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『神秘の子羊』をめぐる冒険





最初のロックダウンが始まった去年の今頃。

復活祭の定番は仔羊の肉だが、わが家ではできるだけ赤ん坊の肉(仔羊や仔牛、雛鳥など)を食べないようにしているため、ベルギー人の夫が子供の頃に親しんだたという「仔羊の形のケーキ」を代わりに焼いてはどうかと言った。

しかし、どのネットショップも復活祭当日までに間に合いそうな配達状況ではなかったので、2021年の復活祭に持ち越し...

という話(復活祭、神秘の子羊)を書いた。


あれからもう1年経ったのですね!


その記事をご覧になったパリにお住まいのYさんから、ご近所でお菓子の仔羊を見かけられたと、愛らしくも高貴な仔羊(さすがパリ)の写真を送っていただいて、2021年は絶対に焼くぞとその気になっていたのだった。
Yさん、お元気かしら。

送っていただいたパリの仔羊様の写真がわたしの中では理想となり、これに似た型を探し回ったのだが、見つからない!
結局上の写真の型に決めた。ドイツ製。えええ...パリのと違う、違いすぎる(笑)。


この仔羊は人間の贖罪のために死んだイエス・キリストその人であり、中身にはフランボワーズなどの赤いジャムを仕込み、聖書の記述通り、「仔羊の胸の傷口から血があふれるが、苦悶の様子は見せない」演出をする。


ベルギー、ゲントの聖バーフ大聖堂に残る、フーベルトとヤン・ファン・エイク兄弟の作品『神秘の子羊』にその姿が見られる(下の写真、ちょうど真ん中あたりに鳩のかたちをとる聖霊が飛翔しており、その下に子羊が)。

去年、2020年が明けた頃、なんとなくゲントに行こうという気持ちになってこの聖堂を訪れたら、3年ぶりに『神秘の子羊』が公開されるその当日だった、というのも懐かしい(ゲントの『神秘の子羊』に呼ばれた話)


色鮮やかな天国で、天使や聖人、善男善女に囲まれる子羊...

写真技術が発達してもわれわれは天上に行って天上の写真を撮ってくることはできない。


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