水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (89)いい国

2021年01月29日 00時00分00秒 | #小説
 皆さんっ! 日本はいい国だ…とは思わないだろうか? 私はいい国だっ! …と、つくづく思うし、思える。^^ そりゃ、あんたがそう思うだけだろっ! と言われればそれまでだが、やはり、そう思うし、思える。思いようは人それぞれで、そう思わない人や何も思わない人もかなりおられると思うが、ソマリアあたりの国に生まれれば大変ですよっ!^^ 戦争もなく、物資も豊かで、こんないい国は、世界広しといえど、そうはないだろう。それなのにポイ捨てて何とも思わない人の多さには、ただただ嘆(なげ)く他はない。^^
 二人のご隠居が正月明けの縁側で愚痴っている。
「この酢だこ、なかなか美味(うま)いですなっ!」
「いやはや…正月の残りもので恐縮です。しかし、息子の嫁がなかなか料理上手でしてな…」
「そりゃいいっ! それにしても、いい国ですなっ!」
「はあ、確かにっ! まあ、ゴミは増えましたが…」
「私らの子供時分は、いい国にしよう! と拾いまくってましたが…」
「今は捨てまくってますなっ! ははは…まあ、悪い国にしようとは誰も思ってないと思うんですが…」
「ははは…確かに、それはないでしょうな」
「いい国に永く住んでるといい国に住んでることを忘れるのは悲しい限りです」
「それが人っ! といえば、それまでですが…」
「確かに…」
 いい国に永く住み続ければ、思いようが変化し、いい国に住んでることを忘れるのは皮肉な話だ。^^
 
                      

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