ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

いよいよJR北海道の鉄道路線の大整理(?)が始まるか

2016年07月30日 14時34分27秒 | 社会・経済

 今年の12月4日に、留萌本線の留萌〜増毛が最終運行を迎えます(翌日が廃止日です)。1980年代の特定地方交通線の廃止を典型的な例として、北海道では鉄道路線の廃止が相次ぎ(例、1995年の深名線、2006年の北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線、2014年の江差線の木古内〜江差)、駅の廃止も相次ぎました。今年3月のダイヤ改正では、札沼線の末端区間である浦臼〜新十津川がたったの一往復になるなど、減量が非常に目立ちます。日高本線の鵡川〜様似も運休したままです。

 2016年5月27日12時21分46秒付の「JR北海道、特急の運転区間短縮などを提言へ」において紹介したように、JR北海道は、今年の4月に地域交通改革部を設置しました。鉄道事業の縮小、すなわち、鉄道路線の廃止や駅の廃止を進めていくためでしょう。何らかの動きがあるとは予測できたところですが、7月29日、JR北海道の島田修社長は鉄道事業の抜本的見直しを正式に表明しました。産経新聞社も29日の20時42分付で「JR北海道、維持困難線区を秋にも公表 地元と協議へ『経営極めて厳しい』」(http://www.sankei.com/economy/news/160729/ecn1607290062-n1.html)として報じていますが、やはり北海道新聞社が7月30日6時50分付で報じた「16区間維持困難か JR北海道事業見直しへ 地元と協議目指す」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0298769.html)のほうが詳しいので、基本的に後者に拠りつつ、記していきます(なお、全文を読もうとするとIDとパスワードを要求されるので、今回は一部分のみ読みました)。

 社長の表明では具体的な言及が避けられたようですが、この秋までにJR北海道「単独では維持困難な線区」を公表することになります。その上で、当該線区について沿線自治体と協議に入る模様です。北海道新聞社は「厳しい経営状況を踏まえて輸送密度2千人未満の線区を対象にするとみられ」ると想定しており、「JRは今回の提案を、国鉄分割民営化で会社が発足して以来の改革と位置付けており、道内鉄道網の見直しが一気に進む可能性もある」とも記しています。

 輸送密度2000人未満というと、1980年代の第一次特定地方交通線と同水準と考えてよいでしょう。この時も北海道での廃止路線が多くなりました。2014年度の輸送密度が記事の図に示されていますが、次の通り、かなり深刻な状態です。

 500人未満:留萌本線の全線(深川〜留萌〜増毛)、宗谷本線の名寄〜稚内、釧網本線の全線(網走〜東釧路)、根室本線の滝川〜富良野〜新得および釧路〜根室(花咲線と言われる区間)、日高本線の全線(苫小牧〜様似)、札沼線の北海道医療大学〜新十津川、石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)

 500人以上2000人未満:函館本線の長万部〜小樽、室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢、富良野線の全線(旭川〜富良野)、宗谷本線の旭川〜名寄、石北本線の全線(新旭川〜網走)

 2000人以上:江差線の五稜郭〜木古内(現在は道南いさりび鉄道の路線)、海峡線の全線(中小国〜木古内。現在は北海道新幹線の一部であるが、貨物路線などとして残る)、函館本線の函館〜長万部および小樽〜旭川、室蘭本線の長万部〜沼ノ端、千歳線の全線(沼ノ端〜白石および南千歳〜新千歳空港)、石勝線の南千歳〜新得、根室本線の新得〜釧路、札沼線の桑園〜北海道医療大学

 不明:室蘭本線の東室蘭〜室蘭(2000人以上?)

 北海道新聞社は11路線16区間としていますが、区間数が合いません。数え方などが異なるのかもしれません。路線数は合っていますので、ここは話を先に進めましょう。

 仮に輸送密度2000人未満の路線を廃止するということになれば、留萌本線、宗谷本線、釧網本線、日高本線、富良野線、石北本線の全線が廃止されるということになります。函館本線の長万部〜小樽については、北海道新幹線の延伸に伴い第三セクターなどへの移管も考えられますが、引き受け手があるのかどうかわからず、廃止の可能性も否定できません。これらの路線の全線が廃止されないとしても、大幅な減便、駅の廃止などは避けられないでしょう。

 元々人口が少なかった上に、札幌市への人口集中、いっそうの過疎化、少子高齢化、モータリゼイションの進展などで、JR北海道には黒字路線が一つもないだけでなく、一部の路線を除いて乗降客の減量が著しくなっています。また、九州と同様に高速バスなども発達しているようで、鉄道よりもバスのほうが利便性が高いという地域も少なくないようです。それで鉄道の存続を要求するというのはどういうことなのか、という疑問が、その地域に対して寄せられるべきです。鉄道の存続を求めるならば、まずは自家用車と高速バスの利用を止めなさい、と。それができないのであれば、鉄道の廃止は仕方のないところです。何故なら、口では廃止反対を叫んでも、態度が異なっているからです(不要であると口にしないだけでしょう。交通問題についての言行一致は10代の人くらいでしょうか?)。

 また、JR北海道の場合、除雪費用などの問題もあります。発足以来、三島会社の一つとして、経営基盤が脆弱であると見られてきました。そのためなのか、安全対策費や修繕費について先送りが続けられました。ここ数年頻発した重大事故の原因と考えてよいでしょう。当然、先送りにすればするほど、これらの費用はかさみます。車両ならば新車に変えればよいだけのことですが(これも大変な費用が必要なことではあります)、線路、信号、トンネル、橋などについては、そう簡単に新品に変えればよいということになりません。まして、酷寒の地ですから耐用年数なども短くなるでしょう。整備や修繕には他の地方よりも多くのお金がかかるはずです。

 現在、JR北海道が走らせているのは火の車、というのは悪い冗談になってしまって申し訳ないのですが、2017年3月期には経常損益がマイナス175億円程度になると見られています。今後もこれより赤字は減らないというのです。そうなると、輸送密度の低い路線は赤字の垂れ流し以外の何物でもないとして廃止の対象として検討されざるをえません。北海道新聞社の記事によると、輸送密度2000人未満の路線の赤字が合計で200億円ほどであるようです。そもそも、輸送密度2000人未満では鉄道路線を運行するだけの意味に乏しく、JR北海道が単独で路線を維持することも相当に困難でしょう。他の地方の私鉄では、これより密度が高い路線でも廃止になったりしています。地域の差、個別の事情を考慮に入れるとしても、一日あたりの乗降客数が一桁という駅を多数抱えているような路線では、どれだけの存在意義かを問われかねません。

 もっとも、まだ詳細は公表されていません。上にあげた輸送密度2000人未満の路線・区間でも、存続するところもあるかもしれません。ただ、500人未満の路線は廃止が前提とされるでしょう。

 いずれにせよ、「単独では維持困難な線区」が公表されたら「沿線自治体への経営状況の説明に着手し、線区ごとに協議会の設立などにつなげ」るのでしょう。いきなり廃止を提案することもありえますし、存続のための条件闘争に持ち込まれることもあるでしょう。北海道新聞社は、JR北海道が「協議では、減便、運賃引き上げ、駅や鉄道施設を自治体などが保有しJRは運行に専念する『上下分離方式』など幅広い提案を行い、路線維持の可否を相談する。その上で、廃止に伴うバス転換なども検討する」と書いています。この点では特定地方交通線の時よりもマイルドな手法を採るということでしょうか。

 いずれにしても、差し迫った事態となっていることは否定できません。仮に、輸送密度2000人未満の路線が存続するとしても、廃止は時間の問題であることに変わりはないでしょう。実際に、深名線は特定地方交通線に指定されそうになったところを、沿線の道路事情を理由に存続したのですが、結局廃止されました。北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線は、北海道において特定地方交通線に指定されながら第三セクター化されて存続した唯一の鉄道路線ですが、存続に無理があったとも言えますし、地元自治体が覚悟を決めても存続が困難であることが多いということを改めて示しました(地元の反対により、極端に利用客が少ない駅の廃止を進められなかったことも、小さいながら一つの問題ではあったでしょう)。路線バス化も、地域にとっては問題の先送りのようなものです。どちらに転んでも難しい問題ではあります。

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昨日(7月28日)に実施した前期末試験の問題について

2016年07月29日 00時06分13秒 | 受験・学校

 私の「川崎高津公法研究室」(http://kraft.cside3.jp)には、行政法および税法の過去問(私が担当している科目の一部です)を掲載しています。

 そこで、昨日行った前期末試験についても掲載することといたしますが、追試の日程などの関係で、8月中旬になることを記しておきます。

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三江線は廃止されるか(続)

2016年07月20日 12時44分00秒 | 社会・経済

 2015年10月17日15時2分21秒付で「三江線は廃止されるか」という記事を投稿しました。今回はその続編です。

 朝日新聞社が、今日の3時付で「島根)三江線問題、JR西日本に存続要請へ 同盟会決定」として報じています(http://www.asahi.com/articles/ASJ7L77PZJ7LPTIB00R.html)。

 今月18日、三江線の沿線6市町村の長などがメンバーとなっている「三江線改良利用促進期成同盟会」は総会を開催しました。この会はこれまで、三江線について代替バスか鉄道かということで検討をしてきたとのことですが、鉄道での存続をJR西日本に求めていく方針を決めました。さらに、広島県と島根県から選出された国会議員にも要請をするとのことです。

 しかし、状況が厳しさを増していることに変わりはありません。2014年度における1日平均の利用者は183人、輸送密度は50人で、JR北海道札沼線の北海道医療大学⇄新十津川より低い数字でした。2015年度の実績がどうなのかわかりませんが、改善されたとしても微々たるものでしょう。この程度の利用者数と輸送密度であれば、路線バスでも採算が合うのかどうかわからない(否、おそらく合わない)というところではないでしょうか。JR北海道と同様に、JR西日本についても「選択と集中」の必要性があるのかもしれません。ただ、これを実行するとなると広島県北部や島根県の交通体系は崩れる可能性が高くなります。

 最近、国鉄の分割民営化が本当に必要であったのか、最善の策であったのかどうか、疑問に思えてきました。

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講義「税法」(月曜日3限。大東文化大学法学部)の夏期休暇課題

2016年07月17日 21時57分03秒 | 受験・学校

 私が月曜日3限に大東文化大学板橋校舎で担当している「税法」(法学部法律学科)ですが、今年度は前期末試験を行わず、夏期休暇課題に変更することを、既にお知らせしております。

 ようやく、課題が決まりましたので、ここに示しておきます。

 

 ◎次のうちから1つのみを選んでください。

 設問1:

 租税負担公平の原則について、その意味を説明しなさい。また、平成29年4月1日に、消費税・地方消費税の税率引き上げ(8%→10%)と同時に導入が予定されていた軽減税率について、租税負担公平の原則との関係でいかなる問題点があるのか、給付付き税額控除についてはどうであるかについて論じなさい。

 

 設問2:

 大嶋サラリーマン税金訴訟最高裁大法廷判決(最大判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁)を読み、この訴訟において争われた給与所得の問題点について論じなさい。なお、立法裁量論や特定支出控除(所得税法第57条の2)についても必ず論じること。また、いかなるものがサラリーマンの必要経費と考えられるか、自分でよく考えて例を設定し、論述の中で記すこと(自分自身の例、親族の例など、身近な例を利用するとよい)。

 

 締切期日:9月19日(月)

 提出方法:次のいずれかの方法によります。

      ①9月19日の講義の際に提出する。

      ②9月19日までに2号館9階のメールボックスに入れる。

      ③9月19日までに講義担当者にメールで送る(都合上、ここではメールアドレスを省略します)。

 字数:3000字以上(上限なし。参考文献は字数に含めず)。ワープロ、パソコンの場合は、1行あたりの字数と1頁あたりの行数を明示して下さい。手書きの場合は、400字詰め原稿用紙を使用し、万年筆またはボールペンで記してください(鉛筆、シャープペンシルなどは不可とします。

 注意:

 ①参考文献を必ずあげること。但し、判決(判例集)、六法、辞書などは参考文献となりません。また、官公庁のサイト以外のサイトを引用した場合は減点するとともに、教科書や参考資料の丸写しなどで終わっているものは、未提出とみなします。

 ②レポートの提出がない場合には、単位の認定をいたしません。

 

 以上については、7月18日の講義において説明します。

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前期末試験について(続)

2016年07月13日 14時53分48秒 | 受験・学校

 前期末試験の日程などについて、記しておきます。なお、変更点があります。

 〔1〕税法(月曜日3限)

 当初、定期試験期間内に前期末試験を行う予定でしたが、夏季休暇課題(レポート)に変更します。詳細は後日に発表します。

 〔2〕法学特殊講義2A(財政法A。火曜日2限)

 前期末試験は行いません。レポートによる評価となります(8月5日締め切り)。詳細はDB PORTALを御覧ください。

 〔3〕行政法1・行政法1A(木曜日1限)

 7月28日(木)の1限に前期末試験を行います。参照は一切不可です。

 〔4〕基本法学概論・基本法学概論A(木曜日2限)

 7月21日(木)の2限に前期末試験を行います。参照は一切不可です。

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自由が丘駅(TY07)にて(3)

2016年07月11日 00時00分00秒 | 写真

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自由が丘駅(TY07)にて(2)

2016年07月10日 00時00分00秒 | 写真

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自由が丘駅(TY07)にて(1)

2016年07月09日 10時08分23秒 | 写真

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JR伊万里駅(2009年8月31日撮影)

2016年07月03日 00時00分00秒 | 旅行記

 (以下は、「待合室」第362回として、2010年5月9日から同月16日まで掲載した記事の再掲です。なお、一部を修正しています。)

 伊万里駅は松浦鉄道西九州線の重要駅であるとともに、JR筑肥線の終着駅でもあります。ここから唐津へ向かい、唐津から筑肥線の電車(ディーゼルカーではありません)に乗り、 地下鉄空港線の天神駅を目指します。2004年度から2012年度まで福岡市の西南学院大学で集中講義を担当した時には、大分時代からよく行っていた天神を中心に動いていました(天神付近に宿泊していたためです)。

 こちらがJR伊万里駅で「東ビル」ともいいます。駅と書かれていますが、どう見ても駅には見えず、雑居ビルのようです。かつては松浦鉄道西九州線と線路がつながっていたのに、分断されてしまいました。西ビルと東ビルとを連絡する通路が2階にあるのですが、どちらの線もホームは1階にあり、乗り換えは不便です。そのため、あまり評判は良くないようです。

 松浦鉄道伊万里駅の北側にある建物です。ここにはスーパーマーケットがあったようですが、既に閉店となっています。うっすらと、スーパーマーケットのマークなどの跡が残っています。わかりにくいのですが、ダイエーがあったのでしょうか)。

 1990年代以降、あるいはもっと前からかもしれませんが、九州の各地では市街地にあったスーパーマーケットが次々に撤退し、建物が空き家状態になっています。また、解体される建物も多く、市街地の空洞化は深刻です。私が大分市に住んでいた7年の間にも、ダイエーが大分市や佐賀市などから撤退していますし、佐伯市を発祥の地とし、熊本市に本拠地を置いた寿屋が倒産し、多くの店舗が閉鎖されました。ダイエー大分店は、皮肉にも福岡ダイエーホークスが初の日本一となった年の翌年、つまり2000年になってすぐに閉店となり、ほどなく建物は壊されました。現在はNTT関係のビルが建てられています。また、ダイエー佐賀店は大分店よりも先に閉店となり、その後にヒートアイランドという地元の会社が入居しましたが、2009年6月29日を最後に閉店となっています(「待合室」の第346回で取り上げました。このブログにも掲載しています)。

 空き店舗となり、全く使われなくなった建物は、傷みが速く進行します。私が見てきた中でも、中津市や佐伯市の中心街にあった寿屋の店舗ビルは、閉鎖されたままの痛々しい姿をさらしていましたし、「待合室」第318回で取り上げた唐津市のまいづる百貨店の旧店舗も放置されたままで、廃墟としか表現しようのない姿でした(やはり、このブログにも掲載しています)。

 さて、伊万里のこの建物は、再活用されるのでしょうか。それとも解体されるのでしょうか。あと何年、この状態が続くのでしょうか(2012年9月1日に再訪したら、この建物は既に解体されており、更地と化していました)。

 JRと松浦鉄道の伊万里駅は、御覧のように橋で結ばれています。しかし、両線ともホームは1階にあります。橋の真下に横断歩道がないので、乗り換えは不便です。かつては筑肥線と西九州線の線路がつながっていたのですが、上の写真を見る限り、とてもそうであったとは見えません。もっとも、私が乗車した限りでは、乗り換えの需要がどれだけあるのかは疑問でしたが。

 九州の多くの市と同様に、どうやら、伊万里市の中心部は伊万里駅の近くではないようです。駅前を歩いているとわかります。市の代表駅なのですが、郊外の駅のように思われるのです。

 JR伊万里駅の前が公園になっていて、そこに合唱曲の碑があります。歌詞付きの譜面が刻まれています。4分の4拍子で始まるのですが途中で4分の5拍子に変わり、4分の4拍子に戻り、また4分の5拍子になったと思ったら1小節で4分の4拍子に戻ります。これは少し難しい曲です。チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番第2楽章(有名な「アンダンテ・カンタービレ」)のように、自然に拍子が変わるような曲は少ないのです。

 九州の所々にカブトガニの生息地があるようです。大分県の国東半島にも、杵築市と日出町の境界付近に生息地がありますが、佐賀県に生息地があるとは知りませんでした。それとも、化石が出たのでしょうか。日本では瀬戸内海と九州北西部に生息地があるといいますから、大分県と佐賀県に生息地があるのは当然ということになります。

 カブトガニは古生代に繁栄した動物で、三葉虫と同じく節足動物に属します。名称とは異なり、クモ類に近いそうです。脚は、前体(半円のような形態の部分)に7対あり、後体(前体と尾の間にある部分)に5対あります。脚の数だけで言えば、クモよりダンゴムシなどに近いような気もします。

 そう言えば、カニと名のつくのにカニではない動物は他にもあります。代表的なのはタラバガニでしょう。これはカニではなく、ヤドカリの一種なのです。タラバガニの脚の数を数えれば、カニではなくてヤドカリであることは一目瞭然です。ちなみに、ヤドカリはカニとエビの中間にある動物なのだそうです。

 松浦鉄道の伊万里駅は「西ビル」(と言ってもそれほど高くないもの)でしたが、JRの伊万里駅は「東ビル」、と思っていたら駅舎はビルとは別にありました。この三角屋根の建物が駅舎で、自動券売機や改札もこの駅舎の中にあります。ホームは駅舎を入って左側にあります。

 少し離れてみます。左側が駅舎で右側が「東ビル」です。昭和自動車の旅行センターが入居しています。 屋根の形などを合わせているため、相似形、とは言わないものの、よく似た外観になっています。上手く造ったものです。駅舎の左側にホームの屋根が見えます。

 駅で唐津までの乗車券を買い、ホームに入りました。タイルで作られた駅名標です。MRは松浦鉄道の略称で、川東(かわひがし)は有田方面に向かう列車が次に停車する駅、東山代(ひがしやましろ)は 佐世保方面に向かう列車が次に停車する駅です。私がこれから乗るのは筑肥線ですので、次の駅は上伊万里(かみいまり)です。ここから、唐津線との乗換駅である山本までが筑肥線で、山本からは唐津線を走ります。唐津に着くと、再び筑肥線と乗り換えることになります。

 現在の筑肥線は、福岡市営地下鉄空港線との接続駅である姪浜から唐津までと、山本から伊万里までとに分断されています。これは福岡市営地下鉄との相互乗り入れ、および呼子線の建設と関係があります。かつての筑肥線は、博多から東唐津に出て、東唐津で進行方向を逆にして唐津には向かわずに山本へ出てそのまま伊万里まで走っていました。しかし、筑肥線の電化、東唐津駅の移転、福岡市営地下鉄との直通運転などという動きがあって、呼子線の虹ノ松原~唐津が先行して建設され、筑肥線に編入されます。そして、筑肥線の博多~姪浜は廃止され、姪浜~唐津(および唐津線の唐津~西唐津)が電化され、福岡市営地下鉄との直通運転が開始されたことにより、筑肥線は分断されます。東唐津~山本の旧線が廃止され、筑肥線は分断されました。そして、山本~伊万里は非電化のまま残されました。ちなみに、呼子線の唐津~呼子については建設が中止され、結局は未開業のまま廃止されました。

 唐津行きのディーゼルカー、キハ125が停車しています。私が大分に住んでいた時には豊肥本線と久大本線でよく乗りました。完全にワンマン運転に対応した車両です。佐賀県では唐津線と筑肥線で走っています。

 伊万里駅はホーム一本、1番線しかありません。そもそもホームに番号がついていなかったかもしれません(阪急などでは乗り場の番号がついていない駅が少なくありません)。筑肥線の山本~伊万里は本数が少なく、10往復くらいしかありません。途中の交換駅は一つだけで、ほとんどが無人駅です(山本も無人駅です)。伊万里には駅員がいますが、本数が少ないのですからホームが一本しかないのも仕方のないことでしょう。

 かつては伊万里にも急行列車が走ったそうですが、現在はこのキハ125の1両ワンマン運転がほとんどであるようです。

 唐津へ向かう前に、上伊万里駅の方向を撮影してみました。何となく、日本のどこにでもあるような風景ですが、いかがでしょうか。しかし、私は、こうした何気ない風景にも何かを感じることがあります。ここから先は山里を走っていきます。

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松浦鉄道伊万里駅(2009年8月31日撮影)

2016年07月02日 00時14分05秒 | 旅行記

 (以下は、「待合室」第360回として、2010年4月28日から同年5月4日まで掲載したものの再掲です。なお、一部を修正しています。)

 2009年8月30日、私は、午前中に羽田空港に行き、ANA251便で福岡へ向かいました。西南学院大学法学部の集中講義「税法」を、9月1日から9日まで担当するためです(途中の土日は休み)。2005年度に台風のために福岡入りが遅れ、そのために日程が一日ずれたことから、集中講義の際には初日の前々日に九州に着くようにしていました。

 もっとも、この機会に福岡など九州各地を訪れてみたいという気持ちもありました。そのため、8月は講義の準備をしながら、どこを回ろうかなどと考え、予定を立てたりしていました。実際、2004年度から2012年度まで、私は集中講義の中休みなどを利用して九州島内のあちらこちらを訪れました。鹿児島で宿泊し、宮崎空港から帰ったこともあります。2009年度は、まず佐世保へ行ってみようと思っていました。長崎県には、大分大学講師時代の2001年12月に長崎市を一度訪れたことがあるだけで、佐世保に行ったことがなかったからです。

 福岡空港から地下鉄で博多駅へ移動し、かもめ95号長崎行き5両+ハウステンボス15号4両+みどり15号4両、合わせて13両という特急に乗りました。自由席を利用したので3440円を支払っています。私が乗ったのは最後部の14号車です(6号車がなかったのでこうなります)。鳥栖から長崎本線に入り、かもめ95号を切り離す肥前山口から佐世保線に入り、早岐でハウステンボス15号を切り離して進行方向が逆になり、しばらくすると佐世保に着きました。この日の夕方には大村線を使って諫早にも行きましたので、長崎県内のJR線は全て踏破ということになりました。ついでに記すと、この日に初めて佐世保のハンバーガーを食べました(量と味、そして値段の安さに驚かされたものです。東京であれば1000円前後というところです)。

 翌日(8月31日)、福岡に入る予定でした。ただ、特急で直行したのでは面白くも何ともないので、松浦鉄道西九州線を使おうと考えていました。当初は8時台の佐世保発伊万里行きに乗るという計画を立てていましたが、かなりの遠回りになって時間がかかることから、躊躇していました。また、その列車を逃すと、たしか11時台か12時台になるまで伊万里行きがなかったのです(途中の佐々止まりが圧倒的に多いのでした)。朝、目覚めた時間が早くなかったことが決め手となり、まずは佐世保線の普通電車に乗って有田駅へ向かいました。この駅が、松浦鉄道西九州線の起点であるためです。同線は赤字国鉄ローカル線の一つであった松浦線で、一旦JR九州に引き継がれた後に第三セクターの松浦鉄道に転換されました。

 有田から松浦鉄道西九州線のワンマン運転ディーゼルカー(9時55分発)に乗ります。途中の夫婦石から金武まで、乗客は私を入れて7人でした。

 10時22分、伊万里に到着しました。西九州線の線路はここでスイッチバックをするようになっていますが、列車の運行系統は伊万里で分割されます。私が乗ったディーゼルカーは有田へ引き返します。

 左側が、私が乗ったディーゼルカーでMR-600形です。松浦鉄道では最新の形式です。右が佐世保行きで、おそらくMR-100形でしょう。松浦鉄道開業時(JR九州松浦線からの転換時)からの車両です。1988年に登場していますから、もう20年ほど走っていることになります(その後、全車が廃車となりました)。第三セクターのディーゼルカーにはレールバスと呼ばれるものが多く、既に多くの車両が廃車となっていますが、松浦鉄道のディーゼルカーは軽快気動車です。

 よくみると、左の3番線にもMR-600形が止まっています。駅の外には高層マンションも建っています。首都圏の郊外に来たような気分にもなります。 現在は手前に車止めがありますが、かつてはJR筑肥線と線路がつながっていました。しかし、 現在は分断されており、駅舎も別々になっています。国鉄時代には博多から筑肥線、松浦線を経由して佐世保に向かう急行もあったそうです。JR各社は、多くの駅でかつての国鉄またはJRの路線であった第三セクターの路線との接続を断ち切り、線路を分断させているのですが、これが果たしてよいことなのかどうかと疑問が浮かびます。筑肥線と西九州線を分断せず、唐津から有田まで直通列車を走らせればよいのに、とも思います。筑肥線の山本~伊万里は、いかにも都市近郊路線で幹線らしい電化路線である姪浜~唐津と全く趣を異にし、非電化のローカル線です。もし山本~伊万里が筑肥線でなかったら、赤字国鉄ローカル線として廃止の対象になったかもしれません。

 こちらが松浦鉄道の伊万里駅で、西側にあるので「西ビル」とも言っているようです。首都圏ではまず見かけないタイプの駅舎ですが、松浦鉄道のターミナルと言ってもよい駅ですので、規模は大きいでしょう。私が見た限りでは佐世保駅の次に大きいのですが、佐世保駅はJR九州の駅でもありますから立派なのは当たり前で、松浦鉄道単独の駅としては伊万里駅が一番大きいのではないでしょうか。

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