ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

何を聴こうかと迷った時には……(6)

2021年06月30日 12時00分00秒 | 音楽

 私の車の中には何枚かのCDが入っています。このブログでも取り上げた「E2-E4」や「千のナイフ」、そしてJean-Luc Pontyの"Fables"です。

 "Fables"については前にこのブログで触れていますが、今回少しばかり書いておきます。

 フランス人のジャズ・ヴァイオリニストであるPontyのリーダー作は多いのですが、私は"Fables"と"Cosmic Messenger"しか持っておらず、しかもよく聴くのは"Fables"です。このアルバムの2曲目"Elephants in Love"はテレビ番組のBGMとして流れることもあるため、実はお聴きになったことがある方も少なくないものと思われます。

 "Fables"を買ったのは1987年11月2日、六本木WAVEでのことでした。たしか、西武ライオンズの優勝記念セールが行われており(そう、WAVEは西武系でした)、そのセールで安く売られていたので買ったのです。或る意味で典型的なフュージョンですが、5弦のエレクトリック・ヴァイオリンとシンセサイザーが浮遊感ともいえる感覚を作り出しており、私ははまり込んだのです。

 内容は変化に富んでいるといえるでしょう。1曲目の"Infinite Persuit"は速い曲で、これは典型的なフュージョンともいえるでしょう。次の"Elephants in Love"は、何と言っても独特の浮遊感のあるイントロが印象的です。これはシンセサイザーの魅力の一つといえます。3曲目の"Radioactive Legacy"と次の"Cats Tales"は変拍子(あるいはそれらしいアクセントの置き方)を使った曲で、"Cats Tales"のほうでギターソロも聴けますが、エレクトリック・ヴァイオリンのソロのほうが圧倒的な存在感を放っています(ギターはバッキング演奏に徹したほうがよかったかもしれません)。5曲目の"Perpetual Rondo"は3拍子系の曲で、確かにクラシック音楽の小品のようにも聞こえる曲ですが、テーマ部分は断片的なフレーズで、エレクトリック・ヴァイオリンのソロとは対照的です。それにしても、最近のポップスなどが耳に入ってくると、4拍子の曲ばかり、というより、それしかないので「音楽もますます貧しくなっていき、リズム感も悪くなっていく」と思えてきます。チャイコフスキーには9拍子や5拍子の曲があり、実に上手いと感じます。「アンダンテ・カンタービレ」でおなじみの弦楽四重奏曲第1番の第1楽章は9拍子ですし、第2楽章(これが「アンダンテ・カンタービレ」です)は4分の2拍子であるものの、所々で4分の3拍子が入ります。また、交響曲第6番の第2楽章は5拍子です。チャイコフスキーなら他にも変拍子の曲があるはずですし、バッハにも8分の9拍子の曲などがあります。本当にリズム感があるのはクラシック音楽の演奏家ではないか、と常に感じています。ジャズであれば3拍子はよくありますし、あの名曲Take Fiveは5拍子ですが、9拍子などとなるとぎこちなくなります。

 横道に逸れましたので本題に戻ります。私は"Fables"を一気に聴き通してしまうのは、2曲目とともに6曲目の"In the Kingdom of Peace"と7曲目"Plastic Idols"のためです。最後の2曲はPontyの一人多重奏で、5弦のエレクトリック・ヴァイオリンとシンセサイザーの面白さが凝縮されているといえます。"Plastic Idols"のほうはフレーズとはいえないような断片がエコーで折り重なる感じのテーマとなっており(勿論、速弾きのテクニックも織り込まれています)、コード進行が面白いともいえます。ピッチカートも使われ、エコー処理が興味深いところです。 

 先に、内容は変化に富んでいると書きました。その通りではあるのですが、デジタル的というか(デジタル録音であったかどうかは覚えていません)テクノ的というか、人工的でかなりエコーやコーラスがかけられた、シンセサイザーを基軸とする太い音が循環するような空間を感じさせる録音であるため、アルバムの名称通りのイメージがあります。個々の曲名も"Fables"の名称に合うようにしたのでしょうか。ジャズ・フュージョンのアルバムではありますが、かなりの部分でテクノ的、あるいはテクノ・ポップ的と言えるかもしれません。

 ジャズ・フュージョンのヴァイオリニストといえば、インド人のL.Subramaniamを忘れる訳にはいきません。今ではインド音楽のヴァイオリニストとしてのほうが有名かもしれませんが、1980年代にはマイルストーン・レーベルから何枚かのジャズ・フュージョンのアルバムが出ていますし、浅井愼平氏が出演したキリンビールのCMでレゲエ調の"Comfortable"が流されていたことを御記憶の方もいらっしゃるでしょう。やはり六本木WAVEで、名前も"Comfortable"というLPを買って聴きましたが、実は日本盤のみの仕様であり、アメリカ盤は"Spanish Wave"というタイトルであって"Comfortable"が収録されていないことを、後日に知りました(参加メンバーが全く違うのです)。ちなみに、私が最もよく聴いたアルバムは"Indian Express"で、これも通しで聴いていました。"Blossom"も持っていますが、私にはあまりピンとこないアルバムでした。

 もう一人が、ジョン・ブレイクです。彼についてはこのブログで取り上げています。今回の3人のヴァイオリニストの中では最もジャズ・フュージョンの表現に相応しいでしょう。4枚のアルバム(3枚のLPと1枚のCD)を買いましたが、やはり、テレビ朝日の深夜番組「ピーク・ア・ブー」のオープニング曲であったLa Verdaが抜きん出ています。

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熱対策

2021年06月25日 00時00分00秒 | デジタル・インターネット

 私が今年度(2021年度)に担当している講義は、2つを除いてオンラインを利用しています(併用を含みます)。そこで、やはりノート型パソコンの熱対策が必要であると感じました。

 実は、昨年度(2020年度)に自宅でオンライン講義を行っていたため、あまり熱対策を考える必要もなかったのでした。しかし、MacBookを教室に持ち出している今年度は違います。これまで何回か散発的に生じていたのですが、昨日(2021年6月24日)に行った講義の最中に、二度もPowerPointが強制終了を起こし、ディスプレイに、高熱状態になっている、Zoomを終了すれば熱を下げることができる、というような表示が出たのです。

 原因は明確です。ZoomやWebexを使うとCPUの使用量が増加し、パソコンが熱くなることがわかっています。MacBook系はそのことがよくわかるボディ構造です。昨年度は、講義進行の都合でMacBook ProにiPadを接続して画面を切り替えたりしていたこともあるのですが、放熱機能が激しくなり、ソフト(アプリ)の動きが緩慢になりました。日本の夏はパソコンの使用にとってあまりよい季節ではありません。

 そこで、帰りに家電量販店で安価な冷却装置を買いました。送風機能でパソコン本体の温度を下げるという仕組みで、どの程度まで効果的なのかわかりませんが、試しに使ってみます。よければ自宅のMacBook Proにも導入しようかと考えています。

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いつまで走るか 東急8500系8622F その2

2021年06月24日 01時30分00秒 | 写真

 2021年3月3日8時付で「いつまで走るか 東急8500系8622F その1」を掲載しました。それから3か月以上が経過していますが、まだこの編成は運用されています。いつ廃車になるかわかりませんが、私が小学校1年生の時にデビューし、何かとよく乗った8500系の引退の日が近いのは確実なので、なるべく撮影しておこうという訳です。東京メトロ半蔵門線神保町駅と東急田園都市線高津駅で撮影しました。

 神保町駅5番線に各駅停車中央林間行きの8622Fが入線してきました。この電車に乗って帰宅する訳です。桜新町駅で急行の通過待ちをしましたが、三軒茶屋駅で急行に乗り換える訳にはいかないので、そのまま乗り続けました。高津駅には急行も準急も停まらないからです。

 さて、半蔵門線は1978年8月1日に開業しましたが、その時は渋谷駅から青山一丁目駅まででした。その後、1979年に永田町駅まで、1982年に半蔵門駅まで延伸しましたが、三越前駅まで延伸したのは1989年1月になってからのことで、その時に九段下駅、神保町駅および大手町駅も開業しました(もっとも、どの駅も既に他の地下鉄路線が通じていましたが)。

 神保町駅には、既に都営三田線、都営新宿線が開業しており(三田線のほうが先に開業しているにもかかわらず、新宿線のほうが乗り場番号が若いのです)、半蔵門線の乗り場は5番線(渋谷駅方面)、6番線(押上駅方面)となっています。どの程度なのかはわかりませんが、かなり深い所を走っています。

 渋谷駅での業務放送を聴くとわかりますが、東京メトロの各線では上り、下りという表現は用いられず、A線、B線と言われます。A線は路線の起点から終点へ向かい、B線は終点から起点へ向かいます(駅番号の付け方とは関係がありません)。駅の乗り場番号もA線、B線に準じており、例えば日比谷線六本木駅の1番線(中目黒駅方面)はA線、2番線(北千住駅方面)はB線のホームです。これは、日比谷線の起点が北千住駅、終点が中目黒駅であるためです。

 しかし、半蔵門線は例外で、他の路線とは逆に付けられています。例えば半蔵門駅の1番線(渋谷駅方面)はB線(渋谷駅方面)、2番線(押上方面)はA線のホームです。これは東急田園都市線に合わせた番号の付け方であるようです。

 高津駅1番線から、私が乗車した8622Fが次の溝の口駅に向けて出発しました。二子玉川駅から溝の口駅までは玉川電気鉄道が溝ノ口線として建設した部分であるためか、駅間距離が短いのが特徴であり、二子新地駅から高津駅までは田園都市線で最も短い駅間距離となっています。何せ、二子新地駅の所在地は高津区二子2丁目、高津駅は二子4丁目です。

 東急の場合は、乗り場番号がどの路線も下りホーム、上りホームの順番となっています(例外は世田谷線で、そもそも番号が振られていません)。高津駅および二子新地駅の場合は1番線が田園都市線下りホーム、2番線が大井町線下り(但し、ホームがない)、3番線が大井町線上り(但し、ホームがない)、4番線が田園都市線上りホームです。

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Shibuya Hikarie号(東急5050系4000番台4110F)

2021年06月22日 10時30分00秒 | 写真

 日本にラッピング電車が走り始めたのが何時なのかはわかりませんが、最近は多くなっています。しかし、そのほとんどは以前から在籍している車両に期間限定でラッピングを施すというものであり、最初から特別の舗装などを施して登場する車両は少ないでしょう。

 その少ない例の一つが、今回取り上げる東急5050系4000番台4110Fです。この編成は登場時からShibuya Hikarie号として運行されており、4000番台を含む他の5050系の編成とは全く違う色彩となっています。

 5050系4000番台は、東横線用の5050系のうち、10両編成のものです(5050番台は8両編成)。東横線・みなとみらい線では特急(Fライナーを含む)、通勤特急、急行として運用されており、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・西武池袋線にも乗り入れます。また、西武狭山線にも乗り入れることがあり、ダイヤが乱れた時には東京メトロ有楽町線を走ることもあります。

 車内はShibuya Hikarieの広告で統一されています。そのため、シアターオーブでの公演の内容などもわかるようになっています。田園都市線を走るBUNKAMURA号と似たようなものです。私も時折Shibuya Hikarieに行くため、車内を楽しんだりしています。また、4110Fの車内は他の編成と同じロングシートですが、座席の色が異なります。

 思い起こしてみると、かつて、Shibuya Hikarieの場所には東急文化会館があり、パンテオンという映画館、五島プラネタリウムなどがありました。パンテオンでは年越しのジャズコンサートが行われたことがあり、私も一度行きました。12月31日22時の開演で向井滋春さんのバンドが登場し、日付が変わる頃には坂田明さんのバンド(ドラム・パーカッションに仙波清彦さん、ベースに川端民夫さんが参加していました。もう一人のベースが吉野弘志さんだったでしょうか)、1月1日早朝の大トリは山下洋輔さんのバンドでした。司会は相倉久人さんだったような気がします。五島プラネタリウムに行ったのは幼い頃だったと記憶しています。また、学部生時代の一時期、東急文化会館の上の方にリサイクル本屋があって、そこへよく行きました。

 日本では4が忌み番号として避けられる傾向にあります。鉄道車両についても同様で、私鉄をみても400系(形、型)、4000系(形、型)、40000系(形、型)は非常に少ないのです。東急でもこの5050系4000番台しか登場していませんし、他の私鉄では西武4000系、西武40000系、小田急4000形(現在は2代目)、名鉄4000系くらいでしょうか。少なくとも、今はこの程度しか思い付きません。

 私鉄の車両の番号は、国鉄・JRとは全く違うルールで付けられており、会社によって異なります。登場順に1000、2000、3000と付けることが多いようですが、他社路線への乗り入れがある場合には話が違ってきます。例えば、京成の通勤型車両は3X00形、京浜急行は1000形、1500形、600形、2100形、東京都交通局は5X00形となっています。これは乗入協定で定められているようで、車両の番号が2社以上で重複しないように調整する意味があるようです。

 この5050系4000番台も同じような意図によるものでしょう。ただ、西武に4000系と40000系があるので不徹底ではあります。さりとて5000系シリーズを名乗り続ける訳にもいかず(せいぜい5030番台とするしかなかったでしょう)、4000番台にしたものと思われます。

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JR芸備線の(部分的)存廃議論が加速されるか

2021年06月19日 08時00分00秒 | 社会・経済

 COVID-19は、日本の公共交通機関にさらなる打撃を与えました。JRグループに話の対象を絞ってみても、JR北海道を初めとして、苦境が伝えられています。とくに注目すべきはJR西日本でしょう。京阪神地区で競合する路線(阪急京都線など)から乗客を奪うなど、活気に溢れているような印象を受けたものですが、それもCOVID-19の蔓延の前まででした。

 JRグループで強い経営体力を持っていると考えられてきたのは本州の会社、つまりJR東日本、JR東海およびJR西日本ですが、COVID-19により、一部の黒字路線によって全体が支えられるという構造が一層明確になってきました。最も極端なのはJR東海で、東海道新幹線の収益が他の全路線をも支えていると表現してもおかしくない状況です。JR東日本およびJR西日本も、JR東海ほどではないとしても同じようなものです。とくにJR西日本は、2018年4月1日に廃止された三江線が典型的であるように、営業係数が高く、かつ輸送密度が低い路線が多く、今後の見直しも示唆されているほどです(2021年2月19日10時35分0秒付の「やはり気になる、JR西日本のローカル線の動向」を御覧ください)。

 さて、少し前の話とはなるのですが、6月14日、JR西日本は芸備線の「今後の在り方を検討する組織を設けるため、広島県に参加を申し入れた」と報じられました。これは山陽新聞社のサイトに同日21時14分付で掲載された「芸備線検討組織、広島県も参加を JR西が広島県に申し入れ」という記事によります(https://www.sanyonews.jp/article/1141173)。

 実は、JR西日本は岡山県、新見市および庄原市には今月の8日に申し入れています。広島県に申し入れたのが14日となった理由はわかりません(庄原市は広島県にあります)。広島県知事は検討組織に参加する意向のようです。早ければ7月にも検討組織が設置されるでしょう。

 この芸備線は、岡山県にある備中神代駅から広島駅までの159.1キロメートルの路線なのですが、JR北海道の札沼線と似たようなところがあり、区間によって平均通過人員が極端に違うのです(JR西日本では福塩線が同じような状況にあります)。「やはり気になる、JR西日本のローカル線の動向」において「区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2018年度)」を参照しましたが、再び参照しましょう。すると、驚愕すべき事実がわかります。

 まず、全線通しの平均通過人員は1,341(人/日)です。最も高い東海道本線大阪駅〜神戸駅の389,365、次に高い同線京都駅〜大阪駅の355,068(米原駅〜神戸駅であれば233,166)などと比較すると格段に低いのですが、大糸線の南小谷駅〜糸魚川駅の102(同線の残りの区間はJR東日本)、木次線全区間(宍道駅〜備後落合駅)の200などという区間もありますから、それほどでもないように思われるかもしれません。しかし、芸備線の区間別の平均通過人員は次のようになっています。

 備中神代駅〜東城駅:73

 東城駅〜備後落合駅:9

 備後落合駅〜三次駅:196

 三次駅〜狩留家駅:765

 狩留家駅〜広島駅:8,052

 いかがでしょうか。狩留家駅は広島市安佐北区にありますので、広島市内の通勤・通学路線としては十分に機能しているとも言えるのですが、その他の区間とは桁が違っており、同一路線とは思えないような姿となっているのです。実は一度も芸備線を利用したことがないので、実態などがよくわからないところもあるのですが、数字だけを見ると札沼線と似たような路線であることがわかるのです。札沼線の存続区間である桑園駅〜北海道医療大学駅は平均通過人員の数値も高く、電化までされたのに対し、昨年5月に廃止された北海道医療大学駅〜新十津川駅は極端に低く、末期には浦臼駅〜新十津川駅で午前中の1往復しか列車が走らなかったのでした。芸備線の東城駅〜備後落合駅も3往復しかありません(普通列車に限定すればJR九州は日豊本線の重岡駅〜延岡駅の1.5往復という例がありますが)。平均通過人員が9というのは、JR西日本はもとより、JRグループ全体でも最も低いでしょう。鉄道はおろか、路線バスでもガラガラ状態でしょう。マイクロバスで十分と言えるかもしれません。

 備中神代駅〜東城駅の73というのもかなり低く、JR西日本では2番目に低い数値です。これに続くのが大糸線の南小谷駅〜糸魚川駅ですから、2桁は備中神代駅〜東城駅だけです。1桁、2桁が芸備線にある訳で、JR西日本が廃止を検討するとするならば、まず備中神代駅〜備後落合駅でしょう。

 備後落合駅〜三次駅は196で、3桁です。JR西日本の路線・区間でこれより低い数値を示しているのは、大糸線の南小谷駅〜糸魚川駅、因美線の智頭駅〜東津山駅(162)、福塩線の府中駅〜塩町駅(162)だけです(ちなみに、復縁線の福山駅〜府中駅は6,835です)。これらの区間も存廃論議が起こることは必至と言えます。従って、芸備線については備中神代駅〜三次駅が存廃論議の俎上にあがることでしょう。三次駅〜狩留家駅も低いのですが、これはどうでしょうか。狩留家駅〜広島駅の平均通過人員が格段に高い数値を示しているので、この区間のみ存続し、備中神代駅〜狩留家駅が廃止される可能性はあるということだけは記すことができるでしょうか。何せ、1980年代の特定地方交通線を基準とすると、備中神代駅〜狩留家駅は第一次特定地方交通線の水準と言えるのです。

 JR西日本の上記資料には営業係数が示されていないので、判断を下すには材料が足りないという感は否めないのですが、平均通過人員が3桁となっている路線・区間は多く、山陰本線の一部にも見られるほどです。京阪神地区以外の地方では、これから存廃論議が次々と沸き起こるかもしれません。

 

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改めて 法学部の学生は社会思想史か政治思想史を勉強しなさい!

2021年06月18日 23時30分00秒 | 受験・学校

 これまで、このブログに「法学部の1年生は、社会思想史を勉強しなさい!」(2012年10月10日21時40分45秒付)、「レッセ・フェール(laissez-faire)」(2012年11月06日02時11分05秒付)、「法学部の学生は、世界史(とくに社会思想史)を勉強しなさい!」(2015年04月15日00時48分26秒付)、「久しぶりに、或るドイツ語の体系書(教科書)を読んで」(2019年12月30日0時3分30秒付)を書き、法学部の学生が社会思想史を学習する必要性を繰り返し主張してきました。これは私が大東文化大学法学部で、主に2年生のクラス授業を担当してきた経験によります。憲法との関係で言えば政治思想史のほうがよいかもしれません。どちらも学習するのが一番よい訳で、私自身も学生時代から双方の教科書を何冊か買い、読んできました。

 そして今年も記します。

 先日、立憲主義憲法および日本憲法史(大袈裟ですが)について出題したのですが、出来はかなり分かれました。とくに、権力分立主義について「果たしてこの学生は世界史や政治・経済をしっかり勉強してきたのだろうか?」と不安になるような答案が多かったのです。

 権力分立論の淵源については、たしかカール・シュミットが『憲法論』か何かで興味深い議論を行っていますが、一般的にはJ.ロックが『市民政府二論』において最初に唱えたということになっています。彼の主張は立法権と執行権(法律を執行する権限のこと)とを分けるべしというものでした。ロックの著作はフランスに移入され、モンテスキューが『法の精神』において三権分立を主張します。正確ではないかもしれませんが、国家権力を立法権、行政権および司法権に分割すべしというものです。

 ロックとモンテスキューをあげるのが常道ですし、私もこの二人の名を書くことで正解としたのですが、ホッブズ、J.J.ルソー、ヘーゲル、マルクスなどと書かれた答案が少なくなかったのです。ホッブズは社会契約論を唱えた者の一人ではありますが、『リヴァイアサン』を読めばおよそ権力分立論とは無縁であることがわかります。ルソーも権力分立論とは縁遠い存在で、彼はむしろ直接民主制を唱えています。ヘーゲルは社会契約論者と言えませんし、マルクスに至っては共産主義でしょう(マルクス主義ならプロレタリアート独裁ということになります)。

 余談ですが、最近、電子書籍で荒谷大輔『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)を入手し、読みました。ロックとルソーとを対立軸の双方に置き、近代以降の社会を概観するというもので、権力分立論とは直接関係ないのですが、ロック、ルソーの思想が要領よくまとめられており、参考になります。一読をおすすめします。

 ここで本題に戻りますと、社会契約論の主張者としてまとめられる思想家の違いは、高校の世界史か政治・経済で学ぶはずですし、大学の社会思想史や政治思想史でも当然扱われます。単に歴史的な事件としてではなく、現代に至るまでロックの思想あるいはルソーの思想からの影響が社会、政治、そして経済のシステムに現出しているのです(そのことが書かれているのが、先の余談であげた荒谷氏の著作です)。当然、憲法にも現れます。権力分立論はもとより、人権についても、どの部分がロックからの影響を受けているのか、またルソーからの影響を受けているのか、などと考えてみるのも面白いでしょう。ともあれ、思想史はしっかりと学んでください。

 全く別の話になりますが、気になることをもう一つ記しておきます。日本国憲法の制定に関わることですが、GHQ(連合軍総司令部)で作成された草案はマッカーサー・ノートで示された三原則に基づくものと言われています。ここでどういう訳か日本人の名前が記されている答案がありました。何処でどういう勉強をしてきたのでしょうか?

 もう一つ別の話を。形式と解答すべき問題で「形質」と記された答案がいくつかありました。全く意味が違います。

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いつまで走るか 東急8500系8628F

2021年06月18日 00時00分00秒 | 写真

沿線住民でも見かけることが少なくなった8500系ですが、たまたま、夕方のラッシュ時に乗ることができましたので、撮影しておきました。

 8500系の廃車が進むまで、このデハ8528にはローレル賞受賞のエンブレムが貼り付けられていなかったはずですが、初期の編成の廃車が進んだためか、現在は車内の乗務員室扉の上に付けられています。東急にはブルーリボン賞を受賞した車両がなく、ローレル賞を受賞したのもこの8500系のみです。

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埼玉高速鉄道2000系2108F

2021年06月17日 00時00分00秒 | 写真

 今回は埼玉高速鉄道2000系2108Fです。埼玉高速鉄道線(赤羽岩淵〜浦和美園)はもとより、東京メトロ南北線(目黒〜赤羽岩淵)、東急目黒線(目黒〜日吉。但し、正式には目黒〜田園調布)へ直通運転されます。大岡山駅で撮影したものです。

 この2000系は、名称が示しているとおり、2000年に製造が開始されたものです。埼玉高速鉄道線が開業した2001年から営業運転が続けられています。ホームドアに対応しているほか、ATO装置などを備えています。埼玉高速鉄道線、東京メトロ南北線、東急目黒線のいずれもワンマン運転が行われているため、運転席にモニターなどが設置されています。

 上の写真では各駅停車赤羽岩淵行きとなっています。つまり、埼玉高速鉄道の車両なのに埼玉高速鉄道線に入らない運用なのです。このこと自体は別に珍しい話でもなく、やはり東急目黒線などで運用される東急3000系や5080系も、都営三田線の白金高輪〜西高島平のみで、あるいは東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線の白金高輪〜浦和美園のみで運用されることもありますし、東武70000系および70090系が東京メトロ日比谷線のみで運用されることもあります。

 ただ、気になるのは埼玉高速鉄道線の運行状況です。2019年のダイヤ改正までは、朝夕のラッシュ時はともあれ、平日の日中に東急目黒線の上りで各駅停車赤羽岩淵行き、急行赤羽岩淵行きというものはなく、埼玉高速鉄道線の鳩ヶ谷駅まで運行されていました。しかし、2019年のダイヤ改正で埼玉高速鉄道線は、平日の日中について減便が行われており、現在に至っています(2018年のダイヤ改正でも減便が行われていますが)。時期からして、埼玉高速鉄道線の利用客はあまり多くないものとも考えられます。また、終点の浦和美園駅付近以外は全て地下路線であり、建設費が高くついたということもあるでしょう。

 鉄道路線がなかった旧鳩ヶ谷市に埼玉高速鉄道線が通るようになり、利便性は高くなったと思われるのですが、運賃が高いことはネックになっているのでしょうか。

 今から何年前のことかをよく覚えていないのですが、東急目黒線を通勤路線として使っていた2004年4月から2010年4月までの間に、一度だけ埼玉高速鉄道線を利用したことがあります。たしか、武蔵野線で東川口駅に出て、そこからまずは浦和美園駅へ出て、浦和美園駅から武蔵小杉駅まで乗ったと記憶しています。埼玉スタジアムの最寄り駅である浦和美園駅は、まだ住宅などが少なく、埼玉スタジアムと車両基地以外に目立ったものは何もないような場所でした(現在は違うでしょう)。それから電車に乗って白金高輪方面に向かいましたが、その電車も、浦和美園行きの電車も、乗客はあまり多くないように見受けられました。乗客が多くなるのは、南北線に入ってしばらくしてからです。

 (ちなみに、南北線の西ヶ原駅は、東京メトロ・都営地下鉄の全駅の中で最も乗降客が少ないところです。私は、東京メトロおよび都営地下鉄の全駅を利用したことがありますが、その最後となったのが西ヶ原駅でした。)

 埼玉高速鉄道線には延長計画があり、東武野田線の岩槻駅を経由してJR東北本線の蓮田駅まで建設されることになっています。しかし、現在も着手されていないようです。コロナ渦よりも前の時期に減便されているくらいですので、延長の実現は難しいでしょう。

 また、東急目黒線、東京メトロ南北線および都営三田線には8両編成化の予定があり、現在、ホームドアの改修工事などが進められています。将来、相鉄線との直通運転(そのために東急新横浜線の建設工事も進められています)が行われることとなっており、この機会に6両編成から8両編成になるのです。既に東急3020系、都営6500形という、8両編成に対応した新車が出ていますが(私は東急3020系を実際に見ていますし、乗車しています)、埼玉高速鉄道については新車の話を耳にしません。このまま8両編成化するのかもしれません。

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面白いフレーズ(続)

2021年06月16日 02時00分00秒 | 本と雑誌

 妻が買ってきたお菓子にPEANUTSの4コマ漫画が掲載されていて、そこに面白いフレーズがありました。またライナスの台詞で、チャーリー・ブラウンに対して次のように言います。

 The secret of life is to hang around people who don't know the difference!

 スヌーピーに言わせればあの丸頭の男の子に向かっての言葉なのか、何処かで何かがズレてしまったような言葉ですが、最後のコマでOr whatever.とあり、「結局はどうでもよいのか!?」、「人生に秘訣なんてないのだろう?」と思わせられます。

 実のところ、私は小学校2年生の時にスヌーピーを知り、3年生になってからPEANUTSを日本語版(谷川俊太郎氏の訳で、鶴書房から発売されていました)を読み始めました。1977年のことです。それから今まで、この漫画を読んでいます(日本語、英語は当然として、ドイツ語でも読んだことがあります。ちなみに、原作ではフランス語もよく登場します)。しかし、全部を読んだ訳でなく、時期によって繁閑の差がありますので(鶴書房が倒産してしばらくしてから角川書店が刊行しましたが、鶴書房ほど熱心ではなかったように見受けられました。一時期、週刊朝日にも掲載されていました)、フリーク、マニアと言えるほどではないのですが、ファンではあると言えるでしょう。とにかく台詞が面白いですし、台詞のない漫画(PEANUTSではよくあることです)も興味深いものがあります。

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東京メトロ10000系10106F

2021年06月15日 11時00分00秒 | 写真

 今度は、東京メトロ有楽町線および副都心線のために製造され、現在は両線の他に東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線、東武東上線、西武有楽町線、西武池袋線でも運用される東京メトロ(東京地下鉄株式会社)10000系です。急行元町・中華街行きとして運行されているところを撮影しました。

 この系列は、帝都高速度交通営団から東京地下鉄株式会社に改められてから初の新形式です(ちなみに、帝都高速度交通営団時代の最後の新系列は、半蔵門線用の08系です)。副都心線開業に合わせるため、ATO、ワンマン運転装置などが備えられており、ホームドアが設けられている有楽町線および副都心線ではこれらの装置が用いられます(但し、有楽町線の小竹向原〜新木場は車掌乗務。また、東急東横線などではTASC)。10両編成であるため、東横線およびみなとみらい線では特急、通勤特急および急行として運用されることが多いようです。

 この10000系が登場したため、7000系の一部が引退しました。その後、2020年に17000系の製造が開始され、2021年に同系が営業運転を開始したことで、7000系の引退も目前となりつつあります。

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