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シルクロードは遠く




ロックダウン三回目という、時空のポケットのような場所に囚われて、過去にも未来にも妄想旅行だけは自由自在の昨今である。

どこから始めようかな...


今、読んでいる本がとてもエキサイティングな本だ。

西洋史を、東方からやってくる匈奴やフン族、オスマン・トルコ等のプレッシャーによって形成された視点から読み解く、新井政美著『オスマンvs.ヨーロッパ 〈トルコの脅威〉とは何だったのか』 講談社学術文庫で...

もう初っ端から、わたしのような幼稚な読み方しかできない読者にも言いたいことがたくさん。


例えば、わたしは1981年から放送されたNHK特集『シルクロード』に夢中になり、世界と歴史への憧れをひたすら紡いだ子供だった。
もちろん、本も全巻買ってもらった。
井上靖や江上波夫の本も読んだ。父が陳舜臣と面識があったので、一緒に呑んだ話を聞くのは喜びだった。


シルクロードに散りばめられたきらめく星のような魅惑的なキーワード、敦煌、楼蘭、ロプノールのさまよえる湖、タクラマカン砂漠、サマルカンド。

大月氏や大夏や突厥などの神秘的な民族。

なんと大雑把なとプロを驚かせてしまうような感想だろうが、当時は百科事典を調べても「ほとんど分かっていない」「記録が残されていない」としか書かれていなかった街や民族の輪郭が、2021年出版の『オスマンvs.ヨーロッパ 〈トルコの脅威〉とは何だったのか』描かれていて、40年前のわたしに教えてやることができればどんなにいいだろうと思う。

あのころは、消えた(吸収された)民族の、顔形や服装や、言葉や宗教、音楽を想像しては、ひたすらもどかしく感じ、同時に自分を壮大なロマンに一体化して甘美な気持ちにひたったのだった。

ウィキペディアでキーワードを検索してみても、この40年の間に研究は進み、当時は分かっていなかったことが次々と解析されているのだ...と分かってありがたい。拝みたいくらい。



上の写真の歴史便覧、奇しくも昭和57年出版のもの。
中東、アメリカ、ベルギーに住んだ時も引っ越し荷物に入っていたし、今、英国でも大切に持っている。

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