小さな町で幸せ探し

団塊世代の夫婦の日々・・
夫が生まれて育った故郷で暮らしています。
悲喜こもごものスローライフの物語。

話せる幸せ

2010-10-05 14:52:58 | 日記

今日は、文化祭に出した作品の搬出日だったので、受け取りに行ってきました。 

       

そして、意識が無く寝たきりの義母が、入院中の病院にも行きました。

空気が澄み切った静かな場所に、病院と施設が併設されています。
この先・・手前・右にすぐのところ。


面会に行くと、義母と同室の隣のベッドの方が
「死にかけているので面会は10分ほど待ってもらえませんか」
そう病院の方に言われ、受付前のコーナーで座って待っていました。
知らない人の死を待つという複雑な心境・・立場はなんとなく・・ 

ぼんやり待っていると、ずっとそこにいた
入院中と思しき男の方が、何やら話しかけてきました。
車椅子に腰掛け、テレビを見たり見なかったり・・
そんなに高齢とは思えないけど、60過~70歳か?

その方が「こんなん見ても食えんから、どもならん」と言われます。
訳すと「テレビの料理番組は、美味しそうだが食べられないからつまらない」
と、言ったところでしょうか。
如何にも生気を失ったような、か弱そうな物言いでした。
病院ですもの、生気がみなぎっていたら返って不思議ですが。

私「そうですよね、目の前に実際のごちそうがあるといいのにねぇ」
すると「パンにチーズのせたのが食いたい」と・・ささやかな願いを訴えられて。
私「パンにとろけるチーズをのせると美味しいんですよねぇ」
そして話が弾んで「ワシ、足をばっさり切って何処にも行かれへん」と。
テーブルの下に目をやると・・片足が付け根からありません。
私「まぁ!大変!事故に遭ったんですか?病気で切断したんですか?」
その方、それには答えず
「昨日もずっとここにワシを置いたまま、連れに来ないんや」
「今日も、ワシ・・ずっとここに放っておかれとる」って。
家族に向って言っているのか、病院に不満を言っているのか・・
多分、病院にしか現在の不幸を訴えられない立場の方なのでしょう。

            

死にかけているので10分待って・・が20分あまりになりました 

義母の隣のベッドが空き・・意識のない義母に声をかけて、
更に回復見込みのないことを担当の先生(医師)から聞き、戻りました。

帰途、チーズをのせたパンが食べたいと言った方を思い出し
話相手をするだけで、つかの間でも気晴らしができるなら・・・
あの方の家族は、足しげく病院に通っているのだろうか・・
などと、他人事ながら気になってしまいました。

やはり秋・・・なにかとセンチになってしまいます。