ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

霧を懐かしむ

2021-10-29 | 自然と四季

トゥーリーの霧は、2011年1月17日に撮影された衛星画像でカリフォルニアのセントラルバレー(中部盆地=平原)を埋めている。画像クレジット:ジェシー・アレンによるNASA地球観測所

 

 

 

25日の大雨は、一週間前ほどからテレビの気象予報士たちがそれぞれ口にし、警戒するようにと注意を喚起していた。カリフォルニア州、特に北部から中部にかけての予報では、平原地で降雨量2インチ、シェラネヴァダ山脈の高地で18インチの積雪と言われていて、ここ数年のひどく多数あった山火事の後で地滑り、土砂崩れ、急激な洪水は山間部で警戒するようにと注意報が出されていた。チコやサクラメント周辺では前日24日の午後遅くから雨が降り出し、それまで212日間の連続日照りをたった1日で5インチ以上の雨量で破った。雨だけではなく強風も吹き、大木が所構わず倒れ、住宅や車両に被害があった。わたしの住むエリアの北部では、午後竜巻発生も見られたようだったが、ここらでは大した被害もなく済んだ。

それでも、この大量の雨で大気はいっぺんに清浄され、午後晴れてきた空の向こうのハイ・シェラと呼ばれる山脈の尾根は、息を呑むほどの美しさで白いキャップをかぶっていた。ここ中部都市の西から東へのフリーウェイを運転しての帰宅途中、前方のそうした山脈の全容が見渡され、思わず歓声をあげてしまった。このハイ・シェラと呼ばれる部分には、スキー場がある。運転中のため、撮影できなかったので、地方紙からその画像をお借りする。

 

冠雪のハイ・シェラ:地方紙から。

 

ところが、現実は厳しく、これで長い旱(ひでり)に終止符が打たれるわけではなく、まだまだ貯水池やダム湖や河川が豊富な水を湛えるには本格的な雨季がこなければならない。わたしたち家族が中部に越してきた24年前は、ほぼ毎年今頃から初春にかけては雨が降り続き、雨後には必ずTule Fogトゥーリーフォグと呼ばれるカリフォルニアのセントラルバレーのサンワキンバレーとサクラメントバレーエリアに定着する濃霧が発生し始める。トゥーリーの濃い霧は、最初の大雨の後、晩秋から初春(カリフォルニアの雨季)にかけて形成され、公式の時間枠は11月1日から3月31日までである。

 

トゥーリーの霧: ABC局のファイルから。

 

この現象はセントラルバレーのトゥーリー草湿地(tulares)にちなんで名付けられた。 そしてこの霧は、カリフォルニアの気象関連事故の主な原因でもある。ところがその有名な霧はここ10年ほど、見ることがなく、また発生しても年一回くらいであろうか。霧は非常に深く、1メートル先も見えない状態でさえあり、運転は特に気をつけねばならないが、それが発生し始めると、地面に落下していた果樹園の桃が一斉に腐り始め、ミントのような特殊な香りを放ち、冷たく湿った大気中で鼻を掠める時、ああ、今年ももうすぐ感謝祭だ、クリスマスだ、と思うものである。

ところがその濃霧はめっきり少なくなり、雨季自体も消えてしまった。この濃霧や雨季は、アメリカの食堂といわれる農業王国であるカリフォルニア州の特に中部にとってはたいへんな存亡の危機である。住宅開発が進みに進み、農地がなくなり、人工増加によって交通量が増え、排気ガスが蔓延し、そうしたことが影響しているのは素人のわたしでもわかる。ここはストーン・フルーツと言われる桃、杏、ネクタリン、チェリーの産地なのに、果樹園は昨今の旱魃と相まって、果樹を伐採し、農地を新興住宅地へと変えてしまっている。雨も降らず、果樹園をはじめとする農地が失われ、宅地が増え、ますます干上がる大地である。そんなカリフォルニアを憂うのは、まるで人々の日々の挨拶のように感じさえする。

今年も雨季のはずの時節になり、オフィスでは再びパンプキン・デコレイション・コンテストを催している。今年のテーマはディズニー映画作品。非常に手の込んだ作品ばかりで、なんとわたしの同僚は才能があるのだろうと感心しきり。

 

わたしのお気に入りは、ニモ。右端のチキン・リトルも捨てがたい。

 

オフィスで同僚たちとこうした季節の催しに笑い、楽しむことで、気を楽にしつつ、実際は一人一人は、雨乞いのダンスがあるなら、参加したい、いや、自分たちで催そうか、などと考えている。25日のほんの束の間の雨は、ここでは、1インチちょっとで、それでも1927年の1日の降雨量記録を破ったのだと言う。そしてハロウィーン前に山に降雪があったなんて、幸先が良いと捉えて、この冬こそ、本格的な雨季がやってきて、再びポタージュスープのような深い霧が発生しますように、と孫の一人と願うわたしである。ほら、この子もレイン・ブーツをしっかり履いて待っている。

 

 

 

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黄道光(こうどうこう)!!

2021-04-08 | 自然と四季

ESOY. Beletsky, CC license

黄道光(こうどうこう)別名ピラミッドライト

 

 

この4月13日まで、年に2回春分と秋分の時期しか見られない現象が頭上で起こっているのをご存知だろうか。

日没から約1時間後に西の地平線に目を向けると、空気が澄んでいれば、「黄道光」という年に二回起こる現象を目に出来る

天球上の黄道に沿って太陽を中心に帯状に見える淡い光の帯のことである。それがピラミッド状に見えることがある。

NASAによると、夕暮れ直後の北半球で、かすかな輝きの中に見られるのは、「太陽の周りを回る小さな塵の粒子の雲によって地球に向かって反射される太陽光」である。

米国宇宙機関によると、火星(最も塵の多い惑星と科学者が知っている)が黄道光の源であるという確かな証拠があるが、この塵が「火星の重力のグリップから逃れることができる」方法を正確に説明することはまだできていない。

カナダ王立天文学会の場合、アカディア大学の物理学名誉教授であるロイ・ビショップ博士は、天体の光景を次のように美しく説明している。「これは黄道帯(またはより良いのは黄道)を中心とする軸です。最も明るい部分では、中央の天の川の輝度を超えています。」

誰がそれを見たくないだろうか?天気が穏やかになっているので、夜空を見上げるのにとても良い時期である。自粛・籠り生活に飽く毎日だが、家の外へ出て夜空を見上げてこの特定の光柱が跳ね上がっているのを見つけたら、嬉しくなるかもしれず、パチリとカメラに納めてみるのも一考。

 

 

 

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真夏の犬?

2019-07-24 | 自然と四季

 sugarlessdelite.com

 

 

昨日から華氏100度超えの暑さ。そんな中、黒傘を日傘にしてやってきたインド女子学生。「まったく暑くてキャンパスの中を歩くだけでも難儀しちゃうの」とあえいでいる。「あら?でもインドでも暑いでしょう?」と聞く私。「ええ、でもインドは湿気があるから、楽なの。汗をかけるでしょう?ここは乾燥した暑さで、汗もかきにくくてもっと熱く感じるんです。」と答えた彼女は、本当に暑そうであった。私はハワイの湿気でさえ、sweating like a dog (犬のように大汗をかく=汗びっしょりになる)のように汗をかくから、どっちかと言ったら乾燥した暑熱の方を好むが、ところ変わればなわけである。それにしてもよく犬は暑さや汗かきに使われる言葉である。


“Dog Days of Summer”という英語のフレイズがある。これはちょうど今頃から始まる真夏、あるいは盛夏の意味で使われ、古代ローマでは7月24日(あるいは23日)から8月24日(あるいは23日)までとされ、現代でも北半球ではその頃を指し、南半球では1月中旬から2月中旬を指す。先日老農夫の暦(The Old Farmer's Almnac)でDog Days of Summerについての記事を読み、ここにご紹介する。



犬の日々、とは?

犬の日々はあなたの犬が暑い夏の日に喘ぎ始めるとき、ということだけではありません。

これらの日々は、かつては、その年の日の出にある天体(ここでおおいぬ座のシリウス)が太陽を伴って東の地平線から昇るという偶然の現象にかこつけています。

古代の人々は伴星であるシリウスと太陽の「複合熱」が真夏のうだる暑さを引き起こしたと考えました。

シリウスの出と入りは実際の天候には影響しませんが、古代エジプト人にとって、シリウスはナイル川の洪水期の直前に現れました。 彼らはシリウスをナイル川洪水の「監視人」として使っていました。

それはまた、極端な暑さの時期と一致していたので、暑くてうだる天候との関連づけがされてきたのでした!


夏の犬の日はいつ?

The Old Farmer’s Almanac(老農夫の暦)によると、夏の日々は、伝統的に7月3日から8月11日までの40日間で、これは「犬の星」であるシリウスの出とたまたま一致しています。 これは夏至の直後で、よって最悪の夏の暑さもすぐに始まることを示しています。

太陽以外で、シリウスは最も明るい星です。 適正な条件がそろえば、日中、肉眼でも見ることができます。シリウス星は、おおいぬ座で最も明るい恒星で、 「大きな犬」を意味します。この明るさの大胆な星の愛称が犬のであることは当然なことでしょう。


古代社会では:

古代エジプトでは、ナイル河が毎年通常6月下旬に氾濫し始めました。 浸水と呼ばれるこ、とは?の出来事を人々は歓迎しました。なぜなら、洪水は、本来砂漠であった土地に作物を育てるために必要な豊かな土壌をもたらしたからです。【これは地理の時間に習う】

洪水がいつ始まるのか、エジプトの誰もが正確に知りませんでしたが、彼らは手がかりを与えた偶然の一致に気づきました:シリウスが太陽の前に上がり始めた日に水が上がり始めたからです。 彼らはシリウスをSOTHISと呼びました。 SOTHIS【古ラテン語でシリウス星を意味する】と浸水はエジプト人の生存にとって非常に重要になったので、東の地平線上にその星が最初に現れたのに続く新月から、彼らは新年を迎え始めました。

一方、エジプト人とは異なり、古代ギリシャ人とローマ人はシリウスの出現に満足していませんでした。 彼らにとって、シリウスは干ばつ、病気、そして暑気や湿気からの不快感で邪悪が彼らの国にもたらされた時を知らせました。(こんなことを書いていると、中高時代の地理の授業を思い出します!)

ある人々は、夏のうだるような暑さはシリウスと太陽からの複合熱によるものであるとさえ信じていました。犬の星、シリウスは、ギリシャ語で「焦げている」という意味である所以がわかります。

シリウスは、ローマの詩人ヴァジルによって、「脆い人びとへ干ばつと疫病を連れてくる者は不吉な光をもって空をくすませてあらわれる」と述べられています。

これは迷信でしょうか? 2009年のフィンランドのある研究では、この犬の日々の頃、感染率はより高いという伝統的な言われを調査しました。その研究 著者らは、次のように述べています。「この研究は、感染症の発生率が犬の頃により高いという神話に挑戦するために行われました。 驚いたことに、神話は真実であることがわかりました。」


 今日の犬の星の意味

 地球の地軸の非常な不安定さのために、犬の星は今日古代よりも遅く現れるようです。 その出はナイル河の洪水の始まりとは最早一致しません(河は現在アスワンダムによって制御されているので、とにかく起こりません)、しかしシリウスはまだ暑い夏の日々の頃にその姿を現しています。


DOG DAYS OF SUMMERの民話

昔の人たちは、次の言われにあるように、犬の日々の降雨は悪いことの前兆だと信じていました。

犬の日々は明るく
幸せな年を示すが
しかし、その頃雨が降れば
私たちの希望は無駄になる

犬の日は今日明日です。 だから太陽が輝いている間に急いで乾かし干し草をつくらなければなりません。年老いたシリウスが天候を指揮すると、彼はそのような不安定で狂った犬で、誰も彼を頼りにできないのだから。


–1817年のThe Old Farmer’s Almanacからの記事より


constellationofthemonth.com

おおいぬ座とこいぬ座。。。可愛い!

 


 


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