水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (16)手間(てま)

2021年02月25日 00時00分00秒 | #小説

 手間(てま)がかかれば疲れる。私達が暮らす社会では、如何(いか)に限られた時間の中で、この手間を取り除くか・・に全(すべ)ての成否(せいひ)がかかっていると言っても過言ではない。それほど手間を省(はぶ)くことは重要なのである。ただ、手間を省いて、その分、楽をしたりサボるのは如何なものか…? 私には分からない。^^
 とある村役場である。今日は隣町の議員達が出張見学にくるというので、その配布資料の作成にコピー機が朝からフル回転している。
「俺なら、とても身体(からだ)がもたんよっ!」
「いや、ほんとっ! よく働くよな、この機械!」
「ああ、もう一時間はフル回転だっ」
「ああ、熱で焦げるほど熱いぜっ!」
「あと何部だっ!?」
「議員が30人だから…30×(かける)15-(マイナス)120=(イコール)… いくらだっ!?」
「知るかっ! まあ、いいや…」
「手間が大変だなっ! 3人で来いよっ!!」
「だなっ!」
 二人はつまらないところで意気投合した。
 手間は、機械でやろうと何でやろうと、多過ぎれば、疲れるほどかかるのである。^^

                   完


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