マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大塩八柱神社茶願すまし

2011年08月27日 06時52分55秒 | 山添村へ
夏神楽と同じような形式で始まった大塩八柱神社の「茶願すまし」。

この日は茶の豊作を祝う日である。

5月8日に茶の豊作を祈る願掛けが行われた。

それから3カ月後、収穫されたお茶は高値がついて販売された。

願掛けの祈りを込めたお茶は実って豊作になった。

願いが叶ったということで氏神さんにそのお礼をする願満行事である。

昭和40年代初めには40軒もあった大塩の茶業。

一軒、二軒と徐々に減っていいき、今では茶業を営む家が9軒。

その人たちが奉納されたお茶と清酒を供えて氏神さんに報告された。

そのことを参拝者に伝える2人のドウゲ。

座に座る席、配られる肴の膳も夏神楽と同じだ。

口上を述べられたあとの酒杯も同じようにドウゲが盃に注いでいく。

茶の出き具合や村のことなどで会話が弾む。

顔ぶれもほぼ同じだがいつものように酒がすすんでドウゲが忙しく回る。

いつのまにか総代たちまでが酒酌に・・・。

一列が二列になっていった。

それから1時間を越えたあたりでセキハンが配られた。



受け皿もなく箸でつまんだセキハンを手で受け取って口に入れる。

「テゴク」の作法と思えるセキハン喰い。

そうこうしているうちにまたもやドウゲが動いた。

この日の朝から搗いたモチを参拝者に配っていく。

三つずつ袋に入れて配られる。

参拝に来られなかった人の分も預かる参拝者。

預かることができない場合はドウゲがそれを各家に持っていく。

奇しくもそれは10軒ずつになった。



夏神楽のお札配りと同様にこれを済まさなきゃドウゲの仕事は終わらない。

茶の生産が盛んだったころは村の人たちのほとんどが神社までやってきた。

それは祝いのモチマキが目当てだった。

そうした光景はこれからも再び見ることができないだろうと総代らは話す。

「茶の願すまし」とも呼ばれる「茶願すまし」の儀式はカナカナカナと鳴くヒグラシセミの声とともに終えた。

ちなみに今年の茶の売値はかってない高値で例年の3倍にもなったそうだ。

その要因は関東辺りなど風評がでて買値がつかんかったそうで、その結果が高値になったという。

嬉しさも風評の影響なので被災者からみれば悲しいできごとだと話すY総代たちだった。

(H23. 7.31 EOS40D撮影)