前回は、初めてがんと診断された人が、がんに関する情報を収集するのに適した本をご紹介しましたが、今回は、がんの治療法についてもう少し詳しく知りたい人に向いていると思われる『帯津三敬病院「がん治療」最前線』(帯津良一:著、佼成出版社:2020年刊)という本をご紹介します。
この本の著者の帯津良一氏は、本ブログの「ホリスティック医学」でご紹介したように、食道がんを専門とする外科医だったそうですが、いくら手際よく手術をしても、がんが再発して戻ってくる患者さんが一向に減らないという悩みを抱えていたそうです。
そこで、できることは何でもやろうと考えて、中国の伝統的な医学や気功、ホメオパシーに至るまで様々な方法を研究し、独自のがん治療法を編み出したそうですから、今回のコロナ騒動で「できることは何でもやる」と言った人たちには、この人の努力と誠意をぜひ見習ってもらいたいものです。
この本では、例えば免疫療法については、治療法の歩みが分かりやすく書かれていて、
第1世代:免疫賦活剤(BCGや丸山ワクチン)
第2世代:サイトカイン治療(インターフェロンなど)
第3世代:活性化リンパ球治療
第4世代:樹状細胞ワクチン治療
第5世代:免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボなど)
と分類して順番に説明がなされているので、初心者でも理解しやすいのではないかと思われます。
また、臨床医として、実際のがん治療法の効果について語っているので、治療法の種類とその長所や短所を知るのにとても参考になると思われます。
例えば、化学療法(抗がん剤)については、嘔気(おうき)、倦怠感などの内面的な副作用以外に、脱毛、肌荒れ、体重減少等で見る見る生気が失われていくので、これほど人間の尊厳を引き裂くものはないと語っています。
ただし、誤解のないように申し添えておきますと、帯津氏は手術や抗がん剤を否定しているわけではなく、基本的には標準治療を支持しています。
したがって、代替医療を期待して帯津三敬病院を訪ねても失望する可能性がありますのでご注意ください。
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