ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ミス・クラベルのように

2020-08-30 | アメリカ事情

「何かがよくないわ」と、ミス・クラベル。

 

 

戦後、占領軍将校宿舎として横浜中区のニューグランドホテルは7年間使われた。ある将校の妻がホテルのレストランで、デザートに生クリームをちょんと乗せたカスタード・プデイング(プリン)を出された時、もっと面白く、美味しいものはないのか、と不服を言ったので、発奮したシェフが、供したのが、プリン・ア・ラ・モードだという話。横浜出身者や住んだことのある者は大抵聞かされる話だ。そしてスパゲテイ・ナポリタンやドリアも、そのホテルのシェフの考案だとも聞く。この説は、NHKのお菓子番組でもそう説明していたが、私は何か一つ腑に落ちない気持ちになった。

ところで、オーストリア生まれのアメリカ人絵本作家ルドウィッヒ・ベーメルマンスのMadeline(マデライン=マドレーヌ)シリーズをご存知だろうか。フランス・パリで、カトリックの寄宿学校で12人の少女達の世話をする尼僧ミス・クラベルが、ある晩、就寝時間を過ぎても何か一つ気にかかることがあるようで、落ち着かない。すると少女たちの中でも小さな7歳のマデライン(マドレーヌ)が、盲腸炎を起こして痛がっていたのだった。その晩のミス・クラベルのように、私は「何かよくないわ、なんだかよくないことが」と言う気分になったのだ。そう、たかがプリン・ア・ラ・モードの由来についてに。

 

 

マデライン(マドレーヌ)の絵本と、ミス・クラベルが何か気になって寝付けなかった晩に盲腸で腹痛を起こしたマデラインが、手術後11人の少女たちにその傷跡を見せているところ。

 

 

まず、アメリカで通常プデイングは、コーンスターチ、ゼラチン、砂糖、香料を牛乳で混ぜ、時には加熱しないこともある。”プリン”という呼称は日本特有のもので、英語ではカスタード・プデイングと言い、これはむしろ、スペインやメキシコ系のレストランなどで出されるFlan(フラン)が、日本の”プリン”である。そしてそうしたフランは、生クリームをひと匙ほど添えて出すのが通例だ、ホテルニューグランドのシェフが75年前にアメリカ将校夫人に供したように。

今でこそフランは、たくさんのメキシカン・レストランの台頭でアメリカ人にもっとお馴染みになったが、75年前の将校の妻たちが、フランに馴染んでいたとは、少し考えがたい。夫の母も、将校の妻だったし、アリゾナ州というメキシコ国に近い地の出身とはいえ、フランを食べたことはなかった。ましてやスパニッシュやメキシカンの食文化に疎かった他州出身の女性がヨーロッパ、それもスペインを旅していない限り、フランなど知り得なかっただろうと思えるからだ。

だから、横浜のホテルのシェフが、良かろうと供したカスタード・プデイングのクリーム添えを、その将校夫人が未知のものとして捉え、そして敗戦国日本のデザートなど、とたかをくくったのではないかと思うのだ。第一、ホテルニューグランドには、戦前からイギリス王族も宿泊し、ホテル・スタッフにはスイス人シェフを始めとした一流の料理人、そしてレストランはフランス料理をメインにしていたのだ。

勝てば官軍と思ったかどうかわからないが、謙遜な日本人シェフは、アイスクリームをひとスクープ、そしてあるだけの果実を切って、カスタード・プデイングに添えて今で言うバナナスプリット用のファンシーなガラス器に入れて出したのだろう。

 

これが日本の誇る”The" プリン・ア・ラ・モード

これはアメリカのプデイング、チョコレート版。

 

そして私は余計なことを思うのだ、この将校夫人は、アメリカの片田舎の出ではなかったのか、と。この話は、いつでも私には、失礼な物知らずのいちアメリカ婦人の話に聞こえる。そして、スパゲッテイ・ナポリタンの由来に至っても少々ミス・クラベルになる。

アメリカのごく一般家庭で出す家庭料理としてのスパゲッテイは、皆ソースを最初からスパゲッテイに混ぜてから出す。それが大方のアメリカ人家庭でのスパゲッテイである。つまり、日本のナポリタンであるが、アメリカでは、そう言う言い方はしない。ただのスパゲッテイで、ナポリタンをくださいと言っても通じない。

パリの小道を歩いていた夫と娘と私は、妙にスパゲッテイが食べたくなり、道沿いにあった小さなレストランに寄ったが、そこで出されたのも、すでに混ぜてあるスパゲッテイだった。ナポリタンと言わずとも、すでに日本のナポリタンは存在しているのだ。

私は、ソースはソースの陶器に、スパゲッテイはそれ用の大きな陶器に入れて並べてテーブルに置く。私の学生時代アメリカ人のルームメイトたちと自炊していた時そうしたら、彼女たちは皆声を揃えて、「なんてファンシーなの?!」と言ったのだ。

もともとスパゲッテイは、1880から1920年にかけてイタリア人が大勢合衆国へ移民してきて、建国以前からいるアメリカ人に、もたらされたものである。横浜のホテルに滞在した将校夫人のどなたかは、イタリア系アメリカ人で、シェフに家庭料理としてのスパゲッテイの作り方のヒントを与えたのかもしれない。ただし、これは私のほんの推論に過ぎない。

ミス・クラベルのごとくに、夜寝付けないと思ったら、私はこんなことを気にしていたわけである。パンダミックでも、なんと平和な私だろうか。マデライン(マドレーヌ)のように、誰も盲腸炎で夜中一人でしくしくと泣いていないのは、幸いなことである。

 

お時間のある方はマデライン(マドレーヌ)の動画をどうぞ。

 

 

 

 

 

 

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チョコレート

2020-08-29 | アメリカ事情

goldbelly.com/Idaho Candy Company

Idaho Spud(アイダホのじゃがいも)チョコレートは、学生時代の友。

 

 

 

カリフォルニア州は、Covid-19のステージ段階で、現在ステージ2で、これはマスク、消毒、ソーシャル・デイスタンスを守りながら、エッセンシャルビジネスが限られた営業を許され、グローサリーストア、薬局、レストラン(お持ち帰りか店外での食事のみ)、限られた学校登校、医師の検診(直接にオフィスに行くこともできるが、大抵は電話になる)などがその範疇にあるが、教会での集会は見合わされている。

これらのステージは4までで、4になると、カリフォルニア州知事令N-33-20の自宅待機が解除され、徐々に様々な活動が注意深く始められる。6月にほんの少しだけステージ3に入ったので、理容・美容室は室内でのサーヴィスを始めたばかりだったが、ひと月するかしないかで、感染が確認され、ステージ2に戻ってしまい、こうしたサーヴィスは、屋外でならば、あるいは顧客訪問でならば営業ができる。

ステージ2でも意外な店舗が営業している。チョコレート専門店である。カリフォルニア州生まれのSee'sなどがその良い例である。つまり、チョコレートはバンデミック時、エッセンシャルで、必要不可欠な品であると言うことだ。確かにグローサリーストアでもチョコレートはよく売れると聞いた。自宅籠城的なパンデミック生活におすすめなのが、ストレス解消、士気高揚効果もあるチョコレートを備えることである。尤も、カロリー補給過多には気をつけねばならない。

チョコレートのもたらす良い効果は、すでに83年前から軍隊で証明されている。ハーシーチョコレート会社が、1937年にアメリカ合衆国軍に要請されて開発したチョコレートバー(配給D バーと呼ばれる)以来、第二次大戦時から、軍人に配給されている。熱帯や高温地帯でも溶けないチョコレート(トロピカル・バー)も生産され、朝鮮・ベトナム戦争時に、また湾岸戦争時にも配給された。チョコレートそのものの改良に加えて、例えば毒ガスに影響されない包装も加えられている。

 

Hershey's Archives

アメリカ軍配給Dバーと高音でも溶けにくいトロピカル・チョコレート:ハーシーチョコレート(WWII時)

 

ハーシーバーは、砂を食むようなざらつきを感じ、日本人はあまり好まないようだ。ヨーロッパや日本のクリーム分の多い滑らかなチョコレートもいいが、石の上にも三年のいわれのごとく、長い間アメリカにいると、ハーシーもなかなか悪くはない、と私は感じる。特にキャンプで、マシュマロとグラハムクラッカーとチョコレートでS’more(Some moreの略=もう少し)を作る時は、ハーシーバーが一番似合う。

 

キャンプファイアでのS'mores

Getty Images

S'moresスモアーズは、キャンプファイアーで、長い枝に大きめのマシュマロをさして、火にかざし、焦げ目がつく程度になったら、グラハムクラッカーの上にハーシーバーをおき、その上に熱いマシュマロをおき、もう一枚のグラハムクラッカーをおいて、サンドウィッチにして食べる。キャンプで欠かせないお楽しみの一つ。

 

日本にはなんでも一つのものが、何百種類もある文房具のように、チョコレートも同じで、時たま行くミツワでさえ、見かける日本のチョコレート製品も多い。日本に行けば、勿論もっと多く、中にはその名前に笑ってしまう製品もある。ロッテのCrunky。Crunkyは、パッと見て、「不機嫌な、機嫌の悪い」などを思い浮かべるから、何故こんなネイミングにしたのか不思議である。もしかしたら、Crunchy(ザクザク、ガリガリ、バリバリ)かCrispy(サクサク、パリパリ、カリカリ)を意味しているのかもしれない。

ヴァレンタインズ・デイに限らず、箱入りのチョコレートは誕生日、結婚記念日、クリスマス、イースター、感謝祭、そして恋人や夫婦間の特別な日に、男女は贈るが、それはアメリカには限らない。下の統計グラフによれば、アメリカは世界で第8位の消費量である。一位は、スイス、続くオーストリア、ドイツ、スエーデン、ベルギーが続くのは、非常にうなづける。チョコレートが盛んに消費される文化歴史があるし、日本にも進出している会社もあるからだ。

 

世界の最大チョコレート消費国はスイス

statista.com

 

さて、それでは、エッセンシャル・ストアのSee'sへ行って、二、三箱仕入れてくるとしよう。先日老いた父親をしっかりと看護し、看取った友人の彼女に、ズームクラスと自宅クラスを熱心に執り行う長女に、最後の一箱は夫と私に。ありがたいことに日本よりもアメリカでのSee'sは、ずっと価格が安いし、大学職員証明を見せると、割引もあるのだ。まだ八月だが、店にはそろそろハロウィーン商品も並び始める。それでは行ってきます!

 

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ささいなこと

2020-08-28 | アメリカ事情

 

 

 

合衆国のエレノア・ホグマン・ポーター女史が1913年に出版したPollyanna(ポリーアンナ=パレアナとも日本では言う)が、私は幼い頃から好きで、1960年代に製作されたデイズニー映画の同名タイトルも、もちろん飽きるほど鑑賞したものだ。それはどんな辛い時でも、楽しいことや良いことや明るいことを見つけることと、父親に言われて、それをThe Glad Game(嬉しい探しゲーム)と名付けてそのように生きようとする。

後年、心理学者は、心的疾患に、ポリアンナ症候群と名付け、楽天主義の負の面として現実逃避傾向過多を称したり、ジョージとアイラ・ガーシュウィンは、失恋の歌”But Not for Me"を作り、その歌詞の一節には、「ポリーアンナの陽気さは私にはいらない」などとある。この傾向は、むしろアブラハム・リンカンが言った「悪いところを探すと、期待しているなら、あなたはそれを得る」的な思考系統をむしろ好む人々もいると言うことだ。

個人的に言えば、私はどんな辛い時にでも、道端のタンポポにさえ、感動できるような心の持ち方を好む。そんな私は、8月22日付けのグッドニュースの記事を見つけた。

*******

新しい世論調査によると、アメリカ人の72%は、夏季に「小さな喜び」を見つける可能性が高いと述べていて、今年は特にその傾向があると言う。

最も喜ばしいことが持たされるのは、日々のささいなことであると、回答者の83%が同意している。多くの人が、これらのささいなことはここ数か月でさらに重要に感じるようになったと言う。

幸運なことに、平均的な回答者は、小さなことを毎日4つは経験していることだ。

この調査は、Bubbies Ice Cream(餅アイスクリームの会社)のためにOnePoll世論調査社が実施したもので、回答者が自然とアウトドアに関連してのことを楽しみにしている傾向があるのを発見した。 例えば3番目に人気のある「小さな喜び」は「顔に太陽を感じる」ことである。

降雨や雷雨を家の中で聞くこと、青空の晴れた日の到来、潮の香りなどが、トップ30入りを果たしている。

しかし、トップ10の「小さな喜び」の3分の1の主要因となったのは家族と友人である。当然のことながら、2020年には、離れていた愛する人と再び会ったことが#1だった。

きちんとベッドメイキングされた清潔なベッドで寝ること、自分自身に時間を割いてみること、無料で何かを手に入れることなどが、上位5つの答えの要約である。金額はともあれ、ちょっとしたお金を見つけることが好きではない人はいないものだ。そのことも答えの中にあった。

キッチンで何かを楽しみにしている多くの人にとって、焼きたての焼き菓子の香りと朝の最初のコーヒーのひと啜りがお気に入りの答えであった。

「これらのちょっとした喜びは、ほんのちょっとしたお楽しみから来ています。ストレスの多い時期を乗り切るには、人生の小さな瞬間を祝うことが重要であることだとわかりました。」と、Bubbies Ice Creamバブルズ・アイスクリーム社のマーケティング担当・副社長であるケイティ・クラインは述べている。

 

アメリカ人のトップ10「小さな喜び」


1.しばらく離れていた愛する人に会うー40%
2.作りたてのベッドで寝るー39%
3.顔に太陽を感じるー39%
4.何かを無料で入手するー39%
5.自分に時間をかけるー35%
6.愛する人を抱きしめるー33%
7.思いがけずにお金を見つけるー32%
8.朝の最初のコーヒー1杯ー30%
9.シャワー後の清潔感ー30%
10.「私はあなたのことを考えています・想っています」というタイプのテキストや手紙やノートやカードを受け取るー28%

 

あなたの好きな小さな喜びは何でしょうか?
日差しとベッドメイキングのしっかりされたばかりの清潔なベッドは、あなたのトップ5に入りますか?

 

 

 

 

 

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この世の憂

2020-08-27 | アメリカ事情

possumcounty.com

 

 

英語の言い方(イディオム)で、”I don't know whether I'm coming or going.”と言うのがある。てんてこ舞いに忙しい、やることが多過ぎて混乱している、疲れていて何がどうなっているのかわからない、と言ったような意味合いである。まさにその一言に尽きる一週間以上を過ごしている私である。公的に私的に憂えていることがあるのだが、私的なことは少しずつでも改善されて行くとは思っている。公的には…どうだろう。

州の山火事は、火勢の抑制や封じ込みは多くて29%ではあるが、中央部のヴァレイには、厚い煙の毛布が平原の縁から中央の盆地全体を覆い、その空の下では、PM2.5濃度で中程度の汚染と言う大気である。この灰燼の煙層のおかげで、比較的気温はマイルドに保たれ、輪番停電は今の所免れている。不幸中の幸いと言うところだろうか。

毎年の山火事季節には、とにかく何が何でも高齢樹が無事であることを真摯に願う。カリフォルニア州には地上で一番大きく背の高い年老いた樹木がある。世界最大な樹は、セコイア国立公園にそびえるジェネラル・シャーマン(ウイリアム・テカムンサ・シャーマン将軍=南北戦争時の北軍の将軍)と名付けられているセコイアデンドロンの巨木である。隣接するキングス・キャニオン国立公園には、北軍将軍で後に大統領となったジェネラル・グラントのセコイアデンドロンもある。

シャーマン将軍のセコイアは樹齢約2200年、グラント将軍のセコイアは2300−2700年とされている。今夏の山火事に際しても、消防士たちは、出来るだけ可能な限り、周辺の防火に努め、こうした巨木の森を守っている。この二つの国立公園は、ヨセミテ国立公園と並んで、自宅から3時間かからずに行けるのが嬉しい。夏は特に火事のない頃は早朝外へ出ると、まるでキャンプ場の朝のような空気があり、それがこうした国立公園の大木や森からきているとは思えないが、そしてそれは案外7本高くそびえる庭のレッドウッドからなのかもしれないが、森林浴のような気分になれるのだ。火災発生中は、外で深呼吸などできないが。

パンデミックの最中、記録的な大火事、ひどい大気汚染、そして異常高温続き、それに伴う輪番停電の恐れ。カリフォルニア州民は、皆、火のついた松明をいくつも宙に投げて一つづつ火傷もせずに掴む曲芸師のようである。いや、実際には火傷もせずに松明を掴んでいる人は少ないかもしれない。大抵の人々は、諦めと仕方ないと弱気でなんとかやっているのだ。

電力について言えば、加州の電力消費量がもっとも高かったのは、2006年夏である。 加州は記録にない最悪のヒートウエーブを経験し、650名の州民がそれによって亡くなった。その電力消費量はその年の7月21日、最大需要時50,270メガワッツを記録した。それでも州は、昼間の停電を避けられる電力量があり、なんとか賄ってきたが、先週末になって、需要が低かったにも関わらず、14年前や3年前に比べてもその電力量は低下していた。

以前には加州は他州から電力を買えたが、今ではどの州も人口増加に伴い、他州への電力を売り渋り、喜んで分け合うことはしなくなった。ネヴァダ州は、余剰電力はなるたけ保存し、州民に節約を心がけるように促している。つまり今までは1万メガワッツを他州から買っていた加州は、今や5000から6000メガワッツをなんとかより集めて供給している状態なのだ。

石炭による火力発電は消滅しつつあり、水力発電は、どこぞの国の民主党のようなこの州の民主党が、自然破壊を理由にダム建設に反対などしてきたため、期待薄である。いくらグリーンエネルギーの風力や太陽光エネルギーを礼賛し、奨励し、そうした機器の設置を進めても、日が暮れて、曇天・雨天、そして全く風のない日々もある。そしてグリーンエネルギーは、その貯蔵が問題である。近い将来工業用サイズのリチウム電池が、これを助けることになるのは間違いないが、その日は今年や来年の夏ではない。

加州の海岸線に沿って作られた天然ガスによる火力発電所は豊富にある海水によって冷却をしてきたが、これは大量の海水を用いる故、環境保護者団体が、「海中の動植物の卵や幼生やアザラシなどの海洋動物に有害である」と反対し、また水管理委員会は、海水利用施設の改善を求め、海水利用を93%取りやめるように要請している。改善費用の膨大さに、そして海水利用がほぼ無理になることから、19施設のうち、すでに10ヶ所が閉鎖されている。 残った9ヶ所の発電所も、今年12月31日付けで、水管理委員会の要求に添えないならば、閉鎖されることだろう。

こんな不思議な州の住民である私たちは、海のサカナや目に見えるか否かのような極小エビの命がずっと大切だと思わさせられるような所に住んでいる。それでも、夜は明け、花は咲き、果実は実る。鳥は飛び、蝶も飛び交う。困難も、やがて去るために来ただけだ、と、ジェネラル・シャーマンの樹のように、私は朝に光りを今日も浴びる。

 

 

 

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憩いーその2ー

2020-08-23 | アメリカ事情

 

 

 

 

今年、カリフォルニア州は、毎週でなければ毎月のように、州非常事態宣言が知事ニューサムから発令される。春のCovid-19非常事態宣言に始まり、夏には高気温非常事態宣言、先週は山火事非常事態宣言(他州はもちろん、カナダやオーストラリアにも消火活動支援を求めている)、その隙間に、カリフォルニア州減予算非常事態宣言などなど。

この最後の非常事態に関して、州政府の被雇用者は、上は議会議員から末端までしっかり10%減給になる。ところが今週になって、最高位にある被雇用者である州知事がそのリストから漏れているのが発覚し、各種の州被雇用者組合連合は、騒いでいる。ニューサム氏は、GQ雑誌(男性向けファッション雑誌)から抜け出てきたような出で立ちで、毎週非常事態宣言を出すのが使命、とばかりに、張り切ってはいるが、いかにも民主党知事らしく、大きな州政府作りに忙しい。

州は、北も南もその真ん中も山火事だらけ(560件の火事)で、モントレー郡山火事は、放火、その他多くは極端な高気温・乾燥のせいで、枯れ草や枯葉が風に擦れるだけで、発火する。先週あった熱帯性ストーム、ファウストがもたらした12,000もの乾いた雷のせいも大きい。そのストームはスズメの涙ほどの雨量で、雷だけ派手に落とし、多くの山火事を起こしていっただけだった。

大気は、特に呼吸器系疾患のある者には命や健康に危険が及ぶほど汚染され、外へ出ないように警告されている。灰燼が混ざってオレンジ色に見えるのだ。(上記の孫たちがプールで遊ぶ写真は昨日撮影されたが、大気が汚れているのがわかる。)この一連の山火事で、消火用ヘリコプターが一機墜落し、操縦していたパイロットが妻子を残して死亡した。またPG&E(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック=加州電力・ガス会社)の作業者が一名失命している。すで175,000の住民は避難をしているが、Covid-19禍において避難生活も非常に困難だ。

北加のビュウト郡で起きたふたつの大きな山火事でパラダイス市が全焼、死者85人、負傷者240人を出したのは、たった2年前である。およそ6万2000ヘクタールの土地が焼失し、パラダイス市内や周辺の住宅1万4000棟以上が全焼した。

そんなことを思い出しながら書いていると、おっと、危ない、落ち込みと失望が絶望と手を繋いでやってくるのが見える。ここで今必要なのは、少しの憩い時間。せめて束の間でも、ラ・ラ・ランド*に居たい。(ラ・ラ・ランドは、ロサンジェルス=LAの意味もあるが、ここでは本来意味する、現実逃避・遊離した精神状態をさす)

 

いつかまたマスクなしで、裸足でさえ自転車遊びできる日。    それまでに補助輪なしで漕げるといいわね。

 

ウィルス感染や山火事の灰燼もなく、マスクなしでブランコだって乗られちゃう日。

 

どんな密でもへっちゃらで働ける日々。

 

そんな日々が戻ることを皆それなりに一生懸命祈っているのよね。

 

残暑続きだから、明日本気出して遊び、働けばいいわ。

 

ハグも塀越しであろうがなかろうが、マスクしないで出来る日は、必ずくるわ。

 

mymodernmet.com

そんな自由な日々が戻る、その瞬間を撮影しようと構えているパパラッチさえ、じっと我慢しているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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