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第210回国会の内閣提出法律案第12号「民法等の一部を改正する法律案」

2022年10月31日 00時00分00秒 | 法律学

 2022年10月15日付の朝日新聞朝刊1面14版△に「嫡出推定見直し 閣議決定 民法改正案 親の懲戒権削除も」という記事が掲載されていました。その内容が盛り込まれた「民法等の一部を改正する法律案」(以下、民法改正法案)が、10月14日、内閣から衆議院に提出されています。今回は、その内容を取り上げておきます。

 民法改正法案の第1条は、民法の第4編の諸規定を改正するものです。民法改正法案の提出「理由」は「子の権利利益を保護する観点から、嫡出の推定が及ぶ範囲の見直し及びこれに伴う女性に係る再婚禁止期間の廃止、嫡出否認をすることができる者の範囲の拡大及び出訴期間の伸長、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間の設置等の措置を講ずるとともに、親権者の懲戒権に係る規定を削除し、子の監護及び教育において子の人格を尊重する義務を定める等の措置を講ずる必要がある」と説明しています。ようやく、或る程度ではありますが民法が時代に追い付いてきたというところでしょう。

 まず目に付くのが、女性の再婚禁止期間を定める第733条を削除するものです。この規定の趣旨は嫡出推定の重複の回避による父子関係の紛争の防止にあるとされていますが、長らく、再婚禁止期間に合理的根拠があるかどうかの議論がなされていました。最判平成7年12月5日判時1563号81頁は、再婚禁止期間を6か月と定めていた民法第733条を合憲と評価しましたが、最大判平成27年12月16日民集69巻8号2427頁は、規定の趣旨を妥当としつつも6か月である必要はなく、100日でよいという趣旨の判断を示しました。この最高裁判所大法廷判決をきっかけとして再婚禁止期間が6か月から100日に短縮されましたが、医療技術の発展なども考慮すれば再婚禁止期間を定めること自体が問題であるという意見も強かったのです。そこで、改めて、第733条を削除するという案が出されたのでしょう。

 第733条を削除するのであれば、「再婚禁止期間内にした婚姻の取消し」という見出しの下に「第733条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から起算して100日を経過し、又は女が再婚後に出産したときは、その取消しを請求することができない。」と定める第746条も不要となります(一部、漢数字を算用数字に改めています。以下も同様です)。そのため、民法改正法案は第746条を削除することも示しています。

 次に目に付くのが、「懲戒」という見出しの下に「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」と定める第822条の削除です。この規定も児童虐待事件との関連で以前から批判されており、2011年の改正時には第2項が削除され、2019年には「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」において見直しが明記されています〈さしあたり、松岡久和・中田邦博編『新・コンメンタール民法(家族法)」(2021年、日本評論社)186頁を参照しました〉。果たして、第822条の削除が児童虐待の防止にどれほど役に立つのか。それは未知数としか言えないでしょう。あるいは、逆にスポイルされたような児童が増えるかもしれません(私の懸念もここにあります)。

 その上で、現在の第821条(子の居所に関する規定)を第822条に移し、新たに「子の人格の尊重等」という見出しの下に「親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」とする第821条を追加します。おそらく、政治的立場などによって見解が分かれうる規定であり、国会の内外であれこれの議論があることでしょう。

 この他の改正点は、次のとおりです(色を付けた部分が改正部分)。

 ①「婚姻の届出の受理」を定ける第740条を「婚姻の届出は、その婚姻が第731条、第732条、第734条から第736条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。」とする。

 ②第743条を「婚姻は、次条、第745条及び第747条の規定によらなければ、取り消すことができない。」と改める。

 ③第744条第1項を「第731条、第732条及び第734条から第736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。」と改める。

 ④第744条第2項を「第732条又は第733条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。」と改める。

 ⑤第772条第1項を「妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。」と改める。

 ⑥第772条第2項を「前項の場合において、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」に改める。

 ⑦第772条に「第1項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に2以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。」という第3項を加える。

 ⑧第772条に「前3項の規定により父が定められた子について、第774条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中『直近の婚姻』とあるのは、『直近の婚姻(第774条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)』とする。」という第4項を加える。

 ⑨第773条を「第733条第1項第772条の規定に違反して再婚婚姻をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。」と改める。

 ⑩第774条を「第772条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。」と改める。

 ⑪第774条に「前項の規定による子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が、子のために行使することができる。」という第2項を加える。

 ⑫第774条に「第1項に規定する場合において、母は、子が嫡出であることを否認することができる。ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。」という第3項を加える。

 ⑬第774条に「第772条第3項の規定により子の父が定められる場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって、子の父以外のもの(以下「前夫」という。)は、子が嫡出であることを否認することができる。ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。」という第4項を加える。

 ⑭第774条に「前項の規定による否認権を行使し、第772条第4項の規定により読み替えられた同条第3項の規定により新たに子の父と定められた者は、第1項の規定にかかわらず、子が自らの嫡出であることを否認することができない。」という第5項を加える。

 ⑮第775条を「前条の規定による次の各号に掲げる否認権は、子又は親権を行う母それぞれ当該各号に定める者対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

 一 父の否認権 子又は親権を行う母

 二 子の否認権 父

 三 母の否認権 父

 四 前夫の否認権 父及び子又は親権を行う母

 ⑯第775条に「前項第1号又は第4号に掲げる否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。」という第2項を加える。

 ⑰第776条を「父又は母は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失う。」

 ⑫第777条を、次のように改める。

 「嫡出否認次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知ったそれぞれ当該各号に定める時から一年三年以内に提起しなければならない。

 一 父の否認権 父が子の出生を知った時

 二 子の否認権 その出生の時

 三 母の否認権 子の出生の時

 四 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時

 ⑬「夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。」と定める第778条を、次のように改める。

 「第772条第3項の規定により父が定められた子について第774条の規定により嫡出であることが否認されたときは、次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める時から1年以内に提起しなければならない。

 一 第772条第4項の規定により読み替えられた同条第3項の規定により新たに子の父と定められた者の否認権 新たに子の父と定められた者が当該子に係る嫡出否認の裁判が確定したことを知った時

 二 子の否認権 子が前号の裁判が確定したことを知った時

 三 母の否認権 母が第1号の裁判が確定したことを知った時

 四 前夫の否認権 前夫が第1号の裁判が確定したことを知った時

 ⑭第778条の2を加える。規定は、次のとおりです。

 第1項:「第777条(第2号に係る部分に限る。)又は前条(第2号に係る部分に限る。)の期間の満了前6箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができる。

 第2項:「子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が2以上あるときは、そのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、第777条(第2号に係る部分に限る。)及び前条(第2号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。

 第3項:「第774条第2項の規定は、前項の場合には、適用しない。

 第4項:「第777条(第4号に係る部分に限る。)及び前条(第4号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。

 ⑭第778条の3を追加する。この規定の見出しは「子の監護に要した費用の償還の制限」であり、条文は「第774条の規定により嫡出であることが否認された場合であっても、子は、父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。」というものです。

 ⑮第778条の4を追加する。この規定の見出しは「相続の開始後に新たに子と推定された者の価額の支払請求権」であり、条文は「相続の開始後、第774条の規定により否認権が行使され、第772条第4項の規定により読み替えられた同条第3項の規定により新たに被相続人がその父と定められた者が相続人として遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときは、当該相続人の遺産分割の請求は、価額のみによる支払の請求により行うものとする。」というものです。

 ⑯第783条第2項を第3項に移し、新たに「前項の子が出生した場合において、第772条の規定によりその子の父が定められるときは、同項の規定による認知は、その効力を生じない。」という第2項を加える。

 ⑰「子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。」と定める第786条を、次のように改める。

 見出し:「認知に対する反対の事実の主張」→ 「認知の無効の訴え

 第1項:「次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第783条第1項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から7年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、第3号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。

 一 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時

 二 認知をした者 認知の時

 三 子の母 子の母が認知を知った時

 第2項:「子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が2以上あるときは、そのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、前項(第1号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りでない。

 第3項:「前項の規定は、同項に規定する子の法定代理人が第1項の認知の無効の訴えを提起する場合には、適用しない。

 第4項:「第1項及び第2項の規定により認知が無効とされた場合であっても、子は、認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。

 次に、民法改正法案第2条です。これは児童福祉法の一部を改正する旨の規定であり、次のとおりとなっています。

 ①児童福祉法第33条の2第2項を「児童相談所長は、一時保護が行われた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒及び教育に関し、その児童の福祉のため必要な措置を採るとることができる。ただし、体罰を加えることはできない。この場合において、児童相談所長は、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」と改める。

 ②第47条第3項を「児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第6条の3第8項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親(以下この項において「施設長等」という。)は、入所中又は受託中の児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒及び教育に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができる。ただし、体罰を加えることはできない。この場合において、施設長等は、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」と改める。

 続いて、民法改正法案第3条です。これは国籍法の一部を改正する旨の規定であり、「認知された子の国籍の取得」に関する第3条に「前二項の規定は、認知について反対の事実があるときは、適用しない。」という第3項を加えるものとなっています。

 まだ続きます。民法改正法案第4条は児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)の一部を改正する旨の規定であり、次のとおりとなっています。

 ①第14条の見出しを「親権の行使に関する配慮等」から「児童の人格の尊重等」に改める。

 ②「児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法(明治29年法律第89号)第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。」と定める第14条第1項を、「児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」と改める。

 ③第15条を「民法(明治29年法律第89号)に規定する親権の喪失の制度は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護の観点からも、適切に運用されなければならない。」と改める。

 まだまだ続きます。民法改正法案第5条は人事訴訟法の一部を改正する旨の規定です。次のとおりとなっています。

 ①目次のうち第3章を「実親子関係訴訟の特例(第41条−第43条第45条)」、第4章を「養子縁組関係訴訟の特例(第44条第46条)」と改める。

 ②第27条第2項を「離婚、嫡出否認(父を被告とする場合を除く。)又は離縁を目的とする人事訴訟の係属中に被告が死亡した場合には、当該人事訴訟は、前条第2項の規定にかかわらず、当然に終了する。」と改める。

 ③第41条第1項を「夫が父が子の出生前に死亡したとき又は民法第777条(第一号に係る部分に限る。)若しくは第七百七十八条(第一号に係る部分に限る。)に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他夫その他父の三親等内の血族は、父の死亡の日から一年以内に限り、嫡出否認の訴えを提起することができる。この場合においては、夫の死亡の日から1年以内にその訴えを提起しなければならない。」と改める。

 ②第41条第2項を「が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により嫡出否認の訴えを提起することができる者は、の死亡の日から6月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第124条第1項後段の規定は、適用しない。」と改める。

 ③第41条に「民法第774条第4項に規定する前夫は、同法第775条第1項(第4号に係る部分に限る。)の規定により嫡出否認の訴えを提起する場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に、当該前夫との婚姻の解消又は取消しの後に母と婚姻していた者(父を除く。)がいるときは、その嫡出否認の訴えに併合してそれらの者を被告とする嫡出否認の訴えを提起しなければならない。」という第3項を加える。

 ④第41条に「前項の規定により併合して提起された嫡出否認の訴えの弁論及び裁判は、それぞれ分離しないでしなければならない。」という第4項を加える。

 ⑤現行の第44条を第46条に移す。

 ⑥現行の第43条を第45条に移し、その第1項を「子、母、母の配偶者又はその前配偶者前婚の配偶者又はその後婚の配偶者は、民法第773条の規定により父を定めることを目的とする訴えを提起することができる。」に改める。

 ⑦第45条(現行の第43条)第2項第1号を「子又は母 母の配偶者及びその前配偶者前婚の配偶者及びその後婚の配偶者(その一方が死亡した後は、他の一方)」に改める。

 ⑧第45条(現行の第43条)第2項第2号を「母の配偶者 母の前配偶者」から「母の前婚の配偶者 母の後婚の配偶者」に改める。

 ⑨第45条(現行の第43条)第2項第3号を「母の前配偶者 母の配偶者」から「母の後婚の配偶者 母の前婚の配偶者」に改める。

 ⑩現行の第42条を第44条とする。

 ⑪新たに第42条を追加する。この規定の見出しは「嫡出否認の判決の通知」であり、条文は「裁判所は、民法第772条第3項の規定により父が定められる子について嫡出否認の判決が確定したときは、同法第774条第4項に規定する前夫(訴訟記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該判決の内容を通知するものとする。」というものです。

 ⑫新たに第43条を追加する。この規定は、次のとおりとなっています。

 見出し:「認知の無効の訴えの当事者等

 第1項:「第41条第1項及び第2項の規定は、民法第786条に規定する認知の無効の訴えについて準用する。この場合において、第41条第1項及び第2項中『父』とあるのは『認知をした者』と、同条第1項中『第777条(第1号に係る部分に限る。)若しくは第778条(第1号』とあるのは『第786条第1項(第2号』と読み替えるものとする。

 第2項:「子が民法第786条第1項(第1号に係る部分に限る。)に定める期間内に認知の無効の訴えを提起しないで死亡したときは、子の直系卑属又はその法定代理人は、認知の無効の訴えを提起することができる。この場合においては、子の死亡の日から1年以内にその訴えを提起しなければならない。

 第3項:「子が民法第786条第1項(第1号に係る部分に限る。)に定める期間内に認知の無効の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により認知の無効の訴えを提起することができる者は、子の死亡の日から6月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第124条第1項後段の規定は、適用しない。

 さらに続きます。民法改正法案第6条は家事事件手続法の一部を改正する旨の規定です。次のとおりとなっています。

 ①目次のうち第3編第2章を「合意に相当する審判(第277条−第283条第283条の3)」に改める。

 ②第159条第2項を「第118条の規定は、嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件における父及び民法第774条第4項に規定する前夫について準用する。」に改める。

 ③第283条を「が嫡出否認についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他三親等内の血族がの死亡の日から一年以内に嫡出否認の訴えを提起したときは、がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。」と改める。

 ④新たに第283条の2を追加する。この規定の見出しは「嫡出否認の審判の通知」であり、条文は「家庭裁判所は、民法第772条第3項の規定により父が定められる子の嫡出否認についての合意に相当する審判が確定したときは、同法第774条第4項に規定する前夫(事件の記録上その氏名及び住所又は居所が判明しているものに限る。)に対し、当該合意に相当する審判の内容を通知するものとする。」というものです。

 ⑤新たに第283条の3を追加する。この規定の見出しは「認知の無効についての調停の申立ての特則」であり、条文は次のとおりとなっています。

 第1項:「認知をした者が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、当該申立てに係る子のために相続権を害される者その他認知をした者の三親等内の血族が認知をした者の死亡の日から1年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、認知をした者がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

 第2項:「子が認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効についての調停の申立てをした後に死亡した場合において、子の直系卑属又はその法定代理人が子の死亡の日から1年以内に認知について反対の事実があることを理由とする認知の無効の訴えを提起したときは、子がした調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

 ⑥別表第一の59の項における第775条を第775条第2項に改める。

 そして、民法改正法案第7条は「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」の一部を改正する旨の規定です。次のとおりとなっています。

 ①第10条の見出しを「他人の精子を用いる生殖補助医療に同意をした夫による嫡出の否認の禁止より出生した子についての嫡出否認の特則」に改める。

 ②第10条を「妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫は夫、子又は妻は民法第774条第774条第1項及び第3項の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない。」

 以上が民法改正法案の本則です。附則は、施行期日を定める第1条のみを紹介しておきましょう。次のとおりです。

 「この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第1条中民法第822条を削り、同法第821条を同法第822条とし、同法第820条の次に一条を加える改正規定並びに第2条及び第4条の規定は、公布の日から施行する。」

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条項を示す際の表記の仕方 なるべく「第」を付けよう

2022年10月30日 08時00分00秒 | 法学(法律学)ノート

 以前、このブログにも記したかもしれませんが、最近行った小テストで誤記あるいは誤解が目立ったので、ここに記しておきます。

 私は、論文などで法律の条項を記す際に、基本的に「第」を付けます。例えば、憲法第14条第1項、憲法第73条第6号という具合です。公刊物では「第」が付けられていないこともありますが、それは削除されているからとお考えください。

 また、私は講義などの場においても、条項を示す際には必ず「第」を付けますし、学生にも、なるべく「第」を付けるように指導します。そうしなければ、条項の正確な表記ができないからです。具体的に記せば、いわゆる枝番号が付いている法条、例えば国税通則法第74条の2第1項第1号イを正確に示すことができません。

 市販されている教科書などにおいては、この「第」を省略し、憲法14条1項というように記されていることが多いようです。判決などにおいても同様です。しかし、とくに法学部の1年生や2年生を対象とする教科書でこのような表記を採用することは、非常に有害であると考えています。出版社によっては基本的に「第」を付けない表記を推してきますが、やめていただきたいものです。

 もしかしたら、「第」を付けると字数の倹約にもならないし、しつこく見えるからかもしれません。しかし、それこそ見てくればかり重視して教育効果を軽んじる姿勢でしょう。

 そもそも、国会に提出される法律案においては、条文中において「第」は省略されていません。すなわち、条であれ項であれ号であれ「第」を付すのが正式なのです。

 もう一つ、教科書などにおいて「第」を付けないことの弊害は、学生への教育効果において如実に表れます。小テスト、期末試験、レポートのいずれかでわかります。

 先日出題した小テストで、民法第121条の2第1項を解答してもらうという問題を出しました。ここで「民法121条の2 1項」という表記の解答が多く見られました。書き方などによっては「民法第121条の21項」とも読めます。実際には民法第121条第21項などという規定はありません。つまり、実在しない規定が示されてしまうということになるのです。

 このような条項に対応するためか、民法121条の2第1項というように記す教科書が多いようです。つまり、枝番号が付いている場合にのみ、項や号を示す際に「第」を付けるのです。私に言わせれば、それこそ見てくれが悪いとしか思えませんし、統一感もありません。そして、法律学の初学者に悪影響を及ぼしていると言えます。

 どのような条項であっても「第」を付けるような習慣を付ければ、民法第121条の2第1項、国税通則法第74条の2第1項第1号イと正確に示すことができます。

 法律学に取り組んでいる学生、あるいは生徒の皆さん、「第」を必ず付けて表記する習慣を付けましょう!

 結論を先に記しておきましたが、さらに説明などを進めていきましょう。

 日本の法律において、枝番号が付されるものは決して少なくありません。私が専攻する行政法や租税法の世界では、枝番号が付されている条項など当たり前に存在します。行政手続法には第36条の2および第36条の3がありますし、国税通則法には第74条の2、第74条の3などがあります。そればかりか、地方税法には第72条の117という強者があります。そうです。第72条、第72条の2、第72条の3、……、第72条の117となっている訳です。

 また、昨今の民法の改正において、第3条の2、第121条の2というように枝番号が付されることが多くなっています。立法の原則ということで、条および号には枝番号が付くことがあるのに対し、項については枝番号が付きません。これは、元々、項が段落を意味するからです。例えば、憲法第14条は、本来、次のように記されるものです(漢字を現代風に改めているなど、正確な再現ではありません)。

 

 第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

 御覧の通り、市販の六法に付されている①、②、③というものはありません。最近の法律などにおいては第2項以下について「2」などという数字が付されますが、あくまでも便宜であり、本来はただの改行なのです。そのため、項を追加する場合には、例えば現行の第2項を第3項に移し、新たに第2項を加えるという方法も採られます。

 これに対し、条や号については、例えば第40条を第41条とする、第3号を第4号とすることもありますが、それは第▲条なり第■号なりの削除を行った上での第▼条や第◆号の追加を伴うためであり、通常は第29条の後に第29条の2を追加する、あるいは第3号の後に第3号の2を追加するという形を採ります。

 そればかりでなく、法律などの改正の内容によっては、例えば第72条の2と第72条の3との間に第72条の2の2および第72条の2の3という新たな条文を追加することもあります。日本の法令においてはここまでの枝番号が許容されています。その上で第72条の2の3第2項第4号という表記をしなければならない訳です。ここで「第」を付ける習慣がない人であれば「第72条の2の3 2項 4号」と書くかもしれませんが、これでは「第72条の2の32項4号」と読みとられる可能性もあります。「スペースをおけばよいだろう」とお考えの方もおられるでしょうが、文章が鉛筆、ボールペン、万年筆などによって書かれているような場合には、スペースを厳格に示せないこともあるでしょう。パソコンなどで作成した場合でも、スペースは単なる脱落としか思われないかもしれません。ただ、「第」を付けることによって第72条の2の3第2項第4号であるということを正確に示すことができます。要するに、妙なところで無精にならない、面倒くさがらないことが大事である訳です。中途半端に「72条の2の3第2項4号」と表記するように指導したところで、条項を正確に摘示することなどできるようになりません。

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執行停止が決定された訴訟の判決が出された

2022年10月29日 21時15分00秒 | 法律学

 2021年11月30日23時21分30秒付で掲載した「宮崎地方裁判所が執行停止を決定」の続報と言うべき内容となります。

 宮崎日日新聞社が報じたところによると「西都市の橋田和実市長が西都児湯医療センター理事長に対して行った解任処分は、地方独立行政法人法が定める裁量権を逸脱・濫用しているとして、濱砂重仁理事長が市を相手取り、処分取り消しを求めた訴訟の判決で、宮崎地裁(後藤誠裁判長)は26日、濱砂理事長側の請求を認め、処分を取り消した」とのことです。

 以上は2022年10月27日付の「西都児湯医療センター理事長解任取り消し 宮崎地裁判決」という記事によるものですが、同社のサイトには全文が掲載されていないので、詳細はわかりません(朝刊か携帯サイトならわかるようです)。

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Mac OS Venturaはどうだろう

2022年10月25日 23時54分50秒 | デジタル・インターネット

 長らくMac OS Ⅹの時代が続いたと思っていたら、この数年、Mac OSは11、12と変わってきました。そして、Mac OS Ventura、つまりMac OS 13が出ました。

 私も、先程、MacBook ProとMacBookのOSを13にしました。

 システム設定の画面などが大幅に変わり、慣れるのには少し時間がかかりそうです。

 しかし、Mac OSの場合、Windowsと違い、ヴァージョンアップをしても基本的な操作はあまり変わりません。Windowsの場合は、例えばスタートボタンの位置が変わったりしますし、起動音も違うものになったりしますが(それでも95の起動音はBrian Eno、Vistaの起動音はRobert Frippだったので楽しめました)、Macは基本を変えないので楽です。Windows 10から11に変わる時のように大騒ぎするようなこともないので、安心して使える訳です。

 Mac OSだけでなく、iPhone用のiOSが16から16.1に、iPad用のiOSも16になりました。全て更新を済ませています。

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停電による田園都市線運転見合わせの日

2022年10月22日 23時00分00秒 | 写真

 2022年10月20日の夕方、三軒茶屋変電所での事故により、田園都市線が運転見合わせとなりました。そのため、東横線と大井町線を乗り継いで二子玉川駅に出ました。その際に撮影した写真です。久しぶりに、大井町線の各駅停車二子玉川行きに乗りました。おそらく、2011年3月11日の東日本大震災の影響による特別ダイヤ以来です。

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対面授業が行われなかったことをめぐる裁判で、原告の請求が棄却された。

2022年10月20日 00時00分00秒 | 受験・学校

 2021年6月10日0時0分0秒付で「大学で対面授業が行われないのは義務の不履行に該当するのか」という記事をこのブログに載せました。それ以来、気になっていた裁判の判決が、2022年10月19日に東京地方裁判所立川支部から出されました。結果は、原告の請求が棄却されたというものです。Yahoo! Japan NewsにはTBS News Digの速報として記事が掲載されていますが、共同通信社のサイトには同日12時4分付で「大学の対面授業なし、賠償認めず コロナ影響、明星大の元学生敗訴」(https://www.47news.jp/national/news/8459988.html)という記事、朝日新聞社のサイトにも同日12時14分付で「コロナ渦で対面授業なし『苦しみ分かって』 裁判起こした元学生は今」(https://www.asahi.com/articles/ASQBL64NBQBKUTIL00T.html)という記事が掲載されています。

 原告は、明星大学経営学部の学生であった男性で、2000年4月に入学したのですが、教室での講義が2020年度に行われなかったことなどから、2021年6月、学費の返還を請求する訴訟を提起しました。2021年度に明星大学経営学部がどのような方針を採ったのかは不明ですが、オンライン講義が続いたのでしょうか。原告は、裁判中に留年が決まってしまったことから、2022年、つまり今年の3月に退学したようです。

 同月に緊急事態宣言が出されたようにCOVID-19の感染拡大が凄まじく、入学式は中止、教室での講義も行われえないような状況でした。明星大学もこの例に漏れることはなく、経営学部でもオンライン講義が行われました。

 少し気になったのは、朝日新聞社の記事に書かれている「経営学部のオンライン授業は、約8割が録画された講義動画を見てリポートを提出する、という内容だった」という部分です。私も2020年度および2021年度にオンライン講義を行いましたが(実は2022年度も併用という形で行っています)、2020年度においてはオンデマンド型を採用しなかったからです。2021年度は、講義を担当する大学の方針により、教室での講義、オンライン講義のうちのライヴ型とオンデマンド型のいずれも行いましたが、オンデマンド型には疑問が浮かぶばかりでした。

 ただ、その疑問は、私自身が録画視聴の講義や授業に慣れ親しんでこなかったことによるものかもしれません。テレビを視聴する形での講義なら放送大学がありましたし(現在は地上波で見ることができませんが)、資格試験予備校などでは講義録画の放映も以前から行われていました。大学受験予備校などでも例があったはずです。また、教室での講義を録画・録音し、欠席した回の講義の録画・録音を視聴するということも、やはり以前から行われています。学校教育法に基づく学校でこのような講義があまり行われてこなかっただけなのでしょう(例外もあるはずですが)。

 それに、2020年度を思い返すと、教室での講義の中止はやむをえなかったでしょう。下手に強行してクラスターを発生させたら何の意味もありません。おまけに、これだけパソコンやスマートフォンが普及すれば、むしろオンライン講義が行われないほうが不思議でもあります。

 もう一つ、やはり少し気になった部分が、朝日新聞社の記事にありました。「他の学部では、後期から対面授業を再開したところもあったが、経営学部はオンラインのみの授業が続いた」という文です。おそらく2020年度後期のことでしょう。明星大学には理系の学部、あるいは実技系の学部もあるようですので、そのようなところでは教室での講義が再開されたのかもしれません。しかし、文系の学部ではオンライン講義が続いたということです。

 さて、裁判の話です。いずれの記事も、判決の内容についてはあまり詳しく書かれていません。ただ、共同通信社の記事は「西森政一裁判長は判決で、国の緊急事態宣言などを受け対面授業の実施を控える大学が多かったことを挙げ『明星大が突出した選択をした不合理なものとはいえない』と説明した」と報じています。朝日新聞社の記事も「判決は、オンライン授業について『コロナが蔓延(まんえん)する中、授業を実施することを可能とする合理的な選択肢だった』と指摘。対面授業は教育的効果が高いものだとしても、実施が困難な場合にまで、必ず実施しなければいけないわけではないとして、男性の請求を退けた」と報じています。いずれにしても、妥当な判断であると考えますが、判決の構成はもとより、原告、被告のそれぞれの主張を見なければならないでしょう。大学の対応も見なければと思うところなのです。

 朝日新聞社の記事には、原告の思い、あるいは悩みが書かれています。それを読むと「たしかにそうだ」と納得できる部分があります。録画を見てレポートを提出するというのは、実のところ、学生にとっても、そして教員にとっても負担です。オンライン講義でレポート提出が増えて学生が大変なことになっているという趣旨の報道は一昨年や昨年にもありましたし、私自身が話を聞いています。私も、出題、採点の双方で疲れ果てたことが何度もあります。パソコンの画面を見続けると疲れるものです。

 大学の教室で講義が行われず、入構制限もかかっていることからすれば、学生が大学の敷地に入ることはないでしょう。また、緊急事態宣言の影響などもあってアルバイトの場所が減ったこともあるかもしれません。そうなれば、うちに籠もることが多くなることが多くなります。オンライン講義でもライヴ型であれば、学生間、または学生と教員とのコミュニケーションがとれる可能性もありますが、オンデマンド型では望めません。これでは、大学に入ったことの意味を問うことにもなるでしょう。

 しかし、今でもオンラインでの出席を望む学生もいます。少ないかもしれませんが、確実なことです。

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東京都交通局12-600形12-661F

2022年10月19日 19時00分00秒 | 写真

 今回は都営大江戸線の12−600形です。常々「都営地下鉄12号線というほうがよほどよい名称ではないか」と思っているのですが、路線延長の半分以上は江戸の領域から外れているのに大江戸と付けられたのは何故でしょうか。そう言えば、私の小学生時代には、浅草線は都営1号線、三田線は都営6号線と案内されており、地下鉄の駅の案内板にもそう書かれていました。

 東京都交通局12-600形は、2012年に営業運転を開始した車両で、開業以来使用されてきた12−000形に代わり、大江戸線で運用されています。

 大江戸線は東京では唯一の、日本全国では2番目のリニア地下鉄です(1番目は大阪メトロ長堀鶴見緑地線)。リニア地下鉄は、工事費削減のためもあり、JRや大手私鉄の平均的車両と比べるとサイズが小さくなっています。

 また、大江戸線は、都営地下鉄では最初にワンマン運転を行った路線であるとともに、東京の地下鉄では銀座線、丸ノ内線とともに、他社の路線に乗り入れることがありません。

 大江戸線の車両は、東京の地下鉄では唯一、営業運転で全く地上に出ることがありません〔注意:都営浅草線、東京メトロ半蔵門線および南北線も全線地下線ですが、乗り入れ先(京成押上線、京急本線、東急田園都市線、東武伊勢崎線、東急目黒線などで地上に顔を出します〕。リニア地下鉄の場合、営業区間が地上区間にある路線は少なく、私が知る限りでは横浜市営地下鉄グリーンラインと仙台市地下鉄東西線だけです。

 上の2枚の写真を御覧になって、違和感を覚える方もおられるかもしれません。日本の鉄道車両の多くは、運転台が左側にあります。つまり、多くが右ハンドルである自動車とは逆であるということです。しかし、大江戸線の車両は、東京の地下鉄で唯一、運転台が右側にあります。大江戸線に限らず、リニア地下鉄の場合、ほとんどの駅で島式ホームが採用されており、進行方向右側の扉が開くという路線でワンマン運転を行うのに都合がよいということで、右運転台が採用されています。

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マーラーの交響曲第9番を生演奏で聴くことができて

2022年10月16日 01時05分00秒 | 音楽

 私に限らず、マーラーの交響曲第9番が大好きであるという人は多いようです。また、この曲のLPやCDのセットをいくつも持っているという人も少なくないようです。実際、名演と言われるものが多く、或る種の記念の意味をこめて演奏に臨む指揮者もいます。

 この曲を生演奏で聴きたいとかねがね思っていましたが、実現しました。ヘルベルト・ブロムシュテット氏指揮のNHK交響楽団です。

 時折入れられるヴィオラ独奏が非常に印象的でしたが、どの楽章もよく、私の頭の中でもすぐにフレーズが同期します。演奏に入り込んだという感じでしょうか。ニ長調でありながら重々しい第1楽章、レントラーの調子で時に滑稽に、時に荒々しく響くハ長調の第2楽章、激情のイ短調で穏やかさのニ長調を挟み込んだような第3楽章と続きます。この第3楽章の中間部では第4楽章のフレーズが先行して登場しており、そうかと思うと激しい曲調に戻り、強音で終わります。このあたりはかなり巧みだと感じます。そして、変ニ長調の第4楽章が短い序奏とともに始まります。第1主題を聴いて、すぐに目が潤んできたほどでした。このところ、様々なことがあっただけに、思いが溢れてきてしまい、それを何とか抑えようとしたほどです。第4楽章には特に印象的かつ心を動かされる箇所がいくつかあるのですが、そうした部分も申し分のないものでした。

 そして、ヴィオラがG、As、B、Asと弾いて、Sehr langsam und noch zurückhaltendの指示通り、消え入るようにこの曲が終わり、かなり長い余韻がありました。指揮者の腕はなかなか下がらず、消えてしまった音を追いかけているのかのようにも見えます。その後、割れんばかりの拍手が起こり、聴衆が総立ちになりました。それだけ素晴らしかったということでしょう。盛大な拍手はよくあっても、総立ちというのはそうめったにあるものではないのです。

 「この曲を知ることができてよかった」と思うことが、私には何度もありました。「当然だろう?」と言われるかもしれませんが、「一生付き合おう」と思える音楽に出会うことは、あまり多くないでしょう。私にとっては、今年コンサートで聴いたものとしてブルックナーの交響曲第7番とマーラーの交響曲第9番をあげることができます。その理由は、実際に聴いて判断していただくしかないでしょう。

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第210回国会衆議院議員提出法律案第1号

2022年10月13日 00時00分00秒 | 国際・政治

 憲法第53条は「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めています。しかし、具体的に要求から召集までの期間(期限)が定められていないこともあって、これまで、野党側からの臨時国会(条文では臨時会)の要求が行われたにもかかわらず、内閣が召集を決定しなかったことがありました。そのため、ということでしょう。現在会期中である第210回国会において、衆議院議員提出法律案第1号として「国会法の一部を改正する法律案」が審議中の扱いとなっています。

 条文は次のとおりです(但し、一部の漢数字を算用数字に改めています)。

 「国会法(昭和22年法律第79号)の一部を次のように改正する。

 第3条に次の1項を加える。

  前項の規定により要求書が提出されたときは、内閣は、その提出の日から20日以内に臨時会を召集することを、決定しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

 一 この項本文の期間内に常会が召集された場合

 二 この項本文の期間が前条の規定により臨時会を召集しなければならない期間又は特別会を召集しなければならない期間にかかる場合

 三 この項本文の期間が衆議院議員の任期満了による総選挙又は参議院議員の通常選挙を行うべき期間にかかる場合

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律による改正後の国会法(以下「新法」という。)の規定は、この法律の施行後に新法第三条第一項の規定により提出された要求書に係る臨時会の召集について適用する。」

 提出理由は「日本国憲法第53条後段の規定に基づく国会議員による臨時会の召集の決定の要求があった場合における内閣の対応の状況に鑑み、臨時会の召集の決定の要求の日から20日以内に臨時会を召集することを内閣が決定しなければならない旨の規定を設ける必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」とされています。

 内容は妥当でしょう。10日でもよいと思われますが、召集されるべき臨時国会の議題など考慮すれば20日というところでしょう。

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武蔵溝ノ口駅にて

2022年10月12日 20時00分00秒 | 写真

各駅停車川崎行きとして、1番線に入ってきました。

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