寝息を立てる彼女を前に、淳はポツリとこう呟く。

「分からなくなるよ。俺のことが好きなのか、それとも離せないのか‥?」



彼女が自分の手を握るのは、どういう感情が元になっているのだろう。

淳は雪の寝顔を見つめながら、そのことに関する記憶に思いを巡らせる。







繋いだ手。

この手を離そうとすると、いつも彼女はそれに追い縋った。



あの時も。



あの時も。



あの時だって。



怯えたように手を掴む彼女に、どうしても違和感を感じた。

なぜそんなにも必死で、繋ぎ止めようとするのかと。



今淳は雪の手を握りながら、同じような場面を繰り返しなぞっていた。

けれど、不思議とそこに絶望は無かった。

繋いだ手の温もりを、噛み締めながら淳は言う。

「実は別に構わないんだ」



その感情がどんな感情だとしても














暗闇の中で彼女を見つけた時、胸に芽生えた感情は恋だっただろうか?

今まで独りきりだった自分が初めて同類を見つけた時の、あの感情は‥。



恋じゃなくても、愛じゃなくても、心が充足すること。

そこに意義があった。

淳は雪の髪を撫でながら、彼女が抱えた重荷を思う。

「罪悪感でも、何でも‥」



心に抱えた傷があるなら、それさえもひっくるめて背負いたい。

そして彼女の心が軽くなればいい。

自分に向けられるその感情が何であれ、自身を必要としてくれれば、淳はそれで満足だった‥。






鞄の傍らに置いてあった、携帯電話が不意に震えた。

着信画面には、”父”とある。



けれど淳は出なかった。

胸の中にあるシコリが、淳の心を固く閉ざす。



不在着信 3件



淳は画面を眺めながら、この後実家に顔を出さねばならないことを思った。

おそらく全てを知っている父親から、たっぷりと灸を据えられることになるだろう。



するともう一度携帯が震えた。今度は同僚からのメールだった。

今日はすごく具合悪そうだったけど、もう大丈夫ですか?うちに良い薬があるんですけど‥。

次の飲み会には絶対参加して下さいね。早く治りますように。

仕事のことで相談したいことがあるんだけど‥私、上司のことがちょっと苦手で‥。連絡待ってます


  

メッセージは次々と入って来た。

机の上に置いた携帯が、ひっきりなしに震えている。



溜息を吐きながら画面に目を落としていると、静香からのメールが入って来たことに気がついた。

一体どうしちゃったのー?

ま、あたしに借り返すんならこのくらいのことして当然だけどね。

こんな超ステキなことすんの、久しぶりじゃーん








淳は文面に目を通すと、ピッと携帯の電源を切った。

静かになった携帯を再び机に置き、目の前に居る彼女へと視線を移す。



健やかな寝顔の雪を見つめながら、淳は自分の心が充足して行くのを感じていた。

邪魔者はいらない。

雪が傍にいれば、それだけで良い‥。



そして淳は口元に薄っすらと笑みを浮かべながら、雪の寝顔を見つめ続けた‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<握った手>でした。

おばあちゃんごめんなさい、と苦しげに呟く雪に、何らかの罪悪感を感じ取った淳。

自分を求めるその理由が罪悪感でもいい、と言う淳ですが、それって‥。

罪悪感だとしても傍に居て欲しいんですねぇ‥。

それってどうなのかな、幸せになれるんでしょうか‥。

うーん‥。

そして同僚女子からのメール!モテる男は大変ですな~。


次回は<三人の行方>です。


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