ふぶきの部屋

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星組 ロミオとジュリエット

2021-05-18 07:00:00 | 宝塚コラム

友の会貸し切りを姫ちゃんとみて来ました。

緊急事態宣言下の日比谷は日生劇場の回りに人がいて、日比谷シャンテと東京ミッドタウンはまっくら。こういう光景もかなり寂しいものがあるなと思いました。

一方で有楽町のマルイは普通に開いてたので・・思わず買い物・・?

休館とそうじゃない基準ってなんなんでしょうね。

実はロミジュリ東京公演のチケットは3回分持っていたのですが、2回分は緊急事態宣言でなしに。

エリザガラ星組バージョンも奇跡的にとれたのに緊急事態宣言でなしに。

その悔しさったらありません。心がズタズタです

姫にとっては初の麻路さき&白城あやかのコンビを見る筈だったのに。

ロミジュリにしても、姫は本当はBパターンを見たかった・・・なのにAパターンだけになったので舞台が始まる前までは結構不機嫌でした。

しかし・・・・その姫に何があったか。それは後で。

 

 ロミオとジュリエット Aパターン 

ティボルト・・・愛月ひかる

・マーキューシオ・・・極美慎

・ベンボーリオ・・・瀬央ゆりや

・パリス伯爵・・・綺城ひか理

・大公・・・輝咲玲央

・死・・・天華えま

・愛・・・碧海さりお

・ピーター・・・遥斗勇帆

・ジョン・・・羽玲有華

 

全体的な印象・・・・今時の?今風な?

それというのも、過去作品と比べて初めて役柄と本人の年齢が一致した~~という感じだからです。

過去のどのロミジュリも、どこかクラシカルで伝統的なシェイクスピア悲劇と思うんでしょうけど、星組メンバーの演技が全て年相応に見え、まさに未熟な若者そのものだったんですよね。

過去作において最も年上に見えたのが多分雪組の音月桂版で、見ているこちらが「いやいや、この人がバルコニーに上っていくとか、すぐにプロポーズするわけない」と思わせる演技でした。

ロミジュリが代表作だった柚希礼音の場合、総じて「純愛」を貫き通し「運命の恋」に準じた若者でした。

今回のロミジュリは、後先考えないで突っ走った挙句、命を粗末にしてしまった若者、ロマンティシズムに酔ったまま死に向かった若者など、まさに今時いるいる、あるあるな雰囲気を持った作品になりました。

 

 ロミオ&マーキューシオ&ベンボーリオの関係

これは、過去作品全てに言えることですが、ロミオ&マーキューシオ&ベンボーリオ3人の中で常にトップに立っているのはロミオです。

マーキューシオやベンボーリオは親友でありロミオの子分的な役割を持っていました。

考え方も、ロミオよりは子供っぽい。

だから2幕の最初にマーキューシオらが「街中が噂してるぜ・・」と歌うのに対するロミオの言い分が正しく聞こえたのでした。

モンタギュー家とキャピュレット家の諍いはやめるべき、どちらの家に属するかどうかではなく、互いに愛し合うべきだとするロミオの言い分がとても正しく聞こえます。

ロミジュリの主題の一つが「争いは無益」ですから、そういう意味では過去作品に関しては解釈が正しかったのだと思います。

しかし、今回はそういう印象は持ちませんでした。

その理由は

 3人の関係性

にあると思います。

今作におけるロミオは歌っている、踊っているとき以外はとりたててリーダーシップを発揮することがありません。

マーキューシオ達以上に現実をみない夢見る男の子。

だから、もろくて折れやすい部分も持っている。それが「僕は怖い」なんだろうと。

キャピュレット家の舞踏会に忍び込むマーキューシオやベンボーリオは自分の役割をよく知っていますから、絶対に一目ぼれなんかしないのです。

けれどロミオは脇が甘いというか、敵方の家にいるという自覚がほとんどなかったのか、危機意識に欠けたのか、ジュリエットに恋をしてしまいます。

しかも顔をさらしてしまったのでティボルトに追求され、それを遮ったのがマーキューシオでした。

過去作でも同じシーンが演じられてきましたが、今回ほどマーキューシオのリーダーシップとロミオを守るぞという保護者本能を見たことはありません。

2幕目の街中の噂を歌う場面でも、常識的なのはマーキューシオとベンボーリオで、ロミオは両家は敵同士という自覚がない甘ちゃんに見えるんですね。

友達じゃない・・・といいつつも、ティボルトがロミオを探せば矢面にたって遮るマーキューシオ。

だけどしょせんは子供の争いで結果的にマーキューシオは刺されて死に、ティボルトはロミオに復讐されて死ぬのです。

 

 ノリで結婚してしまったロミオとジュリエット

クラシカルな純愛・・・の筈が、今回の星組のロミジュリは「純愛」というよりノリで結婚してしまった愚かな二人という印象が強いです。

ロミオがとっても若くて両家の争いの空気が読めない風。ジュリエットが気が強くて両親の不和と気に入らない男と結婚させられる現実から早く逃げたいと思っている風。

そんな二人が出会ってたまたま気があって、ロミオは思わず「結婚しよう」って言って見る。そしたらジュリエットは「結婚!?」と大喜び。

まず「ちょっと待ってロミオ。あなたと私は・・・」と頭が冷える筈が、かえって盛り上がってしまった。この無邪気さ。

こんな無邪気さを出せたのは今の星組だからと思います。

何でこんな短絡的な結婚話を神父さまは支持したのかね~~と思いますけど、こちらは大人の考え。

これがたとえ結婚ごっこだとしても、それが両家の和解に繋がるなら」とでも思ったんでしょうか。1年後に大げんかして双方実家に帰ったらよけいに争いがひどくなるなんて思わないよね・・・うん。

で、ロミオよりはずっと現実的なマーキューシオとベンボーリオが必死に止めるのです。

「モンタギューの名誉は」なんて友達のセリフじゃないですよね。

そんな突っ走るジュリエットに焦ったのがティボルトで、冷静に物事を考えられなかったのは若さゆえですかね・・・

 

 キャピュレット家とモンタギュー家の気質の違い

今回、天寿光希がキャピュレット卿を演じ、美稀千種がモンタギュー卿を演じたことではっきりと両家の気質の違いが表現されました。

すなわち「すぐに怒って興奮するキャピュレット家」と「以外に我慢強いモンタギュー家」

この両家の気質は主役のロミオとジュリエットに受け継がれ、まさに二人は両家の象徴といえましょう。

特にこわーいキャピュレット卿に真っ向から反発するジュリエットは確かにキャピュレットの娘だなと。怒らせたら怖い娘だったのよね。

 

 若者4人の死で目が覚める両家

4人の死はあまりにも突然で、そして幼い。

「僕は怖い」リプライズで、マーキューシオやティボルトは「あ?自分って死んでる?どうしよう」みたいなダンスをしますが、まさに予期しない悲劇でした。

それに比べるとロミオとジュリエットは互いに満足して死んだのではないか?とすら思えるのですが。

 

 絶妙なフィナーレ

今までのクラシカルなフィナーレと違って、今回はロック調&フラメンコ。

特にKAORIaliveの振付はかっこよかったです。

人数が少ない分、一人一人の顔がちゃんと見えてそれなりにソーシャルディスタンスをとっているなあと思って。

 衣装と髪型について

毎回思うことですが、ロミオ達の髪型って似合う人が限られますよね。

私、衣装や髪型ワースト1は雪組と思っていましたけど、今回の星組はそれに匹敵するなあと。「エリザベート」にしても「ロミジュリ」にしても、各組で予算があるんでしょうし、同じデザイナーでもよい時と悪い時はあるわけで・・・

今回はロミオの髪型と衣装は受け入れられなかったなあ。

 出演者について 

礼真琴・・・ロミオ。とにかく夢見がちな男子。とくにバルコニーのシーンは「愛の翼に乗って?はあ?」みたいに思える。マーキューシオやベンボーリオと同世代で仲良しで、どちらかというとマーキューシオに仕切られっぱなし。神父様の前では子供になりきってます。そういう役作りもあるなあと。本来はそういう役柄だったんだろうと思います。

今まで嫌いだった「僕は怖い」の歌唱力がすごくて礼真琴のなら聞きたいなと思いました。

舞空瞳・・・ジュリエット。舞空瞳のファンが沢山いるというのはわかる気がします。だって確かに可愛いし、踊れるし歌えるし。魔性の女だなあと。ただ我が家の姫に言わせれば「清純さ」「初々しさ」に欠ける。目が野心的という事で、礼真琴の相手役としては今でも受け入れられないらしい。

学年の割には何でも出来る優等生。自信たっぷりな部分もあります。ジュリエットとしても完璧でこのまま外部の舞台に立たせてもいい程だなあと思いました。

バルコニーのシーンでの乳母でのやりとりでまさか笑いを取るとは思わなかったので、そういう部分でも新しい発見がありました。

愛月ひかる・・・ティボルト。彼女の「死」がどれ程美しいかこの目で見たかったなと思いますが、ティボルトもしっかりと当たり役ですね。大人っぽさはどうしても抜けないので二番手ではなく、別枠でって感じですが。

そういえば愛月は「天寿さんに叱られてみたい」派だったんですよね。今回、伯父上にがんがん叱られてさぞ幸せだったでしょうね。

瀬央ゆりや・・・ベンボーリオ。瀬央のティボルトも結構すごいらしいというのは聞いているのでやっぱりこの目で見たかったな。

ベンボーリオは歴代と比べるともっともマーキューシオ寄りでロミオとも対等に見えます。見せ場は通常「どうやって伝えよう」なんでしょうけど、私はむしろ亡くなったロミオの前でおろおろとしている所が最高だなあと思いました。

 

輝咲玲央・・・大公。正直、初演の星組の大公が今でも最高だと思っています。けれど輝咲玲央の大公はしっかりとマーキューシオのおじさまであったというところに共感します。歌唱力も安定していて聞きやすい。芝居の一番最初に出てくる歌ですから、ここでしっかり聞かせてくれるのはありがたかったです。

有沙瞳・・・乳母。以前よりずっと歌唱力がアップして演技力もあります。あの若さで母性を感じさせることが出来るのかなと思ったけど、そこはちゃんとしていました。私は乳母がロミオを手引きしておきながらキャピュレット卿の言葉であっさり「パリスと結婚した方がいいんですよ」と言葉を翻るシーンが意味不明だったんですけど、有沙瞳で合点がいったというか、要するに乳母ってその場その場でジュリエットにいい方を選択して来たんだなと。その一貫性のなさが乳母が乳母たるゆえんなんですね。

 

天華えま・・・愛月の「死」の影に隠れてイマイチ評価が伝わって来ないのですが、私は天華えまの死は最高だと思いました。

甘いマスク、軟体動物みたいな動き、けだるくて耽美的な表情。ロミオを操る時の動きなどなど全てが美しくまさしく「死」そのものだったと思います。死というのは本来こんな風に人にひたひたとくっついては離れずの存在なんだなと思いました。

綺城ひか理・・・パリス。私にはどうしてもこのパリスが魅力的にもひょうきんにもみえませんでした。はっきり言って凡庸というか。

極美慎・・・マーキューシオ。礼真琴達と学年が結構違うのに、むしろ大人に見えたのが意外でした。歴代のマーキューシオの中でもっとも「陽」で遊び上手。けれど心のどこかで「ロミオを守らなくちゃ」みたいな意識があるんだなと。

2幕目冒頭の「街中が・・」のシーンでも、怒るというよりむしろロミオを諭している感じでしたし、ティボルトの前では「絶対にロミオに会わせない」という決意のようなものが見えて。そんなマーキューシオが死ぬ間際に二つの家の争いを憎んでいるということがわかるあたり、ああ、やっぱり大公の甥なんだなと思ったり。

個人的にはこの学年でここまで包容力を示してくれるとは思わなかったので本当にすごい進歩だなあと思いました。

天寿光希・・・キャピュレット卿。天寿のキャピュレット卿はまさに家の当主として先を考える策士であり、その為には娘をも利用する非常な印象があります。一樹千尋のキャピュレット卿より若い分、かなり元気で遊び人という事もわかります。とにかく、怖い。その彼が娘をぶってしまった事で自己嫌悪に陥り歌うシーンは、親目線からすると共感することしきりで。まさかロミジュリみてこういう心境になるとは思いませんでした。

星組は優等生コンビで全体的に歌唱力があがり、一見以前の星組と同じように見えますが小さいところで変わっているんだなと感じます。

まずトップコンビに「愛」を感じないことでしょうか。

二人とも何でも出来るし、対等だし、とりあえず舞空瞳は必死に可愛い女の子になって礼真琴に振り向いて欲しいようですが、礼真琴自身は「仕事上のコンビ」って感じが否めません。

この先、このコンビに合う作品が出てくるかどうか。

二番手の愛月ひかるの存在が大きすぎて作る側も大変だろうと。

 

さて、姫ちゃんの涙のわけは・・・それはフィナーレの階段降りで始まりました。

小桜ほのかのエトワールが終わり、大階段の真ん中を有沙瞳と天寿光希が降りて来た時に「おおっ」と驚き、そして私に「ママ、泣いていい?」って聞くから「どうぞ」って言ったらハンカチ取り出して号泣し始めたのです。

「みっきぃ・・みっきぃ・・・が真ん中降りてくるなんて。小池先生ありがとう」だそうです。

私はこっそり「これでブルーレイ買うのは決定だな」とニヤリ。小池先生ありがとう。

姫のご機嫌はすっかり直り、帰りは「見に来てよかった」となったのでした。

 

 

 

 

 

 

コメント (7)
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