ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

岩波ブックセンターはどうなる?

2016年11月29日 00時35分17秒 | 本と雑誌

 神田神保町交差点のそばに、岩波ブックセンターがあります。有名な書店ですので、訪れた方も多いことでしょう。かく記す私も、神保町に行きだした高校生時代から、何度となく入りました。

 11月23日、祝日ですが大学は通常通りの講義日でした。会議などが終わって帰る途中、岩波ブックセンターに寄ろうと思っていたら閉まっており、しばらく休業するという貼り紙がありました。どうしたのかと思っていたら、28日、この書店を運営していた信山社(2階に本社がありました)が破産宣告を受けたというニュースが入ってきました。

 岩波書店の本の扱いは日本一とも言われる店舗ですが、信山社と岩波書店とは資本関係などがないとのことです。また、信山社と信山社出版(文京区)とは全く無関係であるとのことです。

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ここはどこでしょう?

2016年11月25日 01時02分24秒 | 写真

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JR北海道が単独での維持を困難とするのは10路線13区間

2016年11月15日 22時52分03秒 | 社会・経済

 2016年7月30日14時34分27秒付の「いよいよJR北海道の鉄道路線の大整理(?)が始まるか」において記しましたように、JR北海道の島田修社長は鉄道事業の抜本的見直しを正式に表明し、秋に同社単独で維持することが困難であるとする路線・区間を公表することを述べていました。台風による被害のために延びていましたが、ついに今月14日、北海道選出の与党国会議員の会合の場において、同社社長が表明しました。北海道新聞社が今日の9時50分付で「JR北海道、維持困難『13区間』 18日にも正式発表」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0338136.html)として報じています。

 今回は正式発表でないのですが、大きく変わることはないでしょう。説明の場が場であるだけに、かなり固まった内容と思われます。

 JR北海道が単独で維持することは困難であるとするのは10路線13区間で、総延長は1237.2キロメートルにも及びます(但し、1路線1区間については既に廃止ということでJR北海道と夕張市が合意しています)。これは北海道の鉄道路線全体のおよそ50%にあたるというのですから、大規模な見直しと言えます。沿線として関係する市町村も56にのぼります。今後の協議がどうなるか、注目されます。

 選定の基準は、輸送密度、赤字額、設備(トンネル、橋梁など)の老朽化の具合などですが、上記北海道新聞報道に添付されている図を参照すると、今後検討する1路線1区間を除いて輸送密度が2000人未満となっています。以下、あげていきます〔カッコ内の数字は2015年度の輸送密度(日高本線のみ2014年度)/およその赤字額〕。

 1.札沼線の北海道医療大学〜新十津川(79人/4億円)

 2.石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)(118人/2億円)⇐既に廃止で合意済み。

 3.根室本線の富良野〜新得(152人/10億円)

 4.留萌本線の深川〜留萌(183人/7億円)⇐同線の留萌〜増毛は今年12月5日に廃止の予定。

 5.日高本線の苫小牧〜鵡川(298人/4億円)

 6.日高本線の鵡川〜様似(298人/11億円)⇐長期運休中

 7.宗谷本線の名寄〜稚内(403人/25億円)

 8.根室本線の釧路〜根室(通称「花咲線」)(449人/11億円)

 9.根室本線の滝川〜富良野(488人/12億円)

 10.室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢(500人/11億円)

 11.釧網本線の東釧路〜網走(全線)(513人/16億円)

 12.石北本線の新旭川〜網走(全線)(1141人/36億円)

 13.富良野線の富良野〜旭川(全線)(1477人/10億円)

 また、今後検討する路線として、宗谷本線の旭川〜名寄(1571人/21億円)、根室本線の帯広〜釧路(2266人/33億円)があげられています。いずれも、高速化事業として北海道高速鉄道開発(第三セクター)が関わりました。特急列車も走っています。この2路線2区間については、北海道高速鉄道開発への出資、補助などの形での支援を求めるようです(詳細はよくわかりません)。

 JR北海道が単独で維持することができないとなれば、廃止か、沿線自治体などが関わる形で存続するか、ということになります。次のような方針があるようです。

 A 鉄道路線を廃止してバスに転換する方向で協議:上記の1、3および4。

 B 上下分離方式を軸に協議する:上記の5〜13。

 (ちなみに、将来、北海道新幹線が札幌まで全通すれば、現在の函館本線のうち函館〜小樽について経営分離が行われるという方針もあります。)

 私が懸念するのは、上下分離方式という方針です。これは、青い森鉄道などで行われている方式で、鉄道の土地や施設といったインフラを地方公共団体などが保有し、鉄道会社はインフラを借り受けるなどの形で列車の運行を行うものです(青い森鉄道は第二種鉄道事業者であり、青森県が鉄道用の土地などの施設を所有しています)。手元にある『鉄道の百科事典』(丸善)765頁では「鉄道の線路と輸送とを分離する考え方」と説明されており、同書764頁では1991年7月のEU閣僚理事会指令(EU指令91/440)が紹介されています。EUでは、線路部門と輸送部門とで会計を分離すること(会計分離)、線路事業部門と輸送事業部門とで組織を分離すること(組織分離)、線路部分の主体と輸送事業部門の主体が別であること(制度分離)のいずれかを採用することが求められており、会計分離は最低限の選択肢とされているようです(同書765頁によります)。

 EUでは鉄道が重要な輸送手段であるという認識が非常に強いようで、上下分離方式、オープンアクセスなどを盛り込んだ改革を実行しました。これにより、鉄道事業者間の競争の機会を確保することにもなりますし、ローカル線を安易に廃止しないという方針にも適合するようです。しかし、日本ではどうでしょうか。彼我の違いを無視して単純に導入したりすることはできないでしょう。

 上下分離方式を採用するとなると、誰がインフラを保有するかという問題がまず生じます。JR北海道の路線については、国、北海道、沿線市町村、第三セクター、JR北海道とは別個の民間会社、という選択肢が思い浮かびますが、財政の規模などを考えると、国か北海道が保有するというのが望ましいでしょう。勿論、沿線市町村が直接、または保有会社を通じて所有するという手もあります。

 次に財政負担です。国または地方公共団体がインフラを保有することになれば、固定資産税という収入はなくなります。そこでJR北海道が運行を続けるならば同社から使用料を徴収することとなりますが、経営状況などを考えると使用料の減免なども検討されざるをえないでしょう。冬には厳寒に見舞われる地方ですから、線路や信号回路などの維持費も馬鹿にならないでしょう。これと輸送量(旅客、貨物の双方)を天秤にかけて、釣り合うか釣り合わないかを試算せざるをえないと思われます。そうなれば、上下分離方式の採用の予定が変更される可能性も出てきます。地域、沿線市町村が存続を要望するのも理解できますが、安易にそうするのではなく、相当の覚悟を持たなければならないでしょう。住民についても同じことです。或る意味で厳しい表現となりますが、口では存続を唱えても、実際に利用しなければ、廃止に賛成しているのと変わりはありません。地域住民が鉄道(さらには路線バスも)を捨てた、と理解されても仕方のないところです。それならば、最初から存続を主張しないことです。

 1980年代、北海道から多くの鉄道路線が消えました。その中には100キロメートルを優に超える路線、例えば天北線、標津線、羽幌線、名寄本線がありました。日本全国を見ても、一部の例外を除き、特定地方交通線とされたものの多くが廃止されましたが、北海道では特定地方交通線とされたもののうち、第三セクター化されたのは池北線のみでした(やはり100キロメートルを超えていました)。同線は北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線として存続しますが、大赤字を解消することはできず、輸送人員数も減少の一途をたどり、結局、2006年に廃止されました。また、第三セクター化が意図されながらも、試算の結果、数年で資金が底をつき、市町村にとっては耐えられないほどに莫大な負担と化することが判明して断念された、という路線もあります(興浜北線と興浜南線、これに未開業部分を合わせた興浜線、美幸線)。

 それから30年が経過しています。再び、北海道から少なからぬ鉄道路線が消えていくのか否か。まずは上記10路線13区間の行方を見ていかなければなりません。

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後期末試験について(2)

2016年11月12日 09時55分06秒 | 受験・学校

 国学院大学法学部の「行政法1」(金曜日4限)の期末試験は、学年試験期間内に行います。持ち込み・参照は一切不可です。

 

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昨日の夜

2016年11月10日 23時01分36秒 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日(11月9日)の夜、うちに帰ってから、妻に言われました。

 「あなたの予想、当たったわね。」

 アメリカ大統領選挙のことです。朝日新聞社のサイトで大統領選挙の連載記事を読んでいて、間違いないと思っていました。

 但し、あくまでも予想の話です。こういうものに希望などを入れ込んではいけません。

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後期末試験について(1)

2016年11月08日 00時00分30秒 | 受験・学校

 早くも問い合わせがあったので、ここに記しておきます。なお、今回は大東文化大学法学部のみです。

 (1)基本法学概論/基本法学概論B

 2017年1月19日(木)の2限に行います。持ち込み・参照は一切不可。

 (2)行政法1/行政法1B

 後期定期試験期間中に行います。持ち込み・参照は一切不可。

 (3)税法

 後期定期試験期間中に行います。持ち込み・参照は一切不可。

 (4)法学特殊講義2B(財政法B)

 後期試験は行いませんが、最終レポートを提出していただきます。内容、提出日などについては、後日お知らせします。

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大東文化大学法学部「行政法1」「行政法1B」補講について

2016年11月07日 20時40分22秒 | 受験・学校

 11月17日休講分の補講は、11月19日の4限(15時〜16時半)、601教室で行います。

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案の定、内部留保は増え続けている。

2016年11月06日 17時32分43秒 | 社会・経済

 私は、「自治総研」2016年8月号に掲載された「地方税法等の一部を改正する等の法律(平成28年3月31日法律第13号)~法人課税および軽減税率の導入を中心に~」という論文において、次のように記しました(78頁。注は省略)。

 「平成28年度与党税制改正大綱は、経済界の要望を受けて法人実効税率の引き下げを行ったという意味をこめたのか、『現在、企業の内部留保は350兆円を超え、手元資金も増えている一方で、大企業の設備投資は伸び悩んでいる。足下では賃上げに向けた動きも見えてきているものの、労働分配率は低下している』と指摘し、『改革の趣旨を踏まえ、経済の『好循環』の定着に向けて一層貢献するよう、強く求める』、『企業経営者がマインドを変え、内部留保(手元資金)を活用して、投資拡大や賃上げ、更には取引先企業への支払単価の改善などに積極的に取り組むことが、何よりも重要な局面となっている。今後、こうした経済界の取組状況等を見極めつつ、企業の意識や行動を変革していくための方策等についても検討を行う』と述べる。しかし、この『要望』が受け入れられるか否かについては明らかでなく、『方策等』の検討の開始時期も遅きに失したとも評価しうる。」

 このところの「法人税改革」を概観して端的に思いついたことを記しましたが、「『要望』は受け入れられないであろう」、「法人実効税率を引き下げているのであるから、内部留保が増えるのは当然であろう」、「順番が逆であろう」と考えていました。実際に、その通りとなったようです。毎日新聞社が、今日の11時24分付で「内部留保:増え続け377兆円 賃上げ、投資 迫る政府」として報じています(http://mainichi.jp/articles/20161106/k00/00e/020/165000c)。

 財務省の法人企業統計は、2015年度における企業の内部留保が377兆8689億円になったことを示しています。これは、2014年度よりもおよそ23億円も増加していることを意味しており、同時に4年連続で過去最高を更新していることをも意味しています。

 内部留保といいますが、その形は様々です。現金、預金、株式、工場等の施設、海外への投資、などです。企業も、少しばかり収益が上がったからといって従業員の給与を引き上げるようなことはしないでしょう。「賃上げ不足」などと言われますが、為替相場、原料価格の変動など、様々な要因を考えれば、今後の経営基盤を考え、経費をなるべく抑えたいというのが本当のところでしょう(これが正しい態度であるか否かは問いません)。

 しかも、11月2日付の朝日新聞朝刊1面14版トップ記事「物価2%目標、任期中断念 黒田日銀『18年度ごろ』」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12638027.html)、同日付の朝日新聞朝刊3面14版「日銀、5度目の先送り 総裁、2%目標なお強気」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12637926.html)、同日付の朝日新聞朝刊7面14版「小売り・外食、低価格回帰 物価2%目標先送り」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12637917.html)で報じられたように、日本銀行の物価目標は達成されず、先送りされた形となりました。物価上昇率はプラスでなくマイナスを記録しています。また、11月3日付の朝日新聞朝刊11面13版「上場企業、4年ぶり減益 円高・新興国低迷響く 9月中間」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12639924.html)でも報じられたように、東証一部上場企業の今年9月中間決算は減益となる見通しで、円高、供給過剰などにより、鉄鋼は大幅の減益、海運は赤字に転落、などとなっています。

 こうした状況で、政府がいかに賃上げを唱え、圧力をかけようとも、企業側とすれば「無い袖は振れぬ」とまでは言わないまでも、内部留保を減して人件費を引き上げる訳にはいかない、ということになるでしょう。不幸中の幸いと言うべきか、今年も法人実効税率は引き下げられましたし、今後も引き下げられることとなっています。内部留保を増やすには良い条件がある、という訳です。

 長らく続いてきた金融緩和政策が、果たしてどれほどの意味を持ちえたのか。疑問は尽きません。むしろ、日銀が異常な程に国債を買い増しており、これまでに400兆円超、実に国債発行残高の4割弱を日銀が保有するという状態になっています。仮に現在の金融緩和政策を縮小するとなれば、日銀は国債を売却することとなるでしょう。しかし、買い手がつくかどうかわかりません。10月1日付の朝日新聞朝刊8面14版「日銀、新政策を実施 国債買い入れ量減らす」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12586036.html)によると、9月30日に日銀が国債買い入れを減らしたところ、金利が上昇したそうです。逆に言えば、国債の価格は下がった訳です。10月には国債の売買が手控えられており、同月19日には「10年物国債の取引が約1年1カ月ぶりに成立しなかった」ということもありました〔10月22日付の朝日新聞朝刊7面14版「見通し、政策転換と歩調 『物価上昇2%』黒田日銀は難しく」(http://digital.asahi.com/articles/DA3S12619897.html)によります〕。アベノミクスによって、我が国の財政はいっそう深刻度を増した、とも言えるのではないかと思われます。

 最後に、今や空文に等しくなりつつある財政法第5条を紹介しましょう。同条は「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」と定めています。但し書きが引っかかるところですが、小村武『予算と財政法』〔五訂版〕(2016年、新日本法規)134頁は、同条但し書きにいう「特別の事由」について、「現在、日銀が保有する公債の借換え(いわゆる乗換え)のために発行する公債の金額についてはこの要件に該当するものとして、特別会計の予算総則に限度額の規定が設けられている。これは、借換債の性質上、日銀が現に保有しているものの引受けであり、通貨膨張の要因となるものではないからである」と説明しています。

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40〜80字の解答は、思考力ではなく、説明力を測るものではないのか?

2016年11月05日 14時18分25秒 | 受験・学校

 大学入試センター試験の後継となる新共通テストは、2020年度から始まることとなっています。その目玉は国語の試験に導入されるという、記述式解答を求める問題です。採点に時間がかかることは容易に予想されるところですが、今日(2016年11月5日)の朝日新聞朝刊7面13版に掲載されている「記述式 なお課題 40〜80字で思考力?■採点の質は センター後継」という記事を読んでいて、頭に「?」が浮かんできました。

 採点業務を民間業者に委託する場合の出題・解答なのですが、「短文形式」として「80字以下で1問や40字程度で2問」ということが書かれています。

 上記記事にも書かれていますが、これでどうやって思考力を問うのか、と疑問に思われるのです。

 もっとも、出題の内容に左右されるかもしれません。40字程度、または80字程度でも、問い方あるいは問う内容によっては思考力の一端は見受けられることでしょう。

 しかし、よほど簡単な出題であればともあれ、一般的に、発想、思いつきについてであればこの程度の字数でよいとしても、思考力とはかけ離れるのではないでしょうか。漢字だけを使って文章として表現するならば、80字でも思考力を問えるかもしれません。しかし、そのような文章を解答として求めるとも思えませんので、新共通テストで問われる思考力とは何か、という問題が生じてきます。

 手元の大辞泉によると、思考は「考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること」が筆頭に出てきます。また、「哲学で、広義には、人間の知的精神作用の総称。狭義には、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する知性の働きをいう」、「心理学で、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する心の働きや機能をいう」とも書かれています。

 おそらく、一般的にいう思考は「考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること」でしょう。そのための能力が思考力です。そもそも経験や知識がなければ十分な思考をなすことは不可能ですので、思考力を問う以前に、少なくとも知識を問うことは必要です。その上で思考力となると、論理学などで用いられる記号を使用せず、文章だけで表現すると仮定すれば、40字では無理でしょう。上記記事によると、問題に使う素材は「論理的な内容を題材とした説明、論説」、「新聞記事・社説、会議録、法律の条文など」、「統計資料(図表、グラフ)」であることが想定されているようですから、80字程度の記述で解答することを求める設問とはいかなるものであるのか、見たいものです。

 また、「出題・解答のパターン」としては「解答で使用すべき用語・表現の一部を指定」、「対話文・説明文の一部分を抜き書きで解答」、「設問の中で情報館の関係を提示して解答」が想定されるようです。いずれについても、思考力というよりは説明力を求める出題になるのではないでしょうか。

 以前、「簡単な説明をすることができるように」という記事を、2013年11月29日1時43分50秒付でアップしました。私は、2年生向けのクラス別講義を担当しており、毎年、同じような問題を出しています。今年の9月29日に出したのは、次のような趣旨のものです(出題形式などが異なるので、表現を大幅に改めています)。

 「民法第102条により、代理人については、Ⓐ行為能力は不要であるが意思能力が必要である。これに対し、Ⓑ使者の場合は、行為能力のみならず、意思能力も不要である

 下線部のⒶ、Ⓑのそれぞれについて、理由を記しなさい。」

 解答用紙にはそれぞれ2行を用意しています。40字程度を想定していますが、40字以下でも説明は可能でしょう。

 これは、短い説明を求める設問です。人によっては思考力を問う設問であると思われるかもしれませんが、私はそれ程の者ではないと考えています。何故なら、代理人の定義、使者の定義から簡単に導き出せるからです。

 このような出題を行う理由は、「簡単な説明をすることができるように」において記したように、用語や制度などについて基本的な事柄を十分に理解しているかいないかを測るためです。ここで躓いては、応用問題、発展問題に対処できるはずがありません。

 思考力をどのように測定するのか、詳しいことはわかりませんが、一定の論述を必要とするでしょう。ただ思いついたことを書いたところで、それではただのメモを超えるものではないからです。また、思考というからには、思いつきにあれこれと手を加えたりして形にしなければなりません。材料だけ並べるのでは料理と言えないことと同様です。80字程度でどこまで思考力を測ることができるのか、新共通テストの想定問題あるいは予想問題でも読んでみたいものです。

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昔と今

2016年11月01日 23時29分32秒 | 受験・学校

 昔、少なくとも私が学部生であった頃には、講義の開始時間を告げるチャイムが鳴るまでには教室に学生が入っていて、教師はそれよりも数分遅れて入ってくるのが普通でした。

 今は違います。少なくとも、私の担当講義においては。

 講義の開始時間を告げるチャイムが鳴るまでに教室に入っているのは教師で、学生は10分以上も遅れて入ってきたりします。それも、理由らしい理由を言うこともなく。

 これを何とも思わない人が少なくないようです。私も「なめられた」ものですね。

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