転載 福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。
福井城址議論、失ったものと時間の大きさを痛感。敦賀、高浜での震災がれき焼却に不安の声大きい
2012年10月23日 | Weblog
■FBC・・・・2050年には県庁や市役所を移転ビジョン
2050年の県都・福井市を再設計する、ビジョンの骨子案が示され、県庁や市役所を移転し、福井城址公園の整備を明記している。
「ふくい県都ビジョン」の骨子案は、学識経験者やまちづくりの専門家でつくる、県都デザイン懇話会で県と市が示したもの。
この中では現在の福井城址は、城下町福井を象徴する最も重要な歴史資源とし、県庁や市の庁舎を移転し再配置することで、福井城址公園として整備するとしている。
このほか、足羽山や足羽川の保全、それに福井駅を中心とした基幹交通体系の整備などもあげていて、懇話会では今後3回程度の会合を開き、この案を正式な骨子とした上で、今年度中には「ふくい県都ビジョン」を策定する方針。・・・・・・
県外から来福される方が一様に驚き、呆れるのは福井城址に県庁などがあることだ。
当時の県庁・県議会でも大議論で、日本共産党は渡辺三郎さん(元県議)先頭に、城址に県庁建設は反対し、建築家などによる住民運動にもなった、と聞いた。
謙虚に住民の声を聞かないことで大きな資源を活かせないまま長期間が過ぎた。福井駅を降りても「観光周遊できない」と嘆かれている。あまりに失ったものと時間は大きい。
今も、住民の声を謙虚に聞かない県政がつづいているのではないか。
★
住民の声をきかない政治は市町にも。
市民、町民の間で心配の声があがる震災がれきの焼却を敦賀市、高浜町がおこなう。議会でも賛否が分かれている。
高浜の隣接の舞鶴市では市民が反対し、環境省も広域処理しなくても処理可能と判断し、「凍結」され、持ち込みを阻止したのに、隣町・高浜で焼却され、埋め立てされるとあって、市民のなかでも反対の声がひろがっている、という。焼却の煙は町の境を越えるのではないか、埋め立て地から汚染がひろがらないか、と、心配しているのである。
原発再稼働で近隣自治体住民に心配と不安を広げた福井県で、今度は震災がれきの焼却・埋め立てで、またしても騒動だ。
震災がれき処理の強行は、その放射性物質や化学物質汚染の拡大の懸念が払しょくできない、舞鶴などでは環境省の判断で「凍結」が実現して、なぜ敦賀、高浜ではそうならないのか、・・・疑問は怒りとなって広がります。
以下、報道と共産党宮城県委員会の見解です。
■福井・・・敦賀で26日に震災がれき試験焼却 福井県内初、高浜でも来月実施
福井県敦賀市は22日、東日本大震災により岩手県大槌町で発生したがれきについて、26日に同市櫛川の市清掃センターで試験焼却すると発表した。県内での試験焼却は初めて。また、高浜町も大槌町のがれきの試験焼却を同町水明の町清掃センターで11月4日に始めると発表した。安全性が確認されれば敦賀市は900トン、高浜町は700トンを本格的に受け入れる予定。
試験焼却するのは柱や角材、倒木などの木くずで、それぞれ3トンをJRコンテナとトラックで搬入。一般ごみに混ぜて焼却し、安全性を確認する。両市町とも、焼却前の放射性セシウム濃度を、国より厳しい1キロ当たり100ベクレル以下とする基準を設定している。
敦賀市廃棄物対策課は「市民に結果を説明し、理解を得た上で本格的な受け入れ、焼却をしたい。時期は年明け以降になる」としている。
敦賀市は、大槌町に隣接する岩手県山田町で破砕処理、木くずに加工する段階で、セシウム濃度と空間放射線量を測定。25日午後4時半ごろ市清掃センターに搬入し、コンテナと木くずの空間放射線量を測る。
試験焼却は26日午前8時半ごろに始める。飛灰や排ガスなどのセシウム濃度を調べた上で、29日に同市赤崎の最終処分場に持ち込み、埋め立て処分する。周辺の空間放射線量を測るほか、セシウム濃度などの検査結果も公表する。
市民を対象に25日午後4時半から、26日午前10時~正午に現場公開する。焼却灰は29日午後1時から公開する。
高浜町は4日午前8時半から町清掃センターで、運び込まれた木材チップを袋から取り出し、異物などがないか確認。一時的にごみをためる「ごみピット」に投入し、一般ごみと混ぜて試験焼却する。焼却灰は5日午前9時半から、同町下の町不燃物処分地に埋め立てる。
町は、試験焼却前後や埋め立て前後の敷地境界線の空間放射線量、焼却灰や排ガス、不燃物処分地の放流水中の放射性セシウム濃度などを測定。11月中に町のホームページで公表するほか、広報誌にも掲載する。・・・・・
■参考資料。日本共産党宮城県委員会の見解
1、宮城県のがれき処理をめぐる経過と8つの問題
横田有史県議団長は今年の六月県議会の一般質問で、宮城県のがれき処理をめぐる問題点を8つの角度から明らかにしました。
第一は、発災直後に仙台以外のがれき総量は一千五百十五万四千トン、処理費用は五千三百十三億円とされるペーパーが出回り、これが惨事便乗型でゼネコンが「活躍」する基礎となったことです。
第二に、曲折はありましたが、ほぼ談合情報通りの契約となったことです。県に届いたメールには、環境省とスーパーゼネコンが話し合い、「石巻ブロックは鹿島・清水、名亘ブロックは大林、仙台東は清水、気仙沼は大成」との割り振りが示されていました。結果は、表1の通り見事な談合ぶりを示すものとなりました。
第三に、それを支えた不透明な審査と異常な議会対応があったことです。県土木部予算の倍にも匹敵する石巻ブロックの約二千億円の契約をたった二日間の審議で採決が強行されました。プロポーザル方式による評価・審査は、最後まで評価者の名前や配点が伏せられ、落札できなかった業者の提案書は企業情報との理由で一切公表されませんでした。
第四に、はじめから県外処理に頼るゼネコン提案が当然視されたことです。石巻ブロックは、がれきの約四割を県外処理するというものでした。県は環境省には西日本以降での処理は放射能問題もあって困難と報告しながら、議会にはあたかも実現可能であるかのように偽った対応をしていました。
第五に、ゼネコン丸投げの仕掛けが巧妙に仕組まれたことです。代表企業は、建設業の総合評点値が千五百点以上とされ、全国で四十八社、宮城ではユアテックのみです。結局、県内では一社も代表企業になれない異常な発注劇が演出されました。
第六に、広域化と大手依存で処理の大きな遅れをつくったことです。県内には、表1に示すように、仮設焼却炉二十九基が稼働する予定です。しかし、広域化とゼネコン頼みにこだわり、処理全体が遅れました。仙台市は地元産廃業者を活用し、約百三十五万トンのがれきを三カ所で分散処理し、来年五月には完了予定です。
第七に、がれき総量の大きな見直しがあったにもかかわらず、広域処理の見直しをしなかったことです。県受託分について、契約時と見直し後の総量を比較できるようにしたのが表1ですが、石巻ブロックは当初の契約時の六四%も処理量が減っています。今年五月二十一日にがれき総量の大幅な見直しがありましたが、この時に冷静な決断をし、県内処理に転換していれば、また事態は違っていたと思います。
第八に、放射能問題に対する国の姿勢が問われています。今回のがれき処理は、その線量や濃度の多寡にかかわらず、従来の原発関連放射能汚染物の処理、すなわち百ベクレル以上の廃棄物はドラム缶に入れ、完全に密封し保管するという処理と明らかに異なる対応が推進されました。放射能の不安にまともに答えないまま広域処理をがむしゃらに進めてきた政府の態度は、全国に限りない混乱を持ち込みました。
2、いわゆる「広域処理」問題をどう考えるか
日本共産党宮城県議団は、がれき処理について、早く・安全に・地元力アップを原則に、県内処理を最大限追求するというのが基本であり、その上でどうしても処理できない場合は一定の広域で協力してもらうことは必要なことだと考えてきました。しかし、とくに石巻ブロックを中心に、当初からその大半を県外処理するスキームが当然視されなど、はじめから「広域処理ありき」で事が進められてきました。
横田議員は、六月議会で広域処理問題について、次のように述べました。
「私ども日本共産党は、北九州市をはじめ全国各地で広域処理の要請を受けとめて、協力していただいている自治体、住民のみなさんに、あらためて感謝の意を表するものです。知事としても、全国各地でがれきの広域処理の受け入れをめぐって多大な苦労をおかけしていることについて、礼節を尽くして感謝と謝意を届けるべきであります。同時に、がれきの総量が大幅に減ったもとで、宮城県のがれきの広域処理の計画を抜本的に見直し、最大限県内処理で行い、宮城県については広域処理を行わないでも済む方向を知事が決断すべき時期です」
横田議員は引き続き、九月県議会の予算特別委員会の総括質疑でも、党県議団の調査に石巻市が文書で「可燃物の広域処理についてはほぼ目途が立ちました」と答えていることも紹介し、知事の決断をあらためて求めました。
知事は、ついに北九州市との契約変更がありうることを認め、以下のように答えました。「もうこれ以上お願いしなくても大丈夫だという目途が立ってくれば、その時には御礼を言いながら、『結構でございます』ということがあるかもしれません」
さらに横田議員は、所管の環境生活農林委員会での質疑でも、北九州市への輸送に海上保安庁などが厳重な警備をしている異常な光景を指摘しつつ、できるだけ早い時期に見直しを決断するよう求めました。本木隆環境生活部長は「わかりました」と答えています。
この間、宮城県は広域処理の協力を検討していた大分県や愛知県などには丁重にお断りをするなど、費用対効果なども考慮に入れた慎重な対応をしてきました。北九州市とは来年三月末までの契約で、石巻分のがれき二万三千トンを処理してもらうことになっていますが、一トン当たりの処理単価が約二万七千円に対し、輸送費が約五万円ですから、県内処理すれば約一万五千円程度の単価で済むものを、たとえ全額国費だからと言っても、国民に復興増税までして生み出した財源の使い方として、はたして適切かどうかなど、多くの方々が素朴に疑問を持つのは当たり前です。来年四月以降、北九州市が年間処理可能量としている三万九千五百トンをあらためて契約するのかどうか、県議会の議論もふまえ注視していく必要があります。
3、宮城県におけるがれき処理の今後の課題
まず第一に、以下の方向で県内処理の拡大に全力をあげることが重要です。
①いっそう分別を徹底し、リサイクルに回せる量を拡大すること。
②県内の仮設焼却炉および既設も含めた活用と連携を図ること。
③県議会議員五十九名全員が参加する「いのちを守る森の防潮堤推進議員連盟」の活動を進め、がれきの将来に向けた活用を具体化すること。
④県の外郭団体である環境公社が管理運営する小鶴沢最終処分場は、まだ百十五万トンの余裕があり、広域処理が必要とされる不燃物の四十三万トンは地元合意を前提に最終的にはそこで処理することを検討すること。同処分場の水もれ問題は早急に解決すること。
⑤来年七月で完了する宮城東部ブロックには石巻分十万トンを要請すること。岩沼処理区も早く完了する予定と聞いており、石巻分を要請すること。来年八月で終了とされる山元処理区に建設したバイオマス発電所は、木くず処理のため期間延長すること。
こうした努力を重ねれば、高い輸送コストをかけて広域処理しなくとも県内で処理することができます。
第二に、表1に示すように、がれきの総量が大きく変わっています。それぞれの処理区の実態にあった契約変更が必要となっています。
石巻ブロックは、総量が六四%も減ったにもかかわらず、現場管理費や広域のための輸送費(一トン当たり約六万円)を高めに設定するなど、契約金額は二三%しか減額しないというずさんなものでしたが、そうしたごまかしや無駄づかいを許さない監視が必要になっています。
第三に、がれき処理はゼネコンのもうけのために行われるのではなく、震災復興につながるように、地元企業や地元雇用を重視して進める必要があります。
最近、気仙沼処理区で働くダンプ労働者から党県議団に十トンダンプの報酬(一日当たりの契約単価)が三万六千円でしかなく、これではやっていけないとの訴えがありました。県の震災廃棄物対策課にただちにダンプの労務単価や契約時単価を調べてもらいました。その結果、各処理区で四万円から五万円の契約となっていることが判明しました。その後、先のダンプ労働者も「最低四万円の保障、距離で割増しする」となったそうです。こうしたがれき処理で働く労働者の健康管理および生活と権利を守るたたかいが、これからますます重要になっています。
福井城址議論、失ったものと時間の大きさを痛感。敦賀、高浜での震災がれき焼却に不安の声大きい
2012年10月23日 | Weblog
■FBC・・・・2050年には県庁や市役所を移転ビジョン
2050年の県都・福井市を再設計する、ビジョンの骨子案が示され、県庁や市役所を移転し、福井城址公園の整備を明記している。
「ふくい県都ビジョン」の骨子案は、学識経験者やまちづくりの専門家でつくる、県都デザイン懇話会で県と市が示したもの。
この中では現在の福井城址は、城下町福井を象徴する最も重要な歴史資源とし、県庁や市の庁舎を移転し再配置することで、福井城址公園として整備するとしている。
このほか、足羽山や足羽川の保全、それに福井駅を中心とした基幹交通体系の整備などもあげていて、懇話会では今後3回程度の会合を開き、この案を正式な骨子とした上で、今年度中には「ふくい県都ビジョン」を策定する方針。・・・・・・
県外から来福される方が一様に驚き、呆れるのは福井城址に県庁などがあることだ。
当時の県庁・県議会でも大議論で、日本共産党は渡辺三郎さん(元県議)先頭に、城址に県庁建設は反対し、建築家などによる住民運動にもなった、と聞いた。
謙虚に住民の声を聞かないことで大きな資源を活かせないまま長期間が過ぎた。福井駅を降りても「観光周遊できない」と嘆かれている。あまりに失ったものと時間は大きい。
今も、住民の声を謙虚に聞かない県政がつづいているのではないか。
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住民の声をきかない政治は市町にも。
市民、町民の間で心配の声があがる震災がれきの焼却を敦賀市、高浜町がおこなう。議会でも賛否が分かれている。
高浜の隣接の舞鶴市では市民が反対し、環境省も広域処理しなくても処理可能と判断し、「凍結」され、持ち込みを阻止したのに、隣町・高浜で焼却され、埋め立てされるとあって、市民のなかでも反対の声がひろがっている、という。焼却の煙は町の境を越えるのではないか、埋め立て地から汚染がひろがらないか、と、心配しているのである。
原発再稼働で近隣自治体住民に心配と不安を広げた福井県で、今度は震災がれきの焼却・埋め立てで、またしても騒動だ。
震災がれき処理の強行は、その放射性物質や化学物質汚染の拡大の懸念が払しょくできない、舞鶴などでは環境省の判断で「凍結」が実現して、なぜ敦賀、高浜ではそうならないのか、・・・疑問は怒りとなって広がります。
以下、報道と共産党宮城県委員会の見解です。
■福井・・・敦賀で26日に震災がれき試験焼却 福井県内初、高浜でも来月実施
福井県敦賀市は22日、東日本大震災により岩手県大槌町で発生したがれきについて、26日に同市櫛川の市清掃センターで試験焼却すると発表した。県内での試験焼却は初めて。また、高浜町も大槌町のがれきの試験焼却を同町水明の町清掃センターで11月4日に始めると発表した。安全性が確認されれば敦賀市は900トン、高浜町は700トンを本格的に受け入れる予定。
試験焼却するのは柱や角材、倒木などの木くずで、それぞれ3トンをJRコンテナとトラックで搬入。一般ごみに混ぜて焼却し、安全性を確認する。両市町とも、焼却前の放射性セシウム濃度を、国より厳しい1キロ当たり100ベクレル以下とする基準を設定している。
敦賀市廃棄物対策課は「市民に結果を説明し、理解を得た上で本格的な受け入れ、焼却をしたい。時期は年明け以降になる」としている。
敦賀市は、大槌町に隣接する岩手県山田町で破砕処理、木くずに加工する段階で、セシウム濃度と空間放射線量を測定。25日午後4時半ごろ市清掃センターに搬入し、コンテナと木くずの空間放射線量を測る。
試験焼却は26日午前8時半ごろに始める。飛灰や排ガスなどのセシウム濃度を調べた上で、29日に同市赤崎の最終処分場に持ち込み、埋め立て処分する。周辺の空間放射線量を測るほか、セシウム濃度などの検査結果も公表する。
市民を対象に25日午後4時半から、26日午前10時~正午に現場公開する。焼却灰は29日午後1時から公開する。
高浜町は4日午前8時半から町清掃センターで、運び込まれた木材チップを袋から取り出し、異物などがないか確認。一時的にごみをためる「ごみピット」に投入し、一般ごみと混ぜて試験焼却する。焼却灰は5日午前9時半から、同町下の町不燃物処分地に埋め立てる。
町は、試験焼却前後や埋め立て前後の敷地境界線の空間放射線量、焼却灰や排ガス、不燃物処分地の放流水中の放射性セシウム濃度などを測定。11月中に町のホームページで公表するほか、広報誌にも掲載する。・・・・・
■参考資料。日本共産党宮城県委員会の見解
1、宮城県のがれき処理をめぐる経過と8つの問題
横田有史県議団長は今年の六月県議会の一般質問で、宮城県のがれき処理をめぐる問題点を8つの角度から明らかにしました。
第一は、発災直後に仙台以外のがれき総量は一千五百十五万四千トン、処理費用は五千三百十三億円とされるペーパーが出回り、これが惨事便乗型でゼネコンが「活躍」する基礎となったことです。
第二に、曲折はありましたが、ほぼ談合情報通りの契約となったことです。県に届いたメールには、環境省とスーパーゼネコンが話し合い、「石巻ブロックは鹿島・清水、名亘ブロックは大林、仙台東は清水、気仙沼は大成」との割り振りが示されていました。結果は、表1の通り見事な談合ぶりを示すものとなりました。
第三に、それを支えた不透明な審査と異常な議会対応があったことです。県土木部予算の倍にも匹敵する石巻ブロックの約二千億円の契約をたった二日間の審議で採決が強行されました。プロポーザル方式による評価・審査は、最後まで評価者の名前や配点が伏せられ、落札できなかった業者の提案書は企業情報との理由で一切公表されませんでした。
第四に、はじめから県外処理に頼るゼネコン提案が当然視されたことです。石巻ブロックは、がれきの約四割を県外処理するというものでした。県は環境省には西日本以降での処理は放射能問題もあって困難と報告しながら、議会にはあたかも実現可能であるかのように偽った対応をしていました。
第五に、ゼネコン丸投げの仕掛けが巧妙に仕組まれたことです。代表企業は、建設業の総合評点値が千五百点以上とされ、全国で四十八社、宮城ではユアテックのみです。結局、県内では一社も代表企業になれない異常な発注劇が演出されました。
第六に、広域化と大手依存で処理の大きな遅れをつくったことです。県内には、表1に示すように、仮設焼却炉二十九基が稼働する予定です。しかし、広域化とゼネコン頼みにこだわり、処理全体が遅れました。仙台市は地元産廃業者を活用し、約百三十五万トンのがれきを三カ所で分散処理し、来年五月には完了予定です。
第七に、がれき総量の大きな見直しがあったにもかかわらず、広域処理の見直しをしなかったことです。県受託分について、契約時と見直し後の総量を比較できるようにしたのが表1ですが、石巻ブロックは当初の契約時の六四%も処理量が減っています。今年五月二十一日にがれき総量の大幅な見直しがありましたが、この時に冷静な決断をし、県内処理に転換していれば、また事態は違っていたと思います。
第八に、放射能問題に対する国の姿勢が問われています。今回のがれき処理は、その線量や濃度の多寡にかかわらず、従来の原発関連放射能汚染物の処理、すなわち百ベクレル以上の廃棄物はドラム缶に入れ、完全に密封し保管するという処理と明らかに異なる対応が推進されました。放射能の不安にまともに答えないまま広域処理をがむしゃらに進めてきた政府の態度は、全国に限りない混乱を持ち込みました。
2、いわゆる「広域処理」問題をどう考えるか
日本共産党宮城県議団は、がれき処理について、早く・安全に・地元力アップを原則に、県内処理を最大限追求するというのが基本であり、その上でどうしても処理できない場合は一定の広域で協力してもらうことは必要なことだと考えてきました。しかし、とくに石巻ブロックを中心に、当初からその大半を県外処理するスキームが当然視されなど、はじめから「広域処理ありき」で事が進められてきました。
横田議員は、六月議会で広域処理問題について、次のように述べました。
「私ども日本共産党は、北九州市をはじめ全国各地で広域処理の要請を受けとめて、協力していただいている自治体、住民のみなさんに、あらためて感謝の意を表するものです。知事としても、全国各地でがれきの広域処理の受け入れをめぐって多大な苦労をおかけしていることについて、礼節を尽くして感謝と謝意を届けるべきであります。同時に、がれきの総量が大幅に減ったもとで、宮城県のがれきの広域処理の計画を抜本的に見直し、最大限県内処理で行い、宮城県については広域処理を行わないでも済む方向を知事が決断すべき時期です」
横田議員は引き続き、九月県議会の予算特別委員会の総括質疑でも、党県議団の調査に石巻市が文書で「可燃物の広域処理についてはほぼ目途が立ちました」と答えていることも紹介し、知事の決断をあらためて求めました。
知事は、ついに北九州市との契約変更がありうることを認め、以下のように答えました。「もうこれ以上お願いしなくても大丈夫だという目途が立ってくれば、その時には御礼を言いながら、『結構でございます』ということがあるかもしれません」
さらに横田議員は、所管の環境生活農林委員会での質疑でも、北九州市への輸送に海上保安庁などが厳重な警備をしている異常な光景を指摘しつつ、できるだけ早い時期に見直しを決断するよう求めました。本木隆環境生活部長は「わかりました」と答えています。
この間、宮城県は広域処理の協力を検討していた大分県や愛知県などには丁重にお断りをするなど、費用対効果なども考慮に入れた慎重な対応をしてきました。北九州市とは来年三月末までの契約で、石巻分のがれき二万三千トンを処理してもらうことになっていますが、一トン当たりの処理単価が約二万七千円に対し、輸送費が約五万円ですから、県内処理すれば約一万五千円程度の単価で済むものを、たとえ全額国費だからと言っても、国民に復興増税までして生み出した財源の使い方として、はたして適切かどうかなど、多くの方々が素朴に疑問を持つのは当たり前です。来年四月以降、北九州市が年間処理可能量としている三万九千五百トンをあらためて契約するのかどうか、県議会の議論もふまえ注視していく必要があります。
3、宮城県におけるがれき処理の今後の課題
まず第一に、以下の方向で県内処理の拡大に全力をあげることが重要です。
①いっそう分別を徹底し、リサイクルに回せる量を拡大すること。
②県内の仮設焼却炉および既設も含めた活用と連携を図ること。
③県議会議員五十九名全員が参加する「いのちを守る森の防潮堤推進議員連盟」の活動を進め、がれきの将来に向けた活用を具体化すること。
④県の外郭団体である環境公社が管理運営する小鶴沢最終処分場は、まだ百十五万トンの余裕があり、広域処理が必要とされる不燃物の四十三万トンは地元合意を前提に最終的にはそこで処理することを検討すること。同処分場の水もれ問題は早急に解決すること。
⑤来年七月で完了する宮城東部ブロックには石巻分十万トンを要請すること。岩沼処理区も早く完了する予定と聞いており、石巻分を要請すること。来年八月で終了とされる山元処理区に建設したバイオマス発電所は、木くず処理のため期間延長すること。
こうした努力を重ねれば、高い輸送コストをかけて広域処理しなくとも県内で処理することができます。
第二に、表1に示すように、がれきの総量が大きく変わっています。それぞれの処理区の実態にあった契約変更が必要となっています。
石巻ブロックは、総量が六四%も減ったにもかかわらず、現場管理費や広域のための輸送費(一トン当たり約六万円)を高めに設定するなど、契約金額は二三%しか減額しないというずさんなものでしたが、そうしたごまかしや無駄づかいを許さない監視が必要になっています。
第三に、がれき処理はゼネコンのもうけのために行われるのではなく、震災復興につながるように、地元企業や地元雇用を重視して進める必要があります。
最近、気仙沼処理区で働くダンプ労働者から党県議団に十トンダンプの報酬(一日当たりの契約単価)が三万六千円でしかなく、これではやっていけないとの訴えがありました。県の震災廃棄物対策課にただちにダンプの労務単価や契約時単価を調べてもらいました。その結果、各処理区で四万円から五万円の契約となっていることが判明しました。その後、先のダンプ労働者も「最低四万円の保障、距離で割増しする」となったそうです。こうしたがれき処理で働く労働者の健康管理および生活と権利を守るたたかいが、これからますます重要になっています。