こんばんは。
また固い内容になります。
お付き合い下さい。
【対中国ODA】
中国に対する日本からのODA(政府開発援助)についてご存知でしょうか。
1979年に始まり、2022年3月末(昨年)に終了しました。42年間で終わりは『昨年』です。
低金利で長期に資金を貸す「円借款」が約3兆3165億円。
無償でお金を供与する「無償資金協力」が約1576億円。
日本語教師派遣などの「技術協力」が約1858億円。
で、総額約3兆6600億円で、「円借款」については、中国から予定通りに利子を含めて返済されており、最後の返済期限は2047年ということです。
日本が中国の発展のためにODAを行ってきた訳ですが、それが昨年まで続いていたことは驚きではないでしょうか。その割に、中国から感謝されるようなことがないような。
それは、1979年に中国側から円借款の要請があり、当時の大平首相が、戦後賠償を放棄した「見返り」という性質もあり実施したもので西側としては最初のODAでした。ただ、その性質もあり中国側が各事業などについて「日本の支援」があったことを広く国民に知らせてこなかったことと、ここまで発展した中国に対して必要かということで、当時の安倍首相の時に終了することを決定しました。
こういう事実があったことが、ひとつ、前提としてご理解下さい。
【中国・複合機等の国家規格】
中国が、複合機などのオフィス機器について中国国内での設計・開発を求めて新たに導入を検討している国家規格について、昨年開かれた世界貿易機関(WTO)の会合で「導入しない」と明言しながら、約10日後に中国国内で導入方針を公示していたことが分かり、「国際ルールを軽視し、貿易の自由化を目指すWTOの精神にも反する」と批判が出ているということです。
これは、「オフィス機器の全面国産化の国家規格」を規定し、「中国国内で設計、開発、生産を完成すべきだ」と明記しているということです。
メーカー関係者の間では「中国企業にはない日米企業の高度な製造技術を取りに来ている」との懸念が出ているということです。
つまり、「中国国内で販売するオフィス機器は(外国企業であっても)国内で設計、開発、生産を行え」ということで『技術開示せよ』ということです。
中国政府は、「14億の人口を擁する中国市場」を『人質』にして、『技術開示』を要求している訳です。日米の関係企業は、『技術開示』を受け入れ中国市場での販売を続けるのか、『技術開示』を断り、中国市場を捨てるのかの選択をすることになります。
もちろん、業界団体も日本政府も中国側に規格導入を再考するように働きかけています。
(読売新聞の記事参照)
【新幹線の失敗】
東洋経済の『川重が新幹線「N700S」開発から外された事情』より。
「あのとき川重との縁が切れた」――。鉄道業界人の多くがそう指摘する出来事が2004年に起きました。川重が中国に新幹線タイプの列車9編成を供給し、さらにその製造技術を提供すると発表しました。中国に供給するのは東北新幹線に使われるE2系をベースとした車両。E2系は当時のJR東日本(東日本旅客鉄道)における主力車両でした。
当時、日本は民間主体で韓国への新幹線売り込みに失敗し、次の売り込み先として狙いを定めたのが中国で、1998年に当時の竹下首相を筆頭に三菱商事、川重などのトップをメンバーとした大使節団を中国に送り、官民一体で新幹線の大々的な売り込みを行いました。
ただ、中国の思惑は、欲しいのは新幹線の車両そのものではなく、車両の製造技術で、まず新幹線車両を輸入して走らせ、運行ノウハウを吸収した後で国内生産、さらにその先には海外輸出を見据えていました。
そこで、各方面から忠告を受けていたにもかかわらず、川重は技術供与事態で川重分だけでも800億円という案件であったため、技術供与まで行ってしまいました。
その結果、関係者の悪い予感は契約締結から7年後の2011年に的中してしまいました。中国は川重から技術供与を受けて開発したCRH2をベースに、より高速化したCRH380Aという車両を開発。そこに使われている技術を「独自技術」として、米国など複数の国で特許出願しました。また、2015年には中国は日本を退け、インドネシアの高速鉄道受注に成功したのでした。
(中国の新幹線 CRH2)
言い方は悪いですが、「中国に技術を盗まれ、『独自技術』だと主張された訳です」。明らかに失敗。日本の新幹線の競合相手として各地で受注合戦を行うことになっている訳です。
ちなみに、台湾新幹線は車両を日本で製造し輸出しています。
【ARJ21、C919】
中国の国産旅客機として、ARJ21が開発され中国国内だけでなくインドネシアの航空会社へ販売されました。また、最近C919が中国国内で納入されました。
中国では、アメリカのマクダネル・ダグラス社のMD-80、MD-90を国内工場で生産していました。そして、国産機として開発されたのがARJ21です。
(ARJ21)
(MD-90)
そして、中国国内でヨーロッパのエアバス社のA320を製造していました。
その後、国産機として開発されたのがC919です。
(C919)
(A320)
それぞれ似ていませんか?
国産機といえども、外国から購入した部品やシステムもあるのですが。
『中国・複合機等の国家規格』の導入の先に何があるのか。
それは、外国の技術を(あえてこう言いますが)盗み、国産として、いずれ海外に輸出する。そういう危険性をはらんでいる訳です。
速報で、「中国政府の発表で、コロナ感染死は6万人」と報じられたほうです。さすがに、WHOからも指摘があり出した数字ですが、どこまで信用してよいものか。
ロシア軍が「死者数など」を少なく発表するのと同じです。
別の話になりますが。
中国の韓国、日本への「ビザ発給停止措置」ですが、ある記事で『成功体験』があるからだ、と。それは、タイ政府が中国からの入国者に対して水際対策を行うとして直後に取り下げた経緯があります。タイの観光産業にとって中国人は来てほしい存在。そのために中国政府の圧力に負けた結果です。
いろいろ不都合はあるでしょうが、日本政府には安易に負けないでほしいですね。中国国内での感染状況が治まるなど、ちゃんとした理由を元に水際対策の緩和、解除を行ってもらいたいものです。
長くなってしまいました。
では、また。