なんとか…と思ったり願ったりすれば、おおよそ、物事はなんとかなるものである。では、なんとか…と思う同士だと、どうなるか? これは、そんなお話である。
春野菜を現地生産する野菜農家、山根のプラントハウスである。
「山根さん、それはそうなんでしょうが、そこをひとつなんとか…」
「いや~そう言われましてもね。私も精一杯のところなんですよ。これ以上の値(ね)引きは…」
「そこをひとつ、なんとか…」
大手スーパーのバイヤー、灰峰は、山根に両手を合わせながら必死に懇願(こんがん)した。
「お気持は分かりますが、こちらも採算が合わないというのは…。なんとか、この値でお願いしますよ」
「いや、そのお気持も分かるんですが、なんとか…」
野菜農家の山根もバイヤーの灰峰も、なんとかしようと渡りあっていた。
どちらも自分のなんとかをなんとかしようと思えば、なんともならない。結局、@¥1だけ山根が値をなんとか↓させて折れ、灰峰は、なんとか契約を締結できることになったのである。
やはり、なんとかは…は、なんとかなるのである。ちゃんちゃん! ^^
完