ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

寿司離れ ラーメン離れ 本当かどうかわかりませんが

2019年08月29日 08時00分00秒 | 社会・経済

 近頃では若者の車離れ、酒離れなどと言われておりまして、それが消費の低下につながるなんて心配されているところでございます。大学教員をやっている私にしてみれば、車なんぞを持っていたらガソリン代だの駐車場代だの保険だのとお金がかかりますから車離れも仕方のないところだろうと思いますし、酒離れはむしろよいことではないか、俺達の若い頃みたいに一気飲みなんていう馬鹿なことをやって急性アルコール中毒で倒れて死んだりなんかする、なんてこともありませんから、むしろ○○離れにはいいこともあるだろう、と思うこともある訳です。まあ、車離れは学生を見ていてわかるところでして、運転免許を持っていない学生、卒業が決まったので慌てて免許を取る学生も多いのでございます。酒離れはというと、これも当たっているのかな、なんて思うこともよくあります。それにしても、○○離れという記事の多いこと。そんなに○○から離れる人が多いのかなと、頭の中には「?」ばかりが浮かんでくるのでございます。

 さて、たまたま、東洋経済オンラインを見たら、8月28日の5時付で「日本人男性の『寿司・ラーメン離れ』」という記事が掲載されていました(https://toyokeizai.net/articles/-/298396)。書かれた方は、博報堂生活総合研究所の上席研究員にしてコピーライターの前沢裕文氏です。

 私は、麺類ということであれば蕎麦、うどん、パスタなどを好みますが、ラーメンを食べません(食べたとしても数年に1回です)。一人で、あるいは妻と食事に行く時には最初からラーメン(屋)が候補に入りません。単純にラーメンを好まないのです。そのため、ラーメン屋しかないような街や通りに出ると困ったことになります。定食があるかどうかを見なければなりません。

 しかし、色々な街に行ってみると、ラーメン屋がない所などまずお目にかかりません。そのため、この東洋経済オンラインの記事の内容は本当かと思ったのです。

 また、寄せられたコメントなどを見てもわかるように散漫という印象を受ける記事でして、食生活の話なのかと思っていたら終わりのほうに「不倫離れ」、「プレイボーイ・プレイガール離れ」、「超能力離れ」などが登場します。「だから何?」(ジャズの名曲に引っ掛けてSo what?)という言葉が出てもおかしくありません。

 結局は我々庶民の懐具合が寂しくなっている一方なだけではないか、という気もします(その趣旨のコメントもあります)が、ともあれ、記事の内容を見ていきましょう。

 最初に登場するのは「和食離れ」です。とくに漬物を好む人の割合の落ち込みが激しいそうです。理由が書かれておらず、分析もされていないのですが、漬物を作る家庭が少なくなったということもあるかもしれません。私の実家では数年前まで白菜やなすの漬物を作っていました(糠味噌に漬けておく訳です)が、今はしていません。そう言えば、神保町一丁目のすずらん通りに古くからある洋食屋の南海では漬物を見たことがありません(私は学部生時代から何度も入っています)。

 次に寿司です。前沢氏によれば、「生活定点」(何も断り書きなどがないのですが、博報堂生活総合研究所が行っている定点調査のことです)において「好きな料理ベスト3は何ですか?」という質問が毎年行われているようで、不動のベスト3は寿司、焼肉、ラーメンなのだそうです。「そうですか」としか言いようがないのですが、定点調査で、この2、3年、30代男性の「寿司離れ」が見られるそうです。2016年の36.3%→2018年の24.1%で、たしかに落ち込んでいます。

 しかし、問題はその理由でしょう。近世の江戸において寿司はファストフードのような存在であり、一旦は高級化したものの、回転寿司や持ち帰り寿司の普及によって再び大衆化しましたし、うちの近所のスーパー(東急ストア、マルエツ、まいばすけっとなど)でも寿司は売られています。贅沢さえ言わなければ……ということでしょう。そうなると、寿司にありがたみがなくなるのもわかります。

 続いてラーメンです。同じ調査の同じ質問について、20代女性で「ラーメン離れ」が起こっているそうで、2016年の25.5%→2018年の13.0%と落ち込んでいるそうです。

 この記事では珍しく理由らしいものが少し書かれているのですが、健康のため、という訳でもなさそうです。単純に高価だからではないかと思うのですが、よくわかりません。「ラーメン離れ」は20代女性のみならず、40代男性、30代男性、20代男性でも見受けられるのですが、20代女性ほどの落ち込みようでもないようです。

 これから連載でも始まるのか、詳細な分析が書かれた記事が掲載されるのか、それはよくわかりませんが、先程記したように「○○離れ」を出し過ぎて散漫なものになってしまったのが惜しいところです。ラーメンならラーメン、寿司なら寿司に絞ったほうがよかったのではないでしょうか。もしかしたら、それでは記事を書けなかったのかもしれませんが。

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近江鉄道に関して法定協議会の設置へ

2019年08月28日 11時34分20秒 | 社会・経済

 8月も終わりに近くなってきました。近所の小学校では、既に2学期が始まっています。

 さて、本題に入りましょう。7月31日の23時31分30秒付で「近江鉄道の今後は?」という記事を掲載しました。今回は続編です。

 滋賀県と沿線自治体が、今月(8月)27日に東近江市で会合を開きました。京都新聞社が8月27日の23時50分付で「赤字の近江鉄道、上下分離で存続へ法定協 滋賀県と沿線自治体」として報じています(https://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20190827000106)。

 この会合では、10月下旬に法定協議会を設置し、近江鉄道の存廃、存続する場合の財政負担などを議論していくことで合意されたようです。法定協議会は地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づいて設置されるものです。同法の第6条を示しておきます。

 

(協議会)

第6条 地域公共交通網形成計画を作成しようとする地方公共団体は、地域公共交通網形成計画の作成及び実施に関し必要な協議を行うための協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 地域公共交通網形成計画を作成しようとする地方公共団体

 二 関係する公共交通事業者等、道路管理者、港湾管理者その他地域公共交通網形成計画に定めようとする事業を実施すると見込まれる者

 三 関係する公安委員会及び地域公共交通の利用者、学識経験者その他の当該地方公共団体が必要と認める者

3 第1項の規定により協議会を組織する地方公共団体は、同項に規定する協議を行う旨を前項第2号に掲げる者に通知しなければならない。

4 前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る協議に応じなければならない。

5 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

6 主務大臣及び都道府県(第一項の規定により協議会を組織する都道府県を除く。)は、地域公共交通網形成計画の作成が円滑に行われるように、協議会の構成員の求めに応じて、必要な助言をすることができる。

7 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

 

 近江鉄道に関する法定協議会については、滋賀県が運営を主導する方針を示しており、また、同協議会が地域公共交通網形成計画を2020年度中に策定することとされました。メンバーは、上記の第6条に従って「県や沿線市町の担当者、有識者、地元企業や観光関係者などで構成する」とのことです。地域公共交通網形成計画については地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の第5条が法的根拠となりますので、ここで引用しておきましょう。

 

(地域公共交通網形成計画)

第5条 地方公共団体は、基本方針に基づき、国土交通省令で定めるところにより、市町村にあっては単独で又は共同して、都道府県にあっては当該都道府県の区域内の市町村と共同して、当該市町村の区域内について、持続可能な地域公共交通網の形成に資する地域公共交通の活性化及び再生を推進するための計画(以下「地域公共交通網形成計画」という。)を作成することができる。

2 地域公共交通網形成計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 持続可能な地域公共交通網の形成に資する地域公共交通の活性化及び再生の推進に関する基本的な方針

 二 地域公共交通網形成計画の区域

 三 地域公共交通網形成計画の目標

 四 前号の目標を達成するために行う事業及びその実施主体に関する事項

 五 地域公共交通網形成計画の達成状況の評価に関する事項

 六 計画期間

 七 前各号に掲げるもののほか、地域公共交通網形成計画の実施に関し当該地方公共団体が必要と認める事項

3 地域公共交通網形成計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、都市機能の増進に必要な施設の立地の適正化に関する施策との連携その他の持続可能な地域公共交通網の形成に際し配慮すべき事項を定めるよう努めるものとする。

4 第2項第4号に掲げる事項には、地域公共交通特定事業に関する事項を定めることができる。

5 地域公共交通網形成計画は、都市計画、都市計画法(昭和43年法律第100号)第18条の2の市町村の都市計画に関する基本的な方針、中心市街地の活性化に関する法律(平成10年法律第92号)第9条の中心市街地の活性化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための基本的な計画及び高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第25条の移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想との調和が保たれたものでなければならない。

6 地方公共団体は、地域公共交通網形成計画を作成しようとするときは、あらかじめ、住民、地域公共交通の利用者その他利害関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

7 地方公共団体は、地域公共交通網形成計画を作成しようとするときは、これに定めようとする第2項第4号に掲げる事項について、次条第1項の協議会が組織されている場合には協議会における協議を、同項の協議会が組織されていない場合には関係する公共交通事業者等、道路管理者、港湾管理者その他地域公共交通網形成計画に定めようとする事業を実施すると見込まれる者及び関係する公安委員会と協議をしなければならない。

8 地方公共団体は、地域公共交通網形成計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣、都道府県(当該地域公共交通網形成計画を作成した都道府県を除く。)並びに関係する公共交通事業者等、道路管理者、港湾管理者その他地域公共交通網形成計画に定める事業を実施すると見込まれる者及び関係する公安委員会に、地域公共交通網形成計画を送付しなければならない。

9 主務大臣及び都道府県は、前項の規定により地域公共交通網形成計画の送付を受けたときは、主務大臣にあっては地方公共団体に対し、都道府県にあっては市町村に対し、必要な助言をすることができる。

10 第6項から前項までの規定は、地域公共交通網形成計画の変更について準用する。

 

  問題は具体的な内容です。上記京都新聞記事では「存続の場合には、運行・運営(上部)と設備保有(下部)の組織を分離して会計を独立させる『上下分離方式』の導入や、自治体の負担割合なども議論する」と書かれています。

 実は、まだ決定事項でも何でもないようであるとはいえ、7月3日に開かれた「近江鉄道線活性化再生協議会」の第2回会合においては、仮に上下分離方式が採用された場合には近江鉄道が「線路や車両など鉄道事業に関わる約48億円相当の設備を関係自治体に無償で譲渡する意向を示した」、「コスト削減は限界でこれ以上の経費削減策がなく、状況によっては鉄道事業の分社化の検討も必要などとした」とのことです〔7月4日19時28分付の京都新聞社「近江鉄道、上下分離なら設備無償譲渡へ 滋賀県沿線市町会議」(https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190704000132)によります〕。

 そもそも鉄道路線として存続するか否かが最初の(あるいは最後の)選択肢となる訳ですが、近江鉄道の鉄道路線は正式に3つあります。本線(米原〜貴生川)、多賀線(高宮〜多賀大社前)および八日市線(近江八幡〜八日市)です。近江鉄道の公式サイトでは彦根・多賀大社線(米原〜高宮〜多賀大社前)、湖東近江路線(高宮〜八日市)、万葉あかね線(近江八幡〜八日市)および水口・蒲生野線(八日市〜貴生川)となっており、地域別に愛称を付けた形となっています。

 路線を正式の3路線と考えるよりは地域別の愛称に即した4路線と考えるほうがよさそうですが、いずれにしても、近江鉄道線として一体として考えるのか、各路線毎に検討するのかという問題もあります。ただ、或る部分に極端な赤字があるからそこだけを廃止することとした場合、残りの部分についても長期的に乗客減少などの影響が出かねません。

 例えば、甲線というA〜Cの路線があるとします。営業係数、輸送人員、輸送密度といった要素によってA⇔B、B⇔Cの2区間に分かれており、A⇔BよりもB⇔Cのほうが営業係数、輸送密度などが低いとしておきます。そこでB⇔Cを廃止したとします。A⇔Bが残されることにより、甲線の営業係数、輸送人員、輸送密度は上昇するでしょう。しかし、この効果が永続的なのか一時的なのかが問題となります。一時的な効果に留まり、数年でA⇔Bの営業係数、輸送人員、輸送密度の低下が見られる可能性もあるのです。B⇔Cの廃止によって利便性がいっそう低下することもあるからです。

 他方、全線を廃止して路線バス化またはBRT化をしたとしても、それで状況が改善するとは限りません。1980年代に相次いで廃止された国鉄の特定地方交通線の状況を見ても、バス化したら輸送人員がさらに低下し、赤字に耐えかねて廃止あるいは縮小されるという例も少なくありません。公共交通機関の衰退を通り越して空洞化する地域が少なくないということです。モータリゼイションと少子高齢化社会の進展によるものと考えてよいでしょう(もう一つあげるとすればインターネット・ショッピングの普及ですが、都市部と非都市部とでは状況が異なるでしょう)。公共交通機関空洞化地帯では、自家用車がなければ、あるいは車を運転できなければ、日常生活に支障を来します(完全な自給自足が達成されていれば話は別ですが)。今では、佐賀県上峰町のイオン上峰店が2019年2月に閉店したことが全国ニュースになるほどで、郊外型ショッピングモールの閉鎖や縮小の話も聞かれるようになりました。既に商店街がシャッター街化しており、郊外型ショッピングモールも閉鎖ということになれば、地域の経済活動がどうなるのかは、かなりの程度で具体的に想像することができます。

 一度はこの目で見なければと思いながら、まだ近江鉄道線に乗ったことがないのですが、滋賀県、沿線自治体がどのような未来像を描こうとしているのか、注目しておかなければなりません。

 次に、鉄道線の存続を選択した場合に上下分離方式を採るのか、第三セクター化するのか、などの問題が出てきます。近江鉄道が鉄道線全線を従前通りに経営するというのであれば、滋賀県および/または沿線自治体が補助金を支出するという関与に留めておくこととなります。しかし、近江鉄道が会社として示す姿勢からして、これは現実的な選択肢ではありません。

 ここで念頭に置いておかなければならないことは、近江鉄道が西武グループの一員であり、「鉄道・運輸機構だより」44号(2015年冬)16頁によると西武鉄道が近江鉄道の発行済み株式の94.8%を保有していましたが、2016年1月14日付の「西武鉄道株式会社による近江鉄道株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」(http://fs.magicalir.net/tdnet/2016/9024/20160113487018.pdf)によると同年2月29日に西武鉄道が近江鉄道の株を全て取得するとのことです。おそらく実行されているでしょうから、近江鉄道は西武ホールディングスの完全孫会社ということになります(西武鉄道が西武ホールディングスの100%子会社であるため)。

 西武グループが近江鉄道についてどのような考え方をとっているのかわからないので何とも言えない部分もありますが、鉄道路線を維持し、かつ、上下分離方式などを採用するのであれば、近江鉄道の全株式を西武グループが保有し続けるのは非現実的でしょう。かつて福井鉄道が経営再建の一環として名鉄グループから離脱したように(名古屋鉄道は福井鉄道の発行済み株式の3分の1程を保有していましたが、全て売却しています)、近江鉄道も西武グループから離脱することになるのか、あるいは西武グループから離脱はしないが同グループの出資比率を下げるか、ということになります。かつての近鉄養老線を運営する養老鉄道の場合、近鉄グループから離脱してはいないものの、近鉄の出資比率は下がっています。伊賀鉄道(かつての近鉄伊賀線を運営する企業)もそうです。

 上下分離方式を採用した場合には、鉄道施設など「下」の部分を滋賀県や沿線自治体が直接保有する(例:伊賀鉄道、四日市あすなろう鉄道)または滋賀県や沿線自治体が出資する別法人(例:一般社団法人養老線管理機構)が保有する、という形になります。近江鉄道の場合は沿線自治体として米原市、彦根市、東近江市、甲賀市などがあるため、沿線自治体が出資して別法人を設立するとともに、「上」を担う近江鉄道にも出資するということになるはずです。これから具体的に検討しなければならないのは出資額、出資比率、固定資産税の免除の有無、などということになります。

 鉄道路線を存続するにせよ、廃止するにせよ、様々な問題が残っています。法定協議会においてどのような結論が導き出されるのか、注意を向けておかなければなりません。

 なお、近江鉄道は2018年12月18日に公式サイトで「近江鉄道線の経営状況について」という文書を公表しています(http://www.ohmitetudo.co.jp/file/group_oshirase_20181218.pdf)。これについては機会を改めることとします。

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ブロムシュテット氏の指揮によるマーラーの交響曲第9番

2019年08月27日 20時57分00秒 | 音楽

 先週、朝日新聞の夕刊で取り上げられており、マーラー(Gustav Mahler)の交響曲第9番ということで、注文してCDを購入しました。

 演奏はバンベルク交響楽団(Bamberger Symphoniker)、指揮はヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Bromstedt)で、Accenbus Musicが2019年に発売したものです。

 大学院生時代から、一体どれほど購入したのかというくらい(たぶん10セットはあるでしょう)、マーラーの交響曲第9番を買いました。最初に六本木WAVEで購入したカラヤン(Herbert von Karajan)指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)の演奏(何種類かありますが)というフランス盤のCDは、聴き過ぎて盤が傷んでしまい、ドイツ盤を買い直したほどですし、一期一会として知られるバーンスタイン(Leonard Bernstein)指揮の演奏なども買いました。今年はブーレーズ(Pierre Boulez)指揮のシカゴ交響楽団(Chicago Symphony Orchestra)の演奏も購入しています。

 バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ、同じくバッハの無伴奏チェロ組曲が典型ですが、同じ曲でも演奏者の解釈によってかなり違います。マーラーの交響曲でも最高傑作、あるいは別格と位置づけられる第9番は、指揮者によって(どうかすれば指揮者が同じであっても時が異なると)かなり解釈が異なる曲です。マーラー自身による初演が行われておらず、改訂も行われていないことが理由の一つのようです。とくに第4楽章を聴くと、違いがよくわかります。Adagio. Sehr langsam und noch zurückhaltendと指示されていますが、演奏によって速さが違いますし、途中でも何箇所かで顕著にわかるところがあります。これまで購入したものには「ここをそんなにあっさり済ませるの?」というものもありました。同じ譜面で同じ楽器構成でも奏者によって印象がかなり違うということは、クラシックではよくあることですが、マーラーの交響曲第9番はとくにその傾向が強いように思われます。

 今回買ったCDは、2018年の6月にKonzerthalle Bambergにおいて行われたライヴ録音で、テンポといい、強弱といい、私にはピタリときた部分が多かったのでした。2枚組で、通して聴くと80分を超えますが、一気に聴いてしまいました。第4楽章はもう少しゆっくりでもよいのではないかと思ったのですが、全体的には満足できるものでした。

 指揮者のブロムシュテット氏といえば、日曜日の21時からNHK教育テレビで放送されている「クラシック音楽館」を御覧の方などにはおなじみでしょう(拙宅では、日曜日の20時から23時過ぎまでNHK教育テレビを見ています)。スウェーデン国籍で、これまでライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(Gewanthausorchester Leipzig)やシュターツカペレ・ドレスデン(Sächsische Staatskapelle Dresden)などの常任指揮者を歴任し、様々な管弦楽団の桂冠指揮者や名誉指揮者であるとともに、NHK交響楽団の桂冠指揮者でもあります。1927年生まれ、つまり92歳ですが、同番組でわかるように、若々しく、力強く見えるのです。今回のCDについても同じことが言えます。

 ちなみに、今回買ったCDについているブックレット(ドイツ語原文、英語訳文およびフランス語訳文の解説付き)にはバンベルク交響楽団のメンバー全員の名がクレジットされています。私が知る限りですが、クラシック音楽のCDやレコードでもこのような例は非常に少ないものです。私が毎年見ている東急ジルヴェスターコンサートでも、最後に東京フィルハーモニー交響楽団の演奏者全員がロールで紹介されますが、これもあまり例がありません。

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便利になった、か

2019年08月25日 10時22分36秒 | 写真

今年(2019年)7月、ようやく、丸ノ内線の起点である池袋駅から、支線の終点である方南町駅まで乗り換えなしで行けるようになりました。

 時々、方南町へ行くことがあります。長らく、中野坂上駅での乗り換えを余儀なくされていましたので、便利になったと思います。但し、本線の池袋〜中野坂上から方南町支線に直通するのは、平日の日中で大体20分毎です。従って、中野坂上〜方南町の区間運転は残ります。それでも、日中の新宿止まりがなくなるのはうれしいことでもあります。

 ところで、方南町駅は方南通りの真下にあります。この通りを西へ進むと井の頭線の西永福駅に着きます。延長すると利便性が向上するような気もするのですが、おそらく予定はないのでしょう。方南通りもそれほど幅の広い道路ではありません。

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小樽市と札幌市にて

2019年08月22日 01時02分15秒 | 写真

最初に記しておきます。以下の4枚の写真は私が撮影したものではありません。撮影者(妻です)から、掲載の許可をもらっています。また、若干の加工をしています。

 

 

 

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今日(2019年8月15日)の「経済気象台」

2019年08月15日 11時30分10秒 | 国際・政治

 今日の朝日新聞朝刊6面13版に掲載されている「経済気象台」は「公約の堪えられない軽さ」です。どなたが書かれているのかよくわかりませんが、「呉田」氏によるものです。

 地方自治総合研究所の地方自治立法動向研究会の一員でもある私が読んでいて、納得のいく、という表現では間に合わない内容です。私も同じようなことを考えているから、ということになります。

 「政治家の言葉、特に政権の『公約』は重い。公約とは国民との約束、違えれば責任が問われる。政治とは『結果責任』である。」

 これが「呉田」氏による書き出しです。しかし、改行して間もなく「『政権の公約』は限りなく軽い」と続きます。すぐに、朝日新聞6月22日付朝刊10面13版Sに掲載された「経済気象台」の「軽はずみな政治家」を思い出しました。公約の軽さということは、詰まるところ言葉の軽さです。毎年のように次々と公約、あるいは政策(むしろスローガンに近いようなもの)が出てきますが、あまりに腰が軽いのです。この5、6年ほどの与党税制改正大綱がそうで、法人税改革が2年続いたかと思えば所得税改革が中途半端に続く、といった度合いです。「呉田」氏は「アベノミクス、三本の矢、新三本の矢、希望出生率1・8、一億総活躍、生産性革命、同一労働同一賃金、働き方改革。次々打ち出された『公約』はどれも賞味期限せいぜい半年。何の結果も出せないうちに次の『公約』が登場して別の『改革』が始まる」と手厳しいのですが、「実際、何一つ結果が出せたものはない」という評価には反論できないでしょう。せいぜい「ふるさと納税」をあげるくらいであろうと思うのですが、これは「公約」の副産物のようなものですし、モデルガン(エアガンのようです)を返礼品に選ぼうとした(どう考えても常識などに欠ける)地方自治体が出てくる程に、度が過ぎています。ここまで来れば、何が返礼品に選ばれても驚きません。

 「呉田」氏の評価とは若干異なりますが、希望出生率(結局は少子高齢化対策)、同一労働同一賃金などは長期的な展望が要求されるという意味で大改革になるでしょう。勿論、正確な状況の把握と前提の設定が条件となります。楽観的な見通しでは全く意味がありません。青函トンネルと東京湾アクアラインのような失敗を繰り返すだけになります。

 もう一つ、「呉田」氏が触れていない「公約」があります。地方創生です。この一環としての東京一極集中の是正をあげるほうがわかりやすいかもしれません。東京一極集中は、実際のところ、この数年間に突如出現した訳ではありません。過疎の問題が半世紀以上続いており、その対策のための法律も長らく存在していることを思い出せばよいでしょう。

 本来、言葉には、時と場合に応じた重みがあります。しかし、現在はどうでしょう。言葉が軽いから、あちらこちらに手足が出る。しかし、突っつき散らかして終わる。このような感じでしょうか。

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8月28日に終了 東横線90周年ラッピング

2019年08月14日 11時53分50秒 | 写真

 2017年9月から約2年間、東京急行電鉄東横線を走る5000系5122Fに東横線90周年ラッピングが施され、運行されてきました。一度延長されたとのことですが、この程、8月28日に終了すると発表されました(東京急行電鉄のサイトによります)。

 8月12日、久しぶりに、田園調布一丁目にある多摩川駅(TY09、MG09、TM01)へ行きました。3番線・4番線ホームに立って電車を待っていたら、ちょうど5122Fがやってきました。

 多摩川駅の2番線と3番線(目黒線の乗り場)にはだいぶ前からホームドアが設置されていましたが、1番線と4番線(東横線の乗り場)には最近になって設置されたのか、まだ稼働はしていません。

緑色の電車が、多摩川浅間神社の下の急カーブを超えてやって来ました。急行和光市行きです。

この緑色は、渋谷駅前のハチ公前広場に置かれている初代5000系の色です。勿論、初代5000系は東横線を走っていました。

そして、現在の5000系(つまり2代目です)のうち、東横線に投入されたこの5122Fにラッピングが施されています。

運転席の窓のそばに90周年のヘッドマーク、貫通扉には初代5000系が付けていた運行番号表示を真似た「90」のシールが貼られています。

 側面には、上の方に「東横90周年」のシールが貼られています。急行で運用される際に取り付けられていた、赤地に白字の「急行」サボをイメージしたものでしょう。ただ、私は、初代5000系が急行で運用されているところを見たことがありません(私が幼少の頃の急行と言えば初代7000系か7200系でした)。

 下の方には、昭和40年代まで使用された「T.K.K.」が再現されています。Tokyo KyuKoの略らしいのですが、戦後間もなくの頃には「Totemo Konde Komarimasuの略か?」と尋ねられたのに対し、従業員が「Tottemo Kireina Konodenshaにするように頑張ります」と答えたとか。こんな話を何かの本で読みました(正確でないかもしれません)。

 多摩川駅は、1923(大正12)年3月11日に目黒蒲田電鉄の駅として開業しました。この日に目黒〜丸子(現在の沼部)が開業した訳ですが、現在とは場所が異なり、多摩川浅間神社の入口のそばにある東急多摩川線の踏切の辺り、ちょうどバスの折り返し場(かつて東急スイミングスクールがあった所)にありました。1926(大正15)年1月1日、現在の場所に移転するとともに丸子多摩川と改称します。1931(昭和6)年1月1日に多摩川園前と改称、1977(昭和52)年12月16日、多摩川園と改称、そして2000(平成12)年8月6日、現在の多摩川に改称されます。元の名前に戻った訳です。

 ちなみに、2000年8月6日は、目蒲線が目黒線と東急多摩川線に分割された日であり、新玉川線が田園都市線に統合され、二子玉川園の駅名が二子玉川に改められた日です。

 横浜方面側のクハ5822です。東横線には、5000系が4編成あり(5118F、5119F、5121Fおよび5122F)、いずれも8両編成です。横浜高速鉄道みなとみらい線、東京メトロ副都心線はもとより、西武有楽町線・西武池袋線、東武東上線にも乗り入れができます(もっとも、東武東上線に乗り入れるのは志木駅まででしょう)。

 2代目となる現在の5000系は、元々、2002(平成14)年に田園都市線用としてデビューしました。そのため、東京メトロ半蔵門線、さらに東武伊勢崎線・日光線にも乗り入れます。混雑緩和策として6扉車も投入されましたが、田園都市線でのホームドア設置のため、現在は4扉車に統一されました。

 5000系シリーズと言えば、田園都市線(そして4編成が東横線)の5000系、東横線の5050系(8両編成)および5050系4000番台(10両編成)、目黒線の5080系(6両編成)、そして横浜高速鉄道Y500系ですが、大井町線急行用の2代目6000系、池上線・東急多摩川線の2代目7000系も5000系を基本としています。

 東横線90周年ラッピング車を取り上げながら、まだ東横線の歴史を記していません。それでは、取り上げていきましょう。

 東横線は、目黒蒲田電鉄の系列会社である東京横浜電鉄として、1926年2月14日に開業しました。最初の区間は丸子多摩川、つまり現在の多摩川駅から神奈川駅(反町駅と横浜駅との間にあった駅。1928(昭和3)年に移転後、1946(昭和21)年に休止、1950(昭和25)年に廃止)までです。開業時から目黒蒲田電鉄に乗り入れたため、目黒〜神奈川の営業運転が行われていました。現在の目黒線と同じような形が採られた訳です。ちなみに、開業時には武蔵小杉駅と東白楽駅がなかったのでした。東白楽駅は1927(昭和2)年3月10日に開業しているのですが、現在の武蔵小杉駅が開業したのは1953(昭和28)年4月1日になってからのことです。この駅は、1939(昭和14)年12月11日に開業した工業都市駅と1945(昭和20)年6月16日に開業した旧武蔵小杉駅を統合することによって生まれた訳です。

 現在の東横線の起点は渋谷駅ですが、渋谷〜丸子多摩川の区間は1927(昭和2)年8月28日に開業しました。現在、この区間にある全ての駅が同時に開業していますが、渋谷駅と代官山駅との間には並木橋駅がありました。1946(昭和21)年5月21日に廃止されましたが、東横線が地下化するまでは並木橋駅の痕跡がありました。しかし、現在はありません。再開発の際に並木橋駅の跡を示して欲しかったものです。

 神奈川駅から先の区間は、1928(昭和3)年5月18日に神奈川〜高島(同年8月3日に本横浜と改称され、1931(昭和6)年1月20日に廃止)、1931年1月20日に高島(本横浜)〜高島町、1932(昭和7)年3月31日に高島町〜桜木町が開業します。これで、渋谷〜桜木町の東横線が完成したのですが、2004(平成16)年1月31日に横浜〜桜木町が廃止されました。横浜高速鉄道みなとみらい線が開業したのは2004年2月1日です。

 東急で最も早くホームドアが整備されたのは、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道線および都営三田線と相互直通運転を行う目黒線です(但し、正式には田園調布〜日吉が東横線)。続いて東横線、大井町線、田園都市線と整備が進んでいます。東京急行電鉄のサイトによれば、東横線ではこの多摩川駅(東横線のみ)と白楽駅のみが未設置となっていますが、多摩川駅での稼働はもうすぐでしょう。また、大井町線では下神明駅、戸越公園駅、旗の台駅、北千束駅および等々力駅が未設置となっており(逆に大井町駅は東横線のほとんどの駅より早い時期に設置されています)、田園都市線では宮崎台駅、鷺沼駅(1番線および4番線)、青葉台駅、つくし野駅、すずかけ台駅、南町田駅および中央林間駅が未設置となっています。 

 2013年3月18日には、東京メトロ副都心線、および同線を通じて東武東上線、西武有楽町線・西武池袋線との相互直通運転も始められました(その前日をもって東京メトロ日比谷線との相互直通運転が中止されたのは残念ですが)。途中に、散歩などを楽しめる街も多い東横線を、幼少時から何度も利用しています(逆に、湘南新宿ラインはほとんど利用したことがありません。そのため、同線の武蔵小杉駅も利用したことがありません)。次は100周年記念ラッピングが楽しみです。勿論、初代5000系を模した色彩で。

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及ばざるは過ぎたるに勝れり

2019年08月04日 01時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 徳川家康は「過ぎたるは及ばざるが如し」ではなく「及ばざるは過ぎたるに勝れり」と言ったそうな。

 (本当のことかどうかは知りませんが、諺辞典のようなものに書かれています。)

 芸術についてこの言葉が当てはまるというのも考え物ではありますが、大方の日本人には妥当するのかもしれません(対前衛芸術ということであれば、日本人に限ったことでもありません)。

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韓国でもひきこもりの問題が

2019年08月01日 21時54分30秒 | 社会・経済

 今日(2019年8月1日)の朝日新聞朝刊11面14版に「#ひきこもりのリアル ひきこもり 韓国も悩む 課題先取りする日本 支援の手」という記事が掲載されています。

 「#ひきこもりのリアル」は不定期連載のような形の記事で、私も読めるようにしています。実のところ、私は、或る程度は仕事柄で、残りは個人的な関心ということで、ひきこもりの問題には関心を持っています。不登校ということであれば、私の同級生に何人もいましたし、何がきっかけで私自身もひきこもりを始めていたかわからないという思いもあるのです。

 考えてみると、韓国は日本を超える競争社会です。その点において、ひきこもりの問題が日本以上に起こりやすく、それでいて無視されやすいという状況にあるのでしょう。兵役があるかどうかは関係がないようです。しかも、韓国でも日本でもひきこもりの現状は似ているそうです。これは何となくわかります。

 それにしても、ひきこもり、いじめ、という日本語の単語が韓国でもそのまま通じるというのは……。田園都市線の車内で、朝日新聞アプリでも記事を読んでいて複雑な気分になりました(どういう綴りなのかは知りませんが)。

 〔追記〕

 グーグルで検索をかけてみたら、ひきこもりのハングル表記が「ハングルドットコム 韓国語教室のブログ」に掲載されていました(https://study.1hangul.com/韓国でもひきこもりは히키코모리/)。「히키코모리」と記すそうです。

 なお、ひきこもりが日本特有の問題ではないという趣旨の記事は、インターネットにはよくあるようです。これなら、ひきこもりという日本語が世界でそのまま通じてもおかしくありません。

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