ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

田園調布駅西口

2017年02月28日 14時08分24秒 | まち歩き

 

 

 

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日本版ベーシックインカム導入法案(?) その3

2017年02月27日 23時57分40秒 | 国際・政治

 第193回国会法律案(「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」)の第4条は、「消費税に関する措置」という見出しの下に、大別して二つの事柄を定めています。このうち、第1項は「消費税の軽減税率制度及び適格請求書等保存方式は、導入しない」としています。軽減税率の不採用には賛同できますが、適格請求書等保存方式の不採用には疑問が生じます。

 適格請求書等保存方式とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、インボイス方式(の一種)と理解してよいでしょう〔国税庁の「平成31年10月1日〜 消費税の軽減税率制度が実施されます」(https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf)が参考になります〕。現在は単一税率ですので請求書等保存方式(アカウント方式)が採られていますが、これは日本だけのものであり、消費課税の仕組みとしては問題が多いものです。軽減税率など複数税率が採用されるようになると、請求書等保存方式では仕入税額の計算が適切に行われない恐れがあります。そもそも、EU諸国を初めとして、消費税(付加価値税)を採用している国々の圧倒的多数はインボイス方式を採用しておりますから、極端な表現かもしれませんが日本人以外は誰でもできる訳です。

 2月16日の地方財政セミナーでも言った記憶がありますが、消費税についても日本はガラパゴス化しているということになります。そのガラパゴス化現象が消費税の導入以来、30年近く続いてきた訳ですから、世界標準に変えることは難しいでしょう。しかし、改めなければならないと考えています。長い目で見れば納税義務者である事業者のためでもありますし、短い目で見ても実質的な担税者(私は「最終的な担税者」と表現するほうが適切であると考えています)である消費者のためでもあります。消費課税の場合、消費者は(外国貨物の個人輸入の場合を除けば)納税義務者でないために、税をめぐる法律関係において「蚊帳の外」に置かれます。つまり、消費課税においては国と事業者の間に租税債権債務関係が生ずるのであって、消費者には生じないので第三者的な立場に追いやられるのです。それでいて最終的な負担が押しつけられるのが消費者ですから、ここは当然、消費者に法律上の保護、とまでは言えなくとも何らかの保護をする必要があります。

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日本版ベーシックインカム導入法案(?) その2

2017年02月26日 00時00分00秒 | 国際・政治

 一日おいて、第193回国会法律案(「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」)です。

 第3条は「個人所得課税に関する措置」という見出しの下、政府が「次に掲げる措置その他の個人所得課税の改革について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする」として、事項を列挙しています。

 第一が「基礎控除について、税額控除とすること」(第1号)です。これは、基礎控除のあり方として検討に値すると考えられます。現在は38万円の所得控除ですが、金額の根拠が明確でなく、所得控除では計算によって得られた所得から該当事項に従って一定の額を引くだけであり、税額算出の途中で行われるにすぎません。そのため、減税などの効果としては弱いと言えます。まして、所得再分配の効果は非常に薄いと言わざるをえません。

 現在の所得控除は、とにかく種類は多いものの、存在意義が問われるものもあるでしょうし、金額の根拠が不明なものもあります。基礎控除の額を増やす代わりに他の所得控除を減らすなり廃止するなどして統合することが求められるのではないでしょうか。

 第二が「配偶者控除及び扶養控除を廃止し、これらに代わるものとして、世帯の構成、生計の事情等に応じた税額控除を導入すること」です(第2号)。一見すると平成29年度税制改正大綱に似ていますが、全く違っており、むしろ、政府税制調査会による中間報告が示した選択肢の一つを延長させたようなものとなっています。配偶者控除を廃止することは、かなり前から民主党・民進党などが主張していたところですから、当然、配偶者特別控除も廃止されることになります。その上で扶養控除の廃止も打ち出されています。これはどうなのか、とも思います。「世帯の構成、生計の事情等に応じた税額控除」というものが、設計次第ではどのようなものにでもなりうるからです。

 第三が「給与所得控除について、前条第一項第二号の給付付き税額控除の導入と併せて抜本的な見直しを行うこと」(第3号)です。正直なところ、これはいただけません。給与所得控除は、その名称とは裏腹に、所得控除ではないからです。

 私は、講義において、所得税法における所得の基本形として

 〔所得(の金額)〕=(収入金額)−(必要経費)

と教えています。この形に最も忠実であるのが不動産所得と事業所得、そして雑所得のうちの公的年金等以外のものです。給与所得控除は、上の基本形に示されている必要経費に相当するものなのですが、給与所得者の場合は必要経費を具体的にあげることが困難であるために

 〔給与所得(の金額)〕=(給与収入金額)−(給与所得控除)

となるのです(所得税法第28条第2項)。従って、給与所得控除を基礎控除などの所得控除(同第72条に規定される雑損控除など)と混同してはならないのです。

 給与所得控除の見直しを行うというのであれば、第193回国会法律案の上掲第3号のようにするのでは、試験の答案にたとえれば落第と言ってもよいでしょう。給与所得控除を見直すということは、必要経費の概念を見直すということと結局のところは同じ意味であると言ってもよいのです。従って、所得の分類そのものを見直すべきです。給与所得と事業所得との区別に関する判例を見ても、両者を区別することが困難である、あるいは不適切と思われるものが少なくありません。相当に崩れてしまっているとはいえ、日本の所得税法は、まだ一応の原則として総合課税制度を維持しています。その上で所得を分類しているために無理をしている部分があることも否定できません。

 その意味において、第四の「金融所得課税に係る所得税並びに個人の道府県民税及び市町村民税を合わせた税率を百分の二十五に引き上げること」も不徹底であると言えます。これは、利子所得、配当所得について実際に採られている分離課税をそのままにして、現行よりも若干税率を高める程度に終わっているからです。また、「金融所得課税」については源泉徴収+分離課税の路線が強化されているので、所得控除が登場する余地はほとんどありませんし、比例税率が採用されていることから超過累進税率の適用がなく、高所得者であればあるほど得をするものとなっています。「社会経済情勢の急激な変化に伴い国民の間に生じている経済的格差その他の格差を是正し、及びその固定化を防止する」こと(第1条)が第193回国会法律案の目的の一つですから、所得税制の見直しを言う以上は所得控除や税額控除のみで終わらせるべきではないのです。所得の分類そのものを見直すべきであり、総合課税制度の再強化も検討すべきです。

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辛島文雄氏逝去

2017年02月25日 09時27分38秒 | 音楽

 昨日報じられていましたが、ジャズピアニストの辛島文雄氏が逝去されました。

 大分県出身で、実兄はクラシックのピアニストである辛島輝治氏です。実父は大分大学教授(音楽)でした(私も大分大学に勤めていましたが、今日初めて知りました)。

 私は、辛島文雄氏のリーダーアルバムなどを持っていませんが、一度だけ、生演奏を見たことがあります。1985年7月31日、六本木ピットインです。

 エルヴィン・ジョーンズ・ジャズ・マシーンが来日し、六本木と新宿のピットインで4日間連続のライヴを行いました。その時のメンバーは、ドラムが勿論エルヴィン、サックスはソニー・フォーチュンとパット・ラバーベラ(どちらかがフルートも演奏しています)、ベースがリチャード・デイヴィス、そしてピアノが辛島氏でした。エルヴィンの妻でマネージャーのケイコさんが司会を務めたことも覚えています。

 7月31日、私は、幸運なことにエルヴィンのドラムセットの真ん前に座りました。そのためもあってどうしてもエルヴィンの印象が非常に強いのです。マレットでドラムを叩いたら先が抜けてしまい、私の所に飛んできたので掴み、エルヴィンに渡したことも覚えていますし、最後に握手したことも覚えています。

 辛島氏は、記憶に間違いがなければ客席から見て左側でピアノを弾いていました。あのエルヴィンのバンドでダイナミックなソロをとっており、高校生ながら「凄いピアニストだなあ」と思ったことが、今も頭に浮かんできます。

 7月31日の演奏はレコード化されていませんが、翌日の新宿ピットインでの演奏がレコード化されています。私は発売を知ってすぐにLPを購入しました。よく考えれば全員が凄い演奏をしているのですが、改めて聴くと、氏のソロもバッキングもバンドに一体化していることがわかり、日と場所が異なるとはいえ、六本木で聴いた演奏のことを思い出すのでした。

 それから31年半以上が経過しています。氏は闘病しつつ活動を続けており、今月14日には新宿ピットインで演奏しました。これが最後のライヴということになるのでしょうか。来月には吉祥寺のサムタイムと茅ヶ崎のジャム・イン・ザ・ボックスでの演奏が予定されていました。

 御冥福をお祈りいたします。

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日本版ベーシックインカム導入法案(?) その1

2017年02月24日 11時58分18秒 | 国際・政治

 朝日新聞2017年2月18日付朝刊4面14版に「民進が税法対案提出」という小さい記事で取り上げられていましたが、衆議院のサイトに「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」が掲載されています。第193回国会の衆議院議員提出法律案第2号で、今月17日に提出されました(そのため、以下では第193回国会法律案と記します)。

 せっかくのことなので、とりあえず、全文を紹介します。

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(趣旨)

第一条 この法律は、社会経済情勢の急激な変化に伴い国民の間に生じている経済的格差その他の格差を是正し、及びその固定化を防止するとともに、経済成長を促すことが、我が国の経済社会の持続的な発展のために緊要な課題であることに鑑み、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。次条において同じ。)の導入その他の個人所得課税、消費課税及び資産課税に関し講ずべき措置を定めるものとする。

(給付付き税額控除の導入)

第二条 低所得者及び中堅所得者に配慮する観点から、次に掲げる給付付き税額控除を導入するものとする。

 一 平成三十一年十月一日における消費税率(地方消費税率を含む。ハ及び第五条第一項において同じ。)の引上げが国民生活に及ぼす影響を踏まえ、消費税の逆進性(所得の少ない世帯ほど、家計において消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)として支出する額の所得の額に対する割合が高くなる傾向にあることをいう。)を緩和するため、次に掲げるところにより行われる給付付き税額控除

  イ 一人当たりの飲食料品の購入に要する費用の額に係る消費税の負担額として家計統計(統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第四項に規定する基幹統計である家計統計をいう。)における食料に係る消費支出の額(酒類及び外食に係るものを除く。)、消費税の収入見込額等を勘案して算定した額の十分の二に相当する額を基礎として計算した額を所得税の額から控除し、かつ、当該控除をしてもなお控除しきれない額があるときは当該控除しきれない額に相当する金銭の給付を行うものとすること。

  ロ イの所得税の額から控除する額は、所得の額の逓増に応じて逓減するものとし、所得の額が一定の額を超える者については控除を行わないものとすること。

  ハ 平成三十一年十月一日における消費税率の引上げに併せて実施するものとすること。

 二 就労の促進に資するため、次に掲げるところにより行われる給付付き税額控除

  イ 就労による所得の額を基礎として計算した額を所得税の額から控除し、かつ、当該控除をしてもなお控除しきれない額があるときは当該控除しきれない額に相当する金銭の給付を行うものとすること。

  ロ イの所得税の額から控除する額は、所得の額が一定の額以下である者については就労による所得の額の逓増に応じて逓増するものとすること。

2 給付付き税額控除に関する事務は、別に法律で定めるところにより内閣府の外局として置かれる歳入庁がつかさどるものとする。

3 政府は、前二項に定めるところにより、給付付き税額控除の導入のために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

4 政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、給付付き税額控除による給付の額の全部又は一部を、当該給付を受ける者の負担すべき社会保険料の支払に充てることができるようにすることについて検討するものとする。

(個人所得課税に関する措置)

第三条 政府は、経済的格差の是正、税負担の公平性等の観点から、次に掲げる措置その他の個人所得課税の改革について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 一 基礎控除について、税額控除とすること。

 二 配偶者控除及び扶養控除を廃止し、これらに代わるものとして、世帯の構成、生計の事情等に応じた税額控除を導入すること。

 三 給与所得控除について、前条第一項第二号の給付付き税額控除の導入と併せて抜本的な見直しを行うこと。

 四 金融所得課税に係る所得税並びに個人の道府県民税及び市町村民税を合わせた税率を百分の二十五に引き上げること。

(消費税に関する措置)

第四条 消費税の軽減税率制度及び適格請求書等保存方式は、導入しないものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 政府は、平成三十一年九月三十日までに、医療、介護等に係る消費税の課税の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (車体課税に関する措置)
第五条 自動車の取得に関し消費税とともに自動車取得税が課される等自動車の取得等に係る国民の税負担が重く、かつ、その税負担が我が国の基幹的な産業である自動車製造業、自動車販売業等に重大な影響を与えており、自動車が交通手段として国民一般に普及している現状においては、平成三十一年十月一日における消費税率の引上げがこれらを一層増大させることになること等により国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響が大きいことに鑑み、車体課税(自動車重量税、自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の課税をいう。)について、次に掲げる措置を実施するとともに、更なる簡素化、負担の軽減及びグリーン化(環境への負荷の低減に資するための施策をいう。)を図るものとし、政府は、同年九月三十日までに、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 一 自動車取得税を廃止すること。

 二 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九十条の十一から第九十条の十一の三までに規定する自動車重量税率の特例を廃止すること。

 三 軽自動車税の税率を引き下げること。

2 政府は、前項の法制上の措置を講ずるに当たっては、これにより生ずる都道府県及び市町村の減収を埋めるための財源を確保し、都道府県及び市町村の財政状況に影響を及ぼすことのないよう適切な措置を講ずるものとする。

(資産課税に関する措置)

第六条 政府は、国民の資産の形成の意欲を著しく阻害することのないよう配慮しつつ、経済的格差の是正、税負担の公平性等の観点から、相続税の最高税率の引上げその他の資産課税の改革について早急に検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

   理 由

 社会経済情勢の急激な変化に伴い国民の間に生じている経済的格差その他の格差を是正し、及びその固定化を防止するとともに、経済成長を促すことが、我が国の経済社会の持続的な発展のために緊要な課題であることに鑑み、給付付き税額控除の導入その他の個人所得課税、消費課税及び資産課税に関し講ずべき措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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 第193回国会法律案で最も注目されるのは第2条と第3条でしょう。平成29年度税制改正大綱(与党、政府とも)には、所得税改革の第一弾として配偶者控除+配偶者特別控除の改正が盛り込まれていますが、小粒であることは否めませんし、所得控除はもっと大きく改めなければならないはずですので、この法律案は(今国会で可決される可能性は非常に低く、閉会中審査の扱いになる可能性のほうが高いとはいえ)今後の税制改革に向けての対案としての意味を持っています。

 第2条で示されているのは給付付き税額控除です。このブログでも取り上げた「消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案」(第190回国会衆議院議員提出法律案第52号。以下、第190回国会法律案と記します)の第2条第3項にも「居住者(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三号に規定する居住者をいう。以下同じ。)について、所得税の額から一定の額を控除し、かつ、当該控除をしてもなお控除しきれない額があるときは当該控除しきれない額に相当する金銭を給付する制度をいう。」として明記されていますが、今回提出された法律案では、さらに踏み込んだ内容となっています。

 第193回国会法律案第2条第1項のうち、第1号に示される給付付き税額控除は、第190回国会法律案第4条と同じ内容のものです。これに対し、第2号は新しいタイプを示すもので、「就労の促進に資するため」と記されていること、イに「就労による所得の額を基礎として計算した額」と記されていることから、ベーシックインカムの趣旨が含まれているものと考えられます。実際に就労することによる所得の額とは書かれていないので、(利子所得、配当所得などのいわゆる不労所得はあったとしても)給与所得や事業所得などがない者については税額控除が行われうるということでしょう。従って、一定の所得水準に満たない場合には、所得税額よりも税額控除額のほうが大きい場合には差し引いてマイナスとなり、そのマイナス分が納税義務者に戻ってくることとなります。但し、本来のベーシックインカムは税額控除や所得制限と無関係であるはずですから、第193回国会法律案が示すものはあくまでも給付付き税額控除です。純粋なベーシックインカムを提案していないのが、この法律案の特徴とも言えるでしょう。

 また、ロは「イの所得税の額から控除する額は、所得の額が一定の額以下である者については就労による所得の額の逓増に応じて逓増するものとする」と記されていますから、所得が低ければそれだけ控除額が多くなり、効果も大きくなります。

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もうじき完全引退! 西鉄8000形(2004年2月12日撮影)

2017年02月23日 16時28分25秒 | 写真

 既に報じられ、それなりの時間が経過していますが、西鉄8000形が完全に引退する日が近くなっています。現在は2編成(12両)しか運用されていないそうで、しかも観光列車に改造されています。つまり、オリジナル塗装の車両は天神大牟田線および大宰府線で見られなくなったのです。

 そこで、保存していた写真をここに掲載します。いずれも2004年2月12日、西鉄福岡(天神)駅で撮影したものです。なお、駅の構造の関係で暗い写りになっていたので、少しばかり編集しました。

 8000形は、2000形に代わる特急用車両として1989年に登場しました。6両固定編成で両開き2扉、先頭車両の座席につけば眺望も良い形式です。西鉄で初めてT型ワンハンドルマスコンを採用した車両でもあります。

 日中は、天神大牟田線の起点である西鉄福岡(天神)駅から毎時00分、30分に大牟田行きの特急が3番線から発車します。早朝および深夜の数本を除き、終点の大牟田まで走るのは特急だけです。

 車両の構造上、ラッシュ時の乗客輸送には向いていないようで、そのような時間帯では普通電車として運用されることも少なくありません。私も何度か、8000形の普通電車に乗ったことがあります。

 8000形が登場してから3扉化され、主に急行用として活躍を続けた(時には特急としても運用された)2000形とは異なり、8000形は3扉化改造を受けることもなく、早ければ2017年度中に完全引退となりそうです。

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2006年9月10日、西鉄小郡駅で

2017年02月22日 00時00分00秒 | 写真

 (以下は、「待合室」第212回として、2007年5月9日から同月15日まで掲載した記事の再掲です。)

 今回は、とくにこれという意味もないような感じもするのですが、西鉄小郡駅で西鉄福岡 (天神)行の電車を待っている時間を取り上げました。柳川へ行った日のことで、福岡に戻る途中、何となく歩いてみたくなり、西鉄小郡駅で降りて、駅前を歩いてみたのでした。

 小郡というと、全国的には、山口県にある、山陽新幹線・山陽本線・山口線・宇部線の小郡駅のほうが有名でしたが、2003年10月1日に「新山口」に改められました。一方、福岡県や大分県では、小郡というと福岡県の小郡市を指すことのほうが多いようです。小郡市は、佐賀県境にある所で、西鉄天神大牟田線と甘木鉄道が通っています。また、佐賀県鳥栖市にある鳥栖ジャンクションから大分自動車道に入ると、最初のインターチェンジが筑後小郡です(大分市に住んでいた時には、何度となく通っています)。

  余計なことを記しますが、山口県の小郡駅は、東海道・山陽新幹線では数少ない、郡部にある駅でした(もう一つが米原でした)。吉敷郡小郡町にあったのです。山口市などとの合併論議を先行するような形で改称された後も、所在地は小郡町のままでした。合併して新しい山口市の一部となったのは2005年10月1日のことです。

 小郡止まりの電車は、次の端間駅のほうに少し走り、そこで止まります。本線の上でしばらく止まり、時間調整などをした上で、福岡方面に折り返すのです。首都圏であれば、車庫や電留線まで回送するか、駅のホームで折り返すのが普通ですが、本線の上で止まってしまうというのには驚きました。西鉄天神大牟田線の運行本数が〔西鉄福岡(天神)~筑紫(ちくし、と読みます)を除いて〕少なくなるからこそ、こんなことができるのでしょう(小郡~宮の陣は、かなり少なくなっています)。

 今、下り線(端間方面)に止まっている電車に乗って、西鉄福岡(天神)へ戻ろうと考えています。筑紫までは普通電車、筑紫からは急行電車となります。

 それにしても、西鉄の通勤用電車の色彩といい、全面のデザインといい、他では見られないような強烈な特徴が見受けられます。最近登場した3000形はステンレス車になり、個性が薄らぎましたが、写真の5000形から6050形まではほとんど同じ、左右非対称の前面スタイルですし、7000形も全面スタイルこそ左右対称に変わりましたが色彩は同じです。こんな色の自動車が走っていたら見たいものです。

 西鉄福岡(天神)行の8000形特急電車が来ました。しかし、西鉄小郡駅には止まりません。撮影日の朝にも、西鉄福岡(天神)から大牟田まで、8000形特急電車に乗っています。2000形(運転席が中央にあるという、今の日本では珍しいもの)に代わる特急用電車として、1989年にデビューしています。

 ようやく、上り線に移り、小郡始発の電車が駅に来るところです。これに乗って、西鉄福岡(天神)駅に戻ります。そして、この日はさらに、天神→大名→赤坂→天神(親富孝通りや天神北通りの方面)まで歩きました。既に、大牟田駅周辺、そして西鉄柳川駅から中心部まで歩いていますから、一体何キロメートルくらい歩いたのでしょうか。

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臼杵石仏(2001年12月21日撮影)

2017年02月21日 08時12分12秒 | 旅行記

今から15年程前、私がまだ大分大学教育福祉科学部(現在は再び教育学部)の講師であった時に撮影した写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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御礼

2017年02月17日 19時19分08秒 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日(2017年2月16日)および今日、TOC有明EASTホールにて、自治体議員連合・全日本自治団体労働組合主催の「2017年度地方財政セミナー」が行われました。私も、16日の午後に「2017(平成29)年度税制改正の概要と自治体財源保障」として講演をさせていただきました。

 お聴きくださった方々をはじめ、関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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この法律案の行く末は?

2017年02月15日 20時14分15秒 | 国際・政治

 第190回国会(2016年の通常国会)に、衆議院議員提出法律案第52号として「消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案」が提出されました。3回連続して閉会中審査の扱いとなった後に、第193回国会(現在の通常国会)でも議案とされているのですが、果たしてどうなるのでしょうか。

 この法律案は、消費税・地方消費税の税率引き上げの実施を2017年4月1日から2019年4月1日に延期すること、および、軽減税率ではなく給付付き税額控除を導入することを基本的な内容とするものです。

 消費課税には逆進性があると言われています。この法律案の第2条第2項では「この法律において『消費税の逆進性』とは、所得の少ない世帯ほど、家計において消費税として支出する額の所得の額に対する割合が高くなる傾向にあることをいう。」と定義されており、この逆進性を「緩和し格差の拡大を防止するため、給付付き税額控除を導入」し、「軽減税率制度を廃止する」としています(第1条)。

 給付付き税額控除は、第2条第3項において「居住者(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三号に規定する居住者をいう。以下同じ。)について、所得税の額から一定の額を控除し、かつ、当該控除をしてもなお控除しきれない額があるときは当該控除しきれない額に相当する金銭を給付する制度をいう。」と定義されています。

 また、この法律案の第4条では、「給付付き税額控除において所得税の額から控除する額は、居住者一人当たりの飲食料品の購入に要する費用の額に係る消費税の負担額として家計統計(統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第四項に規定する基幹統計である家計統計をいう。)における食料に係る消費支出の額(酒類及び外食に係るものを除く。)、消費税の収入見込額等を勘案して算定した額の十分の二に相当する額を基礎として計算するものとすること。この場合において、当該控除する額は居住者の所得の額の逓増に応じて逓減するように定めるとともに、一定以上の所得を有する者については給付付き税額控除における控除を行わないものとすること。」(第1号)という方針が示されるとともに、その事務を「別に法律で定めるところにより内閣府の外局として置かれる歳入庁がつかさどるものとすること。」(第2号)としています。実施時期は「消費税率の引上げと同時」です(第3号)。

 軽減税率が、一見すると逆進性の緩和に思えるが実はそうでない、という趣旨の指摘がよくなされています。それはそうで、軽減税率が適用されるのは、対象となる「資産」、「役務」または「外国貨物」がいかなるものであるかによるのであって、誰が購入するかは関係がないからです。例えば、近所のスーパーマーケットなどで売られている果物が高級品であろうがなかろうが、食料品である限りは軽減税率が適用されうる訳です。購入者が誰であるかによって軽減税率を適用するか否かが決まるというのでは煩雑に過ぎますので、結局のところ、誰が買っても同じことにならざるをえないのです。

 また、軽減税率を採用する場合に何を対象とするかが問題となることも、何度となく述べられてきました。軽減税率を採用する国は少なくありませんが、既に数多くの問題点が指摘されており、廃止とまでは行かなくとも縮小の方向にあるようです。経済開発協力機構(OECD)も、軽減税率は逆進性を緩和する手段としては「非効率的」であり、むしろ逆進性を拡大しかねないことを指摘しています〔少し古い記事ですが、ロイター通信(日本語版)の2014年4月18日付「軽減税率は非効率、OECDが消費税で改めて提言」(http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0NA1LV20140418)を、引用元などとしてあげておきます。なお、このニュースは、同月17日から18日まで、「国境を越えた商取引に対する消費税の取り扱いについてガイドラインを策定するため」に東京で開催されたOECD第2回会合に関するものです〕。

 世界的には、軽減税率でなく、給付付き税額控除のほうが適切であると評価されています。しかし、日本では違うようにも思われています。もっとも、私がこのブログでも記しているし、講義などでも何度も口にしているように、日本には、政府であれ地方自治体であれ企業であれ国民であれ、消費税に関する能力はないのですから、当然なのかもしれません。携帯電話だけでなく、消費税についてもガラパゴス化しているのが、日本なのです。

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