『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は最終回です。
◆食養道の「憲法」
この本の最後に、食養道を実践する人のため、「食養道憲法」ともいうべき通則が掲げられているのでご紹介しましょう。なお、当時は農薬の問題はなかったと思われるので、これらを実行する場合は無農薬の食材を調達する必要があると思います。また、これは病気の際の療養食ではないのでご注意ください。
1.主食
(イ)玄米の飯が最良で、これを主食とする場合は、副食物はごま塩少量か味噌汁一椀、または古沢庵二、三片で事足りる。多量の副食物を取ることはかえって有害である。
(ロ)玄米が困難な場合は、半搗米(はんつきまい=精米の度合いが5割程度の米)を推奨する。これを主食とする場合は、飯7割、副食物3割(野菜2割、動物質1割)とし、腹八分目と咀嚼を心掛けること。
2.副食物、及びおやつ
(イ)味噌汁は、白みそは不可。八丁味噌、から味噌がよい。以下、推奨品として、味噌漬、鉄火味噌、ごま味噌、ごま味噌汁、みそ焼き、みそ煮、ごまあえ、レンコン、ゴボウ、鶏肉の油炒り、タケノコ、ニシン、昆布の油炒り、小豆昆布巻、がんもどき、さつま汁、けんちん汁、等々(以下省略)。
(ロ)季節の野菜を用いること。「はしり」を避け、「しゅん」のもの、すなわち最も安価なものを用いる。
(ハ)国ちがいのものを避けること。外国産だけでなく、国内産でも遠隔地のものは避ける。
(ニ)自然のまま調理すること。野菜は皮をむかず、茹でこぼしの汁も捨てないこと。
(ホ)塩辛く煮て油でいためること。肉量を少なくして、野菜類を多く取る場合は、塩気と油気を多くすることを忘れてはならない。
(ヘ)海藻類(昆布、ひじき、わかめ、等)は有効な副食物なので努めて常食するのがよい。
(ト)副食物は、野菜が主で肉や魚は従であるということを忘れてはならない。肉類の中では川魚が最良。魚類は、味噌で料理して、頭から尻尾(しっぽ)まで、骨も皮も食べるのがよい。大根おろしか生姜をつけること。
(チ)禁忌物 - 間食をすること。副食物を食べすぎて主食を減らすこと。動物性質を多食すること。甘味品を多食すること。パン、ビスケット類、菓子類。酒類、コーヒー、サイダー、アイスクリーム等々。
以上です。おかずをたくさん食べることに慣れている現代人には、玄米とごま塩だけの食事は考えられないかもしれませんが、まずは実行できそうなものから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか?