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アストラゼネカのワクチンを接種した。



コンピューターに接種記録が残るだけで、証明書などが出るわけではない。
こちらのカード裏面には接種日とワクチンの生産管理ナンバー、「二回目忘れないでね」と記載されているのみ。
これがいずれはワクチンパスポートの類になるのだろうか。



ついに!

英国は、4月中旬までに新型コロナウイルスのワクチン接種優先グループに、7月末までには18歳以上の成人に少なくとも一回目の接種順番が回ってくる計画を立てており、ついにわたしと夫も予定通り一回目の摂取を受けた。

ワクチンは先週から欧州で大騒ぎしているアストラゼネカ製のワクチンだった。


先週、NHS(国民保険サービス。医療は無料である)から、SNSで順番が回ってきた旨の連絡があった。
自分の都合のいい日時と場所を選ぶ。
わたしの場合は州の大病院か、近所の公民館だったので、迷わず公民館を選んだ。

当日は入り口でボランティアの方に消毒ジェルをもらい、熱をはかってもらう。
受付で名前と生年月日を告げてチェックインし、三人で実働している「注射してくれる人」のブースのうちの椅子が空いたところへ行く。
名前などを再確認後、熱はあるか、最近新型コロナにかかったか、薬は飲んでいるかなど一般的な質問をされ、ワクチンの安全性について一通り拝聴した後、肩の下あたりに接種。全部で5分もかからなかった。
接種後は15分間車の運転禁止。
副反応もなし。

二回目は10週間後になる予定。5月末頃だろうか(今月末から1ヶ月ほど供給が遅れる見込みだそうだ)。

ちなみに医学部生の娘も、すでにアストラゼネカ製のワクチンを受けている。
家族内に一人くらいファイザー製がいてもよかったかも(特に理由はないがなんとなく)。


英国は世界でも新型コロナウイルスワクチン接種に抵抗がない人が多く、昨日は、保健相マット・ハンコックが、接種を受けた人が2千五百万人を超えたと誇らしげに発表した。
英国人口はだいたい六千七百万ほどなので、すでに国民の3割以上が少なくとも一回目、18歳以上の大人のでは4割以上が受けたことになる。


わたしは世界の中でも早いうちに接種することになるだろう見通しだったので、シロウトができる限られた範囲ではあるが、新聞記事や本を読んだり、インタビューやレクチャーを見たりした。

例えば峰宗太郎・山中浩之共著『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアシリーズ出版)という本は理解の助けになった。おすすめします。

この本によると、わたしが接種した、アストラゼネカのワクチン「ベクターワクチン」は、

「ウイルスの成分のタンパク質を『ヒトの身体のなかで』作らせ」るために「ウイルスの一部のタンパク質の設計図にあたるものを打ち込んで、ヒトの体内で作って、免疫系を刺激」
「人間の身体のタンパク質製造システムを使って、ウイルスの成分を作ろう」という点で(中略)生ワクチンや不活性ワクチン、そして成分ワクチン(中略)とは考え方が大きく違う」(以上『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』より)
 
のだそうですよ。
摂取を受けた後、自分の身体の中でこういう活動が起きていると想像したらおもしろい。

峰先生の、科学的な姿勢(ご本人がおっしゃっているわけではないが、カール・ポパーの反証可能性「ある言明が観察や実験の結果によって否定あるいは反駁される可能性をもつこと」)が風通しがよくてとても好ましいと思った。


その上で、先日3月10日以降、「血栓塞栓症」につながる可能性があるというので、欧州各国その他でアストラゼネカワクチンの摂取を中断したのは、より政治的な判断だったのかなという印象を受けた。

新技術に対して、躊躇したり、不安になったりというのは正しい動きだとは思うが。
また、日本のようにに感染者も死者も比較的少ない国で使用するのはどうなのか、とも思う(こちらは死者の数が半端じゃない)。

英国にはとんでもないところもあるにしても、メディアや学術が独立して機能しているところだけは誉めたい(笑)。

昨日は昨日で欧州は暗に英国を名指しし、「ワクチンを欧州に供給しない国には、欧州側からも輸出しない」と。
欧州では摂取の中断で当然摂取ペースに遅れが出、それでなくても欧州には一般にワクチンを嫌う人が多いのに、中断したことによってますます不安感が広がっている。評判の悪いアストラゼネカのワクチンは欧州で余って破棄されているそうだが、今後どうなるのだろう。

新型コロナに限っては、「一人勝ち」とか「富者だけが勝つ」というのはあり得ない。

世界は繋がっているのだ。
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