水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (94)別口(べつくち)

2021年02月03日 00時00分00秒 | #小説

 別口(べつくち)という言葉がある。今日はどういう訳か、ふと浮かんだこの言葉についての話をしてみようと思う。本当に暇(ひま)な人だな、あんたっ! と言われる方もおられようが、思いようがそうなったのだから勘弁して戴きたい。^^
 最近、買い物をしてレジ近くに並んでいると、前に並ばれた中年女性が買い物籠を二つレジ台に置かれたのが見えた。それぞれの籠には買い物袋が広げられており、ははぁ~~ん、別口だな…と、すぐ分かった。その予想が確かになったのは支払いどきで、レシートを別にして欲しいとレジ係の店員さんに言われたからである。要は、頼まれた他の方の買い物を一緒にされた・・ということが推測できる。それ自体はとやかく言う筋合いの話ではないが、別口の一例として掲載した次第だ。他の例としては、奥様方が朝、昼、晩の他にプラスα[アルファ]で食される別口もある。^^
 とある宝くじ売り場である。別口で買った一枚だけが当たりくじで、本命で買った数十枚がカラスくじ[はずれくじ]だった男が、換金前にしみじみと思いに耽(ふけ)っている。
『ということはだ…。別口で買った当たりくじの換金分-カラスくじを買った総額= …鳴かず飛ばずか…』
 この男の思いようどおり、換金分から投資分を差っ引(ぴ)くと、残り僅(わず)かな金額になるだった。だが、男はニンマリと北叟笑(ほくそえ)んだ。
『まっ、いいかっ! 夢は楽しませてもらったんだからな…』
 宝くじを推奨(すいしょう)する訳ではないが、ものは思いようで、当たらなくても、このような別口の楽しみもある・・ということに他ならない。これは宝くじに限ったことではなく、すべての物事に共通して起こる事象だから、皆さん、成る成らないは別として、積極的に物事はやりましょう!^^


                       完


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