水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (97)ぞんざい

2021年02月06日 00時00分00秒 | #小説

 ぞんざいという言葉がある。分かりやすく言えば、いい加減・・という意味である。丁寧(ていねい)に物事をしないことだが、ものは思いようで、ぞんざいにしていなければ、キッチリと整っていた、あるいは成功、出来ていた…と後々(あとあと)になって反省したり悔(く)やんだりすることはない訳である。まあ、個人の性格によるところもあるから、ぞんざいになるのは、どうしようもないのかも知れない。^^
 とある普通家庭の勉強部屋での一コマである。母親が小学二年生の子供を叱(しか)っている。
「まだ、お勉強が終わってないでしょ!!」
「うん…」
 そんなに言わなくても…という顔で、子供はおやつを食べるのをやめ、机椅子へ座った。
「ほんとにぞんざいなんだからっ! 誰に似たのかしらっ? きっとパパね…。よく、新聞読み散らかして、トイレへ置き忘れるから…」
 母親は子供のぞんざいさを父親の所為(せい)にした。
 その一時間後である。母親は買い物から帰ったあと、買い物した品々をぞんざいに置き散らかしたまま、テレビのメロドラマを観始めた。
「フゥ~…間に合ったわっ!」
 開口一番、湯飲みのお茶を飲み、菓子を頬張った。
 このように、ぞんざいは性格とは別に、思いよう一つで、誰にも起こり得るのである。^^

 
                  完


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