あんたはすごい! 水本爽涼
第百六十三回
「こんな時間で申し訳なかった。今、話しても大丈夫か?」
「えっ? ええ…。そろそろ寝ようかと思っていたところですから…。で、ご用件は?」
「いや、実は俺もな、寝ようと思ってたんだ。どういう訳か急にお前に電話したくなってな。…そうそう、用件だったな。今度、政府主導で、正確には農水省中心なんだが、地方とタイアップして第一次産業、特に農業の振興策を実施することが本決まりになったんだ」
「はあ…。それが私と、どういう関係を?」
「まあ、落ちついて聞いてくれ。…そこでだ、お前の会社は米粉の卸しだったよな?」
「ええ、そうですが…」
「実は、政府も減反政策で疲弊(ひへい)した田畑の再活性化を目論(もくろ)んでいるんだよ」
「偉く、どでかい話ですねえ」
「どでかい話だが、これは現実に進んでる話なんだよ、塩山」
「それで、この私にどうしろと?」
「どうしろ、などという筋の話じゃないんだが、このプロジェクトにお前さんの会社も一枚、乗ってくれないか、ってことだ」
「なるほど…。それで、具体的には?」
「政府がタイアップした別のグループ企業が幾つかあるんだが、それらの企業が地元農家とタイアップして米を作る」
「米は食われないから減反になったんでしょ?」

第百六十三回
「こんな時間で申し訳なかった。今、話しても大丈夫か?」
「えっ? ええ…。そろそろ寝ようかと思っていたところですから…。で、ご用件は?」
「いや、実は俺もな、寝ようと思ってたんだ。どういう訳か急にお前に電話したくなってな。…そうそう、用件だったな。今度、政府主導で、正確には農水省中心なんだが、地方とタイアップして第一次産業、特に農業の振興策を実施することが本決まりになったんだ」
「はあ…。それが私と、どういう関係を?」
「まあ、落ちついて聞いてくれ。…そこでだ、お前の会社は米粉の卸しだったよな?」
「ええ、そうですが…」
「実は、政府も減反政策で疲弊(ひへい)した田畑の再活性化を目論(もくろ)んでいるんだよ」
「偉く、どでかい話ですねえ」
「どでかい話だが、これは現実に進んでる話なんだよ、塩山」
「それで、この私にどうしろと?」
「どうしろ、などという筋の話じゃないんだが、このプロジェクトにお前さんの会社も一枚、乗ってくれないか、ってことだ」
「なるほど…。それで、具体的には?」
「政府がタイアップした別のグループ企業が幾つかあるんだが、それらの企業が地元農家とタイアップして米を作る」
「米は食われないから減反になったんでしょ?」