マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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料理屋に見る一升餅

2020年04月27日 09時51分56秒 | 民俗あれこれ(売り場の民俗歳時記編)
子どもさんが誕生した1年後に祝う「いっしょう餅」の習俗がある。

初誕生とか、歩き初めの儀式と呼ぶ地域もある。

「いっしょう餅」は満一歳を迎えた子どもに風呂敷に包んだ「※一升餅(地域によってはタンジョウモチ(誕生餅)と呼ぶ」を担がせて、その先に置いてあるさまざまな道具を手にする。

歩き始めたばかりの子どもは背中が重くてひっくり返る。

まだバランスをとれない子どもは、よちよち歩きをやめて這い這いで前方に置いてある道具に向かって・・・。

手にした道具が算盤なら計算高い能力を持つとか、バットやグローブを手にしたら野球選手になるとか。

いわゆる通過儀礼の一つの在り方である。

農家であれば背中に箕を背負う習俗。

今の時代に始まったものでもなく江戸時代どころかもっともっと昔からある習俗はお家の中でしていた。

お食い初めもそうだが、お家でしていた習俗は外に出るようにあった現代。

お外の場は料理屋。

しゃぶしゃぶ日本料理の木曽路に大きく宣伝していた。

還暦、古希祝いなどの長寿祝いや法事の場としての利用はずいぶん前からあったが、まさか一升餅までしているとは・・。

商魂たくましい料理屋に日本の民俗の在り方を知ろうとは・・・。

いずれは人の一生のすべてを営む場になっていくだろう。

その背景にあるのは大家族、三世帯同居の崩壊ではないだろうか。

個別的所帯、ミニ団地所帯では大勢を招いてもてなしすることはできないが、大広間を設備する料理屋はその点を助けてくれる。

(H30.10.27 SB932SH撮影)